女性少年問題審議会女性部会議事録

1 日時 平成12年9月8日(金) 10:00〜12:00
2 場所 中央合同庁舎第5号館別館共用第11会議室
3 出席者
[委員]渥美部会長、安枝委員、片岡委員、吉宮委員、須永委員、山崎委員、渡邊(佳)委員
[事務局]藤井女性局長、鈴木審議官、村木女性政策課長、熊谷女性福祉課長、清川育児・介護休業推進室長
4 議題 仕事と家庭の両立支援対策について
5 配付資料 育児休業制度について
6 議事 別紙のとおり

(別紙)
(部会長) 本日の女性部会は前回お約束したように、テーマは「育児休業制度について」です。このテーマについては、関係資料等について事務局からご説明申し上げて、その上でご意見をいただきたいと思います。では事務局からお願いいたします。
(事務局)  (配付資料について説明)
(部会長) ただいまの説明に対するご質問、ご意見も含めて本日のテーマ「育児休業制度」について、ご意見を頂戴したいと思います。ご質問、ご意見をご自由にお出しいただきたいのですが、できれば、前回問題提起がなされました育児休業期間の延長の問題や、期間雇用者への適用の問題であるとか、育児休業復帰後の職務や処遇の在り方の問題であるとか、そのような点について、なるべくたくさんのご意見をいただければと思っております。
(委員) 資料についての質問ですが、2頁に外国の例が載っていますが、オランダはどうなっていますか。
(事務局) オランダは、3か月程度の育児休業が取れることになっているようです。
(委員) ドイツの場合、「3歳までの3年間」というと、これは3歳まで全部育児休業が取れる、ということですね。
(部会長) はい。
(委員) フランスの場合、「3歳に達するまで原則として1年間。(1年単位の延長を2回行うことが可能)」と、1年単位の延長を2回行ったら、3歳までできるということですね。
(事務局) そういうことです。
(委員) ドイツは最近改正されたと聞きますが、どうですか。
(事務局) ドイツは期間についての改正はありませんで、育児休業を取得した際にもらう手当の所得制限が緩和されたこととか、手当が月600マルクを2年間もらえるのですが、これを1年間でいいという人については、月900マルクに増額する、それから、3年間の育児休業の期間において、両親が同時に休業を取得できるようになった、ということです。
(委員) 新聞で「男性の育児休業取得促進策」というような見出しを見たのですが、そういうものはないですか。
(事務局) これはドイツ政府としては、男の人も参加できるようにということで、父母が共同で同時に取れるような改正を行ったと。
(委員) いままで適用除外といいますか、権利がなかったのですか。
(事務局) いままでは交代でしか取れなかったのを、同時に取れるようにしたということです。
(委員) 資料の3頁、「出産者に占める育児休業者の割合」が56.4%ということですが、ある文献で、「育児休業利用者は1割に満たない」という見出しである学者が書いたものがあって、それは厚生省が人口動態調査を基に分析したプロジェクトのものだったのですが、事前に事務局に渡したのですが、あの1割に満たないというデータは嘘なのでしょうか。
(事務局) 確認できませんので詳細は不明なのです。
(委員) 連合総研が、正村公宏さんの編で、いわば福祉社会の問題をまとめて出された最近の本があるのです。その中に永瀬伸子さんというお茶の水大学の先生が書いている『家庭生活と就業両立』という編がありまして、彼女の文献の中に「なぜこういう育児休業利用者が出産女性の1割に満たないのか」という中見出しがあって、その基になるものが、厚生省の出産動向調査、厚生省社会保障人口問題研究所の「出生動向調査、平成9年度プロジェクト」の中で、プロジェクトを作って分析したものです。
 労働省の雇用管理基本調査では、出産者の6割近い休業取得者がいるというのですが。
(事務局) どういう計算で1割にも満たないとしているのか、というところはまだ私どもは聞いていないのですが、この調査自体を見ると、考えられるのは、最初の子供が1歳になるまでの間に、子供の保育を誰がしたか、あるいは、どのような制度を利用したかということで、12の選択肢の中から3つだけ選ぶことになっております。ですから、本人(女性)とか、夫、同居の両親、あるいは近くにいる両親、認可保育所といったものが12並んでいる中から3つ選んだ中で、育児休業を選んだ者の数について論じている、というのが1つです。
 第1子の出生のときですが、出生動向調査の対象者を見ると、結構年齢がばらついておりまして、例えば、40〜44歳が21.8%、45〜49歳が25.7%ということで、出生の時期は明らかでないのですが、おそらく、第1子の出生は、相当前だったと思われる年齢の方が多くなっているということ。
 その調査に結婚の持続期間別の育児休業の利用状況もあるのです。結婚の持続期間が4年までの方ですと、35.3%が利用している。5年〜9年で22.9%、持続期間が長くなっていくと、利用割合は減っていく。育児休業制度が平成4年4月からの施行で、全面的に適用されているのは平成7年、これは平成9年の調査ですから、その前に出産した方が多い、というようなことかと思います。
 この中で、いちばん多く保育をしたという設問で、本人が保育をしたということで100%上がっておりますので、3つ選べるうち、これで1つです。あとは夫を選んだり、親を選んだり、保育所を選んだりするとほかに選べないわけですから、育児休業の利用状況そのものを直接聞いたものではない、ということ等々を勘案すると、やはり、利用状況については私どもの調査の数値ぐらいになると認識しています。
(委員) いまの表と次頁の復職者の数の表があるわけですが、この2つを合わせて現状を把握していかないといけないのではないかと思うのです。というのは、やはり、復職者が10%も増えているような状況の中で考えますと、育児休業を取って辞める人が増えるということは、本来の両立の問題と離れた使途になると思うからです。平成8年の女子雇用管理基本調査を見てきましたら、56.4%に対応するものが49.1%というのが出ていました。たまたまそのいちばん下の49.1%と一致しているので、不思議に思っているのですが、56.4%が49.1%です。次頁は、今度はそれに82.4ないし92.1を掛け合わせてみると、それが正しいかどうか分かりませんが、11年度の調査が46.5%、平成8年の調査は45.2%になるのです。これが純粋に育児休業を取って、そのあとに両立させている人たちの数字ではないかと思うのですが、それで見ると、45.2%が46.5%に上がったのかなと、そういうふうに見ていかないといけないような気がします。
 復職者の数が同じように、こういう傾向を取っているとすれば、別々に見ると育児休業の取得者が増えたのはいいのかな、というような読み方になるかもしれませんが、そちらで見ていかないと、ちょっと危険な感じがします。
 本当にアンケートの中で、職場の雰囲気云々という問題もあるし、もともと育児期に働くということを選択しない人が30数パーセントいる、という意識調査であるということになれば、この数字がどの程度なのか。上がるのが本当にいいのかどうか、というところも考えないといけないと思います。この表の読み方で、別々に読んだらいけないのではなかろうかと思っています。
 同じように4頁の「復職後の職場・職種の取扱別事業所の割合」ですが、この質問は問いで見てみると、私は自分の経験で考えると、やはり人事異動のときは、いろいろな要素を考えるわけです。この質問は、この目的のために使うのに、本当に合っているのか、非常に疑問に思っています。
(委員) 10頁の「復職後の賃金」の労働者に聞いたところで、減ったという所が具体的にはどういう減り方なのかどうやって減ったのか、具体的に、賃金のどういうものが減ったのか。本給とか、賞与といったことですが、もし分かれば教えていただきたいと思います。
(事務局) 調査表では賃金のどういう項目が減ったか、というところまで細かく分類しておりませんが、賃金から時間外勤務給、深夜給、休日出勤給、宿・日直給を除いた額で考えてください、ということが書いてあります。時間外や、深夜、休日出勤、そういうものは除いた額で、同額以上か減ったかというのを聞いています。
