女性少年問題審議会議事録

 日 時 平成10年7月22日(水)16時00分〜17時15分
 場 所 労働省特別会議室
 出席者
 〔委 員〕学識経験者 野田委員、小粥委員、安枝委員、辻山委員
労働者代表 片岡委員、熊崎委員、高島委員、岡本委員、増田委員
使用者代表 荒川委員、橋本委員、渡邊委員、児島委員
 〔事務局〕藤井女性局長、横田審議官、山本庶務課長、北井女性政策課長、足利女性労働課長、田村女性福祉課長、東民間需給調整事業室長、黒田勤労青少年室長、一杉均等業務指導室長、安藤育児・介護休業推進室長、中原女性労働課調査官、木村主任女性行政監察官
 議 題
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正関係)について
 配付資料
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正関係)
(参考資料)
  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱
  • 労働者派遣法等の改正法案要綱のポイント
  • 育児・介護休業法のあらまし(パンフレット)
 議 事
(会 長)
 ただいまから女性少年問題審議会を始めさせていただきます。委員の皆様方にはお忙しい中をご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは初めに6月30日付で、女性局長に就任されました、藤井龍子新局長にご挨拶をお願いいたします。

(女性局長)
 ただいまご紹介いただきました、藤井龍子でございます。6月30日付で、前任の太田局長のあとを引き継がせていただきました。よろしくお願いいたします。女性局は6年ぶりの勤務になります。ただこの女性少年問題審議会には、2年ほど前まで、勤労者福祉部長ということで、勤労青少年対策を所管していましたので、そのときもお世話になっています。2年ぶりで、またお世話になるということで、よろしくお願い申し上げます。
 皆様方には、何かと女性行政の推進に、日ごろからご理解、ご協力を賜っておりますことを、この場をお借りいたしまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 また、本日は大変お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございます。私、就任いたしましてから早速、力を入れなければいけないと思っておりますのは、昨年6月に改正男女雇用機会均等法が成立して、来年の4月1日から施行となっております。この施行に万全を期してまいりたいと思っているわけですが、この法案作成の際のご審議はもとより、その後の施行のために省令、あるいは指針等のご審議について、本審議会では、皆様方に格別なご尽力を賜っておりますことを、改めてまた御礼申し上げたいと思います。
 6月が男女雇用機会均等月間ということで、全国の女性少年室をあげて、改正均等法の内容について、周知徹底をするためのセミナー等の開催に力を入れたところでございます。幸いにして、各地から大変手堅い反応が返って来たということで、ますます女性少年室は忙しさを増しているという状況です。
 さらに今年の2月には、短時間労働対策の在り方について、建議をおまとめいただいたわけですが、この中の雇入通知書の義務化については、先の国会に提案された労働基準法の改正法に盛り込まれたわけです。継続審議ということですので、今月末に召集される臨時国会で、審議がなされる予定になっているところです。それ以外のご提言についても、現在来年度の概算要求の検討をしている中に盛り込むなど、鋭意努力を続けているところですので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。そういうことで、着々と様々な施策を本審議会の皆様方のご指導の下、進めさせていただいているところですが何しろ社会経済情勢の変化が大変激しい中で、働く女性の方々の意識も多様化し、就業環境も本当に大きく変わってきているということで、私ども女性行政の課題は、まだまだ多く残っていると思っています。引き続き、よろしくご指導を賜りますよう、お願いを申し上げたいと存じます。
 さて、本日議題にさせていただいている労働者派遣法の改正問題ですが、これは職業安定局が中心になって進めているもので、去る7月15日、中央職業安定審議会に諮問が行われたところです。本日は、その一部、育児・介護休業法関係について、労働大臣よりご諮問を申し上げるということですので、よろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げまして、挨拶に代えさせていただきたいと思います。

(会 長)
 続いて、幹部に異動がありましたので、一言ご挨拶いただきたいと思います。お願いします。

(審議官)
 6月30日付で、女性局担当審議官になりました横田でございます。今後委員の先生方には、またお世話になることが多いかと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。

(庶務課長)
 6月30日付で庶務課長を拝命いたしました、山本でございます。どうぞよろしくお願いします。

(女性労働課長)
 7月7日付で女性労働課長を拝命いたしました、足利でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(女性福祉課長)
 同じく7月7日付で女性福祉課長を拝命しました田村でございます。よろしくお願いいたします。

(勤労青少年室長)
 6月30日付で勤労青少年室長を賜りました、黒田でございます。よろしくお願いします。

(会 長)
 それでは、本日の議題である諮問案件に入ります。先ほど局長からご紹介がありました、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正関係)」について、労働大臣から諮問を受けたので、審議に入りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。

(事務局)
(資料について説明)

(会 長)
 ご意見、ご質問がございましたらどうぞ。

(委 員)
 この派遣法の諮問の前に、育児・介護休業法の中に、一定の基準に合致すると認定された事業協同組合等が、その構成員である中小企業者の委託を受けて育児・介護休業取得者の代替要員の募集を行う場合は、労働大臣に届け出ることでよいというものがあったと思います。介護休業の義務化は来年ですが、今までその実績があったのかを教えていただきたい。この諮問内容とは全然違いますが、教えていただきたい。

