女性少年問題審議会議事録
1 | 日 時 | 平成12年5月31日(水)16時00分〜17時00分 | ||||||
2 | 場 所 | 労働省省議室 | ||||||
3 | 出席者 |
| ||||||
4 | 議 題 |
| ||||||
5 | 配付資料 (1)「男女雇用機会均等対策基本方針」(案)(諮問) (2)参考資料 (3)第15回男女雇用機会均等月間について (4)職場におけるセクシュアルハラスメントの防止対策の取組状況について | |||||||
6 | 議 事 |
(会長) |
ただいまから、女性少年問題審議会を始めます。本日はお忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。本日の議題は、「男女雇用機会均等対策基本方針」(案)の諮問ということで、後ほど事務局から御説明をいただくことにいたします。始めに、女性局長より御挨拶をお願いいたします。 |
(事 務 局) |
女性局長の藤井でございます。本日は大変お忙しいところ、女性少年問題審議会に御出席をいただきまして、御礼申し上げます。また、委員の皆様方には日ごろから雇用均等行政について、温かい御支援、御協力を賜っておりますことを改めて御礼申し上げます。 男女雇用機会均等法が昭和60年に成立、昭和61年から施行され、十数年が経過しました。社会全体、とりわけ企業の中における女性労働者に対する意識が、この間に大きく変化をしてきていると申し上げてよろしいと思います。また、雇用の場における女性労働者の役割が、量的にも質的にも重要性を増してきていると申し上げてよろしいかと思います。 そういう中で昨年4月に、改正後の男女雇用機会均等法が施行されました。1年が経過した施行状況については、後ほど事務局から御説明申し上げます。全体的に企業における雇用管理というものが、労使の方々の御努力の賜といいますか、男女の均等取扱いがかなり円滑に実現されてきているのではないかと思っております。同時に、育児・介護休業法が全面施行されまして、介護休業制度が法律上の制度となりました。雇用均等行政が新たな段階を迎えたと申し上げてよろしいかと思います。 今般、改正均等法に基づいて初めての男女雇用機会均等対策基本方針を策定することになりました。今年の2月17日の女性少年問題審議会で、その策定について御説明を申し上げ、女性部会で御議論をいただく形になりました。その後、女性部会におかれましては、本日を含めて7回にわたって御議論を賜り、それぞれの立場から貴重な御意見をいただきました。渥美部会長を始め、女性部会の委員の方々には本当にお忙しい中、精力的に御議論を賜り、これについても改めて御礼申し上げます。貴重な御意見を踏まえて、このたび男女雇用機会均等対策基本方針(案)を事務局として取りまとめさせていただきました。本日は労働大臣が出席し、御諮問しなければいけないところですが、公務がいろいろありましてこちらへ出席できませんので、大臣に代わりまして私のほうから諮問文を会長宛にお渡しし、御諮問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 会長、よろしくお願いいたします。 |
(事務局) |
(諮 問) |
(会 長) |
それでは、いま諮問を受けました男女雇用機会均等対策基本方針(案)について、事務局から説明をお願いいたします。 |
(事務局) |
(配付資料(1)(2)について説明) |
(会 長) |
いま御説明がありました、男女雇用機会均等対策基本方針(案)について、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。 |
(委 員) |
20頁の上段に書いてある年齢に関する問題ですが、「年齢制限については、その緩和を図ることが重要である」という記述がありますが、年齢制限の緩和というのは、どういう状況を指して言っているのですか。説明していただけますか。 |
(事務局) |
再就職女性に関して申し上げますと、結婚、出産が遅くなっておりまして、平均して30歳台の後半から40歳台にかけてが再就職の適齢期という形になっておりますが、企業の年齢制限が結構ありまして、よく見かけるのが35歳までといったような年齢制限です。これはできる限り年齢制限を上げていただく。年齢制限がないことが一番よろしいのですが、そのハードルを低くしていただくような形で企業に働きかけをしていきたいということです。 |
(委 員) |
