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医療法等の一部を改正する法律案の概要

【制度改正の趣旨】

 高齢化の進展等に伴う疾病構造の変化などを踏まえ、良質な医療を効率的に提供する体制を確立するため、入院医療を提供する体制の整備、医療における情報提供の推進及び医療従事者の資質の向上を図る。

◎ 入院医療を提供する体制の整備<医療法>

→ 患者の病態にふさわしい医療を提供

(1) 病床区分の見直し

 結核病床、精神病床、感染症病床を除いた病床(従来の「その他の病床」)を「療養病床」及び「一般病床」に区分

(1) 療養病床 (精神病床、感染症病床及び結核病床以外の病床であって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床)
 ・ 人員配置及び構造設備基準は現行の療養型病床群と同じ
(2) 一般病床(精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外の病床)
 ・ 入院患者4人に対し看護婦1人の基準を入院患者3人に対し看護婦1人に引上げ
 ・ 病床面積について患者1人当たり6.4平方メートル以上に引上げ(新築・全面改築)
* 現行の「その他の病床」を有する病院は、施行日から2年6月以内に新たな病床区分の届出を行う。
* 人員配置基準については、へき地・離島等の病院又は現行の「その他の病床」が200床未満の中小病院について施行後5年間の経過措置を設定
* 5年間の経過措置期間後の取扱いについては、対象となる病院の病床区分 の推移や看護職員の充足状況等を踏まえて見直しを行う。

(2) 必置規制の緩和

 病院の施設のうち、外部委託の進展等により一律の義務付けの必要が薄れてきた施設について、必置規制を緩和

(3) 適正な入院医療の確保

 人員配置基準に照らして著しく不十分である等の場合における医療機関に対する増員命令等を制度化

※公布後6月以内の政令で定める日から実施

◎ 医療における情報提供の推進<医療法>

→ 患者により多くの医療機関情報を提供

○ 広告規制の緩和

 「診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨」を広告できる事項として追加

※公布後6月以内の政令で定める日から実施

◎ 医療従事者の資質の向上<医師法・歯科医師法>

→ 全人的な診療能力の取得

(1) 医師及び歯科医師の臨床研修の必修化

 診療に従事しようとする医師・歯科医師の臨床研修を必修とする(現在は努力義務)
 [医師は2年以上、歯科医師は1年以上の臨床研修]

(2) 臨床研修の専念義務

 臨床研修を受けている医師・歯科医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならないこととする

(3) 臨床研修を修了していない医師・歯科医師の取扱い

 病院・診療所の管理者は、臨床研修を修了した医師・歯科医師でなければならないこととする

※ 医師の臨床研修に係る部分は平成16年4月から実施   
歯科医師の臨床研修に係る部分は平成18年4月から実施


医療提供体制の改革について

I 入院医療を提供する体制の整備

1.新たな病床区分

 現行の「その他の病床」(精神病床、結核病床、感染症病床以外の病床で療養型病床群等を含む)を療養病床と一般病床に区分し、患者にふさわしい医療を提供できる体制を確保する。

(1) 療養病床

 精神病床、感染症病床及び結核病床以外の病床であって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床を療養病床とする。〈法律〉

【人員配置基準】〈省令〉
 現行の療養型病床群の基準と同じ。

【構造設備基準】〈省令〉
 現行の療養型病床群の基準と同じ。

(2) 一般病床

 精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外の病床を一般病床とする。〈法律〉

【人員配置基準】〈省令〉
 医師 他:  現行の「その他の病床」と同じ。
 看護職員:  入院患者3人に1人

【構造設備基準】〈省令〉
 病床面積:  新築・全面改築の病室 患者1人当たり6.4平方メートル以上
 廊 下 幅:  新築・全面改築の病室 1.8m以上(両側居室2.1m以上)
 そ の 他:  現行の「その他の病床」の基準と同じ。


(参考)

区 分 療養病床 一般病床
主な人員配
置基準
医師 48:1
看護婦等 3:1
 看護婦・准看護婦   6:1
 看護補助者 6:1
薬剤師 150:1
医師 16:1
看護婦・准看護婦   3:1
 
 
薬剤師 70:1





必要施設 一般病床において必要な施設の他機能訓練室、食堂、談話室、浴室

機能訓練室には特例あり。
手術室、診察室、臨床検査施設、処置室、エックス線装置、調剤所等
1患者当
たり病床
面積
6.4平方メートル以上 新設(全面改築含む)6.4平方メートル以上
既設          4.3平方メートル以上
廊下幅 新設(全面改築含む)
     1.8m以上(両側居室2.7m)
既存病床からの転換
     1.2m以上(両側居室1.6m)
新設(全面改築含む)
       1.8m以上(両側居室2.1m)
既設    1.2m以上(両側居室1.6m)
※歯科医師については、歯科、矯正歯科、小児歯科及び歯科口腔外科の入院患者16人に1人
※薬剤師については、平成13年12月を目途に別途検討。

