女性少年問題審議会女性部会議事録

 日 時  平成12年8月31日(木)15:00〜
 
 場 所  通産省別館841号会議室

(部会長) それでは女性部会を開催させていただきます。部会における議論の進め方について、前回いろいろ御意見を出していただきました。そして御意見の大勢は、ポスト激変緩和措置以外の事項についても、少なくとも議論はしたほうがよいという御意見が多かったように思います。議論した結果については、これから先どのようなことになりますか、まだこれは予測の範囲ではありませんが、とにかくポスト激変緩和措置以外の事項についても、議論は進めていくということで、あまり議論の対象を限定しないでまいりたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員) 基本的にそのような大勢であれば、やむを得ないと思いますが、日程で示されているように、かなりシビアな検討になると思われます。したがって、日程を入れられても、必ずしもそれについていけるかどうかというのは、自信がないです。したがいまして、ここでの議論が煮詰まらないのに強引に結論に持っていくようなことはしないでいただきたい。強くお願いしておきます。
(部会長) はい、わかりました。それでは拙速は避ける。強引に事を進めることはしないという前提で議論として取り込んでまいりたいと思います。それでよろしいですね。
 そうなりますと、どのようなところから議論を始めるかということになりますが、ポスト激変緩和措置を含めて議論をするということで、各委員の異議のない議題というのは、やはりポスト激変緩和措置であろうかと思いますが、そこから始めるということでよろしいでしょうか。
 では、ご異論がないということで。それでは具体的な検討の項目だけでも大まかに挙げていただいて、大体これから何を検討するのかという議論を簡単にやり、ポスト激変緩和措置の議論にに入りたいと思います。どうぞその検討項目について、御意見のある方はお出しください。
(委員) 事務局から、ポスト激変緩和措置を含めた4項目について検討依頼がありましたが、私どもとしては、今回、両立支援策を検討する際に、いろいろな社会状況、育児・介護休業法施行後の動向変化もありますので、そのような観点で少し見直すべきだと申し上げたい。
 その観点というのは、1つは育児・介護休業法、介護休業は昨年4月1日以降施行ですが、育児休業に関わる事項については、もう数年経ており、また施行状況をきちんと必要に応じて見直すと法律にも書いていますので、それが1つ。2つ目に、何度も申し上げていますが、我が国が批准しているILO第156号条約(家族責任条約)、同第165号勧告については国内法を整備する、あるいは充実させるに当たって、何が欠けているかという観点の検討が必要だと思います。3点目は、使用者側の団体の関係者も労働側も入っている政府関係の審議会等で、いろいろ少子化問題についてご提言されていますが、特にその中で労働省に関連する問題と言うのですか、もちろんこれから厚生省との省庁再編もありますが、そのような面で両立のための基盤作りについて提言されていますから、それを当審議会としてもきちんと受けてどうするのか。4点目は、いろいろ資料は配られていますので参考にしながら、国際的に見て両立支援のための諸制度はどのような現状でどのような変化をもっているのか。そのような観点で申し上げたいと思います。
 1つは育児関係について適用労働者の範囲の問題ですが、これはご存じのように労使協定による適用除外も加えて、適用除外となる関係労働者が結構いらっしゃるのですが、その適用除外労働者が我が国の雇用労働者に占める割合が、だんだん比重が大きくなってきていますので、そのような方々を対象にした育児・介護休業と両立支援というのは、当然大事なことなので、現在のその設計でいいのかどうかを少し見直すべきです。
 同時に、運用でやられている面についてですが、契約の反復更新、つまり有期契約の労働者であって契約を反復更新している方について、私どもは当然その方は入っていると見ているのですが、その辺の現状についてどうなっているか。
 労働基準法の改正に伴って、高度専門的な労働者について、3年契約というのが出てきました。育児・介護休業法の適用対象から期間雇用者は除かれていますが、そこはこの設計をしたときに契約期間の上限が1年という労働基準法を前提に作られたと思うのですが、3年契約の労働者が出てきたときに、それをどう考えるか、これも検討すべき課題ではないか。
 それから休業期間です。現行は子の養育を1歳未満としていますが、1歳にした理由、なぜ1歳にしたか。現在諸外国の例では、3歳までとするものが結構出ている。いま何歳にするかは別にして、子育てというのは大体何歳ぐらいが家族がやるべきかということもあり、はたして現在の1歳未満でいいのか。
 休業の取得方法について、現在は一括取得のみです。これは使用者の労務管理上、分割、日々分割ではもちろんないのですが、ある程度まとまった上で、かつ必要に応じて休むことがあっていいのではないか。つまり利用しやすい連続した期間、ある程度まとまって分割することも考えられるかどうか。
 勤務時間の短縮措置の在り方で、休業しないで、仕事をしながら子育てする労働者のために、事業主に1つ以上措置を講ずることを義務づけるということで、いろいろなメニューを出されています。この活用のされ方についてどのような現状であるかは、分析も必要なのですが、休業しないで、部分就労、さらに急な介護、あるいは育児という場合に、短時間勤務制度についてもう少し、位置付けと言うのですか、格上げと言うのか、これは労働省の検討事項に入っていますが、もっときちんと短時間勤務制度は他のメニューと違う位置付けをする必要がある。
 次は深夜業免除措置についてです。これは99年4月1日以降になっていますが、小学校入学前の子の養育を対象にしていますが、年齢は低すぎるのではないでしょうか。自分で自立しているのは何歳ぐらいなのかとなるのですが、もう少しこの範囲を拡大してはどうでしょうか。例えば小学校卒業前とか。ここはもっぱら深夜業労働免除を請求した労働者の数がどのくらいいて、休業、専従業をしない場合、処遇がどのようになっているのか。休業になっているのか、新しい仕事が用意されているのか、実態把握が必要なのでしょうが、対象労働者の範囲について検討していただきたい。
 制度の実効確保問題。これは育児・介護休業取得後の処遇、在り方について、事務局からの検討項目に入っていますが、私どもは重要な認識を持っておりまして、特に休業後、職場に復帰して、辞めている方も結構いらっしゃるが、これは何なのか。そのようなことについてはもちろん重要な項目としてご議論いただく。
 男性の育児休業。男女ともとなっていますが、配偶者が出産した男性労働者の育児休業取得率が0.42%という実態であるわけで、権利は付与するけれど、権利行使はできない。これは単なる職場環境とか、そのような問題ではなくて、少し何らかの強制的な面を含む検討を要するのではないかと思いますので、実効確保の観点からその問題について重要な位置付けをするべきと思います。  新たに加える事項として、事務局からの検討項目に子供看護休暇と入っていましたが、私どもとしては両立支援ですから、優先的には子供をということも考えられますが、もう少しこの法律の趣旨から、家族看護休暇ですから、家族のための休暇というようにしたほうが、目的からして沿うのではないでしょうか。つまり子供に限定しないで、家族が病気をした場合に、休めると。その家族の中にもちろん子供が入りますから、そのような観点で物事を考えたらどうでしょうか。
 転勤命令。いろいろなタイプの転勤があります。日本のいろいろな雇用管理で、全国転勤、地域限定転勤といろいろなタイプがあるのですが、共働きの場合の転勤と家庭責任というのがあるので、法律の趣旨に基づいた場合に、転勤問題をどう考えるかということを考えていただきたい。
 それから、労働基準法で変形労働制にも、非常にいろいろなタイプが増えており、拡大傾向なのですが、さらに1年を期間とした変形労働制というのが出てきましたし、まとめて働き、まとめて休むという労働形態が増えつつあります。もちろん1週間について40時間を超えて働かせてはならないという要件が入っていますが、まとめて働くということと、家庭責任というのは、毎日毎日のことなのです。そのような意味で子供を放りっぱなしというのはいかがか。その辺の休日労働なり、変形労働に関わって、免除措置などについて検討はできないでしょうか。