(委員) そういうイレギュラーのものを除いて、減った人の割合が14.1%。つまり、それは直接の本給であるとか、賞与とか、そういうものが減ったというふうに見ていい、ということですね。
(事務局) はい。
(委員) 賞与は減っていないのですね。
(事務局) これは調査上は賃金ということで聞いておりますので、賞与が入るとか入らないということは一切書いておりませんので、そういうことでご理解いただきたいと思います。
(委員) 例えば、職務が変わって職務給が変わって下がったとか、そういうものは、分析するのはちょっと無理なのですね。
(事務局) そういうことはあり得ると思いますけども。
(委員) あるいは、意識的に下げられたとか、そういうことは分からないわけですね。
(事務局) はい。
(委員) 11頁に「期間雇用者への適用」についてデータを出していただいています。労使協定で定めれば適用できるという仕組みの実態と、(2)には期間雇用者の増加傾向といいますか、トレンドとしては増加しているというものです。そこでもう1回原則的な観点から見てみると、育児休業法は労働基準法上の労働者に適用されるということになってます。ただし期間を定めて雇用される者、日々雇用される者については除外する。原則は、多分基準法上の労働者に適用するという考え方、思想だと理解しますと、基本的には、すべての労働者にこの制度をどう適用するかというのが、我々が検討すべき大きな観点ではないかと思うのです。
 育児休業は当初、平成4年、全事業場に適用したのが平成7年からで、それからずいぶん経っていて、適用除外労働者が、今後どういう動向を示すかということを考えると、経営側のグローバル化の下で、かつ、いろいろな雇用管理の中で多様化する労働者が増えてくるというのは、誰もが認識を共通にしているのではないかと思うのです。また、一方で育児・介護をしながら働き続けたいという労働者も増えるということにどう応えるかといいますと、この制度が基盤でなければならない、と思うのです。
 そうすると、期間雇用労働者と日々雇用者について、なぜ適用できないのかということになります。仮に、育児休業申出から実際休業を開始するまで、1か月間の間を置いていますが、その仕組みから考えると、1か月間の有期労働者に適用しろというのは、無理だと思います。ただ、1か月間という申出の期間を超える有期契約労働者について、もちろん1歳未満という法律上の上限の所まではできないのですが、ある所は1か月間の休業とか、休業期間における1か月を除く間の期間は、権利として付与することは可能だと思うのです。引き続き働きたいという労働者があれば、そういう制度を用意することも可能だと思うのですが、そういうことが設計として考えられるかどうか、是非この場で検討すべきではないかというのが1つです。
 12頁に通達上の反復更新にかかわる問題が出されていますが、例えば、競馬場とか、競輪場に働く女性労働者というのは、勤続年数は10何年で、通常変わらないのです。ところが、日雇で競艇場とか競馬の施行日が14日ぐらいで、終わってまた働き始めるというかたちになっている。当初競馬場、競艇場というのは、最初は結構年輩の方が入ったのですが、いま若い方がどんどん入ってきているのです。その方々が、今組合も含めて、関係する自治省等に要請に行くのですが、なかなか聞き入れられません。この方々は雇用保険も払っているのです。育児休業を取りたいといいますか、適用対象となる年齢の方がいらっしゃるにもかかわらず、適用できないという問題について、どう考えるのか。
 もう1つ、これは地方公務員の組合の自治労という所でも、公務員の方々は定数条例があって、それを超えて、いわば正規職員は採用できないのです。しかし、仕事はいっぱいありますから、臨時労働者として、これはひどい話ですが、予算上は物件費で雇われているのです。課を回されて、何回も何回も更新して、この人たちも雇用保険を払っていて、自治省に要請しても、受け入れられない。自治省は何を警戒しているかというと、それを認めてしまうと本採用しろということで来るのではということを恐れて、そこはガードが固い。しかし、そういう方々も反復更新を何度も繰り返しながら、結果は休業制度が利用できないという問題があるわけです。
 このような方は350万人と言われていて、正確な数は忘れましたが、自治労調べではありますが全国でかなりの数になるのです。そういうことを考えると、実態から見て、「いいんだ」と、「こんなものは、もともと無理なんだ。有期なんだから、働く気がないんだから、両立の観点が違うんだ」というふうに、実態から見て、本当に言えるのかどうかです。そう言えるなら、ある意味では逆に名称を変えて、特定労働者のための育児休業制度にしたほうが、むしろ、世の中の人は分かりやすいのではないですか。
 いま正規労働者だけを適用対象とした制度、それから、今度労働基準法の新しい規定で、3年契約の適用が出ましたね。いままでは1年を原則で、かつ、いろんな有期の目的のはっきりした「ダム建設などは、例外で認めます」と言っていますが、今度は3年ものが現に出てきたのです。これも同じような考えで、従来どおりいくのかということを考えると、やはり、この制度設計のもとのところを、もう一度きちんと議論すべきではないかと思って、日々雇用と有期雇用契約の反復更新の問題、それから有期であっても1か月を超える有期労働者について、働く意思と能力のある者については、休業制度を適用するような仕組みを再考すべきだ、ということを申し上げたかったのです。
(委員) その点については、結論から言うと、基本的に反対です。やはり、基本的な育児休業の仕組みとして、1年という数字が出てくる。それに雇用期間というのは、現実にパートの場合等の雇用期間というのは、限定的になっているわけですから、休業制度がなじむものではないと考えております。
 3年の雇用契約の問題が出てきましたが、まだ非常に限定的な範囲です。3年の仕事として、契約するわけです。その間に仮に育児休業を1年取るようなことがあれば、2年の仕事しかできないわけです。そういう前提で、そもそも3年契約を頼むことはあり得ないと思うのです。やはり、3年の仕事として、特定の分野の専門家等について頼むということなので、3年の契約採用の人たちについて、適用するということもなじまない、と考えております。
(委員) 意見ではないのですが、3年というのは、多分、基準局は更新できない、という解釈ではないのですか。1回、最初だけですから、更新できないのです。3年で1回限りですね。その3年の中で取れと、そういう意味ですね。
(委員) 今、いわば契約期間と制度の1歳未満という所との整合性の話をされていますね。加えては、両立だから、休んだとか働くということの制度条件ですから、そうすると問題違うのですが、前者の議論から見ると、産前産後休暇などというのは、すべての女性労働者に適用しますね。それは別に1か月契約の労働者であっても、産前産後の休暇というのは、取れるわけでしょう。
(委員) 建前では取れるかもしれません。付け加えたかったのは、この間のパート研の報告書にもあるように、パートを1つのカテゴリーとして、いろいろなことを考えるのは難しい、ということを言っていると思うのです。均衡問題の研究会報告ですが、パートには、本当にさまざまなパートがあるということなのです。そこを念頭に置いて、いろいろなパートがありますので、それを一律に考えるのはできないし、そもそもそれを一律に考えて、この育児休業の問題を考えるのは、そぐわないと考えています。
(委員) 私は基準法上の労働者という規定がまずあって、基準法というのは家事使用人を除く労働者すべてに適用しますよ、というのが基準法9条の労働者です。それが原則だとすると、あまりにも例外の多いので、これは350万と出ていますが、それでいいのかと言っているわけです。でしたら、書きぶりを変えた方がよろしいのではないか、労働者と言っても、逆に言うならば、特定労働者とかにした方がよいと言っているのです。そういう労働者がどんどん増えていきますというときに、この法律の持つ意味といいますか、この制度の適用労働者を基準法の第9条とにいう「労働者」ということは、果たしてふさわしいのかどうかということを、言いたいのです。
