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7.精神保健福祉士の義務について

(1)信用失墜行為禁止義務

 精神保健福祉士が、その業務を円滑に遂行し、精神障害者の社会復帰に貢献するためには、相談援助の相手方である精神障害者及び国民一般との信頼関係を確立する必要があります。そのため、精神保健福祉士の信用を失墜させる行為を行った者については、登録の取消等の制裁措置を講じることとしています。
 信用失墜行為に当たる例としては、以下のようなものがあります。
 ・精神保健福祉士としての業務に関連して犯罪を犯した場合。
 ・相談援助業務の対価として不当な報酬を請求し、相談者に多大な経済的負担を生じさせた場合。
 ・素行が著しく不良である場合。

(2)秘密保持義務

 精神保健福祉士の業務上、精神障害者の精神疾患の状態、病歴・経歴、その家族関係等の個人の秘密に当たるような事情についても知ることが必要な場合がありますが、一方でこれらの個人情報は不用意に外部に漏洩すると、精神障害者に対する不当な誤解や差別を生みかねません。そのため、障害者のプライバシーを保護し、精神障害者が安心して精神保健福祉士の相談援助を受けられるようにするため、精神保健福祉士には守秘義務が課されています。もし、精神保健福祉士が、相談援助の相手方である精神障害者の秘密を漏洩した場合には、精神保健福祉士の信用を失墜させるだけではなく、精神障害者自身の利益を侵害することになるため、単に登録を取り消すだけでなく、罰則(一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金)を科すこととしています。

(3)医師との関係

 精神症状の安定していない社会復帰上の精神障害者の円滑な社会復帰のためには、個々の精神障害者の精神疾患の状態や治療計画、医学的に必要となる配慮等についても十分に把握した上で、相談援助を行うことが必要であります。そのため、精神保健福祉士は、業務を行うに当たって、精神障害者に主治医があるときは、個々の精神障害者の精神疾患の状態や治療計画、医学的に必要となる配慮等について、主治医より必要な助言を受けなければならないものとしたものであり、そのことを 精神保健福祉士法上は「医師の指導」と規定しております。
 なお、医師の指導を受け、どのような相談援助を行うかについては、精神保健福祉士の専門性の範疇であるので、具体的な業務内容についてまで拘束されることはありません。
 しかしながら、医師の指導を全く受けないで、業務を行った場合には、相談の対象となる精神障害者について正しい知識をもっていないことから、精神保健福祉士として適切な業務を行えないため、このような場合には精神保健福祉士の登録を取り消すことができます。


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