 所得保障について、来年1月1日から育児休業給付が休業開始前賃金の25%から40%に改善されましたが、いろいろなデータを見ますと、経済的支援について強い要望があり、特に男性と女性の共働き世帯において、なぜ女性を育児休業を取得するかというと男女差がないような同一産業に働く場合はあれですが、全体的には女性のほうが賃金は低くて男性が高いから、やはり家計を考えたら低い女性のほうが休む。ということで男性もある程度の女性自身の経済的支援があれば、家庭を考えたときに取りやすいと思うのですが、そのような面での所得保障問題について、私どもは休業開始前賃金の60%という案を持っているのですが、それについて考えていただく必要があるのではないでしょうか。
 それから妊娠・出産・育児を理由とする差別的取扱いについてです。これも育児・介護休業という面ではありませんが、その面についての検討項目を要する。
 直接的には関係ないのですが、雇用保険の見直しがあり、一般労働者が自発で辞めた場合に、受給日数を減らし、非自発の場合は、増やすとなりました。いま雇用保険部会で御議論されているが、労使で意見が折り合わずに、検討項目になっているとのことですが、この部会として、例えば介護で、東京にいる労働者が、自分の両親が北海道にいて、北海道で介護をせざるを得ない。東京の職場を辞めて、北海道で職場を捜さなくてはならない場合があります。そのときに働く意思は持っているわけですから、それで辞めた場合の失業手当についてですが、この場合は事業主責任ではありませんが、自分の責任でもないのです。そのような意味でこの法律の趣旨から、育児・介護休暇両支援という観点からすると、やはり自己の責任に帰するという観点が非常に弱いということで、そのような取り扱いをきちんとすることによって新しい職場が見つかって、家族介護ができる。そのようなことも想定されますので、その辺について検討をしてはいかがでしょうか。
 介護については、対象労働者だとか、普及の問題とか、いまの育児休業と同じ話なので、自動的に検討しながらこちらを見直せば、休業についても当然出てくるので、それは除きまして、介護休業について、対象家族について、1回という制限が加わっていますが、この1回という問題について、介護休業はまだ実態把握調査がないのですが、少し検討できないか。
 休業を取る場合にいろいろな要件が付いています。この要件についても、もう少し活用しやすいようにできないでしょうか。もちろん介護保険制度が社会的サポートとしてできていましたから、その関係がもちろんあるのでしょうが、そのような面で休業制度を使う場合に、活用しやすい要件というのは、果たして現状でいいのかどうか。
 ポスト激変緩和措置は別にして、保育関係です。ファミリー・サポート・センター事業を労働省がやられており、一時保育なり、最近の新聞報道を見ますと、空教室を利用して、この事業を拡大するということも書かれています。そのファミリー・サポート・センター事業は現状どうなっていて、どのように支援するのか。厚生省を呼んで、私ども是非、エンゼルプランなり、新エンゼルプランの実行問題についてどうなっているか。この休業制度の問題を議論するときに、関連が深いのでそれも含めた保育関係についての議論が必要ではないでしょうか。
 男女雇用機会均等対策基本方針なり、政府関係の審議会等に出されておりますのは、意識啓発だとか、固定的性別役割分業の解消だとか、時間短縮、1,800時間ということ、時間短縮の問題、企業風土、いろいろなことが提言として出ています。それではどのようにして我々としてこの問題についてさらに基盤整備していくのかということを検討すべきだと思います。
 それから使用者側の方の御意見、特に中小企業で代替要員問題についていろいろ言われています。いままでの議論経過を見ますと、この介護休業を議論する際に、代替要員が大変重要なようです。特に男性が取った場合に、あるポストが、言葉は悪いのですが、女性より男性のほうがある程度地位が高いということもあって、代替要員問題がかなりあった。その場合に当時労働者派遣法で、派遣できないということで、労働者派遣法を見直したわけです。その後もいろいろ代替要員にかかわる給付事業がなされているのですが、その中でも使用者側の方が、代替要員問題が非常に大きな問題とおっしゃっています。何が問題なのかということをきちんと検討項目として、現状でいいのか、さらなる次善策を講ずるべきなのかということも少しご議論したらどうでしょうか。ということで、範囲がかなり広いのですが、折角の機会ですから、真剣に検討いただきたい。
(部会長) わかりました。ではいま委員からかなり盛りだくさんの項目のご提言がありましたが、労働側の委員からこれが落ちているのではないかとかというような御意見がありましたら一緒に伺います。
(委員) 具体的な項目でないのですが、いま委員が言われたのは、いままでいろいろな所で言われていることについてまとめていま出していただいたのですが、前回いただいております両立支援のための関係資料も、例えば、少子化対策推進基本方針で、閣僚会議で公にされている内容の中にも、新エンゼルプランの中にも、すでに網羅されて、先ほど時間的なことでご心配のご発言がありましたが、この審議会でやはり取り組まなければいけない課題ということで、先延ばしがあまり出来ないと言うか、早く結論が出せるものについては、対応していったほうがいいと私も思っておりますので、いろいろな制約があるでしょうが、できるかぎりいま出されたような項目について十分な議論ができるように是非していただけたらと思います。
(部会長) それでは委員はよろしいですか。
(委員) はい。
(部会長) では、使用者側の委員で何か御意見はありますか。特に中身の問題というよりは、項目に関してですが。
(委員) 多くの問題をやるのは、決して否定するわけではありません。基本方針、7月14日に大臣告示されたばかりであり、5年間で取り組むべき事項、大まかな範囲が示されているわけなので、一応やはりそれはその範囲ではやるべきだと思います。それから審議会の位置付けについても、何度も申し上げましたので、そのようなことも踏まえてやるべきだと思います。
 あと若干中身に入るのですが、この前いただいた資料でも、なかなか両立支援のために具体的な取り組みをこうすべきだというものが、全然読み取れないという問題がひとつある。できればこれからはそのようなことを意識しながら、政策の持っていくべき方向が資料から読み取れるような資料をいただきたいというものが1つ。
 それから、あの資料から、特に私は大事な資料だと思っているのは、育児休業を取得する人が、増えていることは事実です。これは当然のことながら、浸透してきた結果だと思います。ところが10%ぐらい、育児休業を取ってから辞める人が増えている。これは非常に重要なことだと思うのです。これをどのように捉えるかなのです。労働省から出た産業別の資料を見たり、あるいは規模別の資料を見たりすると、規模別では、明らかに事業所規模が30人以上のところは、そのような人は減っているのです。減っているにもかかわらず、10ポイントも増えている。これは事業所規模が5〜29人のところが、20数パーセント辞めているという結果がひとつ読み取れるのです。それから産業別で見ますと、1つは建設業です。もう1つは卸・小売・飲食業です。これが3割近い人が育児休業を取ってから辞めることが読み取れる。ということになると、そこから何が言えるのか。即断はできないでしょうが、全産業平均的に考えて政策を打っていいのかという問題があります。
 もう1つは、在る企業の人事担当者からお聞きしたのですが、育児休業のために、法を上回る措置を自分の所でいろいろやっているのだけれども、育児休業を取る前に、休業を取った後辞めたいという話が来て、もうやるせない気持になってどうしようもないという声が寄せられています。たまたま労政時報でも、同じような育児休業の統計の後に、人事担当者の言葉として、ある会社では最初に育児休業を取得した人がそのようなことを行ってしまい、その会社はそれ以降伝統的に育児休業を取得して辞めることになってしまっている。あるいはこのようなこともその数値に現われてきているのではないでしょうか。この統計というのは、これからも非常に注意して見ていかないといけないと思うのです。