 平成4年当時で明らかに、これが数年経てば、また増えてくると見ると、スウェーデンとか、いくつかの外国の場合は、日本と違っていて医療保険といいますか、そういう関係で手当を支給しているから、すべての国民に適用というか、自営業者にも適用するような設計になっています。そういう制度も一方で考えられますが、その辺も含めてすべての国民に、あるいは、すべての労働者に適用する法律というようにするには、どうしたらできるかという観点で、私はいかに除外するかではなくて、いかに適用されるかということを考えるのが、私どもに課せられた課題ではないかと思うのです。
 少子化という問題が一方であって、これからの少子化対策をどうするかということを考えると、やはりこの制度というのは大きな意味を持つと思いますので、そういう観点で審議会で議論するべきではないかと思うのです。
(部会長) 例えば、委員がおっしゃるように、パートだからと言って一律に括れる時代ではない。だけど、パートだからと言って、一律に除外するのもまたどうかというようなことで、例えば、期間雇用者でもこういう類の雇用者に適用したらどうですか、みたいなご意見はありませんか。
(委員) 私たちの意見は、原則1か月を超えた契約労働者については、適用できるのではないですかと、いまの申出から休業開始までの1か月間というのは、事業主との調整期間、代替要員を確保するというような期間を、とにかく1か月間は設けているわけですね。申出期間が設けられた意味というのは、違いますか。
(委員) やはり、頭の中で考えて気になるのは、実効性の問題なのです。特に中小などで仮にそういう問題を議論して決めた場合に、どういうことが起こってくるのだろうか、ある程度想定できるのではないかと思いますが、そこをいちばん心配するのです。
 先ほど、もう1ついろいろなパートがいるという、委員の経験のパートと、私が製造現場で実際に担当していたときのパートを描きながら言うのと、ちょっと違うかもしれませんが、私の経験している範囲では、就業調整を取る人が、ほとんどだったのです。あるいは、世の中違ってくるのかもしれませんが、特に、生産現場を抱えている所でパートさんを使う場合は、ちょっと偏見かもしれませんが、就業調整を取る人がほとんどだったのです。そういうことを念頭に置きながら、発言しているのです。
(委員) 私から見たら、1か月間取るというのは大変なことですね。やはり、ケースバイケースであまりオールマイティーなものは、雇用情勢も変わっていけば、できないのではないかと思うのです。パートというのはパートでこれ自体働き続けるというのが原則です。ですから、そこで家庭中心の人に、どの程度ウエイトを置いていくかというのも、1つの論点ではないかと思うのです。パートはやはり家庭中心ですね、その辺がちょっと簡単にはいかないような所があるのではないですか。
(委員) 平成4年に法律ができる当時、これは労働協約化をめぐっていろいろ議論した経過が、非常にまだ記憶としては新しいのですが、当時、契約労働者が、自分の職場の周辺でもそう多くなく、議論の俎上にも自分自身の内部の議論にも、あまり乗らなかった。いまはまさに職場が正社員とそうでない人との組み合わせで、仕事を回しています。
 ですから、これは育児休業の経緯の問題だけでなく、その他の労働条件全般ということになるのですが、職場から何とかしてくれという声が上がっています。それは、一緒に働いている人の中で、契約更新に係る問題との関係もあると思いますので、通達で言われてる反復更新している人たちの実態がどうなっているのかということを、もっと知りたいというのがあるのです。育児休業だけでなく、本当に、有期契約で働く人に、その権利がないということが、むしろ、権利がある正規の女性の権利に対して与える影響もあって、そういう意味からも、先ほど委員が一定の要件が当然必要だという例として、1か月以上のというふうにおっしゃっていましたが、その休業期間の取り方も含めて知恵を出し合えば、どういう方向だったらそういう労働者にも適用可能かというのは、考えられるのではないかと思うのです。申し上げたかったのは、職場の実態から言っても、有期契約労働者が今後増加していくと思いますので、当時、この法律を作ったときに、休業期間1年、あるいは期間雇用者は適用除外としたことを、もう一度現状の、あるいはこれからの雇用労働の状況を踏まえて見ていただかないと、むしろ、それでは、職場の問題をより膨らませることになる、と思っています。
 適用労働者以外の検討課題で、先ほど質問した復職後の賃金で減ったというのがどういうことか、ちょっと分からなくて、これを少し分析してみる必要があると思っていますが、育児休業制度を実効性あるものにするために、いくつか復職後の調査結果を今日参考に見せていただいていますが、実態で、私が把握している内容で申し上げると、復職後の取扱いについて法律的にきちんと検討を加えないと、復職後の処遇を見てきた中で言えば、前にも申し上げましたが、休んだことが、その後の処遇のペナルティーというふうなものとなって、1年も2年も3年もそれ以上に、昇進だったり、昇格だったり、多くの取扱いに響いているという状況があります。これは自分の職場の中にあって、どうするのかとみんな悩みながら、ではそれは出勤扱いにする期間を半分でも入れたらどうかとか、3年経ったら、それはもう1回クリアになるのだと、そういうような経過後の措置というのでしょうか、そういうものも法律上きちっと明記していく必要があるのではないか。そうしないと、復職後の処遇を見ると、いくつか定期昇給のさまざまな取扱いが書かれていますが、実際に問題がある。
 これは復職後の処遇の中で、例えば、ストレートに言ってしまえば、休業取得者への嫌がらせといいますか、子供を持った男性は一人前だと評価されますが、子供を持った女性は半人前だと、これは企業の風土的な問題なのですが、そういう状況の中にあって、子供を持った女性が、本人希望とはまた違うやり方で、配置転換が行われているというようなことがあって、保育所をもう1回探し直さなければいけないようなケースなども、実際にあります。
 いま申し上げたような休業取得者を、正規の一人前の女性労働者というふうに見ない状況の中で、こういった問題も含めて、復職後の処遇の問題について、きちっと実効性を確保する意味で、法律上、具体的な検討を加えるべきだと思っています。育児休業の制度の実効性の確保について、復職後の処遇の検討を加える必要がある、という意見を申し上げました。
(委員) いまの件ですが、この資料の中にも復職後の処遇の問題、賞与とかいろいろ出ているのですが、これは法で規制するのになじまない問題だと思います。いろいろなことを考えていかないといけない。企業自身この問題にかかわらず、いろいろな議論が始まって、ものすごい変化が起きているわけです。結果の出る世界では、成果主義がかなり出てきているし、職務給の問題もかなり広がっている。定期昇給などというのは、なくなってくる。ここでは定期昇給の調査をしていますが、かなり急速に変化しております。私自身の周りでも、その変化を感じ取っていますし、そういう問題があると思います。
 もう1つは、いろいろな企業内での処遇の問題というのは、この問題だけではないわけです。賞与の問題にしろ、こういう場合にはこうします、といろいろなケースがあるわけです。私傷病欠勤がどうなったときどうするとか、これはみんな企業によって、現実には違うのです。それを法律で規制するようなものは、なじまないと思います。