(3)区分の申出〈法律〉

 現行の「その他の病床」を有する全ての病院は、施行日から2年6月以内に、新たな病床区分の届出を行う。

(4)経過措置 〈省令〉

(1) 人員配置基準については、へき地・離島等の病院又は現行の「その他の病床」が200床未満の小規模の病院については、施行後5年間の経過措置期間を設定。
※ 5年間の経過措置期間後の取扱いについては、対象となる病院の病床区分の推移や看護職員の充足状況等を踏まえて見直しを行う。
(2) 施行日に現に存する医療機関については、療養病床に移行する場合、当分の間、以下のものに係る転換特例を認める。
  ・病院 : 廊下幅、機能訓練室
  ・診療所 : 廊下幅
(3) 施行日に現に存する療養型病床群については、療養病床に移行する場合、当分の間、従前の基準によることとする。


2. 医療計画の見直し

(1) 「必要病床数」という用語を「基準病床数」に改める。〈法律〉
(2) 新しい病床区分が定着するまでは、地域間格差の是正及び在院日数の短縮傾向等に対応するよう、基準病床数を算定。〈法律・省令〉
(3) 新しい病床区分が定着した後は、療養病床及び一般病床に係る基準病床数に関する標準はそれぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数を基にすることとし、これにより得られた基準病床数を超える場合は勧告を行う。〈法律・省令〉
(4) 具体的な算定に当たっては、都道府県知事の裁量により地域の医療の実情を反映することができるよう流入・流出加算の見直し等を行った上で、各圏域における基準病床数の算定を行う。〈省令〉


3.必置施設に関する規制緩和

(1) 消毒施設、洗濯施設については、法律上の規制は削除し、省令上の規制とした上で、外部委託する場合には必置義務を解除又は緩和。〈法律・省令〉
(2) 給水施設、暖房施設、汚物処理施設については、既に必置施設として義務付ける必要がないため、必置義務を解除する。〈法律・省令〉
(3) 給食施設、臨床検査施設については、法律上の規制はそのままとするが、外部委託する場合の要件を緩和。〈省令〉


4.適正な入院医療の確保

(1) 都道府県知事は、病院等の人員の配置が、医療法に定める人員配置基準に照らして著しく不十分であり、かつ、適正な医療の提供に著しい支障が生ずる場合として厚生労働省令で定める場合に該当するときは、その開設者に対し、期限を定めて、人員の増員を命じ、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができることとする。〈法律・省令〉
(2) 都道府県知事は、病床数の増加等の許可を受けた後正当の理由がないのに、6月以上当該許可に係る業務を開始しないときは、当該許可を取り消すことができることとする〈法律〉。
(3) 開設許可を受けた病院等の休止について、原則として1年以内とし、都道府県知事は、これらの病院等が休止した後正当の理由がないのに、1年以上業務を再開しないときは、当該開設許可の取消等ができることとする〈法律〉。
(4) 都道府県知事は、病院等の業務が法令等に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該病院等の開設者等に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命じること等ができることとするほか、報告徴収等について所要の規定の整備を行うこととする。〈法律〉


II 医療における情報提供の推進

1.診療録等の診療情報の提供の推進について

 診療録等の診療情報の提供を医療現場において普及・定着させていくために、医療従事者の自主的な取組み及び環境整備を推進する。

2.広告規制の緩和

(1) 「診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨」を広告できる事項として追加する。〈法律〉
(2) 以下の事項を広告できる事項として追加する。〈告示〉
 ・(財)日本医療機能評価機構が行う医療機能評価の結果
 ・医師の略歴・年令(生年月日)・性別
 ・共同利用できる医療機器
 ・対応可能な言語(手話・点字を含む。)
 ・予防接種(種別)
 ・健康診査の実施(「総合的な健康診査の実施」の変更)
 ・保健指導・健康相談の実施(「健康相談の実施」の変更)
 ・介護保険の実施に伴う事項(紹介をすることができる介護関連施設の名称等)


III 医師・歯科医師の臨床研修の必修化〈法律〉

(1) 診療に従事しようとする医師は、2年以上臨床研修を受けなければならないこととする。

 診療に従事しようとする歯科医師は、1年以上臨床研修を受けなければならないこととする。

(2) 臨床研修を受けている医師又は歯科医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならないこととする。

(3) 厚生労働大臣は、臨床研修を修了した者の申請により、臨床研修修了の旨を医籍、歯科医籍に登録するとともに、登録証を交付することとする。

(4) (3)の登録を受けようとする者等は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならないこととする。

(5) 病院・診療所の管理者は、臨床研修を修了した医師、歯科医師とするとともに、臨床研修を修了していない医師又は歯科医師が診療所を開設しようとする場合には、医師・歯科医師以外の者と同様に許可を要することとする。


IV 施行期日等〈法律〉

 施行日は、公布の日から6月以内の政令で定める日から施行する。ただし、医師の臨床研修の必修化に係る部分については平成16年4月1日から、歯科医師の臨床研修必修化に係る部分については平成18年4月1日から施行する。


照会先:厚生省健康政策局総務課 03-3595-2189


医療法等の一部を改正する法律

理 由

医療法等の一部を改正する法律案 新旧対照表


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