(事務局)
 認定された団体はありません。

(委 員)
 いま諮問の内容を説明していただきました。諮問された項目以外に、いま取り組んでいる派遣法の論議について、私は全般的なことについて質問したいと思っておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 1つは派遣労働者として働いている男女の割合はどのぐらいなのか。年齢層での特色がどのようになっているのか、是非お尋ねしたいと思っています。

(事務局)
 派遣業については、毎年それぞれの事業所から報告をいただくことになっていますが、男女別では取っていないのでちょっとわかりません。この法律改正に当たりまして、実態調査を行っているので、その結果だと7対3で女性が多いということです。年齢的には実態調査によると、平均で男性が32.7歳、女性が33.3歳ということです。分布で見ると、男性が最も多い層が25歳から29歳で27.8%、次いで30歳から34歳が27.5%、女性が最も多い層が25歳から29歳で27.6%、次いで30歳から34歳が21.7%。また35歳から39歳が3番目に多くなっていて、15.2%程度です。

(委 員)
 いまお答えいただいたように、7対3でやはり女性が多い。そして年齢的にもばらつきがあるにしろ、女性の若い層が多いことが1つの特徴になっています。また40歳ぐらいの年齢の方もいるのではないかと私は思っています。
 派遣労働者に引っかかる大半の女性が、これから派遣労働の中で、均等待遇がどのように確保されていくのか、大変聞きたいと思っているわけです。

(事務局)
 法律の建て前を申し上げますと、男女間においての差別は、派遣法上はありませんし、また逆に禁止をされているので、あとは男性であろうと、女性であろうと、どういうスキルを持っているかというところで、基本的には担保されるのではないかと思っています。それから、あまり女性だから、とかというような実態論として差別されたという話は具体的な問題としても聞いておりません。

(委 員)
 実際には、年齢制限があったり、性によって仕事に就けなかった、というような例が今まででも相談ダイヤル等に寄せられていると思うのです。派遣労働でこの仕事がしたい、自分の能力で働きたいという職種に就けなかったと。そして自分がそういう職種で絶対にやりたいと派遣先で申し入れても、「そんなに言うのだったら他に回ってください」とか、「あなた、要りませんよ」というような案件が出ていることを、私どもは承知しております。そういう点での均等な待遇は確保されるのでしょうか。

(事務局)
 ただいまの点については派遣労働のみにかかわらない問題だろうと思いますが、仮に派遣労働に限定して答えますと、今後、均等法は強化されるわけですので、その辺も踏まえて、いま言われた年齢制限とか、男女間での差別といったものについては、派遣元については厳正に指導させていただきたいと考えています。ただ、最後にいちばん問題になってくるのは、派遣先からの要求について、どういう形でやっていくかという部分で、法的にはかかってこないので、そこの部分が一番問題だろうとは認識しています。その点についても、派遣先を個別にというのは非常に難しいですが、関係団体、事業主団体等を通じて、そういった指導を的確にやっていきたいと考えています。

(委 員)
 もう1点お尋ねします。いまのような派遣労働者では、若い人は派遣労働者、そして年齢の高い人がパートタイマーということが、これからあり得ると思っています。特に若い人などでは、現行法の専門職種が対象になっていくだろうと思っていますが、いままで派遣労働者から、行政に対してどんな問題、苦情が寄せられているのか、1、2点教えていただきたいと思います。

(会 長)
 どちら側ですか。派遣先のクレームなのでしょうか。それとも派遣事業の問題なのか、どちらの問題ですか。

(委 員)
 労働者です。

(事務局)
 いろいろ千差万別ありますが、多いのは、契約の中途解除の問題についてです。例えば3カ月の派遣契約が、派遣先の都合で2カ月で切られた場合に、当然ながら雇用期間は3カ月あるわけですが、その1カ月間の給与をどうするかという問題がいちばん多いだろうと思います。具体的には、それは法的な問題とすれば、労働の提供はしているわけですので、派遣元の受領遅滞ということで、債務不履行になるということです。それから労働基準法上の解雇予告手当等の部分についても適用になるので、そういった事例については、労働基準監督署とも連携を取りながら、きちんと対処していきたいと思っています。
 ほかに多いのが、行ってみたら仕事の内容が違った。要するにそれは自分のスキルよりもものすごく高いレベルを要求された、あるいは逆に低かったということもあります。それからこの審議会の場ですので、あえて言わせていただければ、当然のことながら派遣先のセクハラ問題もあります。そういったものについては、派遣先に派遣先責任者、それから派遣元に派遣元責任者を置いて、その2人がそういった派遣労働に伴う苦情処理を的確に行うこと、という法律上の義務があるので、関係者で対処していると承知しています。他にもいっぱいありますが、代表的なものはそういったものです。