(委員) 先ほど委員から復帰後の職務や処遇などについてご発言があったのですが、そういうようなケースというのは、大手の企業のような気がするのです。中小というのはそうではなくて、やはり、家族的な雰囲気の中でやっていますので、休めば「早く出てこいよ」「頼むよ手伝ってくれよ」というのが実態だと思うのです。中小企業はそれなりに生きていますので、ある程度時代の流れをとにかく見つめながらやっていかなければならない実情があるわけですから、常に本当に少ない人数で経営革新を図りながら、合理化を図っていかなければならない状態があるので、もし1年後に出てきても同じ所が空いているというのは、中小の泥臭い生業的な所というのは、無理なのです。そんなことをやっていると潰れてしまうのです。ですから、小さい所ですと、誰かが代わって、復職したときには「こっちからやってくれ」とか、そこは本人の合意を取りながらやって、本人もそれで別に文句はないと思います。大体それが中小の実態だと思うのです。かなり大きい所だと従業員が多いので、弾力的なことができるのですが、中小というのは、実態はそんなものではないと思うのです。家族の一員として従業員の方はいますので、労使とまではいかないと思いますが、かなり助け合いながら一体となってやっているのが現状だと思うのです。ですから、ある程度、従業員の方もその辺のことが分かっていて、必ず同じ所に復帰したいなどとは、およそ思っていないのではないかと思います。企業を私が助けるし、逆に、社長はかわいがるというのが実態ではないかと思うのです。あまり型をはめてしまうと、かえって首を絞める結果にもなり兼ねないような気がするのですけど。
(委員) 取得する人の立場に立って考えれば、復職後の処遇ということがそのまま凍結状態になるようなものというのは、やはり変えていく必要があるということが、いちばん言いたかったところです。私も確かに私傷病とかさまざまな休業の人事規程といいますか、処遇というのは当然あると承知していまして、ここでは、ただ育児休業を両立支援という観点からいかに取りやすいものにするか、という観点から申し上げていますので、ほかとの比較でお答えいただくことに対しては、育児、子供を育てながら両立させるということを、社会的に評価するという私傷病の問題とはまた区別をして、検討を加えたいと思います。
(委員) その点はこのように考えます。いろいろなことを決めると、それがピッタリ合う企業もあるし、合わない企業もある。大きい所、小さい所、産業によっても違うでしょう。いいだろうと思って法律を作る。ところが、法律で決められようが守れないよと。そういうことを決めていったら、本当の両立支援の問題にならないと思うのです。そこを基本に考えていかないといけない。足りない部分は、それぞれの企業で、労使で工夫をしながらやっていくべき問題ではないか、と思うのです。これは、使用者の問題でもあるし、労働組合の問題でもあると思います。
(委員) 休業トラブルによる個人相談といいますか、そういう育児休業にかかわるデータは見たのですか。育児休業にかかわる復職後の問題について、相談等のデータはあるのですか。
(事務局) 業務統計として、そういう件数は取っておりません。
(委員) この6頁に出ている労働条件の規定の有無というのは、いわば就業規則などを含む労使協定のレベルですね。休業中および休業後の労働条件について、本人に書面で交付するということは、どれだけ普及しているのですか。労使で結んだ、あるいは、就業規則はあったけど、本人は知らなかったということは、結構あるのです。それもトラブルのもとだと思うのです。6頁はそうではなくて、団体同士あるいは会社のルールでの話ですね。問題はルールはルールとして、社内のルールをきちんと本人が知っているのかどうかということで、努力義務ではなくてきちんと周知することによってカバーできる問題もある。その辺がいわば個別紛争の相談が結構多いわけですね、口頭であったとか、聞いていなかったとか、知らなかったとか。
(部会長) 周知徹底不足の結果トラブルになったというケースは、かなりあるのです   か。
(事務局) 個別事案としてはいくつか承知はしておりますが、統計的に整理されて、というようなものではございません。それと今ほどお尋ねのありました休業中、休業後の労働条件の明示の状況ですが、「書面によって明示している」とする事業所の割合は31.1%、「口頭で明示している」とするのは39.7%、「明示なし」と回答しているのは26.7%、ということになっております。
(委員) 労働条件については、基準法第15条及び労働基準法施行規則第5条第3項により書面交付によることとされていますから、休業中、休業後の出勤に伴う労働条件明示をどうするのかということは基準法適用の問題になるのでしょうね。
(事務局) 労働契約を締結するときは、そういうことで労働基準法の文書明示ということになると思いますが、育児休業というのは雇用が継続している場合ですので、直接的にその適用というよりは育児・介護休業法の第17条に、「事業主は、あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置を講ずるよう努めなければならない」というのがありまして、休業中の待遇、それから休業後の賃金、配置、その他の労働条件に関する事項などが挙げられるているわけです。これに従って私どもは雇用均等室で一生懸命に指導し、その結果が「規定あり」が63.5%という結果になっており、かつ書面、口頭のいずれかで明示しているところが7割を超えている、という状況であるというわけです。
(委員) しかし、長い間休むこともあるし、本人も不安でしょうし、会社のほうもやはりあとから状況が変わったなどということもあり得ますから、そういう意味でトラブル防止のための措置は検討すべきですね。
 もちろん家族的労使関係というのも大事ですが、やはりルールというのはきちんとあったほうがトラブルになったときにいいのかな、と思うのですが。
(委員) そのお考えはやはり私と相通ずるところがあるわけですが、やはりこの両立支援の問題というのは、こまごまとしたことを法律で決めるのではなくて意識啓蒙がいちばん大切なんだと。やはり決まっていることを伝えたり、啓蒙したり、広めたりすることが両立支援にとっていちばん近道だと思っているものですから。その点については、賛成です。
(事務局) ただ、さっきから調査結果でも出ていましたがやはり職場の雰囲気で休めないとか、あるいは元に戻れるかどうかわからないから休めないとか、という声が多いのは間違いのない事実です。特に去年の12月に少子化対策推進基本方針というのを定めましたし、それの元になった少子化への対応を考える有識者会議というのがありまして、平成10年12月に報告をまとめたのですが、そこの中でも少子化対策でどうしたらいいかについてはやはり職場の問題というのが非常に大きな比重を占めるというか、皆さんのご意見の中で大きな比重を占めています。特に育児休業をめぐる問題については復帰がスムーズにいかない場合が多いということと、それが確約されていないとどうも休みづらいという声が多いということは相当出てきたものですから、有識者会議の報告書の中にもそのことはかなり強調して書いてあるというのは意見としてではなく、事実として一応ご紹介申し上げておきたいと思います。
(委員) ただ、本当にそこがよくわからないですよね。復帰後のことが心配だというのは具体的にどういうことかというのは、現場でどうなっているのかというのは数字では出てくるのですか。一方、この間読売新聞である人が言っていた中に、「復帰後に遠くに転勤させられた、そういうような不利益を被ったケースが少なくない」と書いてあった。「少なくない」というのは1人なのか2人なのか、多いのかよくわからない。その辺実態として復帰したのはいいのだけれど、先ほど分類はいろいろあったけれども、不利益を被るというのは感覚的な問題で、一方から見るとよく考慮してやったつもりが反対から見れば不利益になる場合もあると思うのだけれども、9割ぐらいの人が復帰しているわけですが。その中に不利益を被った人たちがどのくらいいるのか。
(委員) その啓発問題はまた別の検討時間がありますが、いま事務局から職場の風土というか、理解を得るにはどうすればいいのかというお話がありましたのでこれについて。具体的な対策はそれは確かに挙がっているのですが、キャンペーンをやるからそれでは意識を変えようかと、そんなことでは変わらないです。だから、まず根拠としてあるルールを作ることによって変えないと。みんなの理解だからと言って、上司の顔を窺っているのだとしたら、では上司に対してどうするのかというのはそんなに簡単なものではない。私はもう少し制度をどうするかによって意識も変わるというふうに見ているのです。時間短縮をやっていてもそこが大きな問題だけど、休みづらいとか、年休をとりづらいとか、相変わらず何十年続いた。均等法もそうでしたが、制度を変えないと世の中は、そういう意識というのは、ガラリと変わりませんよ。