意見を言わせていただきます。全体的に読ませていただきまして、これはこれでいままでやられてきている現実を含めて取られようという処置について、適宜全体的に書かれているものと思っています。ここで言われていることをより促進する意味で考えてみますと、これはこれだけの問題に限りませんし、労働行政全体に係わる問題、あるいは雇用政策に係わる問題とも連動していますし、他の社会政策とも関連すると思います。いま年齢差別の問題が社会的に大変大きな問題だと思います。とりわけ雇用に係わることとか、働き方の問題をめぐる状況の中で年齢に差別があるというのは、大変問題だと思います。 一方で、高齢者の就職も大変厳しくなっています。これは制度的ですから、年齢の問題はやむを得ない部分があるにしても、年齢をめぐる問題というのは状況としては大変厳しくなってきていますから、私はこれはむしろ年齢に関する問題は項を起こして、労働省の内部でさまざまな意見もあるでしょうし、労働側の中にも年齢制限をめぐる意見はさまざまあると思いますが、大所高所からの観点で言えば年齢制限の差別に関する問題は、1項起こしてきちんと明記をして問題提起をするということが、男女雇用機会均等対策基本方針を大変光のあるものにしていくのではないかと思います。御意見だけ申し上げておきたいと思います。 |
(会 長) |
ほかに御意見、御質問はございますか。 |
(委 員) |
年齢差別問題は、この基本方針を考える中で取り上げるというのは、無理があるのかなと。やはり雇用対策計画を作る中でも十分議論されているように聞いておりますし、もっともっと深く議論しないといけない問題かと思っております。 |
(委 員) |
17頁に在宅ワークということで出てきますが、これがこれから広がりを持ってくる部分だと思います。現在のところはどういった方面でどの程度行われているかということを教えていただければと思います。 |
(事務局) |
在宅ワークというのは自宅で仕事をされている方が多いものですから、いろいろな調査で正確に把握しているものというのはございません。私どもで先般、在宅就労問題研究会を諏訪先生に座長になっていただいて開催し、いろいろ研究をいただきました。その中で試算として推計をしていただいた分によりますと、印刷、出版といった業界で、テープ起こしとか文書入力、データ入力という仕事をされている方々、いわゆる自宅で内職的にワープロやパソコンを使って仕事をされている方々が、大体17万人強いらっしゃるというような推計をしております。いまのところ、この17万人強という数字を参考数字ということで、対外的には御説明申し上げているところです。多分、これからもっと増えていくだろうと見通されているところです。 |
(委 員) |
もう一つ感想的なものになりますが、周知や行政との連携が出てくるのですが、5年間というものを考えたときになるべく早くみんなに知ってもらって、具体的に事を進めるということが大事だと思います。いろいろ配付物とかありますが、固定した所に置いたりということではなくて、この中にインターネットや新しい情報のことも書いてありますが、どのようにしたらみんなに伝わるかということを現状を見ながら変えていくことがとても大事ではないかと思います。 もう一つは、女性への情報提供とか、トレーニングのこともここに出てきますが、それをうまくリンクさせて、どこへ行ったら、何をしたらどういうことができるのかということを、これはあっち、あれはあっちというように何回も聞くのではなくて、それをうまく活用できるようなシステムというか、連携をうまく取っていただきたいと思います。市の施設でも何カ所も同様のサービスを行っている施設があるのですが、それぞれが別のことをやっていて他の所へ行ってくださいというような場合があります。県や国ということになると、もっともっと広がってしまって十分に活用されていない部分がとても大きいと思います。そういった方面での指導を是非お願いしたいと思います |
(事務局) |
いま委員がおっしゃったことは誠にごもっともでございます。行政というのは情報化が一番遅れている分野かもしれませんが、それでも私どもはだんだん情報化が進んできておりますので、情報提供の有力な手段として、インターネットを使うということで、さまざまなホームページを開かせていただいている状況です。それから、さまざまな施設とか機関がいろいろな施策をやっております。もっと連携してという御指摘も常々私どもも頂いているところです。これまではいろいろ生じる課題や問題への対応ということで、さまざまな施策を積み重ねてきたという過程だったと思いますが、それの総合化といいますか、連携を図るというような段階に入ってきたと思っております。特に労働省は厚生省と統合いたします。女性局は児童家庭局と一緒になって、女性行政といいますか、雇用均等行政と児童福祉行政が一緒にできるようになります。さらに連携を強めるような形で、効率的にやっていくという方向で進めてまいりたいと思っているところです。 |
(会 長) |
ほかに御意見はございますか。では、本件については、都道府県知事の意見をいただいた上で、女性部会として最終的な意見の取りまとめをしていただいて、次回の本審に御報告いただくというようにしたいと思いますが、いかがですか。 |
