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「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」改正の概要


1.地域における健康危機管理体制の確保

(1) 地域保健対策の推進の基本的な方向として、「地域における健康危機管理体制の確保」に関する事項を追加すること。
 具体的には、地域において発生した健康危機に対して、都道府県及び市町村等が担う役割として、次の事項を追加すること。
 都道府県及び市町村(特別区を含む。3.(1)を除き、以下同じ。)は、他の地方公共団体を含む関係機関及び関係団体等との連携、調整等を行うほか、健康危機発生時における保健衛生部門の役割をあらかじめ明確化するとともに、健康危機発生時の健康危機管理体制について定めた手引きを整備すること。
 また、健康危機情報が一元的に管理されるとともに、健康危機管理体制の管理責任者に対して適切に伝達され、管理責任者から保健衛生部門に対する健康危機管理に関する指示が適切に伝達される健康危機管理体制を構築する等の地域における健康危機管理体制を確保するための取組を行うこと。

(2) 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営に関する基本的事項として、地域における健康危機管理の拠点としての保健所の機能強化に関する事項を追加すること。
 具体的には、保健所が地域における健康危機管理の拠点としての機能強化を図るために担う役割について、次の事項を追加すること。
 保健所は、地域における健康危機管理の拠点としての機能強化を図るために、平時から、地域における医療の提供状況を把握し、評価するとともに、地域における医療提供体制の確保に努めること。
 また、健康危機の発生時には、地域の保健医療情報の集約機関となるよう体制の整備を図るほか、健康危機発生に際して健康危機管理の科学的評価を行い、将来の施策に反映させる等の取組を行うこと。

(3) 地域保健に関する調査及び研究に関する基本的事項として、地方衛生研究所等の機能強化に関する事項を追加すること。
 具体的には、地域における健康危機管理能力を高めるために、地方衛生研究所における機能強化について、次の事項を追加すること。
 都道府県及び政令指定都市は、地方衛生研究所等における病原体や毒劇物についての迅速な検査体制及び検査機能を充実するとともに、国立試験研究機関及び他の地方衛生研究所等の関係機関との間の連携体制の構築を図る等の取組を行うこと。

2.介護保険制度の円滑な運用のために、地域保健対策として取組を強化すべき事項

(1) 地域保健対策の推進の基本的な方向として、「介護保険制度の円滑な運用のために地域保健対策として取組を強化すべき事項」を追加すること。
 介護保険制度の円滑な運用のために、市町村及び都道府県が取組を強化すべき事項として、次の事項を追加すること。
 市町村及び都道府県は、地域における老人保健対策においては、健康づくり対策、要介護状態になることの予防対策及び自立支援対策を強化するとともに、高齢者を対象とした地域ケアシステムづくりの推進等の介護保険制度の円滑な運用のために必要な活動を強化すること。

(2) 社会福祉等の関連施策との連携に関する基本的事項として、「介護保険制度の円滑な運用のための取組」を追加すること。
 具体的には、介護保険制度の円滑な運用のために、市町村及び都道府県が取組を強化すべき事項として、次の事項を追加すること。
 市町村は、介護保険制度の円滑な運用のため、介護保険事業と老人保健事業との連携を図ること。
 都道府県は、介護保険制度の円滑な運用のため、保健、医療、福祉サービスに関する情報の提供等を行うこと。

3.ノーマライゼーションの推進に関する事項

(1) 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営に関する基本的事項として、次の事項を追加すること。
 具体的には、障害者プランの推進のために、都道府県の保健所が取組を強化すべき事項として、次の事項を追加すること。
 都道府県の保健所は、障害者福祉に関する市町村の実施するサービスについて、専門的な立場から技術的助言等の援助に努めること。
 都道府県の保健所は、都道府県の障害者計画の計画策定に関与するとともに、障害者福祉等の保健、医療、福祉のシステムの構築について企画及び調整を推進すること。

(2) 社会福祉等の関連施策との連携に関する基本的事項として、次の事項を追加すること。
 具体的には、都道府県の保健所が取り組むべき事項として、次の事項を追加すること。
 都道府県の保健所は、精神障害及び難病等の専門的かつ広域的に対応することが望ましい問題を有する住民に対して、保健、医療、福祉の連携の下での最適なサービスを提供するための調整機能を果たす等の取組を行うこと。

4.21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21計画)の推進に関する事項

(1) 地域保健対策の推進の基本的な方向として、「科学的な根拠に基づいた地域保健の推進」を追加すること。
 具体的には、科学的根拠に基づいた地域保健の推進のために、都道府県及び市町村が取り組むべき事項として、次の事項を追加すること。
 都道府県及び市町村は、科学的な根拠に基づく地域保健の企画及び実施に努める必要があること。

(2) 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営に関する基本的事項として、21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21計画)の推進のために、保健所が取り組むべき事項として、次の事項を追加すること。
 保健所は、健康指標の収集及び分析を行うこと等により、住民とともに住民の健康づくりを推進する拠点としての機能を強化する必要があること。

5.保健所及び市町村保健センターの整備に関する基本的事項

 都道府県及び政令指定都市の保健所の整備並びに政令市の保健所及び市町村保健センターの整備について、次の事項を追加すること。

(1) 介護保険法施行法第58条に基づき、都道府県の設置する保健所の所管区域について所要の改正を行うこと。

(2) 政令指定都市は、保健所の設置について、地域の特性及び実情を踏まえつつ、住民が受けることができるサービスの公平性が確保されるようにすることが望ましいこと。

(3) 政令市は、保健所を地域保健に関する総合的な企画機能を有する中核機関として位置付けるとともに、保健所と市町村保健センターの密接な連携を図り、効率的かつ効果的な保健サービスの提供を可能にする体制を整備する必要があること。

6.地域保健対策に係る人材の確保及び資質の向上に関する基本的事項

 都道府県及び市町村が取組を強化する必要がある事項として、次の事項を追加すること。

(1) 地域保健対策に係る人材の確保のための取組

1 都道府県、政令市及び特別区は、地域における健康危機管理体制の充実等の観点から、保健所における医師の確保等に努めること。
2 都道府県は、精神保健福祉士その他の地域保健法施行令第5条に規定する職員の継続的な確保等により、地域保健対策の推進に支障を来さないように配慮すること。
3 市町村は、保健婦(士)、管理栄養士等の地域保健対策に従事する専門的技術職員の計画的な確保を推進することにより、地域保健対策の推進に支障を来すことがないように配慮すること及び地域における人的資源を活用すること。

(2) 地域保健対策に係る人材の資質の向上のための取組

 都道府県及び市町村は、関係職員に対する研修の企画及び調整を一元的に行う体制を整備するとともに、人事交流等の実務研修を行うほか、体系的な研修を計画的に推進すること。
 都道府県は市町村が行う研修に対して支援を行うこと。

7.その他

 その他所要の規定の整備を行うこと。


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