 そこから、あとは勝手な解釈をすれば、やはり心と「もの」の関係、意識と制度との関係です。制度が先にあって、意識が付いてくるという場合もあるでしょうが、決してそうではないという事例がここに出てくるのではないのではないか。そのようなことを見るためにも、この統計はよく見ていかないといけない。少し横道に逸れてしまいましたが、制度を検討することも大切でしょうが、そうではないもっと底の所にやるべきことが、あるのではないかというのが、常々私が思っていることです。
 したがって前回のときも申し上げましたが、男女雇用機会均等対策基本方針の中のまとめの中で、啓蒙など取り組むべき問題が書いてあり、そして「さらに」として、看護休暇等の問題が書かれておりました。したがってその前段のものをどうすべきかということを検討するのが、いちばん大切ではないかといまでも思っております。
(部会長) 委員はよろしいですか。
(委員) いま委員からたくさんの課題が出たのですが、全部やるのはなかなか大変なことなのでしょうが、いま言われたように、経営者が少し情けないと言うか、どうかと思うような実態があるわけです。かなりタイトな日程が組まれているのですが、この中で、中小企業の実態なりを調査して、ヒアリングをどの程度行おうとしているのか。今組まれている日程の中で4つぐらいの検討課題が出ているのですが、果たしてどの程度まで出来るかと思うのですが、ある程度のところで切って、ここの所までやってしまうのだという方針があるのかどうか。
 ポスト激変緩和措置の検討が長引いて、収拾がつかなければそのまま最後までいくのか、あるいは3回で辞めるとか。事務局がどのような日程でこの課題を消化していこうとしているのかをお聞きしたいと思います。
(事務局) 今、この場で議論すべき項目についての御意見を頂戴したばかりでありますので、それらの議論についてどのようなスケジュールで検討していくかについては、できれば案を作って次回にでもと思っておりましたが、基本的には前回お示ししましたように、テーマ別に議論を一通りやっていただいた後、それを整理した上で議論を深めていくという方向で考えております。全部の項目を議論を深めることはできないかもしれませんが、そのような流れでご検討をお願いしたいと考えております。  中小企業の実態についての労使からのヒアリング、あるいは厚生行政の問題について、お話がございましたが、厚生行政については、児童家庭局から一度御説明をいただく時間を設けたいと思っております。中小企業の実態については、できれば中小企業の労使それぞれの方から、現場の実態をヒアリングする機会を設けさせていただければと考えております。
(部会長) 具体的には、事務局に次回までにプランを立てていただくことになろうかと思いますが、そのようなことでよろしいですか。
(委員) 日程は、本気でやるつもりなのでしょうけれども、本気でやるとしたら、いつまでにということになったりすると、なかなかこちらもついていけないので、その辺を斟酌していただいて、どのような進め方をするのか考えていただければと思います。
(部会長) 何かこの検討項目についての御意見ございますか。
(委員) ええ、検討項目とタイムテーブルは、この前の審議会で私の意見は述べさせていただきました。話の流れを折って恐縮なのですが、いま委員がおっしゃたことに関して教えていただきたいのですが、建設業、卸・小売・飲食店業で、せっかく育児休業を取得しても、その取得前から私は取得後に辞めますからとおっしゃる方がいらっしゃるとのこと。これはもし理由がおわかりでしたらお願いいたします。
(委員) 実は何の関係で申したかと言いますと、前回の資料のうち平成11年度女性雇用管理基本調査の第6表に、育児休業を取得した人を100として、復職者数が82.4、退職者数が17.6という数字が全体では出ている。それを平成8年度を見ると、82.4に対して92.1、17.6に対して7.9。つまり退職者が7.9から17.6に増えているのです。これを同じ表で規模別に30人以上事業所で退職者数だけを見ますと、11.5なのです。これは平成8年には12.7なのです。ですから減っているのです。5〜29人を見ますと、これは平成8年との比較、統計がとれないのだと思いますが、23.6という数字が出ています。すでに労働省から、7月24日に発表された資料には、この調査の産業別の統計が載っており、この11表の産業別で見ますと、今度の統計だけの数字ですが、育児休業を取って退職する人の割合は、全体で17.6%でしたが退職すると言っておりました。それに対して建設業では28.3%、卸・小売・飲食店業では28.7%の人が辞めているということです。ただこれを先ほどの話にストレートに結びつけるつもりはありません。
(委員) そのような特定の業種で、しかも事業所規模が小さい所で育児休業をとっても、休業明けとか途中で辞めるその理由がわかりにくいのです。企業の中で法律以上の処遇、例えば休業中を有給にしているとか、そのようなようなものがある場合には、そのお金をもらって、それで辞めるということが考えられるかもしれませんし、原則的には無給の中で、手当の支給だけですよね。それなのに取ってから辞めるというのは、どんな理由で辞めていくのか、もしご存じであればということだけなのです。
(委員) どうして退職者が増えているかというかことは、私が質問したものなのです。退職の理由は、統計をとっていないからわからないというお返事だった。けれどもいろいろなケースがあると思います。けれど、よくよく考えてみれば、育児休業のときに手当がもらえる。育児休業をとる前に辞めるのと、とってから辞めるのとではどちらが得か。会社の人にはいろいろな手当をもらったりするものだから、変な顔をされるかもしれないが、それを我慢しさえすれば、少なくとも共済会からお金をもらったりする制度が結構ありますから、それもらい終わってから退職して、失業給付をもらうというのは、自然な気持なのでしょう。ですから、いまそのように結論付けるのではなくて、この統計がそのような傾向を保つ統計だとしたら、それはやはり育児休業に対する給付のあり方を、直接考えないといけない問題になってくるという意味で申し上げました。10%は非常に大きい問題だと思います。
(部会長) ボーナスをもらってから辞めるみたいなものに似ているのかもしれないですね。
(委員) 付帯的支給要件と同じ問題なのかと私は思います。
(委員) やはりノーワーク、ノーペイというのは、いろいろな面で徹底しておかないといけないのではないでしょうか。支援するならば支援の仕方を考えていかないと、辻褄が合わないおかしな制度となってしまうのではないでしょうか。本来、育児と仕事の両立を支援するための仕組みであるはずが、違う方向に動いてしまう可能性もあります。制度を作るときには、本当によく考えないと違う方向に行ってしまいますよということを言いたいのです。
(部会長) それでは大体検討項目についての御意見が、一通り出たようでございますので、ただいまの御意見を踏まえて、次回までに事務局で具体的にプランを立てていただきます。それでは本日は、前回ご異論がなかったポスト激変緩和措置についての議論から始めたいと思いますが、よろしいですか。それではまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
(事務局) (資料について説明)
(部会長) それではただいまの説明に関する御質問、御意見含めてこの問題に関して御意見を頂戴したいと思います。どなたからでもどうぞ。
(委員)  質問ですが、この時間外労働に関する資料においてすべて所定外労働時間という表現ですが、それは毎月勤労統計と同じように法定内残業も含まれるということで、いいですね。
(事務局) はい。
(委員) 法定の労働時間の延長の限度についての基準の150時間と直接対応するものではないとのことですか。
(事務局) そうです。
(委員) それから7頁の資料は、育児休業制度や勤務時間短縮の制度以外の利用状況となっているのですが。前回の資料ですと、制度のある事業所における利用率ですね。これは制度のない所も含めての数字になっているので、その数字はどうなるのでしょうか。あの資料と同じ資料ですか。
(事務局) 違う資料でございます。
(委員) 対象も違うものですか。
(事務局) はい。いまおっしゃっているのは、前回の女性雇用管理基本調査の表だと思いますが、この資料は所定労働時間の制限、激変緩和措置の利用状況も入っておりますので、今回出させていただいたわけです。
