[調査結果] 1 労働移動の状況 平成12年上半期(1〜6月)に労働移動を行った常用労働者の延べ数は約718万 人(前年同期約696万人)で、在籍常用労働者に対する比率でみた延べ労働移動 率は17.3%(同16.8%)と、やや活発になった。 労働移動を行った常用労働者のうち、入職者は約362万人(同約353万人)、 離職者は約356万人(同約343万人)となり、これを比率でみると入職率は8.7 %(同8.5%)、離職率は8.6%(同8.3%)で、引き続き入職超過となったが超過幅 は縮小してきている(第1図、第1表)。 (1) 男女別入職・離職状況 入職・離職率を男女別にみると、男は入職率が7.2%(前年同期7.2%)、 離職率が7.2%(同6.9%)、女は入職率が11.1%(同10.6%)、離職率10.8 %(同10.5%)となった。前年同期と比べると、男は入職率が横ばい、 離職率が0.3ポイント上昇、女は入職率が0.5ポイント、離職率が0.3ポイン トそれぞれ上昇した。 入職超過率をみると、男は0.0ポイントで保ち合い、女は0.3ポイントで、 入職超過となった(第2図、第1表)。 (2) 就業形態別入職・離職状況 入職・離職率を就業形態別にみると、一般労働者は入職率が7.3%(前年 同期7.1%)、離職率が7.2%(同7.0%)となり、前年同期と比べると入 職率、離職率いずれも0.2ポイント上昇した。パートタイム労働者は入職率 が15.4%(同15.2%)、離職率が15.1%(同14.5%)となり、前年同期と 比べると入職率は0.2ポイント、離職率は0.6ポイントそれぞれ上昇した。 入職超過率をみると、一般労働者で0.1ポイント、パートタイム労働者で 0.3ポイントとなり、いずれも入職超過となった(第3図、第1表)。 (3) 男女別・就業形態別入職・離職状況 入職・離職率を男女別・就業形態別にみると、男は一般労働者が入職率 6.4%(前年同期6.3%)、離職率6.3%(同6.0%)、パートタイム労働者が 入職率20.2%(同20.7%)、離職率21.7%(同21.5%)となった。女は一 般労働者が入職率9.4%(同8.9%)、離職率9.3%(同9.2%)、パートタイ ム労働者が入職率14.1%(同13.8%)、離職率13.4%(同12.7%)となっ た。前年同期と比べると、男のパートタイム労働者の入職率が低下したほ かは、いずれも上昇した(第1表)。 (4) パートタイム労働者の割合 パートタイム労働者の常用労働者に占める割合は17.7%(前年同期17.4 %)、入職者に占める割合は31.1%(同31.1%)、離職者に占める割合 は31.0%(同30.5%)となった。 これを男女別にみると、男は常用労働者に占める割合が6.0%、入職者 に占める割合が16.7%、離職者に占める割合が18.0%、女は常用労働者 に占める割合が35.8%、入職者に占める割合が45.7%、離職者に占める割 合が44.4%となった(第4図、第2表)。 (5) 産業別入職・離職状況 入職・離職状況を産業別にみると、入職者は卸売・小売業,飲食店の約 114万人が最も多く、次いでサービス業が約111万人、製造業が約57万 人、建設業が約36万人などとなった。離職者は卸売・小売業,飲食店の約 110万人が最も多く、次いでサービス業が約106万人、製造業が約63万人、 建設業が約35万人などとなった。 これらの産業について比率をみると、入職率は卸売・小売業,飲食店の 10.7%(前年同期9.4%)が最も高く、次いでサービス業が10.3%(同10.5 %)、建設業が9.3%(同9.0%)、製造業が5.6%(同6.0%)となり、前 年同期と比べると、卸売・小売業,飲食店が1.3ポイント、建設業が0.3ポ イントそれぞれ上昇し、製造業が0.4ポイント、サービス業が0.2ポイント それぞれ低下した。離職率は卸売・小売業,飲食店の10.3%(同9.2%) が最も高く、次いでサービス業が9.8%(同9.5%)、建設業が9.0% (同7.7%)、製造業が6.2%(同6.8%)となり、前年同期と比べると建 設業が1.3ポイント、卸売・小売業,飲食店が1.1ポイント、サービス業が 0.3ポイントそれぞれ上昇し、製造業は0.6ポイント低下した。 入職超過率をみると、サービス業が0.5ポイント、卸売・小売業,飲食 店が0.4ポイント、建設業が0.3ポイントといずれも入職超過となったが、 製造業は-0.6ポイントとなり離職超過が続いている(第5図、第3表)。 (6) 企業規模別入職・離職状況 入職・離職率を企業規模別にみると、入職率は「1,000人以上」7.2%、 「300〜999人」7.3%、「100〜299人」10.3%、「30〜99人」9.1%、 「5〜29人」9.6%、離職率は「1,000人以上」8.1%、「300〜999人」7.1 %、「100〜299人」8.7%、「30〜99人」9.3%、「5〜29人」9.1%となり、 入職率、離職率とも概ね規模が小さくなるほど高い(第4表)。 2 入職者の状況 (1) 職歴別入職者の状況 入職者を職歴別にみると、転職入職者が約197万人、未就業入職者が約 165万人(新規学卒者約84万人、一般未就業者約81万人)となった。 これを在籍常用労働者に対する比率でみると、転職入職率は4.8%(前年 同期4.5%)、未就業入職率は4.0%(同4.0%)となり、前年同期と比べ ると転職入職率は0.3ポイント上昇し、未就業入職率は横ばいとなった。 