(委 員)
 先ほど説明にもありましたように、中央職業安定審議会で、労働側が強く反対している、調整をこれからしていくというお話だったのですが、たぶん審議会それぞれは、独立した権限を持っているのだろうと思いますが、今回この各論の部分で、つまりネガティブリスト化が前提になって、育児・介護の特例派遣の改正についてどうですか、という諮問を受けているわけなのですが、そもそももう1つの審議会、中央職業安定審議会で、この調整の中身、ネガティブリスト化というものは、全く完全な前提になるのかどうかということを伺いたいのです。つまり賛成して良いのか、反対なのか、各論だけで言うと前提が崩れる可能性があるとすれば、非常に難しいと思うのです。そこはいかがなのでしょうか。

(事務局)
 7月15日に、中央職業安定審議会で諮問させていただきましたが、5月14日に、中央職業安定審議会から労働大臣に対して建議が出ています。その建議を出すことについても、労働側は反対をしたわけですが、40数回にわたり小委員会で検討してきたわけです。その際、いろいろなご議論がありましたが、公益側の先生方にいろいろご努力いただいて、「建議の内容としてはネガティブリスト化」ということが明記されています。それから、労働側は先ほどいろいろな意見を申し上げたということですが、基本的に労働側の主張は、派遣期間は3カ月。登録型は認めない、常用型のみ。これは派遣労働者の雇用の安定を図るためである。それから派遣の事由の制限をしろと。基本的には人が足りなくなった、あるいはある人の穴埋めといった事例に限定をしろというその3つが、別建て方式ということです。したがいまして、結果とすれば労働側もネガティブリスト化を認めつつ、そういった別建て方式でやるというご主張をなさっているものと考えています。この部分については、建議の中でも、労働側はこう言っているという主張は載っています。

(委 員)
 いま建議の話が出ましたが、例えば建議の文書も、民需小委員会の報告も、最初に「ILO第181号条約を早期に批准すべきとの考え方が本小委員会において示されたことから」と書いてありますね。そしてそのあと、「政府においても、同条約を早期に批准することについて閣議決定が行われていることを付言する」と書いてあります。では、今度の出されているものはILOの181号条約を、満たす中身になったのでしょうか。

(事務局)
 条約の批准については、おそらく次の通常国会等をにらんで、作業を進めているところですが、労働者のプライバシーの部分、要するにどういったものを情報として取るか。これは派遣にかかわらず、職業紹介、それから求人誌の問題とすべてにかかってくるわけですが、そこを除けば、派遣法の改正については、新しい181号条約の中身は担保されていると認識をしています。そこの部分については、職業安定法の改正と合わせて、再度派遣法の改正も行うということを考えています。

(委 員)
 問題になっているのは、プライバシーの所だけが満たされないで、あとは満たされていると考えているわけですか。私はこのILO条約を読んでみましたが、例えば7条に書いてあるような内容は、満たされているのですか。
 民間職業紹介所のことを書いているけれども、「労働者に対して、いかなる料金も経費も課してはならない」というような項目がありますね。例えばこういう考え方が出されていることと、労働省で出されている派遣費用の問題が出てきますね。例えば前にこういう本をいただきました。派遣の売上げがいくらと書いてありました。8時間換算して金額が書いてある。「派遣料金の平均」と書いてある。こういう派遣料金だとか、手数料だとか、そういう種類のことは、日本の場合のやり方と、外国の場合とではどういうふうになっているのですか。少し説明してほしいのです。どういう考え方を取っているのですか。このILO条約の考え方と、例えばドイツではどうなっていますか、アメリカではどうなっていますか。この料金についての考え方、いわゆる手数料と賃金分布について、どう仕分がされているのですか。
 
(事務局)
 7条でございますが、これは基本的にサービスを行う場合の賃金部分と、事業を行うわけですのでその料金部分というか、儲けの部分ですが、それについて規定したものではないと認識しています。現在、派遣については、そういう手数料は、日本の場合取っているということは承知していません。ただ、教育訓練を受ける際に、いろいろな形で登録している場合においては、取っているというのは承知しています。基本的に雇用関係を結んで、かつこれを受けなさいという場合には、それは業務命令ですので、それは一方的に取ってはいけないと思いますが、ただ登録状態で自分のスキルをアップするために、ある程度の費用がかかるのは一般的な話で、そこまで禁止はできないだろうと思っています。
 派遣については、いま諸外国の話をされましたが、基本的に請負でも一緒で、どれだけの料金をいただいて、その中でどれだけを労働コストとして分担していくかというのは分配の問題で、これはどこの諸外国も一緒だろう。派遣についても一緒だろうと思っています。ただ、有料職業紹介についてはいろいろと、例えばプロスポーツの選手などの場合、あるいは家政婦紹介の場合については、アメリカでも費用を徴収しているという例はあります。日本でも取っています。そこの部分については、今後職業安定法の改正の際、どうするかということが課題になってくるだろうと思っています。

(委 員)
 この話ばかりしているわけにはいきませんので。ここの労働側の委員が反対だと言ってきたと。臨時的、一時的ということですが、その臨時的、一時的ということで、1年の期間にしたと。それを超えたら努力義務という話になっていますと。こういうふうな労働側の委員が別のところで言っているように、臨時的、一時的というのがどうして1年なのかが理解できないです。臨時的、一時的なら例えば1週間だとか、1カ月だとか、あるいは別のところで3カ月と言っていますから、どんなに長くても3カ月ぐらいまではわかるけれども、どうして1年なのですか。

