(1) | 冒頭の全体会議で先の第2回目安に関する小委員会で主張された労使の見解について確認を行ったところ、まず使用者側より、第2回目安に関する小委員会における見解と基本的に変わらないとして、下記のような諸般の状況を踏まえ、本年は最低賃金額の引上げは行うべきではないと主張した。
イ | 経済情勢は過去最悪の水準であり、かつ、今なお予断を許さない状況にあること |
ロ | 賃金改定状況調査において、賃金引上げを行わない事業所が43%と半数近くあり、中小企業を含めて経営の状態が賃上げを許容し得ない状況にあること |
ハ | 企業の収益状況、消費者物価、生計費、労働力の需給状況等をみても最低賃金を上げるための要素は全くなく、未曾有の危機的状況にあること |
二 | これ以上の賃上げは、中小企業の存立基盤を危うくする恐れがあり、雇用そのものに大きな影響を与えかねないこと |
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(2) | これに対し、労働者側は、下記のようなことを踏まえ、一般労働者の賃金水準に対する最低賃金の比率をより一層高め、また最低賃金の実効性を確保するためにも、組織労働者の賃金引上げ状況を勘案し、2%程度の引上げを主張した。
イ | 深刻な構造的問題をかかえた我が国において、賃金抑制・凍結、賃下げを行うことは、経済を縮小均衡に陥らせ、不況を長引かせるものであること |
ロ | 労働者全体に雇用不安、生活不安が蔓延しつつある現状において、生活不安を社会不安に転化させることなく経済を早期に回復させるためにも、最低賃金制度が持っているセーフティネットとしての機能が極めて重要となっていること |
ハ | 低賃金層や低所得層といった最低賃金対象労働者の置かれている現状に十分配慮するとともに、社会政策的見地から、地域別最低賃金の引上げ目安を作成し、有効で存在感ある最低賃金制度を形成すべきこと |
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(3) | その後、数次にわたり、公益代表委員による調整が試みられたが、労使の意見の隔たりが大きく、意見の一致をみることが極めて困難な状況となり、最終的には、公益委員見解(別紙1)を示すこととなった。 |
(4) | 公益委員見解を目安額として決定することについては、小委員会の一致をみるに至らなかった。しかしながら、地方最低賃金審議会における審議に資するため、公益委員見解を各地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することについては意見の一致をみて、中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)が了承された。 |