(委員) 資料の見方についての質問ですが、11頁の激変緩和措置の協定の実態についてです。ここでは、子の養育を行う労働者全体を対象としていて、時間外労働協定なしと、これは協定もなしということは、残業もなしと見ていいかは、いろいろあると思うのですが、「時間外労働協定あり」の中に、「激変緩和措置の協定なし」という項目がありますね。子の養育を行う労働者を対象にしていながら、激変緩和措置協定なしということは、例えば、150時間の中で、すべて収まっているので、敢えて激変緩和措置協定を結んでいないと読んだらいいのか、ここはどのように見ていいのかを説明いただきたいのです。
(事務局) 時間外労働協定全体の数字を見ますと、150時間以内である協定は手元に数字がなく恐縮ですが、多くないと承知しておりますが、これは平成11年10月の状況でございますので、例えば激変緩和措置が施行されております平成11年4月より前に、1年とか、そのような協定を、女子保護規定を前提として結んでいる事業場については、激変緩和措置協定なしとして挙がってきているということではないかと推察をしております。
(委員) 激変緩和措置協定をどうしているかというのは、例えば平成12年4月現在とかで見たときには、いまおっしゃったことを考慮すれば、状況が違うということになっているのですね。
(事務局) 施行後、半年間の結果で、ぎりぎりその時点での数値しか取れないものですから、このような形にしてございます。これが最終の姿とご理解いただく必要はないと思います。この時点ではこのような状況でしたということです。
(委員) これだけに限らないのですが、「時間外協定なし」が、例えば53.3%ありますね。ここの事業所は時間外労働を行っていないという理解に立っているのですか。労働省としては、これについてどのように見られているのか、もし見解があればお教え下さい。
(事務局) これは労働基準局の担当でありますが、基本的には、法律上、労使協定がなければ時間外労働をさせてはならないこととなっておりますので、そのようなものであると承知しておりますし、そうでないものについては、臨検によります監督指導によりまして、履行確保を徹底、監督署でできるかぎりの努力をしていると承知しております。
(事務局) 補足しますと、従来から調査的監督でも協定の有り無しについて、調査してまいりました。大体調査的監督の場合には、もっと零細規模も入りますので、もう少し多い数字が時間外労働協定なしです。その全部が誰も時間外労働を行っていないかというと、若干法違反の所もあるのではないかという気がするのですが、統計的にはそのように出ています。ただ調査的監督の中でも、時間外労働協定なしに残業を行っているところに対しては指導をしております。ただ小規模事業場の場合には、残業時間は、平均的に見ても少ないのが実態でございます。
(委員) 7頁と同様の意味で10頁ですが、制度の利用状況の区分の中にあります「雇用形態の変更」、この雇用形態の変更というのは、具体的にはどのようなことを言っているのか、もしご存じでしたら教えていただきたいと思いました。
(事務局) これは調査票には括弧書きで正社員とパートタイム労働者と書き、これを行ったり来たりするということで正社員とパートタイム労働者の間に、双方向の矢印を付しております。
(委員) それはこの読み取り方としては、それを選択した人が、このパーセントいるという読み取り方でいいわけですね。
(事務局) はい、結構です。
(委員) 育児も介護も同じでしょうか。
(事務局) 同じでございます。
(委員) 8頁の(4)の資料は期間は1カ月の所定外労働時間数ですか。
(事務局) 失礼しました1カ月でございます。
(委員) 深夜労働をさせない措置については、育児・介護休業法という、罰則の付かない法律の中に入っていますね。一方、激変緩和措置については、年間150時間を超えて時間外労働をさせてはならないと基準法に入っていますね。150時間を超えて労働をさせた場合には、罰則を科すのでしょうか、科さないのでしょうか。
(事務局) 激変緩和措置には罰則は付いていませんが、指導を目安に基準に合うような指導を行います。
(委員) つまり強力な指導をするということですか。
(事務局) はい。
(委員) 強制力が半ば入っていますよね。基準を超えた場合には、3回も4回も指導して、直らなければ、ちゃんと交渉する、そのような意味での強制力が働いていますよね。育児休業に入っている深夜業の制限の制度を守らなかった場合はどうなるのですか。
(事務局) それにつきましては、都道府県労働局の雇用均等室のほうで行政指導をしています。一応基本的に権利の性格自体は民事上の効果を発生させる形成権ですので、罰則で担保はされておりませんけれども、権利関係としては請求すればたとえ就業しなかったとしても、就業命令違反とかそのようなものは生じないということですし、またその履行を確保するために雇用均等室のほうで一生懸命指導を行っているところです。
(委員) いままでそれにかかわる事案というのは特段ないのですか。
(事務局) 個別事実としてはあまり多く聞いてはいないという状況です。
(委員) いまのような解釈も可能でしょうけれど、36協定の範囲内でしか残業させることできませんから、基準法附則第133条の特定労働者については150時間と書いて届ければ、それ以上超えると32条違反になるのではないですか。
(事務局) そのとおりです。先ほど申し上げたのは協定が150時間を超えて就業させれば32条違反です。
(委員) たぶん例外規定を必ず企業は持っていると思いますから、あとはやはり中身だと思うのです。どうにもならないときの処置を36協定で規定していると思いますから。
(委員) 一般の36協定は適用除外と例外が入っていますが、激変緩和措置は例外がありますか。
(事務局) 激変緩和措置には例外はございません。通常の労働者につきましては、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定める場合は、この限りではない、という条項が付いておりますが、激変緩和措置のほうの基準にはこれはございません。
(委員) かえってそれは問題ですね。
(委員) そうすると、現行の激変緩和措置が書いてある労働基準法上の世界と、仮に深夜業の制限の制度と同じく育児・介護休業法に書いた場合と、労働者にとってどこがどう違うか。つまり32条、基準を重視するという意味では労働基準法は強いですよね。ところが、仮に同じ書き方で、育児・介護休業法に置いた場合に、事業主に対する責任と、労働者の権利との関係でどのような違いがあるのでしょうか。
(委員) 消費者には罰則は科せられないから、労働者の権利は一緒ですよ。
(部会長) 悪質な場合は公表の対象にはなるのでしたか。
(事務局) 育児・介護休業法は公表はございませんので、助言、指導、勧告、までです。
(委員) 6頁の、対象者の所定外労働時間数についての資料ですが、これは激変緩和措置の適用を求めた人たちの所定外労働時間数についてはどうなっているのでしょうか。
(事務局) 今年の数字はございません。
(委員) 1カ月の所定外労働時間が100時間以上というのは、何をやっても直らないのではないでしょうか。100時間以上も所定外労働を行う人は、新しい産業である場合、よくいるみたいですが、これは法違反ではないんですか。
(事務局) 本人が申出をしているかどうかという問題もございます。
(委員) いや、そうではなくて、そもそも申出しようがしまいが100時間というのはその問題以前の問題だと思います。こういう場合は、激変緩和措置を実施したとしても、全く影響はないのではないでしょうか。
(委員) このデータは、単純平均の1カ月という意味で、つまり1年はこのデータの12倍になるという理解でいいのですか。それとも、たまたまどこかをとったときがこうだったのかによって、いまおっしゃっていることとの関係は出てくると思うのですね。このデータの見方を教えてください。
(事務局) これは平成12年、今年の1月1日現在の調査なのですが、調査表では、ここ1カ月の所定外労働時間は何時間ですかと聞いておりますので、平成11年、昨年12月の実績となります。
(委員) そうすると、かける12にはならないかも知れないけれども、単月を取るとこのような傾向が出てくるということは言えるわけですね。