(事務局)
 期間の問題についてはいろいろ議論があろうかと思いますが、基本的に英、米、独、仏も直訳してみると「テンポラリー」になっていて、日本の現在の運用されている部分についても、専門的な業務、あるいは特別な雇用管理を要する業務に限定されていますが、それも基本的にはテンポラリーだろうとは思っています。それで当初は9カ月でスタートして、平成2年改正で1年にしてきたわけですが、その1年であるのか、3カ月であるのかは評価の問題で、公益の先生方としては、やはり1年というのが臨時的、一時的であるというご裁断をされて、公益委員の見解として出された。そこは評価の問題なので、1年あるいは3年でも、臨時的、一時的と言おうとすれば、言えないわけではないのです。そういった1年というものが、基本的に我が国のいろいろな法体系を見た場合においても、基準法なり、あるいはほかの雇用保険法の適用の問題等を考えた場合には、やはり1つのメルクマールになるであろうということもお考えいただいて、公益の先生方として、そういったご結論をいただいたものと思っています。

(委 員)
 しかし、常用代替にしてはいけない、という説明をしませんでしたか。3年もあれば、当然常用にすべきだし、1年だって常用にすべきではありませんか。1週間だとか、1カ月でしたらアルバイト的な発想がありますから、それはある程度わかります。

(事務局)
 ですから、今回の改正で1年を超える部分については、雇用の努力義務ということを課しているわけですし、それを守らない場合については、勧告、公表の対象にするということで、ご懸念されている常用代替が進まないようにということを措置したと考えています。

(委 員)
 1年を超える場合は、努力義務が課してありますと言いますが、1年を超えて、例えば高齢者派遣に見られるように、途中に少しおけばいいという考え方を取るのですか。

(事務局)
 そこはまだ審議会の中で具体的にはご議論いただいておりませんが、当然そういった問題は、今後出てくるだろうとは思っています。

(委 員)
 臨時的、一時的ですから、そういう考え方を取るべきではありませんね。

(事務局)
 そこはわかりません。労使の皆様、公益の先生方がどういうご結論をいただくか、いまの段階で事務局としては何も答は持ち合わせておりません。

(委 員)
 また、例えばいままでは経理の仕事でしたよ。今度はちょっと違って、経理の仕事と庶務の仕事が入りましたよというのはどうなるのですか。仕事が違いますと。

(事務局)
 その部分については、現在の26業務と、それから広がる部分、どういう形でのミックスがあるのかと考えれば、主たる業務論でいくのか、画然と区別をするのかと、いろいろな議論があろうかと思います。そこの点についても、今後中央職業安定審議会でご議論いただいて、運用していくことになろうかと思います。事務局としては、いまのところは考えを持っておりません。

(委 員)
 だからそれは臨時的、一時的にこの仕事をする人がいないから来てくださいと言っているわけですね。それは業務の中身は明確に示されて来てもらっている。その業務の仕事の明確さというのが、どこまでできるか。そして言われていたのと違う仕事だとか、そういう種類のことはチェックしますと言うけれど、それはいままでも出来ていないのではないですか。それから先ほどあなた自身が言った契約の違いの問題が、労働者の苦情として上がってきていますと。今度みたいに全部に広げたら、どうしてそれがチェックできるのでしょう。

(事務局)
 現在、26業務で、基本的にこういう業務に限りますよということで、号立てで列挙していますので、そこの部分を労働者派遣契約、あるいは労働者については就業条件明示書等に明記すれば良かったのですが、今後はたしかにおっしゃるとおり、ご懸念される内容がありますので、そこはきちんと契約の内容として書けと。それを守らないと債務不履行になるので、そういう問題になってきますよという指導は、当然のことながらしていく必要があると思っています。

(委 員)
 だけどそれを守るというのは、労働者を守ることでなければおかしいですよ。

(事務局)
 ただ、それは契約の原則の問題ですので、労働者を守るためにそういった指導をしていくということだろうと思います。これ以上、いまの民法体系の中で、派遣であるがゆえに生じてくる問題であればともかく、それは民事の契約の中身ですので、そこは普通の一般法理でやはりやる。一般法理が引き上げられれば、当然のことながら派遣もそれと同じ水準になっていくわけですが、やはり契約の部分については、派遣法とは別建てのところできちんと担保されているので、それに準拠することしか考えられないと思います。

(委 員)
 ということは、そういうことで派遣元、派遣先と労働者の間で、これは納得できないという話であれば、民事でやりなさいとか、みんな裁判に行きなさいということですか。

(事務局)
 具体的には行政指導が最近は良くないという話になっているので、やはり安定所なり監督署から出て行かざるを得ない。ですから、現場の段階で、とりあえず解決を図るのが基本です。それでも駄目ということであれば、最後は司法手段になっていこうかと思います。