(委員) 基本方針の1頁かな、表現が間違っているかも知れないが、やはりこれからの労働状況はこういうふうに変わっていくと、その中で女性を活用できない企業は滅びるんだというようなことが書いてあるのですよ。本当にそういう認識が徹底すれば変わると思う。現に、数少ないでしょうがトップがそういう宣言をしたところは非常にスムーズに進んでいるのですよ。そういう事例も耳にしています。少なくない、という表現かな。現に新聞などでもでていますが、トップがそういう方針をとったことによってこういうことは具体的に起こっている。中身はまだあまり進んでいないように聞いているのですが、一応宣言したことによって下がやりやすくなっている、変わってくるのです。やはりもう1つは労働組合のトップです。制度を作るよりもそれなんですよ。
(委員) そのご意見は全然間違っていないのだけど、ではそれを何するのというのはもう個人に委ねられている。
(委員) 業種によって、北と南の経営者の考えも違うでしょうし、そこにいる労働者の人だってだいぶその人によっても変わってくるし、あまりいろいろ一律に作るというのはどうかと思うのですよね。やはりいま、それぞれそれなりの労使でやり合って、ちゃんとやっているのではないですか。
(委員) やはり制度を作るというのは、制約はどうしてもあるわけですよ。みんなが守れるような範囲に、追い込んでこないといけないわけでしょう。だからあらかじめ守れそうもない、それをやることによって企業がおかしくなるというようなことを法律では決められない。そういう制度に近いものを作っていたら、結局は何も進まないということになるのです。
(委員) 制度に乗れる企業はいいのですよ。乗れない所が出たときにそこが困る。
(委員) 逆に言うと、これからの時代は乗れないとまずいのでしょう。乗れないことを問題にし、議論しなければ。
(委員) だけど、企業がなくなったら終わりですからね。
(委員) いや、そういう議論をされても困るのですが。あるルールを作るのにもめるものは仕方がないと言うぐらいに。
(委員) ただ、本当にやはり世の中で守るべきこと、それをできない企業というのはつぶれていいんだというのは正論かもわからない。いま、やはり本当にそれでいいのかということなのですね。
(委員) でも、少子化問題がこれだけ言われているのですよ。将来の労働時間、ある程度のことは予測されてきて、それを産みたい方が産めないような社会で本当にいいのか、というのは皆さんが言ってますよね。今年4月に出た日経連と連合の共同アピールでもいってることです。それではどうするかと言ったときに、そういう条件整備をしましょう、社会的にそれを作りましょうというのは対労使関係だけではなくて、共通認識だと思うのです。
(委員) ですからできる所、大きな所は始めたという認識は、私はあるのですよ。進んできていると、社長が宣言してやっていく所は増えてきている。ファミリーフレンドリー企業だって増えてきていますよね。うちも推薦してほしい、などという企業も増えてきているわけで、確実に進んできているのです。ただ、制度をどんどん作ってまだついてこれない所にそれを押しつけるというのはやはりまた来たかという雰囲気、そういう意味ではまだ時期尚早なのです。
(委員) 育児休業、介護休業制度の55.1%をどう見るかということですが、これは定着が進んだというふうに見られることもあるし、いや、ちょっとまだまだなのだと見ることもできます。では何かどこかに欠陥があるのではないかと、利用しにくいのではないか、では、これから仕事と家庭を両立させたい方がこの制度を利用しやすいようにどうするかという観点で検討すべきだと、そう言っているのです。
 そのときに、例えばイギリスをはじめ、経済的にかなりの力強い諸国の制度設計と比較してわが国はどうなのかと。それは文化が違うとか、雇用慣行が違うと言えばそうですが、それぞれの国が経済の折り合っている所についてこういう制度を持っているというときに、我々は日本においてどうすべきかということもある。そうするとやはり、かなり遅れている面が強いという認識を持っているのです。そういう考え方に立つのか、いや、中小企業だから、大変だから、現状としてどうしようかといくのか、というスタンスの違いだと思います。
(委員)  いまの中でいくつか、50何%の見方ですが、これはいろいろあると思いますね。だから一方ではまだこの数字なのかという見方はあるけれど、やはり育児に専念したいという人たちもかなりの人たちがいるわけですから、どの程度が本当にあるべき姿なのかというのはいろいろな見方があると思います。
 それから外国の例というのは、育児休業制度だけを見たら本当に間違うと思います。解雇法制とか、そういうことも考えていかないといけない問題だと思います。
 それからもう1つ、中小企業云々のほうを強調しているわけですが、本当にやはりこの問題は労働基準法の問題と言うよりも、やはり両立支援の問題であり、これは世の中全体で包むべき問題だと思うのですよ。そのことから私はこまごまとした制度を作って制約を加えるよりも、やはり何回も何回も言うようにみんなの意識を変えていく、そのための努力をすることが近道ではないかな、と思っているのです。
(委員)  中小企業に対して具体的な措置をする必要というのは、この資料で随分規模別に出ているものがあるので、規模別に工夫することにより克服できるものをぜひ教えていただきたいと思うのです。そもそもそういう問題があって育児休業法がスタートしたときに一定の規模別にスタートラインを設定したという経過があると思うのです、準備状況という意味だと私は理解しているのですが。ですから、中小企業については、当然必要な手だてを加える必要があると思いますが、法律の中身を中小企業と大企業というふうに規模で分ける必要というのは、私はどうも育児休業に関しては基本的には納得できるところがない。ただ、こういうアンケート結果を踏まえて手だてはどうすべきかというのは代替要員の問題であるとか、むしろそういう家族的な運営をしている所に、ここでいま私が申し上げたことが弊害になるのかどうかということも含めて意見交換をしたいと思います。
 ただ、少なくとも労働省から検討課題として与えられたテーマは、「育児休業復帰後の処遇問題」であったと思うわけです、それがやはり実情はいろいろ問題があるとすれば、私が先ほど申し上げたように昇進や昇格の遅れがずっとつきまとう問題であるとか、転勤についても希望転勤もあれば、先ほど読売新聞の記事のご紹介をされましたが、そういうことがあるということは結局それ自体が休業を取りづらい状況になる原因だと思うので、ぜひここではテーマに入れていただきたい。もう一つ、休業の期間が現在子が1歳までということになっていますが、対象年齢を引き上げるということ。では何歳までがいいのかという結論はまだ自分では持っていないのですが、こういった調査以外でも、労働組合の中ではアンケートなどをやっている所も多いと思うのですが、これは短時間勤務のケースも含めて私の所で調べたものですと、3歳という年齢が結構出てくると思います。あるいはもう1つ、これは個別の企業労使協定の中で工夫をした部分ですが、子供の健康状態とか、保育園の受け入れの状況が予定どおりいかなかった場合に、1年という期間を特別の事情という範疇で延長するというようなことを認めているケースなども実際にあるのですね。そういう意味で言うと期間延長の仕組として、特別な事情への対応というのを入れるということも1つの検討課題にしていただいたらどうかと思っております。
(委員) 休業期間を延長するということになると、いままで議論してきたような例えば現職復帰とか、企業の労働条件とかを新たにイメージすることとはちょっと矛盾してくるかな。休業期間を延ばすに従ってそれを規制するのは非常に難しいですから、そのバランスもよく考えないと。片方だけを取っていきますと、整合性を欠くことになるかも知れないという気もしますね。3年後に原職復帰というのは、ちょっと現実性を欠くでしょうしね。3年後の労働条件や賃金についても、最初から規定しておくというのも柔軟性を欠くかも知れませんね。
