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別紙2
社内預金に関する研究会報告
「今後における社内預金の下限利率の改正方法について」概要
はじめに
本研究会は、現行の下限利率の改正方法について、市中金利の動きをより反映した
形に見直すべきであるとする行政改革推進本部の見解、中基審における各種意見等を
踏まえ、平成12年3月に発足した。
第1 社内預金制度の概要
1 制度の概要
2 社内預金制度の変遷
3 下限利率の改正等
第2 社内預金制度の現状
1 社内預金制度の運用状況
3万事業場、172万人が実施し、預金総額2.6兆円で一人当たりの預金
額は150万円
2 社内預金制度実施事業場における実態
平成11年8月、400企業を対象とするアンケート調査を実施。平成12
年5月、研究会において5事業場に対するヒアリング調査を実施。
アンケート調査の結果、社内預金は福利厚生のために実施しているという企
業が大半を占めた。また、利率は下限利率の改正に準拠して行っている企業が
多く、社内預金制度を今後とも実施していく予定の企業は76%であった。
ヒアリング調査の結果、社内預金制度は、その運用に当たり、預金の受入
れ・払戻の手続、保全委員会の開催、労使交渉、協定の届出等の事務コスト・
交渉コストがかかっているが、利便性を備えた資産形成のための制度として受
け止められている。また、現行の下限利率の改正方法については、これを支持
する意見が多数を占めた。
第3 現在の社内預金制度の意義・役割
1 社内預金制度と金融市場
社内預金の総額は、金融資産残高に対し0.2%にとどまり、市場に与える
影響はほとんどない。
2 使用者側から見た意義
資金調達のメリットは減少し、福利厚生的役割が増大している。
3 労働者側から見た意義
賃金控除により確実に一定額の貯蓄が可能であり、預金の出し入れが自由に
できる利便性がある。財形制度と比較し、加入資格・払戻し等に係る要件がな
い。
4 社内預金制度の存続
社内預金制度は役割に変化がみられるものの、実施事業場における労使双方
にとって有用な制度として機能しており、社会的にも制度の存続を否定すべき
積極的理由は認められない。
第4 社内預金制度における下限利率のあり方
1 社内預金制度を取り巻く状況
(1)金融市場を取り巻く状況の変化
(2)行政改革推進本部及び中央労働基準審議会における指摘等
2 下限利率の改正方法を検討する際の留意点
(1)実施事業場の事務負担の増加をもたらさないこと
(2)下限利率の改正方法の複雑化を避けること
(3)下限利率の改正方法は、上記(1)及び(2)に配慮しつつ、市中金利の
変動に柔軟に対応したものとなっていること
(4)預金労働者保護の観点から協定の届出等の規制は最低限のものとして存続
させる必要があること
3 今後の下限利率の改正方法について
(1)基本的な考え方
次の理由から現行の改正方法は原則として維持すべきである。
<1> 改正の時期について
行政及び実施事業場は既に相当の手続・事務の処理等を行っており、
現行1年に1回行っている定期見直しの頻度を過度に増やすことは避け
るべきである。
<2> 指標となる金融商品について
現行指標は一定のボリュームを有し、市中金利の実勢を反映している
こと、及び統計の利用が容易であることから引き続き指標とすることが
適当である。
<3> 改正の条件について
0.5ポイントの乖離幅は長期的な市中金利の変動状況に照らし妥当
である。
<4> 設定の幅について
0.5%単位で示すことは周知に当たり分かり易く利率計算が容易で
あるという利点があり、現行の設定幅が妥当である。
(2)市中金利の変動により柔軟に対応するための方法
<1> 特別改正の付加
現行の改正方法は原則維持すべきであるが、現行改正方法には前年
10月の市中金利に基づき下限利率の見直しを行った後、市中金利が急
激に変動した場合の措置が設けられていない。
ついては、市中金利の変動により柔軟に対応するため、下限利率と4
月の市中金利との間に1.0ポイント以上の乖離がみられる場合に、直
近の10月1日を施行日とする特別の改正を行うことを現行改正方法に
付加することが適当である。
<2> 実施事業場の事務等の軽減
特別改正の付加による事業場の事務コスト及び交渉コストの増加を軽
減するため、下限利率の改正があってもその都度労使協定を締結する必
要がないようにするため、協定に労働省が定める下限利率を引用する方
法によっても差し支えないことを周知すべきである。
<3> 改正手続の簡素化
下限利率の改正を一定のルールに則って行う場合には、下限利率の改
正の際の中央労働基準審議会への諮問・答申や公聴会の開催等の手続を
省略することを検討すべきである。
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