(委 員)
 だけど現実には、私は派遣労働法も読んでみましたが、あの派遣労働法も非常に不親切だと思うのです。すべて主語は「労働大臣は」と書いてある。労働省が出していらっしゃるパンフレットを見ると、「公共職業安定所に行ってください」と書いてある。どの部分が公共職業安定所がやって、どの部分が労働基準監督署長がやるのかということが、あの法律を読んだだけでは全然わからなくて、労働省が出しているパンフレットを見ないと、あれもまだ丁寧に書いていないですね。どの部分がどこへ行ったら良いかわからなくて、ただ適正運営協力員とかに相談しなさいとか。職業安定所には、この派遣労働法担当者は置いてあるのですか、相談員も置いてあるのですか。

(事務局)
 いまおっしゃられたこともありますので、今回の新しい法律の中に、「公共職業安定所が相談援助をする」という条項を明記するということと、こういった行革の折ですので、定員確保はなかなか難しいですが、基本的には誰かが派遣労働の部分をやるという担当は付けています。大都市圏であれば、そういった専任の職員もきちんと置いて、そういった相談に乗るようにしています。

(委 員)
 職業安定所の権限として、事業主というのは使用者のほうですから、派遣元のほうですよね。派遣先に言えないですよね。先ほど民事だとおっしゃったから。

(事務局)
 派遣先責任者というのも置いて、派遣法体系の中で、いろいろな苦情相談を現場で取り扱えという法体系になっておりますので、そういった部分については、派遣先についても当然のことながら、公共職業安定所の指導が、法体系としてはできるということで、現在も指導しています。

(委 員)
 だけど、それはあくまでこうしなさいよという話であって、守りなさいという話ではないですよね。

(事務局)
 権限的には、派遣法上はなくて、あくまでもそういう形でやってくださいと。ただ、いろいろな形で派遣先が法律を守らない場合には勧告、公表の対象にするという条項もあるので、そういった措置に乗ってくれば、命令的な部分はできると思います。

(委 員)
 では聞きますが、これまでに勧告、公表をいくつされていますか。

(事務局)
 平成8年にできたばかりですので、いま現在のところ事例はありません。

(委 員)
 だけど、現実には相談は出ているのではないですか。例えばネットワークのを見ると、膨大なものが出ていますね。2、3日電話でやっただけでも膨大に出てきますね。それは必ず職業安定所にも行っているはずですね。職業安定所で、いまこれは大事だなと思うような件数は、どれだけあるのですか。

(事務局)
 指導書を切るとか、口頭指導をするとか、いろいろケースはありますが、派遣先も公表されるのは非常に不名誉ですので、基本的には指導段階でご納得いただいて、きちんと整理する。先ほど言ったセクハラの事例も、そういったことで不名誉ですので、きちんと対処していただいたということで、勧告の事例はありません。ただ、いま言ったようなどれだけの指導をしたか、あるいは指示文書を出したか等については、私どもは具体的には把握していないので、件数はわかりません。

(委 員)
 ですから、こういう非常にたくさんの心配があるのに、すべてをネガディブリスト化して、行革の折からこうですという話というのは、とても納得できないのではないですか。というのは、事業を自由化するならば、それを確実に担保するだけの条件が整備されていて初めてそれは同時でなければ、片一方を自由にするということは、片一方では、きちんとそれを確保するというものがなければ、かなり労働者の犠牲の上に成り立つものであるとしか私には思えない。

(委 員)
 今回の諮問は、育児休業ないしは介護休業についての特例が設けてあったのを、ネガティブリスト化することで、いらなくなるから廃止するという形式的なものとして理解したわけです。したがって、当審議会で論議をするのは、ここの関係部分だけでいいかと思っていたのですが、先ほどのやり取りを聞いている中で、1つ気になったことがあるので、その点だけお尋ねしたいのです。派遣労働者の就労実績によると、7対3で女性が多いということですが、来年4月から均等法で努力規定だったものが、義務規定に変わる部分が出てくるわけですね。そうすると、来年4月から施行される均等法の適用上、均等法で言う事業主は派遣元事業主ですか。

(事務局)
 派遣元でございます。

(委 員)
 ところが、男女の差別、あるいはセクハラ的な問題は、派遣先でも起こり得る。派遣元の事業主には大いに注意をしてもらわなければいけないけれども、にもかかわらず派遣先でも出るといった場合に、例えば安全衛生などは、派遣先でも共同責任みたいな、派遣先責任がありましたね。そういうものとして捉える必要が、特に男女均等問題について出てくるのか、出てこないのか。その辺が正直、実態としてわからないのですが。あくまで事業主は派遣元事業主だよ、ということで押さえておいて、あとは双方の責任者で処理させるのか。あるいは派遣先の使用者責任にもある部分帰属する格好で、均等法の適用の漏れのないようにしたほうが良いのか。その辺の問題が1つ出てくるのではないかという気がしたのです。その辺はどのような見解をお持ちでしょうか。