(委員) サービス業などは年末12月は忙しい。
(委員) 新製品の研究開発に当たる者などは36協定で定める労働時間の限度に関する基準については適用除外ですよね。それから、特別の事情が認められれば800時間でも900時間でも一応届けても受け付けてもらえますから、そのような職種の人はこの中に入ると、想像はできます。それ以外の人がこれに入ればすこし問題でしょうけれど、やはり特段の事情で認められた人と見るのがノーマルではないでしょうか。
(委員) 8頁の表も、いまと同じように、平成11年12月1カ月のデータという見方でいいですか。
(事務局) 同じです。
(委員) これ、毎月勤労統計では男女別には取っていなかったですか。
(事務局) 取ってありますが、8頁の表は所定外労働時間数の分布を示していますが毎勤統計では平均時間でしか出てきません。
(委員) そちらの女性と男性との比較はどうでしょう。毎月勤労統計の4月5月の結果を見ると、「所定外労働時間数」は男女平均で同じです。やはり、つい最近見たのでは、5月か6月のものだったと思うのですけれども、平均9時間台です。4月のものも10時間前後だったと思います。多いところでも、建設業あたりが14時間前後だと思う。どうも最近そのような実態あるような気がするのです。
(事務局) 17頁に毎勤の数字が出ています。おっしゃるとおり、月間で総平均をすると9.6時間となっています。
(委員) この6頁の見方ですけれど、末子が小学校入学前である女性労働者の1カ月の残業の頻度といった場合に、たまたま少ないのか、本人が申し出た場合に、させないという制度があってこうなっているのか。この見方だと、「ほとんどない」が62.7%というのは、たまたまそういった労働者がそう答えたということなのか、そのような配慮があってこのようなふうに出てくるのかで、随分違うと思うのです。会社の慣行なりで、小学校に入る前の子供については配慮してるでしょう。したがって、申し出た結果、62.7%となっているのか、たまたまそのような事情だったのかで、見方が全然違うと思うのです。
(事務局) 激変緩和措置とのリンクした数字はすこし取ってないものですから、それぞれ激変緩和措置がある事業場なのか、申出をしている人なのか、してない人なのかという点についてはすこし取れないのです。
(委員) 激変緩和措置だけではなくて、会社として、小学校に入る前の子供がいる方については残業はさせないようにしましょうということで制度があって、それで、このような実態があるのか。そのような制度がない中で、12月にたまたま「ほとんどなかった」という者の割合が62.7%なのか。その会社は特別の対策を講じているのか。
(事務局) 同じ調査の企業調査のほうで、「所定外労働の時間制限」が育児のための制度としてあるという企業は38.5%です。それから、「所定外労働なし」という制度があるという所は34.5%です。このほかにそれぞれ育児とか介護に限らずに一般的な制度としてあるという所が、所定外労働の時間制限のほうで8.3%、所定外労働なしのほうで5.6%ございますので、4割から5割ぐらいの所ではこのような制度があると、そのような企業にお勤めになっている女性労働者の方の実態ということでご理解をいただきたいと思います。
(委員) 確認ですけど、6頁の(1)の資料も、先ほどと同じように、平成12年の12月1カ月のデータということでよろしいですか。
(事務局) これは先ほどのとは違いまして、ここ1カ月ではなくて、残業は1カ月のうちどのくらいありますかと何も前提条件を書かずにそういう聞き方をしております。
(委員) 平均というふうに見たほうがいいということですか
(部会長) 一般的にということですよね。
(事務局) 概ね平均的な姿を表していると思います。
(委員) もう少し議論するに当たって、急に残業が入った場合などに利用される一時預かり等が、どのような利用状況なのか。もちろん地域により違うのでしょうが。それから、深夜業というのは22時から朝の5時までですから、24時間保育の保育園というのもあるけれど、ほとんどないという中で、時間外労働というのはまた違う問題も有していて、保育園との関係というか、そのようなものとかなりリンクするお話ですよね。だから、私は本来は家族責任を有する場合は時間外労働をさせないというのを原則にすべきだと思っているのですけれども。しかし、例外で突発的に時間外労働の必要ができた場合にはそのような制度があってよいというのもあるのでしょうけれども、そのあたりの絡み合いはこの議論をする際にすこし重要かなと思っているのでが、そのあたりはどうなのでしょうか。保育園において時間外労働というか、そのようなのを予定された預かり方がどうなっているか。東京は8時まで、地域によっては6時まででしょうか。通勤時間との関係もありますから、その辺の絡みでこれは議論しないとどうかなと思うのです。
(部会長) 保育所の関係は統計としてあるのですか。
(事務局) 保育所の開所時間のデータはございますけれども、確か遅いほうですと、7時を超えてやっているというところは非常に少なかったように記憶しておりますが、必要でしたらまた資料をお出ししたいと思います。
(委員) その辺と絡みの制度をどう考えるかというところが違うと、単なる理屈の話ではないという感じがするのですが。
(部会長) 検討項目を事務局で整理していただくときにそのような保育行政との絡みというのも入れてもらうということは可能かと思いますけれども。
(委員) やはり時間帯の実態の数字、女性だけ見ますと、6頁の数値が、5時間未満が55.3%で、5〜10時間が13%ですから、やはり6割ぐらいが5時間そこそこでやっているというのが実態です。一方、毎月勤労統計のほうもほとんどそれと大きな差がないような実態になっていると、そのような認識が1つできるのではなかろうかなと思います。それが1つつかんでおかないといけないことかなと。ただ、いまこれから議論しようとするときには、女性だけに限った議論にできないのでしょうから、どうするかという問題はありますが。ただ女性についてはそのような実態にあるんだということをここからやはりつかんでおかないといけないと思います。ただ例外的にはさっきの100時間みたいなおかしな実態が起こっている。
(事務局) 保育所の数字がありましたので、ご報告させていただきます。まず始まるほうの時間ですけれども、7時台、7時〜7時59分までの間に始まるのが79.0%、8時〜8時59分、8時台のほうが20.7%となっております。終わりのほうにつきましては、7時01分〜18時までというのが48.7%、18時01分〜19時00分まで、これが37.6%、19時1分以降は合わせましても2.7%です。
(部会長) ファミリー・サポート・センターの活用率、そんなこともできれば知りたい。それはありますか。
(事務局) 申し訳ございませんが今日数字がないものですから、また資料としてお出しさせていただきますけれども、昨年度全国で62カ所設置となっております。
(委員) それで、育児で辞められる方というのは結構いらっしゃるのですけれども、その中でそのような時間外労働の頻度が高くて、対応できなくて辞めているとか、そういう辞めた理由別の数字というのはあるのですか。
(事務局) 育児のためまた結婚のために辞めた人が何人というものはありますが、それ以上の括りでの調査は把握してございません。
(委員) 6頁の(2)の資料との関連なのですが、例えば時間外労働の多い人が子育てをどう対応しているかというようなクロス集計が出るようなデータというのはあるのでしょうか。この(2)の時間外労働が月100時間以上は多いですが、この人たちがどう対応しているかというのを、次の頁にいろいろな制度の利用状況がありますが、それとのクロス集計で、どう対応しているのかというようなデータというのは取れるのかどうかお聞きしたい。
(事務局) サンプルがどこまで小さくなるかという問題がありますけれども、クロス集計で可能かと思います。
(事務局) 急な残業ときどう対応しているかという結果については。前回御説明したのですけれども。
(事務局) 残業の場合、認可保育所が29.8%、認可外が6.3%、親・兄弟など親族が78.4%でして、ファミリー・サポート・センターはちなみに0.5%ということになっております。そのほか、ベビーシッター・家政婦が3%というような状況です。
