1 検討の趣旨 反復更新された有期労働契約については、雇止め(契約の不更新)について裁判 で争われる事例が多く、平成9年12月の中央労働基準審議会の建議*1において、 「有期労働契約の反復更新の問題等については、その実態及び裁判例の動向に関し て専門的な調査研究を行う場を設定することが適当である。」とされた。また、平 成10年9月に成立した「労働基準法の一部を改正する法律」の国会審議の際、衆議 院労働委員会及び参議院労働・社会政策委員会においても、「有期労働契約につい て、反復更新の実態、裁判例の動向等について専門的な調査研究を行う場を設け検 討を進め」るべき旨の附帯決議が行われた*2。 これら中央労働基準審議会の建議及び国会の附帯決議を踏まえ、雇止め等有期労 働契約の反復更新に係る諸問題について、その実態や裁判例を把握・分析し、今後 の施策に資する調査研究を行うものとして、本「有期労働契約の反復更新に関する 調査研究会」を開催したものである。 本研究会における検討事項は以下の3点である。 <1> 有期労働契約の反復更新に係る実態の把握及び分析 <2> 雇止め等有期労働契約の反復更新に係る裁判例の動向の把握及び分析 <3> 雇止め等有期労働契約の反復更新に係る諸問題への対応方策 本研究会は、平成11年5月に第1回研究会を開催して以来、これら検討事項につ いて鋭意検討を進めてきたが、今般その成果を以下のとおり取りまとめた。 なお、本研究会においては、パートタイマー、契約社員、臨時雇、アルバイト等 雇用形態を問わず、期間の定めのある労働契約を締結している労働者全てを検討の 対象としている。
*1 平成9年12月11日「労働時間法制及び労働契約等法制の整備について(建議)」 *2 衆議院労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」 (平成10年9月3日)及び参議院労働・社会政策委員会「労働基準法の一部を改 正する法律案に対する附帯決議」(平成10年9月24日)