(事務局)
 まず均等法上の解釈について、若干説明申し上げます。例えば派遣で登録を呼びかける行為、あるいは常用雇用型で、派遣労働者を募集する行為は、均等法上の募集ということになると思います。それから登録の呼びかけに応じて登録をする行為、あるいは常用雇用として、派遣労働者として雇われる行為は採用になると考えています。それから派遣元事業主が労働者を派遣する行為は、均等法上の配置に当たると考えています。したがって、例えば派遣元事業主が、方針として女性だけをある会社に派遣するということになれば、均等法上の配置に関する規定の違反になるわけです。
 そこで先ほどのご質問に関して起こり得るのは、派遣元が勝手に女性だけを配置する、あるいは男性だけを派遣するということのみならず、派遣先がこの業務に女性を寄こしてほしい、あるいは男性だけを寄こしてほしいということが起こり得る。派遣先が、こうした均等法上の趣旨に反することを要請するということが起こり得るのですが、これには直接的に均等法上該当する条文はなくて、均等法の趣旨からして、派遣先がそういう要請をするのは好ましからぬことである、ということで指導をしていくことになります。
 もう1つ、均等法上起こりそうな話として、セクシュアルハラスメントがあります。これは実際に派遣労働者が働くのは派遣先ですから、派遣先の事業所でセクハラが起こり得るということですが、まず、派遣元事業主としては、均等法上の事業主責任において、未然防止の研修をするとか、あるいは相談窓口を設けるとか、問題が起これば適切に対処するという、例の指針に沿った事業主の義務が生じてきます。
 派遣先の義務としては、これは均等法上の事業主の義務ではなくて、派遣法上の規定に基づいて、派遣労働者から苦情があれば適切に処理をするであるとか、派遣労働者だからと言って、「あなたがセクハラを仮に受けても、うちは相談に乗らないよ」ということのないように、適切に処理をしていく。これは派遣法上の問題としてとらえています。

(事務局)
 いま、説明がありましたが、基本的には派遣先に均等法はかかりませんが、派遣労働固有の問題として、これはやはり解決していかなければいけない問題だろうと思っています。必要があれば、法律に基づく指針もありますので、派遣労働者の適正な就業を確保するということで、派遣先にも義務がかかっているので、そういった部分について、指針で対応していくことも考えられるかと思います。

(委 員)
 先ほどの説明だと、法律的にはすべて派遣元事業主が均等法上の事業主責任を負ってやるので、例えばセクハラの問題は、未然に予防すると言っても、派遣先の事業主なり労働者に対して、未然にそういうことをやれるというのは、通常考えられないですね。労働者を派遣するときの問題については、女性だけを送ってくれとか、若い女性だけ送ってくれというのに、応じること自体が均等法上の規定違反だと理解する。行った先でのいろいろなセクハラの問題については、まだ配慮義務ですから、即義務規定ということにはなっていないけれども、何らかの指針とかで、ちゃんと派遣先もそれなりに対応しなければいけない、ということは少なくともやっておいてもらわないと、派遣の範囲が広がったのに均等法の適用が曖昧になったというのでは困るのではないか。
 それ以外に労働側がいろいろ質問されたのは、私、だいぶ研究の度合いが違いますので、あまりそれ以上申し上げられませんが、ただ一般論的なものは、職安審の論議を見てからのほうがよろしいのではないですか。いまここでやっても正直、わからない点が多い。

(委 員)
 もちろん、あちらもまだ結論は出ていない、あちらも諮問されているだけですから。いま質問されたので、指針ではなくて、これはやはり基準法の何条はどこに読替えをしますよと、法律本則に入れるべきだと。現実に、派遣労働者の契約の違いの問題をよく見ていくと、こういうセクハラだとか、いじめだとかね。というのは、そこの従業員ではない、ほかの人が入って行くわけですから、そこの中に起きてくる問題は微妙な問題が必ず出てくる。だからセクハラについては、派遣先も責任があります、ということを明確にすべきだ。そうしないと、必ず余計複雑な問題になるのではないかと思います。

(会 長)
 いろいろご議論を聞いて、私も派遣労働契約というものから出てくるいろいろな問題が、非常に出てきたと思います。それはこれからまた中央職業安定審議会でもご議論いただくと思いますが、非常にデリケートな、要するに労働関係は派遣元と労働者の間にあり、しかも派遣先との関係がどういう法律関係になるのかというのは、かなりデリケートな難しい問題だと思います。運用の面でもいろいろなご意見が出たと思いますので、これから中央職業安定審議会の検討状況を踏まえて、本審議会の答申の文言を、そういうことで検討していただければどうかと思います。
 
(委 員)
 肝心の諮問されている案件ですが、育児・介護の特例廃止の問題についてですが、私たちはこれは賛成できません。現行どおりで結構です。

(事務局)
 現行というのは。
 
(委 員)
 特例のままで結構です。一般派遣の中に入れるのは反対です。

(会 長)
 廃止しないでそのまま残しておくと、どういう法律関係になるのか、その理由を。
 
(委 員)
 そもそも最初から育児・介護の派遣を入れるのは、前のときも職安審は良いではないかと、労働側委員の中でも議論がかなり分かれました。私たちは反対だと。今日までの状況を見ても、あまりこの実績は上がっているようにはとても思えない。そしてすべての職種が一般になってから一緒にしてもいいのではないかと。育児と介護については、特に代替の人を置いたほうが休業が取りやすいでしょうから、という意味で作られたものですから、一般派遣とは趣旨が違います。
 例えば先ほど事務局の方が法律の説明をなさいましたね。「適用除外を除いてすべてできることにしました」とおっしゃいました。そうすると、労働側が適用除外を広げたいということを言っていますね。それとの関係はどうなるのですか。