(委員) それは突発的な残業という前提でいいですか。
(事務局) これは残業というふうに聞いていますので、通常の残業ということです。
(委員) すこしほかのテーマで質問してもいいでしょうか。委員から配られましたパンフレットの3頁目の下のところに、「育児・介護のための時間外・休日労働等の免除」とお書きになっているのですが、いまの労働基準法の133条の激変緩和措置はやめて、育児・介護休業法に移せということなのですか。
(委員) いや、本体の議論はあるのですけれども、移した場合はそのような制度としていただきたいということです。労働基準法の世界の議論もしたいと思います。これはもちろん違う世界ですから、チェックしながらですけれど。
(委員) 労働基準法に残す会議は女性だけになりますよね。
(委員) 労働基準法でいう特定労働者だけのものを労働基準法に残すのは議論があります。36条の基本的な議論はもちろんあるんですけれど、もし仮に特定労働者、家庭責任を持つ労働者を再使用した場合には、深夜業の制限の制度と同じような書き方で免除措置として育児・介護休業法に定めるというふうになるのです。
(委員) そうですね、この改正案だと激変緩和措置ではないですよね。だから、育児・介護休業法を考えられているのかなという印象だったのですが。
(委員) 一番いいのは労働基準法できちんと一般労働者を含めて定めることですが、それはまだ、例外の職種もあれば、特別な事情もたくさんありますから。残業についてはもともと例外的労働で、それは週末とか月末とか予め予定されることももちろんあるでしょうけれども、かなり例外的な場合を想定しますと、ものの考え方としてはやっぱりそのような労働者については、請求した場合について免除するというのが基本的考え方で、そこはそのように対応すべきではないかと思うのですよね。
(委員) 労働基準法の中の考え方にはなじまないかも知れませんね。
(委員) ですからね、ポスト激変緩和措置なんだけれども、いま言ったような時間外の実態からすれば、ポスト激変緩和措置ではないのですよね。違う問題として考えないと。男性をそこに呼び出してくる。そのような意味を持ってくる検討ではないかなと思う。このまま男女の問題としてその時間外の免除制度を検討するのであれば意味が違ってくると。基準法のほうに前回決めたときにいろいろ書いてあるけれども、その延長線上の問題ではない。この実態からすればそう言えるのではないかなと思うのです。
 それから、私は免除、免除というのがものすごく気になっているのですよ。時間外労働と両立支援を考えた場合に、やはり意識の問題だと思うのですよ。包括的には時間外協定でやるのだけれども、実際に時間外労働を指示するのはいろんな形態あるのですが、使用者なのです。ですからこれは、使用者の意識の問題だと思うのです。そこをやはりやるのが本筋だと思う。免除が先にくるというのはおかしいと思っているのです。
(委員) 公平さを考えたらやっぱり制度を敷かないと。
(委員) 包括的にやるには制度を敷くのもいいかも知れないし、性悪説でいくとそのようなことになるのだけれど、私は性善説に立っていますので。
(委員) しかし、深夜労働の免除措置は、所定内の深夜労働については免除しますよね。こっちは所定労働時間外という例外労働ですよ。
(委員) そうではなく、制度制度ですべて両立支援を達成したいっていうのは間違いではないかということを言いたい。
(委員) 一般労働者についても本来例外なのだからということで、32条を超えた場合には36条というのは入って例外で免除しているのですけれど、この場合、特に家庭責任を持っているということに、もうこだわっているわけですから。
(委員) それ自体を否定しているわけではないのです。世の中が全部うまくまるまるにはどうしたらいいかということを考えている。
(委員) 意識の問題で所定外労働、時間外労働という予め労使が結んだ協定で定めた時間外労働の範囲を超えて労働をさせるというのは、例外労働でもあり、加えて、家庭責任を負っているという労働者について考える場合には、そのような労働者が請求した場合には免除することが適当ではないですか。
(委員) ただ時間外労働の認識としては例外だということはあるかも知れないけれども、それは別の見方もあるのではないですか。雇用の問題に対するクッションの問題もあるし、それから、仕事というのはみんな波があるわけです。
(委員) それで育児を理由に辞めた人の理由の中に残業問題がどれだけ入っているかわかりませんけど、それは耐えられない、ということで辞めている方が結構いるんだと思うのですよ。
(委員) 例えば、それが本当に究極の理由で辞めていると誰も言えないと思うのです。
(委員) 今の議論にに関連するのですけれど、深夜業の場合には深夜業という労働の特質から免除でないと、一部を軽減してくれというのはなかなか難しいかも知れません。時間外労働の場合は、全部免除もあるし、一部免除もあるかも知れません。だからそれは軽減という言葉になれば、全部免除か一部免除で、労働基準法においてそうするか、育介法においてそうするかでしょうけれども、全部免除になると、請求する方もしにくいというのがあるから、一部免除という言葉を使えば、それは軽減という方向になるかも知れない。そのような考え方もあり得るのではないでしょうかね。
(委員) 時間外労働を1カ月全部免除してくれというのは、女性労働者自身も請求しにくいのでは。だけど、このうち、半分ぐらいにしてくれとか、あるいは、月のうちの半分にしてくれとか、そのような軽減の方法もありますから、免除は全部免除を意味しないだろうとは思うのです。
(委員) 深夜業と時間外労働とでは、やはり労働の中身が違ってくるのではないかという印象を持っています。
(委員) 現行だと対象となる子の年齢は1歳未満と、小学校入学前ですね。ですから、それまでの間は手を挙げたらずっと免除でいくのかどうか。方法としては、ある程度申出期間を細切れにするでしょうね。原則はそのようなことで、毎年決算するわけでしょうから、これは年間で切るのでしょうか。
(委員) 職場の実態から言えば、まずものの考え方として「両立支援」ということをどれだけきちっと明確にするかという意味での免除ということが非常に私は有効だと思うのですね。その上で、保育体制と連動する問題というのが現実的にはあるので、子供の年齢や、それを免除請求する人のおかれた事情によっては完全免除もあるし、いまおっしゃった部分免除もある。そのようなものは取り入れていいというふうに思うのです。ただ気になるのは、ものの考え方としてきちっとやっぱり捉えておくということがスタートラインにないと、これからの議論そのものもすべて関係があるというふうに思うので、その点はいかがでしょうかというのを須永さんにお聞きしたい。
(委員) それについては、先ほどの議論に少し戻るんだけれども、意識と制度の問題 です。意識をまず高めて、それに制度がついていくのだと思っていますので、先ほどの例を挙げて、やはり制度は立派なのができつつあるけれども、よくよく見たら別の動きが出ているではないかと。いまはやはりこの問題について本当に長期的に両立支援を達成するために何が必要かということを考えたときに、私はやはり意識の問題を高めるのをまずやらなくてはいけないと思っているのです。ですから、細々した制度を作るのが本当に両立支援の究極の目的に繋がるかどうかと疑問を持っているのです。
(部会長) 委員は意識の啓発というのはどのようなことをお考えですか。
(委員) 基本方針に書いてあるようなことですよ。
(部会長) それを具体的には、方法論としてはいかがでしょうか。
(委員) 基本方針に書いてあることを議論しながらやるのだと思うのです。事業主の問題も、働く対象者自身の問題もかなりあるわけですから、その双方に対して意識啓発をやらないといけないと思うのです。そのための仕組みが国としてあるかどうかというのは疑問です。それをしっかりまずやらないと、制度だけできても、ちぐはぐな制度ばかりになってしまう。