(委員) 現実論から言うと、少子化という問題ですとやはり子供は1人ではないですよね。子供を2人、3人と産んだら6年現場にいないわけで、それで原職復帰というのはなかなか、企業側から言って、難しい感じです。やはり2人以上子供を産まないと日本は滅びてしまうのだからとにかく2人以上の子供を産んでくれと。ただ、それと職場復帰という問題はなかなか難しい。
(委員) ちょっとお聞きしたいのは、2頁のスウェーデンが生後18か月までで、あとは3歳。アメリカは12週間ですか。イギリスが5歳という。
(委員) 私が思うのは、これは企業と労働者という問題ではなくて、国家の福祉政策をどう考えるかという問題ですよね。その問題までいってしまうと天下国家を論じてるになってしまいますよね。
(委員) 考え方をお聞きしたいのですが、スウェーデンの18か月などは休業しなくても他の諸制度が完備していていいということがあるかも知れないし、5歳というのは逆に言うと、育児を一方の性に委ねてしまって家庭でやるのが基本だという哲学で5歳となっているのか、その辺がわからない。逆に言うと期間が長ければいいということではないと思うのです。それはもうバランスの話ですから。この3歳という、3歳神話という言葉もありますが、それでいいという話もありませんから。ただ、では何故1歳か逆に、1歳未満という線引きをした理由は何なのかとお聞きしたい。それのトータル的な議論というか、両立支援するため、家庭的、両親がちゃんとみる期間は何歳ぐらいがいいかというのと、保育園なりの社会的サポート態勢はどうなのかというそのバランスでどの辺に線引きをするかということが期間についてはあるし、そこの議論をしたいと思っているのです。
(部会長) 3歳神話というのは、いまや厚生省は否定していますよね。
(事務局) はい、3歳までは母親が育てなければいけないといういわゆる3歳神話は、   合理的根拠がないということで、厚生白書ではっきり明言しております。
(委員) やはりある人にとっては1年が2年なり、3年なりというのがいいという考え、そういう実感の人はたくさんいると思うのですが、やはり育児休業でみんなで守ろうよというものはやはり延長するのは無理かなと、すべきでないと考えております。やはりできる所は労使で、現に工夫しながらそれを延ばしているわけですよ。
(委員) ここの1頁の上の資料も先ほどご説明があったけれど、期間が長い所がだいぶ延びてきていますよね。だからルールも最低限でいいのですよ、大と中でいろいろ違うのですから。最低限の所だけ、共通するような所だけを作っておけばあとは。
(委員) 選択肢として子の年齢を一律に引き上げる方法もあるでしょうが、もう1つは1歳という枠組でいろいろある。幼稚園が見つからなかったとか保育園が見つからなかったとかという場合に、どのぐらいの期間延長できるかは議論なのでしょうが、そういう例外的なというか、特別措置を設けることもあっていいのかなと感じています。
(委員) やはりここでは最低限のことを決めるべきだと思います。
(委員) 92年当時、1歳と線引きした理由は何ですか。
(事務局) 1歳で線引きした理由は、1つは1歳までが大変手間暇がかかると言いますか、病気がちであったりとかと子育ての負担が非常に重い。それは1歳までと1歳を超えてからというのはかなり差がある、ということは1つありました。
 それから2番目の理由としては当時の保育園の状況です。0歳児保育の定員と言いますか、枠が大変小さかった。したがって、やはり育児休業というもののニーズが0歳児、1歳までですね。これはかなり強いものがあるというのが1つありました。
 それから、育児休業法を制定したときに既に相当の企業で、大企業を中心に労使協定で育児休業が導入されていましたが、その導入されている労使協定の育児休業の期間の多くが1歳まで、あるいは1年という決め方であったわけです。そこで、そういう状況を踏まえて最低基準として定めるべき育児休業の期間は1歳まで、ということにさせていただきました。それを超えるという部分については、労使でそれぞれ事業場でご努力いただいたらいいのではないか、という判断でした。
(委員) フランス、ドイツ、スウェーデン、イギリスは5歳とか3歳とかまでですがどういう根拠なのですか。
(事務局) 私どもはドイツやスウェーデンへ行ってよく調査をしてきたというわけではありませんが、いろいろな先生方がご調査になってさまざまなご本、あるいは研究報告をおまとめになっています。そういうものから間接的にこんなことかなと思われますのは、ドイツ・フランスというような、両方ともカソリックの国ですのでやはり家族主義的な思想といいますか、意識が強い。ですからどちらかというと男女平等、男女共同参画の理念よりは家族主義的な考え方が強いので3歳までは、というようなことでこういう制度が設けられているのではないか、といったようなことを書いておられる方が多いようです。
 それから保育園などもこれに連動する形で3歳以降というのですか、そういうのが公的保育園としては重点的に整備されているように聞いております。
 スウェーデンなども、これは18か月ですが、0歳の所はあまり公的な保育サービスというのは充足されていないように聞いています。
 イギリスのこの5歳というのは、なぜかという論文がなかったのでわかりませんが、イギリス、アメリカというのはもともと成文法主義ではない所で、これまでは労使で自主的に決めていただく労使協定ということで育児休業というのが位置づけられてきたかと思います。ですから、両方ともわりと最近の立法です。
 アメリカなどは、家族支援よりは男女平等というものを第一義に考えるという傾向が強いものですから、あまり育児休業等法律で長く定めるというのは歓迎されていないというような状況ではないかと思います。したがって、こういった12週間ということになっているのではないかと思います。
 ですからそれぞれの国の政策としてどういう方向に重点を置くかという問題、特にその公的な保育サービスと親が育てるというところの、どの辺りに線を引いたらいいかということ、それによって随分変わってきているのではないかという感じがいたします。
 わが国の場合は、先ほど申し上げましたような理由で、一応1歳という所で線を引かせていただいているという状況です。
(部会長) よろしいですか。
(委員) 子供のためにはどちらがいいのですか。両親がある程度幼児期に、2歳ぐらいまでとか3歳ぐらいまで育児したほうがいいのか、その辺はちょっとわからないのですが、いまおっしゃった家族主義というのも一方にあるのかなという感じもして。では長ければいいというものでもないでしょうし、仕事の関係もありますから、その辺のバランスをどうとるのかというのは難しいですね。
(事務局) やはり企業の雇用慣行とか労働市場の現状とか、そういうものも考えていかないと、女性の雇用機会をむしろ狭めることになるようなことでは、女性の方々のほうからむしろ反発が出るということもあり得ると思います。
(委員) 育児休業、休業そのものではない課題としてもよろしいのでしょうか。現行法をどう両立支援につなげていくかというので、見直し規定を受けた全面的な改正だということを先回委員のほうから提起したところで、幅広くいろいろ検討課題にすべきだと考えていますが、その中の勤務時間の短縮の仕組についても検討課題に加える。これは検討課題として出されている短時間勤務制度の拡充というよりも、現行法、結局そこで働く人にとっては、勤務時間短縮等の措置のうちどれを選ぶかという選択権のない仕組になっていると思うので、復帰した人、あるいは休業ではなく両立した働き方を希望する人の勤務ということをもう少しその中に組み込んでいく、そういう仕組に変えられないかと思っています。
 例えば、いまでいうと時差出勤とかフレックスとか、「所定外労働をさせない」というのも1つ選択肢に入っていますが、そういった定時で働くとか勤務時間をずらして働くとか、そういうものが個別の労働者の事情によってはどれが両立の方法としてはいいのか、という側の選択肢になっていく、そういう方法が必要ではないかと思っています。そういう中で1つの課題として、育児のための勤務時間の短縮の措置を、労働者のニーズ、あるいは労働者の状態に応じた措置に変える必要があるのではないか、と考えています。
