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(別紙)
企業組織変更に係る労働関係法制等研究会報告の要点
1 会社分割法制
(1) 権利義務の承継の特徴
会社分割法制は、営業の全部又は一部を承継させる制度であり、対象となる
権利義務の承継については、部分的包括承継という概念が導入されている。
(2) 労働関係の承継について
労働関係の権利義務についても、他の権利義務と同様、会社の意思のみによ
り承継される労働者の範囲を定めることができ、それが分割計画書等に記載さ
れた場合は分割会社から設立会社等に包括的に承継される。
(3) 労働関係の承継の問題点
@ 労働契約の承継について
イ 承継を望まない者が承継され、また、承継を望む者が承継されないことが
一部の労働者に生ずる場合が想定されること
ロ 「承継営業を主たる職務とする労働者」のうち残留させる者及び「承継営
業を従たる職務とする労働者」のうち承継させる者について、これまで従事
してきた職務の全部又は大部分と切り離される可能性があること
ハ 使用者が労働契約を譲渡するに際して労働者の同意を必要とする民法第6
25条第1項が類推適用される可能があり、関係者に混乱が生ずる恐れがあ
ること
A 労働協約の承継について
他の権利義務と同様に分割計画書等に記載することが可能かという点に疑義
があり、分割計画書等への記載を可能と解した場合であっても、以下の問題点
が生ずること
・ 組合員の労働契約が承継され、労働協約が承継されない場合があることに
より、労使関係の中で労働者が獲得してきた権利を失い、労働者が不利益を
被る恐れが大きいこと
・ 労働協約は、一つの営業に限らず複数の営業又は企業全体に適用されるも
のがあるが、当然承継されるとしたときは、労働協約が設立会社等に対して
のみ適用され、分割会社においては、労働組合員が存在する場合であっても
労働協約の適用がなくなるという不合理な結果となること
(4) 立法措置の要否
円滑・容易な会社分割の必要性等から、会社分割法制が導入されること等を
尊重しつつ、労働者保護と労働関係承継のルールの明確化を図るため、以下の立
法措置等を講ずることが適当。その際、同じく包括承継である合併との均衡を考
慮することが必要。
@ 「承継営業を主たる職務とする労働者」のうち承継させる労働者については
、従事していた職務と切り離される場合がほとんど想定されない。また、合併
と同様に雇用及び労働条件の維持が図られる。また、会社分割の必要性を考慮
し、かつ、民法第625条第1項の類推適用がないことを明確にするため、当
然に承継されることとすることが適当。
A 「承継営業を主たる職務とする労働者」のうち残留させる労働者及び「承継
営業を従たる職務とする労働者」のうち承継させる労働者については、異議申
立の機会を付与し、異議を述べたときは、それぞれ承継され又は承継されない
とする効力を与えることとすることが適当。
B 労働組合の組合員が承継された場合は、設立会社等と当該労働組合の間で同
一の内容の労働協約が締結されたものとみなすこととすることが適当。
また、組合事務所の提供等債務的部分であって分担可能なものについては、
分割会社と設立会社等の負担割合を定めることができることとすることが必要
。
C @、Aの労働者及び労働組合に対して、分割前に分割に関する情報を書面で
通知しなければならないものとすることが必要。
D なお、これらの立法措置を講ずることと併せ、会社分割における労働関係の
承継につき、分割に際して労使が留意すべき事項等について法律に基づく指針
を策定することも必要。
2 合併
(1) 権利義務の承継の特徴
合併においては、すべての権利義務は包括的に承継される。
(2) 労働関係の承継について
労働関係のすべての権利義務も解散会社から新設会社等に包括的に承継され
る。
(3) 労働関係の承継の問題点
合併においては、労働契約及び労働協約はそのまま承継されるため、雇用継
続の観点等からも、実質的にはほとんど不利益は生じない。
(4) 立法措置の要否
労働関係の権利義務は包括的に承継されることが明確であり、かつ、労働者
に不利益が生ずる場合はほとんど想定されないため、立法措置は不要。
3 営業譲渡
(1) 権利義務の承継の特徴
営業譲渡においては、権利義務は個別に承継され、譲渡会社と譲受会社の合
意に加え法律や契約に定められている手続を経た上で承継される。
(2) 労働関係の承継の概要
労働契約及び労働協約の承継についても、譲渡会社と譲受会社間の合意及び
労働者又は労働組合の同意を必要とする。
(3) 労働関係の承継の問題点
@ 譲渡労働者の範囲は会社間の合意により画されるため、労働者によっては、
承継されない不利益が生ずる場合が想定され、また、これらの労働者について
は、従事していた職務から切り離される場合が想定されること
A 労働協約の承継が会社間の合意により決定されるため、労働協約が承継され
ないことが生ずること
(4) 立法措置の要否
以下を総合すると、現時点では立法措置は不要。
@ 労働関係の権利義務は個別に承継され、かつ、労働者の同意が必要。また、
裁判例は個別に承継されるという基本ルールに則りつつ、事案の内容によって、
具体的妥当な解決を図っている。したがって、労働関係における基本的ルール
の明確化や個別事案の柔軟な解決という観点からは現時点における立法措置の
必要性は認め難いこと
A 労働協約の承継の有無について、労働者は、労働契約の承継の同意に際して
考慮することが可能であり、さらに、労働協約の規範的部分に係る内容は、労
働契約の内容として承継されるため、労働協約が承継されない不利益は小さく
、立法による手当をする必要性は認め難いこと
B (3)の問題点に対応し、当然承継とする立法措置は以下の点で現時点にお
いては疑問といわざるを得ない。
イ 営業譲渡における権利義務の承継は特定承継であることと相反し、また、
この場合に労働者に拒否権を付与したとすれば、他の権利義務との均衡を失
するばかりでなく、労働関係の取扱いにおいても一貫性を欠くこととなるこ
と
ロ 資本等の面でつながりのない会社に譲渡されることが相当あるため、営業
譲渡契約の成立に重大な支障を及ぼし、かつ、使用者の採用の自由、営業譲
渡後の企業活動の重大な制約となること
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