試験施設等が具備すべき基準の一部改正について(回答)
平成12年3月29日
労働省

概要  有害性の調査を適正に行うため必要な技術的基礎を有すると認められる試験施設等が具備すべき基準(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第34条の3第2項の規定に基づき試験施設等が具備すべき基準を定める件(昭和63年労働省告示第76号))について、国際的基準であるOECDの優良試験所基準(GLP)の一部改定を踏まえるとともに、かつ、がん原性試験を行う試験施設を同告示の適用対象として追加するため、同告示を一部改正することとしたものである。(別添 改正の具体的内容 参照

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 OECD−GLPでは、複数施設での試験の実施を述べているが、この労働安全衛生法GLPにおける複数施設の扱いはどうするのか。 1件  一般的に、労働安全衛生法GLPの対象となる試験が、複数の試験施設において行われることはないと考えられる。
 従前においては、試験計画書の承認を運営管理者(又は試験委託者)が行うこととなっているが、この取り扱い如何。 1件  従前と変更はない。
 試験責任者の役割は、改正後どのように変わるのか。 2件  以下の内容について責任が明確化される。
1 試験が試験計画書及び標準操作手順書から逸脱した場合には、直ちに是正措置を講じ、記録を取ること。
2 最終報告書を訂正する必要が生じた場合は、試験責任者が実施し、記録に残すこと。
3 コンピュータシステムを用いる場合には、このシステムが適正に稼働することを確認すること。
 運営管理者の行う安全及び衛生に関する措置と試験責任者が行う措置との違いについて教示願いたい。 1件  運営管理者においては、試験施設全体の安全及び衛生を維持するための措置を行うことが必要であり、試験責任者においては、その措置について担当者等に対し必要な指導等を行うこととなる。
 最終報告書の内容のうち、第14条第11号の「試験の信頼性に影響を及ぼしたと考えられる要素」について教示願いたい。 1件  試験操作、施設・設備、機器の維持管理、試験環境等が挙げられる。
 GLPに準拠して試験を実施した旨を記載する陳述書を記載する責任者について記載がない。 2件  最終報告書には、試験責任者名で労働安全衛生法GLPに準拠している旨の記載を行うことを定めている。
 また、届出には、試験責任者と運営管理者による労働安全衛生法GLPに準拠した旨の陳述書を添付することを定めている。
 OECD−GLPでは、主計画表を閲覧できればよいとなっているにもかかわらず、複数の場所に主計画表及びその写しを保有しなければならない理由如何。 1件  信頼性保証責任者が適切な信頼性保証業務を行うため、必要な情報を与えることを担保するためである。
 信頼性保証責任者は、試験計画書の内容の確認の際に記載事項のみの確認で労働安全衛生法GLPに従っていることを確認することができるのか。 1件  信頼性保証責任者は、試験計画書の内容確認だけでなく、個々の試験の監査並びに査察及び施設、設備機器等の定期的な査察により当該試験施設での試験が労働安全衛生法GLP基準に準拠していることを保証するものである。
 改正告示においては、信頼性保証部門が施設の査察監査をしなくてもよいのか。 1件  現行の告示においても信頼性保証責任者は、定期的に施設・設備・機器の査察等を行うべきこととされているところであり、この点、改正告示においても変わりないものである。
 試験環境関係及び施設運営維持のための書類を試資料保管責任者が保管しなくてもよいのか。 1件  これらは、試験の評価のために必要な記録に含まれるものであるので、当然保管する必要がある。
 信頼性保証に係る内容は標準操作手順書にどのように記載されるのか。 2件  信頼性保証に関しては、運営管理者が信頼性保証プログラムに記載し、それに従い、信頼性保証責任者が監査及び査察を定期的に行うものである。
 がん原性試験を対象とするとのことであるが、用量及び投与間隔、投与期間、投与方法、観察方法及びその頻度が書かれていない。 1件  試験の実施方法に関しては、平成9年3月11日付け基発第144号「がん原性試験による調査の基準について」において定めているものである。
 「資料」を「試資料」と変更する理由如何。 1件  「資料」は、書類等を表し、「試料」は、被験物質、標本等を表すものであり、双方を保管することを明確にしたものである。
 コンピュータシステムを使用する場合は事前に試験責任者が確認することとあるが、試験毎に確認するということか。 2件  プログラムの確認等によりシステムの信頼性を事前に確認する趣旨である。場合によっては、試験毎に確認する必要もある。
 最終報告書に記載する「職員の氏名及び所属」に記載する職員の範囲について教示願いたい。 2件  「運営管理者」、「試資料保管責任者」、「試験責任者」及び「試験担当者」の記載が必要である。
 実施中の試験で、施行後に終了する試験の最終報告書に記載する準拠するGLPについては、改正前のGLPでよいか。 1件  試験開始日時点のGLPとなる。
 被験物質の授受、特性、調製物の濃度や安定性等のデータについては、GLP上どのように取り扱えばよいか。 1件  生データに該当するので、GLP上の保管等についての義務が生じるものである。
 各GLPにおいて内容が統一されていない箇所があり、統一を図られたい。
((例) 「標題」、「試資料」、「保管」、「監査及び査察」を「表題」、「資料」、「保存」、「調査」に改めること等。)
1件  内容については、OECD−GLPに原則的に準拠し、整合性のあるものと考えている。
 なお、用語の使用に当たっては、労働安全衛生法令上使用されている用語や、他のGLPで使用されている用語との整合性を図っているものである。
 「実験開始日」、「実験終了日」、「試験開始日」、「試験終了日」について定義を明確にされたい。 3件  「実験開始日」は、試験ごとのデータの収集を開始した日、「実験終了日」は、試験ごとのデータの収集を終了した日、「試験開始日」は、試験責任者が試験計画書に署名又は記名押印を行った日、「試験終了日」は、試験責任者が最終報告書に署名又は記名押印を行った日を指すものである。
