化学物質等による労働者の健康障害を防止するため必要な措置
に関する指針(案)について(回答)
平成12年3月22日
労働省

概要  事業者による化学物質等の自主管理を促進し、もって、労働者の健康障害の予防に資する。 (別添 化学物質等による労働者の健康障害を防止するため必要な措置に関する指針(案)参照

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 通商産業省・環境庁において、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善に関する法律」(平成11年法律第86号)第3条第1項の規定に基づき策定することとされている「化学物質管理指針」について、目的を異にする法律に基づくとはいえ、事業者にとって共通する内容を包含しており、これとの整合性を持たせる必要があるのではないか。 1件  御指摘のとおり、既に関係省庁間で協議を行い、整合性を図っているところである。
 事業者は、化学物質等の管理の改善を図るための「化学物質管理方針」を定めることとされたい。 1件  「化学物質管理計画」を策定する前提として、その管理方針が明らかになっている必要があると考えられ、その趣旨について周知を図りたい。
 「化学物質管理計画」には「化学物質管理方針」に即して化学物質等の管理の改善を図るために行うべき行動に係る具体的目標を設定するとともに、これを達成する時期及び具体的方策を定めることとされたい。 1件  「化学物質管理計画」の具体的内容は事業者に委ねられるものであるが、御指摘のような内容が含まれることは望ましいと考えられることから、その趣旨について周知を図りたい。
 「リスクアセスメント」の定義について、「化学物質等へのばく露を除去し、又は低減するための措置を検討すること」という部分は、リスクアセスメントというよりは、リスクマネージメントに該当するものではないか。 1件  「リスクアセスメント」については、リスクの除去又は低減の検討までを含める場合もあることから、本指針においては、「リスクアセスメント」としたところである。
 衛生委員会の活用等により労働者の意見を反映させるに当たり、「化学物質管理計画」の作成のみならず、「有害性の特定及びリスクアセスメント」、「化学物質管理計画」及び「作業規程」の作成・見直し、「監査等」の全てに労働者の参加・関与を確保することとされたい。 1件  「監査等」については、衛生委員会の活用等で労働者の意見を反映することが望ましい旨周知を図りたい。
 その他の事項は「化学物質管理計画」の内容に関連するものであり、同計画の作成に当たり、「労働者の意見を反映させるもの」とされているところである。
 「化学物質管理計画の策定等」に当たり事業者は、関連会社に対しても指導するよう努めることとされたい。 1件  御指摘の趣旨について周知を図りたい。
 「化学物質管理者」の業務として「有害性の特定及びリスクアセスメントに関する技術的業務」の実施しか示されていないが、「化学物質管理者」に「化学物質管理計画」の実施に関する明確な責任と権限を与え、全ての関係する部門において計画に盛り込まれた措置が確実に実施されるような体制を整備することとされたい。 1件  「化学物質管理計画」の実施については、事業者が責任を持つべきである。
 常に、現在使用している化学物質等よりも健康障害が少ないと考えられる化学物質等を定期的に調査することとされたい。 1件  有害性が少ない化学物質等への代替化については、御指摘の趣旨を踏まえ、その周知を図りたい。
 化学物質等の使用量を記録し、使用量削減のための努力を行うこととされたい。 1件  「化学物質等の使用量の記録」については御指摘の趣旨について周知を図りたい(「4実施事項」−(2)−イ−(イ)−a「使用条件等の変更」)。
 「使用量削減のための努力」については、本指針中「使用条件等の変更」(「4実施事項」−(2)−イ−(イ)−a「使用条件等の変更」)に該当するものであり、御指摘の趣旨について周知を図りたい。
 譲渡又は提供される化学物質等のみならず、当該化学物質等から生成される中間体についても有害性等の情報を提供し、労働者に対して周知させるべきではないか。
 あるいは、「リスクアセスメント」において、化学物質等の中間体も評価の対象とすべきではないか。
1件  本指針中の「リスクアセスメント」の対象は、譲渡又は提供される化学物質等のみならず、広く化学物質等及び当該化学物質等から生成される中間体も含むものである。この点をより明確にするため、その趣旨について周知を図りたい。
 事業者及び「化学物質管理者」は、法令でMSDSの交付対象となっていない化学物質等や危険有害性がないとされる化学物質等を含めて、全ての化学物質等にMSDSが備え付けられるよう(「危険有害性」がないということを含めて情報提供がなされていない化学物質等は事業場に持ち込ませないよう)努めることとされたい。 1件  危険有害性がない化学物質等については、平成4年労働省告示第60号において、当該化学物質等を入れた容器又は包装にその名称を表示することとされており、当該化学物質等の譲渡又は提供先の事業者が確認できるようにしているところである。
