中長期的にみた働き方と生活の変化


 まもなく21世紀になろうとする中で、我が国は高度成長期、安定成長期に続く新たな時期を迎えている。すなわち、この半世紀を振り返ると、最初の四半世紀(1945〜1974年) は、戦後復興とそれに続く高度成長の時代であり、先進諸国へのキャッチアップを目指した時期であった。次の四半世紀(1975年〜現在) は、高度成長から安定成長へ移行し、2度の石油危機、1985年以降の円高、バブルの発生と崩壊といった大きなショックを経験するとともに、労働力需給両面に様々な構造変化が生じた時期である。
 この間の労働力供給の変化としては、高齢化の進展、女性の職場進出、高学歴化などがあげられ、また、若年層を中心として就業意識・行動も大きく変化している。また、労働力需要の変化としては、国際化、経済のサービス化、技術革新の進展、情報化などの動きがみられる。こうした中で、雇用環境面でも、産業・職業別就業構造や労働移動、失業等労働市場に中長期的な変化が起こるとともに、労働者の働き方も就業形態や職業生涯、労働条件等の各面で大きく変化している。また、消費や生活時間構造にも変化がみられる。
 今後、21世紀に向けて新たな構造改革の時期を迎える中で、多様な労働者がその持てる能力を十分発揮し、生活の充実を図っていくためには、そうした雇用環境、働き方、生活面の中長期的な動向と新たな変化の動きを見極めることが大切である。
 そこで、「平成10年版労働経済の分析」(平成10年版労働白書)では、第T部「平成9年労働経済の推移と特徴」において、景気の動向等を反映して厳しさを増していった労働経済の動向について、1997年を中心に分析した。また、第U部「中長期的にみた働き方と生活の変化」においては、上のような観点に立って、安定成長期の経済・雇用情勢を概観した上で、就業形態、職業生涯及び労働条件といった働き方並びに生活面の中長期的変化の方向・内容とその背景・要因を明らかにするとともに、今後一層急激に進むと考えられる経済社会の構造変化に柔軟に対応し、我が国経済の活力を維持していくための方策について検討した。
 その概要は以下のとおりである。


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