(異議なし) |
(会 長) |
それでは、渥美部会長以下女性部会の方々、よろしくお願いいたします。 それでは、議題の2に移ります。その他として、均等法の施行状況について、事務局から御説明があります。お願いいたします。 |
(事務局) |
(配付資料(3)、(4)について説明) |
(会 長) |
ただいまの御説明に御意見、御質問はございますか。 |
(委 員) |
調停委員会の調停を受諾した初めての事例が出たということですが、そのケースの概略は、7頁のいちばん下にある解雇の事案ですか。「退職を強要されたのは女性であることを理由とする解雇であり、復職を求める」というのが申請理由になっていて「解決金の支払いについて、調停案の受諾を勧告して、当事者双方が受諾」と書いてありますが、この事案ですか。 |
(事務局) |
そうです。 |
(委 員) |
ということは、調停案自体解雇を前提とする、退職を前提とする案を出したわけですか。 |
(事務局) |
申請は復職を求めるということで出されましたが、事情聴取、意見聴取の過程で、やはりこの企業に勤めたくないというような申請者の意向が出されて、関係当事者双方から解決金で解決しようということになりまして、その意向を踏まえた調停案になっております。 |
(委 員) |
ケースに沿って考えればやむを得なかったのだろうし、当事者双方が受諾しているから結果オーライだと思うのですが、雇用を守れなかった、そういう調停案を出さざるを得なかったというのは、ちょっと残念な気はするのですけれども。仕方がないでしょうね。 |
(事務局) |
そうですね。調停委員の先生方が双方からいろいろな事情を承った結果、3人の調停委員の中でもだいぶ御議論をいただいたようですが、やはり調停制度というのは紛争解決であると。双方の譲り合いといいますか、妥協によって、当事者の紛争を解決するということが、第1の目的でありますので、法律違反であったかどうか、労働者としての地位を守るかどうかということも大変重要ですが、やはり双方の妥協に基づいて解決することができるということが第1の調停制度の目的であるということで、こういう形で解決をしていると聞いております。 |
(委 員) |
もし差し支えなければ、ここの解決金はいくらぐらいだったのでしょうか。 |
(事務局) |
当事者双方とも事案の内容、調停案の中身について公表されると困るというかなり強い意向がありまして、そういう当事者間の意向というのも尊重しなければいけないということで、この発表資料についてもどこまで出すのかを苦慮しました。この発表資料以上のことについては、公表するのは差し控えさせていただきます。 |
(委 員) |
法違反であることが、明らかなものを調停で受け付けているのですか。 |
(事務局) |
調停の申請時点では、その事案が法違反かどうかは、あまりはっきりしないということが一般的な事案です。それで、調停を開始して法違反ということがわかるものもございます。ただ、調停制度というのは法違反があったかどうかということを判定するというよりは、現実に起こっている紛争を解決することを主たる目的としておりますので、仮に法違反ということであっても調停案をお示しし、それで解決を図っていくという方向に持っていくという形を取っております。 |
(委 員) |
法違反を犯した事業主に対して、解決金で現しているというようになるのですか。 |
(事務局) |
もちろん法違反の制度であれば、別途企業に対し均等法第25条に基づき助言、指導、勧告により是正指導を行うと考えていただければ良いかと思います。調停申請事案において法違反はそのままになっているということはございません。 |
(委 員) |
紛争の件数なのですが、複数の人間が同一の問題で来たときは複数の件数になるということで一貫しているわけですよね。別に社数の統計があるのであれば、参考に頂きたいと思います。 |
(事務局) |
紛争というのは、事業主と個人の労働者との間の紛争というとらえ方をしておりますので、個人でカウントしておりますが、基本方針の所で出ておりましたように、31件6社の申請になっております。これについては、当然のことながら、複数人で申請されているものもあります。その中で、一つの会社で複数人で申請されているものについて、その一部が取下げになっている、一部が開始になっているということで、会社の数だけではわかりにくい状況が出てきますので、総数の所だけ31件6社ということにしております。 |
(委 員) |