 一般的に海外においても、MSDSの作成に当たっては既存の情報のみで足りるとされている。しかしながら、皮膚刺激性、急性毒性、変異原性などに関する情報が無い場合は、なるべく試験を行ってデータを得ることが望ましいのではないか。 1件  御指摘のとおり化学物質等の譲渡又は提供者が各種の情報からMSDSを作成することが望ましいと考えるが、労働安全衛生法上、MSDSの作成に当たっては、特に情報を既存のものに限定しているわけではない。
 通知対象物質以外の物質について、将来的にOECDで合意された有害性の基準を示し、少なくともこの基準に合致している有害性情報がある場合には、MSDSの作成及び交付に努めることが望ましいのではないか。 1件  平成4年労働省告示第60号に基づき、OECDの基準に限らず、広く有害性等の情報の提供に努めるよう今後とも指導してまいりたい。
 通知対象物質以外の物質について、当該物を譲渡し、又は提供する相手方に、有害性等を調査し、その結果を文書等で「通知するように努めるものとする」という表現では後退しているイメージを与える。通知対象物質と同様に義務を課したらよいのではないか。 1件  通知対象物質については、労働安全衛生法上、MSDSの交付が義務付けられているが、通知対象物質以外の物質については交付が義務付けられていないので「努めるものとする」としたものである。
 「実施事項」について、「作業環境管理」、「作業管理」、「局所排気装置等の管理」、「保護具の備え付け等」をただ羅列するのではなく、対策のレベルは、1発生源対策、2伝播経路、3個人防護対策の順で優先順位があることを明記されたい。すなわち、合理的に実行可能な限り、危険有害性のない/リスクの相対的に小さい化学物質等または工程等にすることが基本であって、局所排気装置等や保護具等が必要なしで済む作業/作業環境の実現に努めるべきことを明記されたい。 1件  原則は御指摘のとおりであるが、労働衛生の実態において、御指摘の優先順位が常に成立するわけではないことにも留意する必要がある。御指摘の趣旨については周知を図りたい。
 非定常時における労働災害の発生率は定常作業より相当高いとされており、この点について注意を促す文言を附されたい。 1件  本指針は、定常作業のみを対象としたものではないが、御指摘の趣旨を踏まえ、非定常時作業においてより一層の注意喚起が図られるよう、その趣旨について周知を図りたい。
 「監査等」の結果を、「化学物質管理計画」、「作業規程」及び実施体制に反映させることにより、それぞれ継続的な改善を図ることとされたい。 1件  「監査等」の結果、「必要があると認めるときは、化学物質管理計画及びその実施について改善を行うものとする」としており、御指摘の内容は含まれているものと考える。
 労働者による不具合や症状等の自己申告(セルフ・レポート)や苦情の申し立てを「有害性等の特定及びリスクアセスメント」、「化学物質管理計画」及び「作業規程」の作成・見直しに反映させることとされたい。 1件  御指摘の事項は、化学物質管理計画の記載事項である「健康影響の把握等健康管理に関すること」(「2化学物質管理計画の策定等」の(2)のホ)に該当するものであり、御指摘の趣旨を踏まえ、その周知を図りたい。
 労働災害・職業病が実際に発生した場合には、「有害性等の特定及びリスクアセスメント」、「化学物質管理計画」及び「作業規程」の見直しを行うこととされたい。 1件  御指摘の趣旨を踏まえ、本指針を修文するとともに、その趣旨について周知を図りたい。
 化学物質管理者の教育に米国のインダストリアル・ハイジニスト育成コースの概要を教育して実務訓練をすることを提案する。 1件  参考にさせていただく。
 労働者をはじめ地域住民や行政等を含めたリスクコミュニケーションの必要性について触れるようにされたい。
 また、指針の解説等で、(社)日本化学工業協会が作成している「事業者用リスクコミュニケーション・ガイド案」等を参考に示すことなども検討されたい。
1件  御指摘の趣旨は理解できるものの、本指針は労働者の健康障害の防止を目的としたものであることから御指摘の事項については触れていないものである。
 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施行方法、工期、契約内容及び金額に関して当指針の遂行を損なうおそれのある条件を附さないよう配慮することとされたい。 1件  御指摘の事項については既に労働安全衛生法第3条第3項によりその趣旨が示されている。
(注)同一の方から複数の御意見が提出された場合には、それぞれを1件として計上しています。
 
担当課室:(労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課)
御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。


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