(事務局)
 ここはいまおっしゃられた、育児休業、介護休業が取りやすいために特例を設けているということで、労働側の皆様方も、そこのところは良いという特例になれば、そこは抜くことになろうかと思います。

(委 員)
 そうすると、一部の職種はやっていいけれど、一部の職種は駄目と。いまよりもたくさんの人が取れなくなるわけですか。

(事務局)
 いや、ですから現行のままということに、もし中央職業安定審議会の中で、また、かつ、この審議会でご結論をいただければ。

(委 員)
 また、そこが2つに分かれるという意味ですか。

(事務局)
 ということになりますね。命令で「ただし、育児休業又は介護休業取得者にかかる云々については、この限りではない」というような条項を入れて、いまのままのスタイルになろうかと思います。ただそれは審議会でご議論いただいて、その結論待ちということでございます。

(委 員)
 だから、そういう複雑なことをする必要がないと思います。育児とか介護については、本来わざわざ入れた意味は、こちらの人が休業を取れるようにするためには、代替の人が必要ですと、派遣を入れましょうと。私たちはそもそもそんな必要はないと言ったのですが、どうしてもということで。だけど実際にこれまでのものを見ても、私たちが組合で見ている限りにおいても、派遣を入れた例はほとんど聞いたことはありません。だから本当にそうなのですかと。さらに育児介護だけでやるならば、それで良いではありませんか。育児・介護休業法があって、その休業法をより実施するためにというならば、そこで良いではありませんか。

(委 員)
 今回の諮問ではなくて、先回のこの育児・介護休業法の改正の中に、派遣事業の特例を入れるということについての主張は、そのレベルで育児・介護休業法の趣旨を、いわば取りやすいようにするためには、我々はどうしても必要だろうと。環境整備のためにどうしても必要であるということであり、かつ実績もゼロなのですか。育児・介護休業者についての派遣の特例。

(事務局)
 実績については、その年度の事業報告がまだ上がって来ていませんので、事業報告としてはありませんが、件数的には、サンプル調査をすると実績は出ています。育児か介護の休業での派遣という形での実績はあります。ただ全国で何件というのは、サンプル調査ですので、数字としては言えません。

(委 員)
 ですから、少なくとも実態調査をしたうえで議論するなら別ですが、そういうものもまだ出ていないのに、理屈の上だけで直すのは賛成できない。

(委 員)
 それに、かつ、これは平成8年にできた制度。

(事務局)
 平成8年12月からの施行です。

(委 員)
 これから女性も男性も含めて、育児や介護しながら働いていく環境をどうやって作るかというのは大切なことなのでしょう、そのために。

(委 員)
 こちらだって出来るではないですか。

(委 員)
 いや、そうするとこれは否定しないのですね。いまの特例については否定しない。

(委 員)
 特例は否定しません。

(委 員)
 では、その次の見解として私どもは、今回の労働者派遣事業のトータルな整理の中で、同じレベルに現行の特例派遣があるならば、この整理の仕方は当然されるべきであると考えます。それで何ら問題はないのではないかと思うのです。

(会 長)
 そうすると、これだけを残すというのは、むしろどういう意味なのかということですね。

(委 員)
 はい、そうです。

(会 長)
 そういうご意見として伺っておくということでよろしいですか。

(委 員)
 1つ質問があるのです。諮問部分には出ていないのですが、産前産後の休暇が入ってどうこうと、本則のほうはなっていますね。産前産後の休暇も、特に労働者派遣で代替要員を得やすくする必要はないという理解で労働側委員はいいのですか。

(委 員)
 ですから、私は変だと思うのです。「産前産後できちんと休むことも」と言うならば、ちゃんとそのように制度的に保障するならわかるけれども、1年は1年ですよと。そして産後は、例えば半端な期間になるではないですか。そうすると、いかにも一緒だから一緒だという理屈は立たないです。1年だから1年という、1年だから一緒にしてもいいではないですかというのは。もともと、これまで産休というのは労働基準法にあるものですから、みんなやってきたわけです。困った、困ったという話も聞いていませんが。しかし、ここで産休の話が入って来て、それは前の審議のときも、ある委員の方がそのことについておっしゃいました。私たちはそんな必要はないと言って、育児・介護休業のところだけやりました。上限は1年ですよと言っているわけです。