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職率が4.2%(同3.9%)、 未就業入職率が3.1%(同3.2%)となり、前年同期と比べると転職入職 率は0.3ポイント上昇、未就業入職率は0.1ポイント低下した。パートタ イム労働者は転職入職率が7.4%(同7.6%)、未就業入職率が8.0%(同 7.6%)となり、前年同期と比べると転職入職率が0.2ポイント低下し、 未就業入職率は0.4ポイント上昇した(第6図、第1表、第5表)。 (2) 産業・企業規模別新規学卒入職者の状況 新規学卒入職者は約84万人(前年同期約91万人)と、減少している。 入職者に占める割合は23.2%(同25.8%)となった(表1)。 新規学卒入職者について産業別構成比をみると、サービス業が32.1%、 卸売・小売業,飲食店が31.6%、製造業が18.1%などとなった。 これを学歴別にみると、高校卒、大学卒では、卸売・小売業,飲食店の割 合が、専修学校卒、高専・短大卒では、サービス業の割合がそれぞれ最も 高い(第6表)。 企業規模別構成比をみると、「1,000人以上」19.9%、「300〜999人」 16.6%、「100〜299人」19.4%、「30〜99人」16.7%、「5〜29人」23.4 %となった。 これを学歴別にみると、高校卒、専修学校卒、高専・短大卒では「5〜 29人」の割合が、大学卒では「1,000人以上」の割合がそれぞれ最も高い (第7表)。 (3) 転職入職者の状況 イ 賃金変動別状況 賃金変動別構成比をみると、賃金が前のつとめ先に比べ「増加」であっ た者の割合は33.1%(前年同期29.5%)、「減少」であった者の割合は 31.7%(同32.6%)となった。前年同期と比べると、「増加」であった者 の割合は3.6ポイント上昇し、「減少」であった者の割合は0.9ポイント 低下した(第8表)。 ロ 離職期間別状況 離職期間別構成比をみると、「15日未満」が26.4%で最も高く、次いで 「1ヵ月〜3ヵ月未満」が25.3%、「6ヵ月〜1年未満」が19.4%、「3 ヵ月〜6ヵ月未満」が16.5%、「15日〜1ヵ月未満」が11.9%となった。 前年同期と比べると、3ヵ月未満の各区分で上昇し、3ヵ月以上の各区分 で低下した(第9表)。 3 離職者の状況 (1) 年齢階級別離職者の状況 離職率を年齢階級別にみると、「19歳以下」が23.4%で最も高く、次い で「60〜64歳」が19.5%、「20〜24歳」が15.6%、「65歳以上」が14.3% と、若年層及び高年齢層で高い。前年同期と比べると、49歳以下の各層と 「65歳以上」で上昇した(第10表)。 (2) 離職理由別離職者の状況 離職者の離職理由別構成比をみると、「個人的理由」が66.0%(前年同 期64.1%)で最も高く、次いで「契約期間の満了」が10.6%(同12.1%)、 「経営上の都合」が9.0%(同11.1%)となり、前年同期と比べると「個人 的理由」の割合が上昇、「経営上の都合」「契約期間の満了」 の割合が それぞれ低下した。 これらを就業形態別にみると、一般労働者は「個人的理由」が61.9% (前年同期60.9%)、「契約期間の満了」が10.9%(同10.9%)、「経営 上の都合」が10.7%(同13.9%)となり、パートタイム労働者は「個人的 理由」が75.2%(同71.6%)、「契約期間の満了」が9.9%(同14.6%)、 「経営上の都合」が5.0%(同4.8%)となった。前年同期と比べると、 一般労働者は「個人的理由」が1.0ポイント上昇し、「契約期間の満了」 が横ばい、「経営上の都合」が3.2ポイント低下し、パートタイム労働者 は「個人的理由」が3.6ポイント、「経営上の都合」が0.2ポイントそれ ぞれ上昇し、「契約期間の満了」が4.7ポイント低下した(表2、第7図、 第11表)。 4 未充足求人の状況 平成12年6月末現在の未充足求人数は約48万人(前年約32万人)で、欠員 率(在籍常用労働者に対する未充足求人の割合)は1.1%(同0.8%)となり、 3年ぶりに上昇した。うちパートタイム労働者の未充足求人数は約14万人 (同約7万人)で、欠員率は1.9%(同1.0%)となり、前年と比べると0.9 ポイント上昇した(第8図、第12表)。 (1) 産業別未充足求人の状況 未充足求人数を産業別にみると、卸売・小売業,飲食店約13万人、サ ービス業約13万人、製造業約8万人などとなり、これら3産業で全体の約 7割を超えた。 欠員率を主な産業別についてみると、建設業が1.4%、卸売・小売業, 飲食店、サービス業がいずれも1.2%、製造業が0.8%となった。前年と 比べると、卸売・小売業,飲食店、サービス業、建設業がいずれも0.4ポ イント、製造業が0.2ポイントそれぞれ上昇した。うちパートタイム労働 者については、建設業が4.3%、製造業2.2%、卸売・小売業,飲食店2.1 %、サービス業1.5%となった(第12表)。 (2) 職業別未充足求人の状況 未充足求人数を職業別にみると、「販売従事者」約11万人、「生産工 程・労務作業者」約10万人、「サービス職業従事者」約9万人、「専門 的・技術的職業従事者」約8万人などとなった。 欠員率をみると、「サービス職業従事者」が2.0%、「販売従事者」が 1.8%、「運輸・通信従事者」が1.7%などとなった。前年と比べると、 「販売従事者」が0.9ポイント「サービス職業従事者」が0.7ポイントな ど、「専門的・職業的従事者」を除いたすべての職業で上昇した(第9図 、第13表)。