(委員) 私も意識のことについては同感なのですね。ただ、そちらが先ということではなくて、やはり両方同時にということではないかと。次回また出したいと思うのですが、私どもの組織で最近アンケート調査した結果がありまして、「家族と仕事を両立させるための条件として必要だと思うことは何ですか」という質問のトップが、「夫婦で協力する」という意識がトップだったのですね。それは本当にみんな個人個人もそのような思いが大きいということがデータからも表れたのですが、やっぱりその次に望んでいるものは具体的な制度なのですよ。だから、どちらかが先になって、制度はあとでもいいということではなくて、やっぱり両方がいま求められているのではないかなと思いますので、意識の面についてはやることがたくさんあるかと思いますし、それは同感ですけれど、制度があとでいいということではないような気がします。
(委員) 必ずしも絶対的にそのような言い方ではなくて、意識の整っている部分と整ってない部分があるわけですよ。やはり育児休業を国で支援すると、企業も支援すると、そのような仕組みを作ったわけですが、その意識が同レベルで浸透してないからああいう数字に出るかも知れないですね。仮にあの数値傾向が続くとしたら、そういうこともいえるのではないのでしょうか。
(委員) その背景というのはいろんな場面があって、たまたま数字としてはそうなったかもしれませんけども。
(委員) しかし、休業を取って辞めるという事実は、1つの例示で言っているのですけれども、明らかにそのような人たちがいるということは事実です。ただ、それが17%のうちの全部かどうかというのはわかりません。それはそこまでは言えませんけれども、同じ統計を繰り返し取っていくうちにどのような傾向を示すのか、あの数字は注意していかないといけない数字だろうと思うわけです。
(委員) 先ほど事例に出された、最初から取って辞めたいという人がいるということは、もうたぶん何人かいたのかも知れませんけれど、本当は続けたいと思っても、途中でいろんな環境で辞めざるを得なかったという人もたくさんいると思うのですね。
(委員) たくさんいるかも知れませんが。
(委員) どちらが多いとはわからないのでしょう。
(委員) だから、これについては、それで資料についての質問の際に退職者の理由は何かと聞いたわけですよ。それはわからないというお答えでしたので。わからないから推定せざるを得ないのだけれども、このような一例はあるということを御説明したわけです。
(委員) そのような事例もあるとは思いますけど、やむを得ずというふうのほうが私は多いというふうに思いますので。
(委員) それは議論してもしょうがない。
(委員) あまりどちらの例が多いということではなくて、どのようなことが必要なのかという議論をさせていただけたらと思います。
(委員) 意識というか、色々な場面を考えたとき、短時間勤務制度もまた絡んでくると思うのです。ある所定時間8時間の事業場に、6時間勤務制度ができたとして、それが仮に、全事業場義務づけられた場合は、その所定外労働問題というのはそんなに負担にならなくなってくるのではないかと。例えば8時間の所定外労働というのはよくあるのですけれど、6時間プラス2時間というのは、ある意味では保育園もあって、できるかも知れない。そのような連関性を持つのだから、とりあえず私は原則、その例外的労働が突発的であれ、予め予定されたものであれ、家庭責任を持っている方については、免除しましょうと。所定労働は別ですが。
(委員) どうあるべきだと議論するのはいいですし、それも必要かと思うのだけれども、実態はどのようなふうに動いているのかということから政策が出てくればいちばんいいと思うのです。このような傾向に動いているから、求めるところと違っている方向に行ったら修正しないといけないとか。理念だけでやっていると、違うところにいってしまう可能性があるという1つの例示として申し上げたのです。それから、短時間の問題はまた別の問題です。
(委員) しかし、深夜業免除、時間外緩和を外すときは、女性を活用したいのだというふうにおっしゃって、制度を変えたではないですか。そのときは、「女性意識は意外とよくないなあ」と一方で言いながら、そのときは意識と言わずに制度と言って、今回制度でなく意識というのはおかしいのではないですか。
(委員) いや、性善説で動いていますから。
(委員) いやいや、まず制度を変えることが労使の意識を変えていくのですよ。
(部会長) 委員のの御意見もポスト激変緩和措置として意識啓発だけでいいということではないのですよね。
(委員) 違います。ですから、いくつかの視点として言ったのは、労働時間の実態をまず見なければいけないこということ。ポスト激変とは言いながら、激変緩和措置の延長ではないのだということ、そういう実態になっているのだということ把握した上でどう考えるべきだということです。
(委員) これは、規模別の数字はわかりませんか。残業あるいは所定外労働時間など各種の数字が出ていますけれど。後ろのほうにはいくつか規模別のものはありますが。
(事務局) 上場企業に勤務する女性労働者が対象になっておりますが。
(委員) この調査は全部労働者調査ですか。
(事務局) 女性労働協会の調査はすべてそうです。規模別のデータがございました。残業の頻度につきましては、小学生の子供を持つ親もすこし含んではおりますけれども、「ほとんどない」というところは299人以下で65.3%、300〜999で57.8%、1,000〜4,999で61.0%、5,000以上で63.4%という数字です。それから、反対側のほうの「ほとんど毎日」というところにつきましては、299人以下は9.5%、300〜999は8.6%、1,000〜4,999は7.8%、5,000以上が7.1%ということですので、企業規模によりまして顕著な差は見られないということです。
(委員) 「ほとんど毎日」という方はどのような条件のもと、できるのでしょうか。
(部会長) 専門職とか管理職が入っているのですよね。
(事務局) そうですね、3世代同居とか、近くに親、兄弟がいて、面倒を見てもらっている総合職のような。
(事務局) 残業の場合にどのようなところを利用しているかで、「ほとんど毎日」というところですと、認可保育所が31.1%、親・兄弟などの親族が82.5%、その他はもう2〜3%ずつです。
(委員) 自分の経験で身の周りにいる女の人で、若い人たちは、夫婦で携帯電話を持っていますから、それでやり取りしています。今日は家に早く帰れるとか。それによって決めたりする、そのような動きが確実に出ている。若い人たちの意識というのは随分変わってきていると思います。それから、もう1つ自分の経験で言いますと、時間外労働についてですが、製造現場で管理職をやっていたときに、700名ぐらいのところで女性が100名ぐらいいたのですが、いま単価が小さいものというのはコスト非常に厳しく、特に外国との関係も出てくるので、基本的には、やはりコストを下げるためには、労働コストの高い時間外は使わないのです。それがもう基本にあるので す。できるだけですけれども、それは繁閑が厳しいときにはやむを得ずやりますけれども、できるだけ日常生産管理1カ月の予定を立てるときには、時間外を組まないという傾向が世の中の流れになっているような気がします。そのようなことからも、特に生産現場で時間外がほとんどないという数字にそういう傾向は出てくるのではないかなと思います。スタッフの面は随分それとは違った傾向があるのではないかなと思いますけれども、生産現場というのはそのような傾向が強まっていると思います。
(部会長) 資料に対するご質問もたくさん出ましたが、ポスト激変緩和措置に関してのご提言があればどしどし出していただきたいのですが。
(委員) 結論はよくわからず、多くの人の意見もまだ聞いてないので言えないのですけれども、やはり先ほど言ったように激変緩和措置はこれで終わったので、両立支援の問題として捉えるというのが流れだと思います。そうなってくると、すこし極端に言いますと、上限を150時間とかいうように決めるのは何かおかしいような気がしてきております。本当に、そのような規制がいるのかどうか。いくつか国会の附帯決議等出ていますけれども、本当にそのような流れでいいのか、非常に疑問を抱いております。
(委員) 女子保護規定が設けられたのは、もちろん女性の健康の問題、身体の問題からなのですが、歴史的に家庭責任を女性が負っていることもあって、ある程度の制限を加えたということでしょう。仮にそういうふうに理解できるとすれば、激変緩和措置の延長でこの問題をどうするかというだけではなくて、新たに現状の姿は難題だと思います。もちろん男女についてですけれど、家庭責任との関係で時間外労働というのは大きな課題だというふうに認識するかどうか。我々は、非常に大きな要素を持っていると認識しています。したがって、このところについて措置を講ずることによって、仕事も家庭もという、ある一定時期に。もちろん、全部一律規制するわけではなく、請求ということが入っていますが。まずはいさめるべき課題だと私は思うのですが。だから、ポストというのは従来型の、家庭責任とか、150時間という制限が急に全部なくなってしまうということで、そのような方について3年間設けたわけでしょう。さらに飛躍させないと。