(委員) いまのニーズについては、こういうふうに考えます。やはり、勤務時間短縮等の措置のうち短時間勤務制度を選択している企業はかなりありますね。ですから短時間の仕組はやはり有効なものだと思うのです。それなりに使われている。けれども、短時間のシステムが合わない所があるのではなかろうか。例えば交代制勤務のところとか合わないということがあるので、やはり短時間勤務制度を、この別格として必ず入れなさい、という意見がありましたが、そのようなやり方は適切ではないのではなかろうか、と思っています。フレックスなども適用事業所は少ないけれども、この統計で見ると利用率は短時間よりも高いですよね。
 その他に例えば、いま現実に、在宅勤務などというのは一部の企業で出てきていますので、そういうレパートリーは増やすのがいいかなと思っています。ただ、これは世の中全般にどこでもできる制度ではありませんので、できる所はそういう在宅勤務などもこのレパートリーの中から選べるようこの中に入れるということもいいかなと思います。ただ、全部一律に、短時間制度がもうどの企業でも絶対いいんだ、ということではありませんので。ご本人のほうから見れば、短時間が圧倒的にいいかも知れないし、そういうことがあるから、企業もできる所は短時間勤務制度を使っているのだろうと思うのだけれど、やはりそれに向かない所もあるのではなかろうかなと思います。
 したがって、いま言ったようなことで、短時間勤務制度を別格扱いとして義務的に適用するというのはいかがかと思います。
(委員) 14頁に出ていますね。
(部会長) そうですね。短時間勤務については、また両立支援の議論の際にご意見をください。
(部会長) もし職場復帰の関係で何かご意見がありましたら、お出しいただけませんか。
(委員) 職場復帰について法律で原職復帰にせよとかそういうことはどうか、ということですか。
(部会長) いえ、何でも結構ですが、何かアイディアがありましたら。
(委員) 法律で強制するということには少々なじみにくいのかな、というのが個人的な意見ですが。かといって放ったらかしにするのではなくて、いまの努力規定の中に入るかも知れませんが、通達などで指導されていますのでね。だからそういう手当てをもう少しきめ細かくやったり、啓発するという方向で少し充実していく方向のほうがいいのではないでしょうか。原職復帰させないといけないというふうに法律に書くことがいいかどうかは、なかなか難しいものがある。そこに近づけることができるか、ということは十分考えていいだろうと思います。
(部会長) ありがとうございました。育児休業制度についてのご意見は今日は一応これで終わらせていただくということで、また。
(委員) 男性の育児休業がなかなか実効が上がらないという問題は。
(委員) 今日の資料で取得者の数、男女比が出ていますが、休業の権利はあるけれどなかなか取れないということは、私は職場の雰囲気の問題だけではないと思うのですが、どう改善するかという議論をすべきでないか。
(部会長) その議論は今日すべき議論ですか。
(委員) どこかで議論があればいいです。
(事務局) 制度の枠組、権利の設定の仕方の問題ということですか。
(委員) ええ。やはり、もう少し権利を担保する施策はないのかという議論はしておかないと、現状の姿であるとか、仕事の担保の問題であるとか、風土の中に流されてしまう。
(部会長) では、まだ少し時間がありますから、どうぞおっしゃってください。
(委員) 1歳までの間の優遇策みたいなのを導入できないか。男性が休業を取った場合ポイントにする。例えば、スウェーデンは男性が取った場合に所得保障、経済支援を上乗せする。男性が育休を取らない理由は家計に与える影響が大きいためで休んでしまうと家計が下がってしまう。いまはまだ育児休業給付を40%ですが、男性についてはもっと上げるであるとか、ファミリーフレンドリー企業の普及のための助成金がありますが、男性が取った場合という要件をつけるとか、そういう優遇策、誘導策も考えられないのかどうか。休業取得を義務づけることがいちばんなのでしょうがまたそれは反発もあるでしょうし、それこそまさに社会的なコンセンサスというのがあると思いますから。
(委員) 義務づけは、良くはないです。
(委員) もし誘導策、促進策と言うか、男性が取ったら企業にとっても個人にとっても有益である、という施策を講ずることによって引っぱっていくということは考えられないのだろうか。
(委員) 逆差別ではないですか。
(委員) 逆に言えば現在はこれだけ差があるわけですから。
(委員) それについては何度も言うように、この問題を考える時にはやはり意識の問題が大切で。それを物で釣るようなことは、長い目でみて役に立たないと思っております。
(委員) 物で釣るというのはどうでしょうか。やはり、経済的支援の充実はアンケートでもかなり挙がられているではないですか。
(委員) 日本はあちこちで物をバラまいたりしている。それもいけないのだと思います。
(委員) それは違います。経済的支援がいちばん要望が高い。給付率は25%が40%になりましたが、特に男性側の権利を保障するために担保策をどうするかという際に、さらなる経済的支援策をやはりこの審議会の1つの目玉として出すぐらいのことをやるべきだと思うのです。
(委員) それは労働だけの問題ではないです。
(委員) 男中心の社会を変えると言っているわけだから、それはもう少し男性が育児に参加することによって、意識が変わるのです。男性が育児を体験した本などを読むと、人生観が変わったと言っている人が多い。そういう体験をした方が管理職になったら、また変わってきます。
(委員) 我々が考える以上に若い人たちの意識が変わってきていることは事実だと思います。
(委員) 男性に向けた促進策として、経済的支援の面、それから企業に対する措置も含めたものを考えられないか。
(委員) 休業の権利としてはいまもうあるわけですが、そうは言っても実態は男性の取得率が低い。権利を行使するときにパートナーとの間でどちらが休業を取るか選ぶときに、いま委員がおっしゃったようにポジティブ・アクションという考え方を取り入れれば、2人の間で休業補償の関係であるとか、あるいはどちらがどういう期間について取るかということも含めて、1つの促進策にはなるのではないかと思います。企業にとってはその人が手を挙げたらもちろん仕事の調整は必要であれ、拒否できないわけですが、仮に男性に対する休業補償を上げると、それは2人のカップルがどうとるかという問題だから企業は立ち入らないと。企業にとっては仕事の調整の問題だけが残る、というすごく良いアイディアではないでしょうか。
 男性だけに措置を講ずるというのは、やはりポジティブ・アクションという考え方に立てば理解が得られるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
(委員) アメリカですと、女性も高い給料を取っている人がいるから、男性も休業をとろうかということはあると思うのです。ですから、女性進出が進んできますから、それによってどちらが休んだほうがいいかというようなことを2人で議論して、だったら男性が休んだほうが給料がいいというのだったら、そうなっていくのではないですか。だからこれは、あまり立ち入らないほうがいいのではないかと思うのです。
(委員) 外国はどうなのですか。ただ、スウェーデンは男性の取得率が高いですね。ほかの国はどうなのでしょうか。日本的な状況ですと、90%以上が女性ですが。
(事務局) フランスは約95%、ドイツは約98%が女性です。それからスウェーデンは取得者の数でいくと、約3割が男性ですが、取得日数で見ると、約1割です。
(委員) 平成8年の調査で男性の取得率は0.4%ですが、制度が始まって5年目でありながらあまりにもという感じがします。この調査には公務員は入っていませんね。
(事務局) はい。
(委員) 民間でも休業を取得する男性は本当に変わり者と見られている。