こういう事例が重なることは喜ばしいことではなく、そのためにも男女雇用機会均等対策基本方針に戻ってそれが積極的に推進されれば良いと思ったのと、解雇に至る間、相当職場で、女性の労働者の側に立てば企業からさまざまな攻撃があったり、職場の人たちがそれを見て同じように支援できないような状況が作られたり、解雇に至るまでの間にいじめとかいろいろなものが積み重なると、先ほどの結果のように、すごく残念ですが、復職を希望しないということにつながるのではないかと思いました。こういう事案を扱いながら、私ははっきり言って性差別的な、意図的な企業の雇用慣行のようなものがあるとすれば、そういうものを正していくというか問題提起をしていくことも、こういった事案を集めることを通じて是非やっていただきたいと思います。これは意見です。 |
(事務局) |
いま委員がおっしゃったとおりで、これまではこういう個別事例はプライバシー等を侵害しない程度に、非常に注意をして書いており、こういった形で個別事例を情報提供させていただいたことはなかったようです。今回、委員がおっしゃったように、いろいろな方々に情報提供をすることによって、雇用慣行なり何なり、あるいは意識を変えていただくということが必要だと思われますので、あえてこういう形で事例ということをお示しをさせていただいております。これからもなるべく具体性のある情報提供に努めてまいりたいと思っております。 |
(委 員) |
調停委員は大体どんなメンバーですか。 |
(事務局) |
機会均等調停委員会は、都道府県労働局に設置しておりまして、学識経験者3名で構成されております。具体的な職業で言いますと、大学の教授が6割近くでなかったでしょうか。あとは弁護士、その他団体の役員の方です。中立公平な立場から調停案を出していただくということで、学識経験者に限定させていただいております。 |
(委 員) |
大学の先生が多いということですか。 |
(事務局) |
一番割合が高くなっております。 |
(委 員) |
なぜこのようなことを聞いたかといいますと、現実にこういう問題というのは、企業の中の状況とか、移りゆくいろいろな意味での動向みたいなものについて、日常的に接していないと。これは判定業務というか調停ですから、やはり前提になるものは現実の中における判定条件があって、これはこういう形で調整しなければならないというのが1つの結論の出し方なのではないかと大体推察します。そういうときに、調停委員が持っている性格的なものが大きく影響する気がするのです。 調停をしたばかりですから、まだなんとも言えませんが、いま出された案件の法違反に係る問題は、おそらくここにあると思います。趣旨は調停をしていくことですから。そうすると、何に機軸を置いて調整をするかというのが、非常に重要な意味を持つときに、現実実態とかいろいろな意味での変化状況が、調停に関わっている方々の置かれた状況によってもかなり違うわけです。3人でやれば良いというような性格のものでもないような気がするものですから、ちょっとお伺いしました。 |
(事務局) |
扱う事案が労働問題に関することと、企業の雇用管理に深く関わる問題が多くなっておりますので、大学の先生たちにも調停をお願いしておりますが、労働法関係の専門の方、企業の雇用管理の情報をお持ちの方たちを中心に、委嘱をお願いしております。何学部でもということではなくて、ある程度専門的な広い情報をお持ちの方に調停委員になっていただくということにしております。 |
(事務局) |
3人の組合せといいますか、そういう観点は十分配慮して、これは労働大臣任命ですので、都道府県労働局から推薦が上がってきて、私どももそれに十分配慮しながら選任をさせていただいております。ちなみに、女性少年問題審議会の委員のなかにも、調停委員に就任いただいている方がいらっしゃいます。 |
(委 員) |
扱う案件が極めて生臭いといいますか、現実の問題として調停しなければならないものですから、尽きるところはこれを出す前の事務局の働き方の問題で、事務局自身の資料の整理とか、そこに懸かっているのかなという気がしないでもありません。少し丁寧に、時間をかけてはいけないのでしょうけれども、きちんとした条件整理をするということが非常に重要な内容の案件だろうと思いますので、是非そういうことをにらんで調停作業ができるようにしてもらいたいと思います。 |
(会 長) |
特に御質問がなければ議事はこれで終了させていただきたいと思います。議事録の署名委員は、労働者側は吉宮委員、使用者側は山崎委員にお願いいたします。公益側については私が行います。それでは、最後に事務局から審議会の予定について連絡をお願いいたします。 |
(事務局) |
次回の総会は、6月16日金曜日、午後3時からを予定しております。場所は、省議室です。当初、日程調整の段階では、1時間程度とお願いしましたが、本日もやや超過いたしましたことから、次回も超過して1時間半ないし2時間まではいかないと思いますが、お時間を頂戴する可能性もあると思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 |