 信頼性保証責任者の定義は、医薬品GLPでいうところの信頼性保証部門責任者を指すのか。 1件  試験毎に、当該試験の開始前に信頼性保証業務をとり行う責任者として運営管理者に指名された者が、信頼性保証責任者となるものである。
 施設の監査・査察に係る運営管理者による信頼性保証責任者の指名は、どのように行えばよいか。 1件  運営管理者が作成する信頼性保証プログラムにより規定することが望ましい。
 信頼性保証責任者は、当該試験に従事する者以外の者でなければならない旨明記されたい。 1件  本告示の第3条第5号において「当該試験について十分な知識及び経験を有する者(当該試験に係る職員を除く。)」と既に規定しているものである。
 運営管理者の行う業務として「標準操作手順書の作成」があるが、他のGLPでは、「承認」となっており、労働安全衛生法GLPにおいても「承認」としていただきたい。 1件  「作成」には原案を作成させ、承認することが含まれているものである。
 運営管理者の行う業務として「試験計画書を承認すること。」とあるが、「・・・確認すること。」に改められたい。 1件  「承認」とは、「確認」したことを書面に記録することをいうものである。
 試験計画書への承認日の記載の方法について、教示願いたい。 1件  試験計画書に運営管理者(委託を受けて試験を実施する場合にあつては、試験委託者を含む。)が日付を記入して記名押印又は署名する。
 「委託試験における運営管理者及び試験責任者の承認」に係る書面については、委託契約書に同様の書面があれば、その写しを添付することにより代えることができるとしてよいか。 1件  通常契約が整った後、試験計画書が作成されることが一般的であり、また、契約書と試験計画書の趣旨・目的が異なるので、契約書の書面を試験計画書の書面として代えることはできないものである。
 試験計画書の変更については、OECD−GLP上は、運営管理者により承認は必要ないとされているところであり、労働安全衛生法GLPにおいても当該記載の削除をお願いする。 1件  OECD−GLPにおいては、試験計画書の変更に係る定めはないものの、運営管理者が試験計画書を承認することとされており、試験計画書の変更についても運営管理者の承認に係らせることが合理的である。
 信頼性保証責任者以外の職員が、試験の監査や査察の一部を行う場合、どのような手続が必要か。 1件  信頼性保証責任者の責任の下に、当該試験の実施に係る者以外の者に業務の補助等を行わせることは可能である。
 なお、その場合の手続きに関しては信頼性保証プログラムに規定しておく必要がある。
 第5条第2号において、試験計画書の記載項目について確認することとされているが、案の段階で事前に内容の確認を行わなければならないということか。 1件  必ずしも案の段階で事前に確認をすることを求めるものではないが、最終的には、試験責任者が記名押印又は署名したものについて、試験計画書を確認する必要がある。
 「生データを速やかにかつ正確に記載すること。」とは、OECD−GLPで言うところの「収集後直ちにこの基準に従って、正確に記載すること。」の意味か。 1件  貴見のとおりである。
 「被験物質等の試料」とは、試験に用いた被験物質の一部を保留標品として保管しなければならない、ということなのか。また、対照物質の保管は必要ないのか。 1件  試験に用いた被験物質の一部を保管することが必要である。
 なお、対照物質については、短期試験の場合は、保管の義務づけはないものである。
 標準操作手順書に文献等を利用することは可能か。 1件  標準操作手順書の作成の参考として文献等を引用することは差し支えなく、その場合、引用文献等を明記することが望ましい。
 試験計画書に対象試験から独立的な立場にいる信頼性保証責任者の氏名等の記載は必要ないと思われる。 1件  貴見を踏まえ、信頼性保証責任者の氏名等の記載は必要ないこととする。
 押印方法の見直しをしていただきたい。 1件  氏名の記載を要する場合は、「記名押印又は署名」、訂正を要する場合は、「署名又は押印」とするよう今般改正することとしている。
 「採取日」の記載は、実務上多大な労力を要する割には、識別性が向上していないので、「標本の識別に十分な程度適宜」としていただきたい。 1件  「採取日」の記載は、標本の識別を目的とするのみではなく、その記載された日付により適切に試験が行われているか確認することも目的としているため必要なものである。
 「隔離」には、感染症が発見・確認された場合の「屠殺」は含まれるのか。 1件  当基準においては、「隔離し、試験に使用しない。」ことを規定しており、その方法についてまでは規定していない。
 第14条第2項第2号「試験委託者等の名称及び所在地」については、試験計画書の記載内容と同様に「委託を受けて試験を実施した場合にあっては、試験委託者等の名称及び所在地」に改められたい。 1件  貴見を踏まえ、「委託を受けて試験を実施した場合にあっては、試験委託者等の名称及び所在地」に改める。
 信頼性保証責任者が作成した文書の作成日と、最終報告書の作成日との関係を教示願いたい。 1件  信頼性保証責任者が作成した文書は、最終報告書の作成日と同じ日又はそれ以降となるものである。
 第16条に定める10年間の保管責任は、試験実施した施設にあるのか、試験委託者等にあるのか。 1件  GLP基準で定めている内容であり、保管に関する責任はGLP試験施設にある。
 なお、廃止した施設に係る保管については、試験委託者等において行う必要がある。
 「被験物質等」とは何を指すか。 1件  被験物質、標本及びその他試薬等のうち特に保管すべきと判断されたものを指す。
(注)同一の方から複数の御意見が提出された場合には、それぞれ1件として計上しています。
 
担当課室:(労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課)
御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。


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