(委員) でもやはり、徐々に増えているということは浸透してきているのでしょう。これから賃金が年功序列ではなくなるし、職能給になってくれば自ずと変わってくる問題が出てくるでしょう。あとは母性の問題がありますから、それは人間それぞれの考え方でどうやるべきだというのは別ですから、フィフティフィフティなどとなることはあり得ないと思うし、それが正しいとは思いません。思わないけれどもやはり、それは徐々に増えていくのではないですか。
(委員) しかし誘導策、促進策を考えることは良いのではないですか。どうするかは本人の問題ですが、そういう促進策を掲げることによって引っぱっていくということはあってもいいと思います。
(事務局) いままでのデータは全部、休業給付25%の状態のデータなのです。来年の1月から40%になりますから、それによって少し取得者が、男性取得者も増えるかなとは私どもは思っております。
 それともう1つは、男性が取得しない理由というのは、やはり意識の問題で2つあると思うのです。父親自身が取りたくないとか、あるいは母親自身が父親に取らせたくないとか、そういう昔ながらの伝統的役割分担意識はやはり労働者自身に非常に強い。それからもちろん企業の中で上司をはじめ、みんなが男性が育児休業を取るということについてまだまだ理解が足りないということ。この2つの理由で、男女間の役割分担意識が日本の場合はまだまだ強いという感じがしております。ですから男性で本当に休業を取りたいという方がたくさんいて、しかしなかなか取りづらいということであれば、何らかの形で金銭的な誘導策などを政策として十分に考えなくてはいけないし、考えられるとは思うのですが。この前アメリカに行きましたら、ずっと一緒に仕事をした女性が子供を産んで、復帰したばかりだったんです。しかし、深夜までずっと働いて、アメリカのことですから公的な保育制度はそれほどありませんので、どうしているかと言ったら、「夫がうちで面倒をみています、夫は家庭の主夫です」と堂々とおっしゃいました。そういう方をstay-at-home-daddy、SAHD、サードと言うのだそうです。そのサードの全国団体ができて、約200万人ぐらいが入っているのだとおっしゃっていました。やはり相当意識が違うな、ということを感じて帰りました。
(委員) 確かにおっしゃるように日本にも「男性に育児を」という男の会があり、確かに増えているのですが、お互い交流しているのは300人ぐらいです。それで彼らは非常に変わり者に見られているのです。ですから、マスメディア関係に勤めている方や仕事上裁量権を持っている方は休めても、大企業であってもチームプレイでやっていますから要の所は休めないそういう呪縛を解くためにはある程度の支援策を講じないとならないと思います。
(部会長) 大学の先生は、休業を取る方が結構いらっしゃるのではないですか。
(委員) 私が知っている人はいませんね。でも比較的自由がききますから、子どもの面倒はみていますよね。
(部会長) さて、時間が参りましたのでこの議論は一応終わりにいたします。次回以降のテーマについては事務局のほうで案を作っていただきましたので、ご説明いただきたいと思います。
(事務局) 「今後の日程について」ということですが前回、今回に続きまして9月20日には「仕事と育児の両立の負担の軽減策について」ということで、先ほどお話のありました勤務時間短縮等の措置とか転勤問題、看護休暇、その他の問題についてというテーマでご議論をいただければ、と考えております。
 10月5日に意識啓発の問題、あるいはファミリーサポート・センター事業というのがありますがその問題及びその他ということで、残っている課題がありましたらこの回にお願いできれば、と考えております。
 それから10月12日に、厚生省から保育対策等のヒアリング、それから中小企業の実態把握ということで、関係の労使の方からのヒアリングを実施させていただいたらどうか、と考えております。
 ここまででテーマ別議論としては一巡いたしまして、その後、今後の審議会の進捗状況次第ではございますが、10月20日から28日まで、日程の確保をよろしくお願いしたいと思います。
(部会長) このスケジュールでご異議はありませんか。
(委員) よろしいかと思いますが、前回のポスト激変緩和措置については入口の議論しかしておりませんので、別途、1回ぐらいは設定すべきだと思います。
(部会長) またそれはお考えいただきます。では、9月20日はこのテーマでご議論いただきたいと思います。
(委員) 一点よろしいですか。  先回も今回も、育児休職を取って退職をした人の問題を委員がおっしゃっていたことがとても気になっていましてそれで申し上げたいのですが、事実そういう状況があることは私どもの調査でも出ているのです。しかし、私は取り得とか取り損とかということでなく復帰して働くという前提のものにしたいと考えています。では、具体的にどうして退職したのか退職した人の事由というものをきいてみますと第2子、第3子を休業中に妊娠したというケースや、夫の海外赴任という理由や、保育所が見つからなかったという理由、子供の病気治療のためというようないくつかの理由が挙がりました。その退職に至った事情を解消するにはどうするかという意味で、育児休業取得者で退職をした人に関する課題を議論したいと思っています。退職したことが問題だということよりも、その背景を議論すべきではないかと思いましたので、その事情を調べたものをご報告しておきたかったということと、調査結果の中では逆に休業を短縮して復帰している人もいて、協力者が見つかったとか、保育園の入園がスムーズだったとか、現場からも早く復帰してほしいという働きかけがあったという結果もありました。そういう事実もあるということを委員にご紹介したかったのです。
(委員) 増えたことを問題にしているのですね。いろいろな理由があると思います。
(事務局) いままでご紹介しておりませんでしたが、企業側からいろいろクレームが出ているといったようなお話がありましたが、均等室にも事業主からいくつかそういう話がきているのは間違いない話です。
 それで実は、育児休業給付を25%から40%に上げるということについて中央職業安定審議会のほうでご議論をいただいた際にも、そういうお話が若干出たように聞いております。そのようなことがあって、今年の1月にいくつかの女性少年室(現在は都道府県労働局雇用均等室)で、サンプル的に企業に事情を聞いてもらったということがありました。ですから、実態がこうなっていると言うことは、間違った方向へ誘導するかと思ってご紹介しておりませんでしたが、いま委員からのお話もありましたので、概容だけをご報告しておきたいと思います。
 各事業所の人事担当の方に、育児休業を取って復帰されなかった、お辞めになった方はどういう理由で辞めたのかということを調査していただいたのですが、主な理由が5点ほどありました。1つは、同居の親が病気になるなど子供の世話をする人がいなくなったということ。それから、産まれた子供が病弱であったためにとても復帰できるような状況ではなかったということ。それから、休業中に次の子供を妊娠したということ。それから4番目が、配偶者が転勤したので元の所で働き続けることができなくなったということ。それから5番目が子育てが予想以上に大変だったというようなことをおっしゃっているということでした。
 いま申し上げたような中で、ほとんどはやはりやむを得ない理由かという感じはしているところです。
(委員) やはりこれについては、推移を見てみる必要があると思います。
(事務局) そうですね。それについて一言補足的に申し上げれば、今回、退職者が増えているのは5人から29人の規模の事業所でして、これは非常に母集団との関係でサンプル数が少なく、ほかの大きい規模と比べるとどうしても若干数字がぶれやすいということになりますので、次回以降の数字も委員がおっしゃるようによく見てみる必要があるのではないかと考えております。
(部会長) それでは時間が過ぎましたので、これで本日の部会は終了させていただきます。お疲れさまでした。

連絡先
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課
企画係 大友
03(5253)1111 (内線)7855

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