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(資料2)



 都道府県労働局雇用均等室(「都道府県女性少年室」より組織変更)が扱った 

            相 談 事 例 の 概 要



T 企業からの相談

事例1 事後の処分をするに当たって会社が配慮すべきことについて助言を求め
    た事例

(相談内容)
  女性社員より、男性管理職Aが女性の同僚やアルバイト社員に対し、性的な発言
 や性的関係をもちかける等の行為を繰り返しているとの相談があった。
  社内で調査を行ったところ、Aは事実を認め、女性たちに謝罪したいと言ってい
 るが、会社としてAの処分を検討している。今後会社が留意しなければならないこ
 とについて助言してほしい。

(労働局雇用均等室の対応)
  就業規則上の処分や配置転換が決定されるまでの間、行為者と被害者がなるべく
 顔を合わせないですむ工夫や上司の目配りが必要であること、被害者が恐怖感を覚
 えるなど精神的苦痛を受けていることから、その回復のため医療スタッフの助言を
 求めること、さらに、全社員への啓発研修を徹底し、再発防止に取り組むよう助言
 した。


事例2 取引先企業に対する指導を雇用均等室に求めてきた事例

(相談内容)
  女性労働者をB社に派遣して作業させているが、当社の女性労働者から、B社の
 男性管理職Cより、身体にさわる、性的な発言をする等のセクシュアルハラスメン
 ト行為を受けているとの相談があった。
  相手が取引先であり抗議しづらいため、当社が通報したことを伏せて、B社に対
 し、セクシュアルハラスメントを防止するための従業員への啓発を行うよう指導し
 てほしい。

(労働局雇用均等室の対応)
  派遣労働者のセクシュアルハラスメント防止について派遣元も雇用管理上の責任
 を負っており、事実調査や再発防止措置などの適正な対処を派遣先企業へ申し入れ
 る等の対応が求められること、行政に通報しただけでは義務を果たしたことにはな
 らないことを説明した。
  また、B社に対し、一般的な調査として事情聴取を実施し、事業主に求められて
 いる措置を講じるよう指導した。

(会社の対応等)
  B社において、従業員への啓発や相談窓口の設置が行われ、セクシュアルハラス
 メントを許さない社内の雰囲気が醸成されたため、Cはセクシュアルハラスメント
 行為を行わないようになった。



U  女性労働者からの相談

事例3 上司の度重なる性的発言で体調を崩した女性労働者の事例

(相談内容)
  女性労働者D子の男性上司Eが、女性の部下に対し性的な発言を数年間繰り返し
 ており、上司なので抗議もできず我慢していたが、不快のあまり体調を悪くしてし
 まった。
  他にもEの言動で悩み体調を崩した女性や退職した女性が何人かいる。気持ちよ
 く働き続けるためにはどうしたらよいか。

(労働局雇用均等室の対応)
  D子が会社への行政指導を希望しなかったため、均等法により会社に義務づけら
 れている防止対策についてD子に説明し、Eに注意できる職責の者に相談するよう
 助言した。

(会社の対応等)
  D子がEより上席の役職者に相談。その役職者からEへ注意するとともに、社内
 報でセクシュアルハラスメント防止の啓発を行い、相談窓口を設置することとした。
 D子自身も、自分が悩んでいるのがささいな問題ではなかったとわかり、心の負担
 が減ったとのことであった。


事例4 派遣社員に対するセクシュアルハラスメントの事例

(相談内容)
  派遣会社F社の女性労働者G子は、派遣先のH社において日頃から「派遣契約を
 更新して長く働いてほしい」と言われていたが、急に契約を更新しないことを通告
 され、身に覚えのない理由を告げられた。H社の人事権を持つ管理職から職場の宴
 会の後で性的関係を求められたのを断ったことがあったせいではないかと思い、派
 遣元F社に訴えたところ、F社にとってH社は顧客なので抗議できないと言われた。
 このようなF社の態度に失望したので退職するつもりだが、今後このようなことが
 ないよう必要な指導をしてほしい。

(労働局雇用均等室の派遣元F社への指導)
  F社に対し事情聴取したところ、本社から各営業所に対し、セクシュアルハラス
 メント防止対策を講じるよう指示されていたが、G子の所属する営業所では少人数
 であることを理由に対策が講じられていなかった。
  そこで、派遣労働者のセクシュアルハラスメント防止について派遣元も雇用管理
 上の責任を負うことを説明し、均等法に基づく防止対策を講じるとともに、事実調
 査や再発防止措置などの適正な対処を派遣先企業へ申し入れる等の対応をするよう
 求めた。

(労働局雇用均等室の派遣先H社への指導)
  H社に対し事情聴取したところ、H社ではすでに就業規則及び社員向けホームペ
 ージにセクシュアルハラスメント防止の方針を盛り込んだ他、相談窓口として担当
 者を配置し直通電話を開設するなどの体制を整えていたが、今回のG子の問題につ
 いては把握していなかった。
  そこで、派遣労働者のセクシュアルハラスメント防止については、派遣先企業に
 も必要な配慮が義務づけられていることを説明し、防止対策を徹底し、再発防止の
 ための措置を講ずるよう求めた。