(事務局)
 産前産後休業の部分の平成8年改正の際については、法律上権利として認められている部分であるということで、そこは対象にしなくていいでしょうというご議論でスタートしたわけですが、今回の改正で議論する中で、労働側の皆様方も、やはり産前部分についても、きちんと取得をするということも含めて、ちゃんと派遣の対象にしたほうが良いのではないかというご結論をいただき、ここは公労使一致で、産前部分も含めて、派遣の対象にしましょうと。
 ただ、先ほど委員がおっしゃられた、1年で一緒だから本体に吸収されるということですが、日本の法体系の中ではやはり特例ですので、本体のほうがきちんとした制度になれば、特例がなくなるということで、法体系は成り立っていますので。ただし、先ほど言ったような適用除外業務が増えても、もし両審議会でのご議論がいただければ、育児・介護休業にかかわる適用対象業務は、現在のままということもあり得ます。ただ、適用対象業務として、なぜ除外されるかという理由があるわけですので、育児休業、介護休業の代替については、そこは特例ですよというのは基本的には、論理的には弊害があるから外すわけですので、よほどの理屈を考えないと、そこは難しくなってくるのではないかと考えています。

(委 員)
 今日諮問されていることは、どういう結論の出し方なのかがわからないのですが、意見表明ということになります。ですから、反対に意見表明の理由として、派遣で働くことそのものを全面否定することではなく、女性労働がパート法も含めてですが、さまざまな働き方をせざるを得ない状況が一方にあるのと、たしかにそういった働き方の1つの選択肢として、派遣やパートや契約労働やさまざまに、というのはわかります。むしろILO条約の改正の趣旨も、そういう雇用形態の多様化に対応して、労働者保護というか、あるいは労働者個人の権利の中に、いま私たちは労働組合を作るとか、そういうものを通じて労働条件を改善するということが、1人ひとりに権利として認められていることなどもトータルに視野に入れて、法の改正というものが行われようとしている。
 そういうことを受け止めたものであるならば、その前提条件があってこそ、育児介護の代替派遣の問題はどうするかという議論の中で、諮問に対する答として、肯定的な答も出せます。現状やはり日本のというか、派遣で働く人の問題解決が、現行法の中でも、改正法の中でも、きちんと見えない。あるいは先ほど委員が1つおっしゃったような、派遣先の受入れ会社といえども、一時的であれ、派遣で働く人を受け入れている雇主なわけです。その雇主がきちんとした雇主としての責任を果たさない。それは派遣先だからということだけで片付けられるようなさまざまな問題が放置され、そういう意味で言う派遣先の当事者責任がいまのままでは不十分である。この特例の問題について、その前提条件がきちんとされないままにこれで良いというふうに判断することにはならない、という意見を申し上げたいと思います。

(会 長)
 諮問の対象の問題というのは、本体の法律が通ると、全く例外規定であったものがどうなるかと、むしろ法律的な問題として、どうしてもいらなくなってしまうというだけのことで、ご質問やご意見は、本体の労働者派遣事業の問題にかかわる事業のあり方とか、派遣先の雇主との関係とか、そういう問題に非常な危惧を持って、いろいろなご意見が出ていると理解されます。結論的にはどういうふうに考えたらいいかと言うと、やはり中央職業安定審議会で、この本体の議論、同じような労働者側からの議論が出て審議されるでしょうから、そこの審議でどう決まるかによって、この問題の処理が決まってこざるを得ないのかなと。その点でやはり本体のご意見もいろいろ伺っているわけですから、この本体についてのご意見を踏まえて、さらに中央職業安定審議会の検討状況にそれが反映できるように努力をするということで、その考え方からすると、その職業安定審議会での検討状況を踏まえて、結論を出すということではいかがでしょうか。

(委 員)
 もちろん、当然いま会長がおっしゃられたとおりなのですが、私たちとしては、育児・介護休業法に特例として入っていることに、何の不都合も感じていません。だから派遣労働の取扱いについては、派遣労働法に書いてありますが、育児・介護で休業する人のところに派遣を入れることについては、これで結構ですと言っているのです。

(会 長)
 では、反対のご意見もありますが、まとめの仕方としては、先ほど申し上げたようなことで、答申案を作らなければいけないので、その答申案を作ることについては、中央職業安定審議会の検討状況を踏まえて答申案を作って、そしてそれを事前に皆様にお配りして、ご意見をお伺いするということではいかがでしょうか。

(委 員)
 よろしいと思います。

(会 長)
 では、そういうことにさせていただきまして、答申の日付をいつにするかについては、私にご一任いただければありがたいと思います。まだ、いろいろご質問、ご意見がおありになると思いますが、そろそろ時間ですので、今日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。

(委 員)
 パート法の論議の関係で、専門的な検討機関というか、研究に入るというその後の経過がわからないというか、そのことについての質問なのですが。

(事務局)
 2月の建議を受けて、建議でいただいた宿題を基に、いくつかの柱があるわけですが、一般労働者との均衡の問題については、改めて専門家等による研究会を発足させることになっています。まだ研究会及び三者を交えた研究会についても、具体的な日程までには至っていません。間もなく立ち上げようということですが、いまのところそういう状況です。

(会 長)
 今日の議事録の署名ですが、労働者側については岡本委員、使用者側については渡邊委員にお願いしたいと思います。公益委員としては私がします。どうもありがとうございました。



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