(委員) 確かに男性の問題がありますから、女性の問題だけ考えると、この実態と比較的ものは考えやすいのですけれども、そうでない男性も考えないといけないということがあるわけです。そこをきちんと意識してやらないと、そこの変化が今度は大きくなるわけですから。そこに変化が出てくるわけでしょう、新たに。
(委員) それこそ男性意識を変えるということです。
(委員) だから、そこで必要なのは何かということを僕ら考えるときに、やはり事業主あるいは本人たちの意識の変革がまず大切だということです。性善説です。特別なことを決めなくても、事業主がやりますよと、あるいは、本人たちもできる範囲ではやると。ただし、わざわざ暇なときに残業させる人はいないわけですから。
(委員) 育児で辞めている理由というのには、もちろん保育園等のサポート体制の問題というのがもちろん一方にあるのでしょうけれど、もう1つは、やはり時間外労働が頻繁に行われている等なのです。
(委員) 本当にそうなのですか。
(委員) そうです。それでどうしようかと。いまは核家族ですから、特に大都市では、近くに頼れる人もいないという中で苦労して辞めていく方がよくいらっしゃるのではないかと。
(委員) 理念的にはそのような人がいるのではないかということはわかりませんが。本当にそうなのですか。
(委員) 少子化問題も一方で言われていますけれど、こちらは当然の措置というか、むしろまだ遅れているという感じなのです。
(委員) 統計からそのようなものが出てくればいちばんいいわけで、そうしたら自分の考えをまとめるのでも、それに基づいて考えられるのだけれども、そのようなのがないときに理念だけで走ってものを決めるのは非常に危険だと思うのです。理念というか、こういう労働者がいるではないかとか。
(委員) 理念かしら。
(委員) 辞めている理由として、一方のパートナーの教育がないところなどいろいろありますけど、しかし、男女について家庭責任持っている方について、両立するために困ってないようにしてあげましょうというのが今回の目的ですから。当然理念ではないと思います。
(委員) ポスト激変緩和措置について、やはり労働基準法の133条の延長で議論するか。育児・介護休業法の中で議論するかによって、相当理由付けその他変わるのではないかと思うのです。だから、そのあたりの労使のコンセンサスがやはり必要なような気がしますし、どこかではやはり、どちらの方向を選ばれるかは選択されないと。どちら選べるかわかりませんけど、やはりそこが今回のポイントではないでしょうか。
(委員) 前から申し上げていますのは、中基審にも検討を始めますよということを、いうべきだと。中基審はどのような話かわからないけれど、労働省の書き方は、育児・介護休業法の書き方で133条があるからこっちで検討とおっしゃっていますけれども。中基審は、9月17日ですか。そこで少しキャッチボールがあるのか、すこしわかりませんが、そのような議論をしてもらったほうがいいかなと思います。
(委員) 133条を置いている限り、やはり女性の保護という視点が非常に強いですよね。育児・介護休業法になると、保護がゼロになるわけではありませんけど、やはり理念が相当違ってくると思うのです。133条も捨ててしまって、育児・介護休業法へ移るのか、やはり133条の延長線でもう1回例外規定を置くというふうに、あとワンタームぐらいそうするのかですね。
(委員) いまの委員と全く同じ感じを持っているのですが、現状の133条というのは、この均等法の改正に伴って、労働基準法の、労働時間規制の男女平等化を進めるに当たって、従来からの現状は、家庭責任は女性がある意味では事実負担していたから、そのようなような家庭責任の事実上の負担を考慮して、そのような家族的責任を持っている女性労働者については当面の間軽減を考えようということだったのですよね。ですから、女性労働者のみを対象にしている軽減措置ではないですか。これからポスト激変緩和措置の問題を改めて考えるときに、先ほどの委員のお話にもありましたように、ポスト激変緩和措置の延長問題ではないということの趣旨は、要するにそのような家庭責任の男女共同負担ということも踏まえて、今後の課題としては、単なる女性、家族的責任を担っている女性労働者のための軽減措置の問題だけにとらわれていくのではなくて、当然男性も含めた形での労働時間規制のあり方の問題です。そのあり方の問題は、やはり家族的責任というものがベースになりますから、その中でどう考えるかというふうに認識しておいてよろしいのですか。委員もそういうような認識でおっしゃっていたということで認識してよろしいですね。
(委員) はい。
(委員) その上で労働基準法133条の延長で考えるか、若しくは延長というか、そういうものを絡めて考えるか、それよりもむしろ育児・介護休業法のほうに土俵を移して考えていくか、それは委員がおっしゃるとおりだというふうに僕も認識しております。その前提で、いまの延長も単なる延長問題ではないのだという認識で考えてよろしいですね。
(部会長) どうなのでしょうか。労使双方に伺いますが、その法律的な整理として労働基準法でいくか、育児・介護休業法でいくか、その辺の腹はまだ決まってないということでしょうか。
(委員) いや、法律的な仕組みはどうなるのかよくわかりませんけれど、やはり、附帯決議の趣旨というのは、3年間の激変緩和措置が終わったら今度はそれを議論するというときには均等法の精神から言って、女性だけの問題ではないなという認識はしております。本当は女性だけのほうが考えやすいのですが。
(部会長) 労働側委員はどうですか。
(委員) 私は前から2条、36条という世界がありますよと言っているのです。私はもともと36条で150時間というのを男女という、家庭責任を外してやってほしいという求めをして、結果、新しい基準ができて、360時間となりましたけれど、その書き方がどのような議論かによってこっちも変わってくるのでしょうけれど、向こうは難しいという現状ですね。それで当面の措置として、家庭責任を有する労働者において、深夜業免除と同じような扱いを議論することも必要かなという考えなのです。だから、中基審側の対応もそのような意味で是非報告してほしいと、前から言っています。
(部会長) そろそろ今日の時間が終わりそうなのですが、どうでしょう。当然この問題というのはもう少し深く議論をしたい事項なんだろうと思いますが、この段階で議論をさらに詰めていくよりは、これはこれで一旦置いておいて、両立支援のところでもう1回復活させて議論をするということ、その間にヒアリングをするというようなことも併せ考えて、もう1回復活させるという前提でこの議論はここで一応打ち切るということでいかがでしょうか。
(委員) 結構です。この問題だけではなくて、すべてこれから1回1回やるものも同様でお願いします。
(部会長) ということで、ご異議がなければ一応今日の議論はここで終わりにしたいと思います。次回は「育児休業制度」ということで、これはもう決めてしまっていいのでしょうか。それとも何か新しくプランを立てる中で決めますか。
(事務局) 資料の準備等もございますので。よろしければお決めいただいたほうが。
(部会長) それでは次回は「育児休業制度に関して」というテーマでご議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ではよろしくお願いいたします。次々回以降は事務局のほうでプランを立てていただきます。それを見て、またご相談をさせていただきたいと思います。今日の議論はこれで終わりにさせていただきます。


連絡先
厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
企画係 佐藤、大友
03(5253)1111(内線7855)

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