(会社の対応等)
  派遣元F社では、就業規則や社内報で社員への周知啓発を行い、相談窓口を設置
 するとともに、派遣先企業にあててセクシュアルハラスメント防止のための配慮を
 依頼する文書を配付した。
  また、派遣先のH社では、行為者とされた上司に事情聴取し、上司が行為を認め
 たため厳重注意処分とした。さらに全社員を対象に研修を実施することとした。


事例5 職務上の地位を利用した事例

(相談内容)
  女性労働者I子は職場での人間関係に悩み、男性管理職Jに相談を持ちかけたと
 ころ、食事に誘われそれに応じた。その後も何度か食事しながら悩みを相談したが、
 ある時Jより性的関係を求められてショックを受け、それ以来食事の誘いも断るよ
 うにした。しかし、さらにJより「自分は社内で影響力がある」と性的関係を求め
 られ、拒否したところ、今度はJよりささいなミスを大声で叱責されるなどいじめ
 を受けるようになった。勤務を続けたいので、会社の適切な対応を求めたい。

(労働局雇用均等室の対応)
  会社の人事担当者から事情を聴取したところ、「I子はJの食事の誘いにたびた
 び応じており、好意を持っていたと考えられるので、セクシュアルハラスメント行
 為ではないのではないか」との認識であった。
  そこで、社内での地位を利用して相手の望まない性的関係を強要することはセク
 シュアルハラスメントであることを説明し、社内で事実関係を調査した上で適切に
 対処するとともに、セクシュアルハラスメントを許さないという会社の方針を明確
 にし、社員への周知・啓発を行うこと、相談窓口を設置すること等により再発防止
 に取り組むよう助言した。

(会社の対応等)
  社内で調査を行い、事実を認めたJに対し、会社は厳重注意の上、減給処分を行
 った。
  また、JはI子に対し文書で謝罪した。会社としては、啓発パンフレットの配付
 や社員全員が参加する職場集会での説明により社員への周知・啓発を図るとともに、
 相談窓口を設置した。今後、さらに社員研修も実施することとしている。


事例6 行為者ではなく相談した女性の方に非があるとされてしまった事例

(相談内容)
  女性労働者K子は、会社の宿泊研修の夜、男性管理職Lから業務上の用件だと言
 われて部屋に呼ばれ、出向いたところ性的関係を求められた。拒絶して逃げ帰った
 が、それ以来Lと顔を合わせるのが恐ろしくて出勤できなくなってしまった。会社
 の役員に事情を訴えたが「勤務時間外のことであり、夜間にホテルの部屋に出向い
 たK子に非がある」と言われ、Lに対する処分はない。このような会社の対応に不
 満があるので指導してほしい。

(労働局雇用均等室の対応)
  会社に対し、問題とされた行為は勤務の延長上において行われたものと考えられ
 ることを説明し、指針で配慮が義務づけられた防止対策を講じるとともに、今回の
 問題への適切な対応をするよう求めた。

(会社の対応等)
  会社は、セクシュアルハラスメント防止対策を就業規則に盛り込み、ポスターを
 掲示して労働者の意識啓発を図るとともに、相談窓口を設置した。また、行為者L
 を免職処分とした。さらに、K子の退職の意思が固かったため、再就職先を紹介し
 た。


事例7 先輩社員の行為により精神的に深く傷つけられた事例


(相談内容)
  勤続8か月の女性労働者M子が、昼休みに男性労働者Nから身体をさわられた。
 その場では恐怖心から声も出せなかったが、それ以降発熱が続き、吐き気がしたり
 涙が止まらない状態になり、精神科に通院し安定剤の処方を受けている。NはM子
 に親切に仕事を教えてくれる先輩であり、日頃からM子の肩などに手を置くことが
 多かったが、M子は娘を思うような気持ちからであろうと思い我慢していた。会社
 に相談したが、Nが勤続年数も長くまじめな勤務ぶりであることから、会社はM子
 の訴えた内容が信じ難いこととし、誠意の感じられない対応をしている。

(労働局雇用均等室の対応)
  セクシュアルハラスメントカウンセラーが相談に対応し、M子に対し、医師の助
 言に基づいて体調の回復に努めるようアドバイスした。また、M子の要請を受け、
 会社に対し、社内で事実関係を調査した上で適切に対処するとともに、社員への周
 知・啓発や相談窓口の設置等に取り組むよう指導した。

(会社の対応等)
  会社は、セクシュアルハラスメント防止対策を就業規則に盛り込むとともに、社
 員への啓発パンフレット配付や朝礼での注意喚起、相談担当者の周知を行い、再発
 防止のための措置を講じた。
  また、会社の事情聴取によりNが行為を認めたため、会社はNを解雇するととも
 にM子に謝罪した。


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