トピックス HOME


特定家庭用機器廃棄物に係る特定家庭用機器再商品化法の再商品化等の基準等
及び廃棄物処理法における廃棄物処理基準の案に対する御意見について


平成11年5月24日
厚生省水道環境部リサイクル推進室

 特定家庭用機器廃棄物(家庭用のエアコン、テレビ、電気冷蔵庫及び電気洗濯機が廃棄物となったもの)に係る特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の再商品化等(リサイクル)の基準等及び廃棄物処理法における廃棄物処理基準については、その考え方と案を厚生省ホームページに掲載し、平成11年3月16日から4月11日まで御意見を募集し、計81件の御意見をいただきました。お寄せいただいた御意見の概要と当省の考え方につきまして御報告します。ありがとうございました。

1.御意見の概要

(1)家電リサイクル法施行当初の再商品化等の基準についての御意見

・ 再商品化等基準案は、非常に厳しい数値ではあるが、諸般の事情を考慮し、基準達成に向け努力したい。

・ エアコンについて60%のリサイクル率は非常に厳しい数値である。ウインドタイプはさらに厳しくなる。リサイクル率設定においては、初年度はある程度達成可能と思われる50%位として状況を見た中で順次55%、60%とすべくお願いしたい。

・ リサイクル率算入基準は、再商品化市場に乗るかどうかで決めてもらいたい。現状では逆有償であっても目的を持って合理的に処理するケースはリサイクル率にカウントすべきである。

・ 既存の技術では、ガラス、金属類、各部品については素材回収効率80%では達成できない。テレビの再商品化等の基準値55%は、未解決技術要素、不確定要素を含むものであることに留意すべきである。

(2)家電製品の各素材についての御意見

ア.金属類について

・ アンチモン、ニッケル等のさまざまな重金属について、再資源化することを明示し、再資源化できないケースについても完全に回収して処分し、環境中には絶対に出さないこととすべきである。
イ.プリント基板の金属類について

・ プリント基板のはんだの回収施設が極めて少なく、山元還元法は鉛のリサイクルにつながらない。はんだ(鉛入り)の使用量が必ずしも大型プリント基板であるから多いとは言切れないうえ、テレビのブラウン管ガラス(鉛入り)はテレビの構成部品の相当の割合をもっているために、プリント基板中のはんだまで回収しなくても新法施行当初としては十分な効果を期待できることから、新法施行当初から義務とすることは適切でない。
・ プリント基板の処理について、はんだ鉛の適切なリサイクル又は処分が行われていくべきとされているが、管理型処分場での管理という実態を踏まえた、現実的な措置が適当である。
・ 大型プリント基板の定義は「画面が25インチ以上のテレビのメイン基板とする。」とすることを提案し、鉛、スズの金属類の再資源化は、「経済的な再資源化技術が確立されるまで、当面、無害化処理を行うもの」とすべきである。
・ プリント基板に使用される鉛、スズ等の金属類については、再資源化することを明示し、再資源化できないケースについても完全に回収して処分し、環境中には絶対に出さないこととすべきである

ウ.ガラス類について

・ ブラウン管ガラス類の再資源化について、ガラスカレットの再資源化関連業界の協力が必要である。
・ ブラウン管については、鉛ガラスなど問題があり、再資源化することを明示し、再資源化できないケースについても完全に回収して処分し、環境中には絶対に出さないこととすべきである。

エ.プラスチック類のマテリアルリサイクル(原材料としての再資源化:特定家庭用機器再商品化法にいう「再商品化」)について

・ 平成12年度から容器包装リサイクル法が完全施行される状況にあり、家電製品に含まれるプラスチックのマテリアルリサイクルについても早期に再商品化基準に含めるべきである。
・ 冷蔵庫と洗濯機はその40%がプラスチック類であり、この2品目については、当初からリサイクルを義務づけられないか。優先順位は材料リサイクルだが、容器リサイクル法と適合する厳しいエネルギー利用率を決めて、埋めるよりは熱回収を認める方向を検討すべきである。
・ プラスチック類のマテリアルリサイクルについて、低コストで実用運用されるまで当面猶予してほしい。
・ 樹脂の原材料メーカーに対しても、今回の家電リサイクル法等プラスチックの再商品化について、一定の役割分担が必要である。

オ.プラスチック類のサーマルリサイクル(熱源としての利用:熱回収)について

・ 熱回収(サーマルリサイクル)は基本的には焼却処理であり、環境リスクが懸念されることから、これを最大限回避し、マテリアルリサイクルを基本とすべきである。
・ 熱回収としてのリサイクルの位置づけを明確にすべきである。
・ プラスティック類は熱回収を認める表現はすべきでないと考える。

カ.フロン類について

・ 冷蔵庫の断熱材フロンの回収・処理は製造業者の自主的取り組みだけでは不可能で、現時点では、排出者負担額は受認限度を超える。また、将来に向けての燃焼無害化の技術開発や体制整備等を早急に着手することが必要である。
・ 断熱材フロン回収・処理について速やかな義務付けは対応が困難である。
・ 冷蔵庫の断熱材フロンの回収・処理は、法施行当初より一部に回収・処理可能施設が存在する以上、「自主計画による製造者負担」ではなく「公的資金を投入」してでも実施する必要がある。
・ 冷蔵庫の断熱材フロンについては、法施行に向けて再商品化施設の整備が新たに図られることから、製造業者の努力により回収費用の低減を図るなどして当初から回収を義務づけるべきである。
・ 断熱材フロンは量も多く、また断熱材フロンも冷媒のフロンと同じく環境負荷を生じさせるもので、回収の必要性は同じはずである。コストの問題として考えるべきではない。
・ 断熱材フロンについては、埋め立てることになっており、早急に適正処理の方策を立てるべきである。断熱材フロンが何の対応もされずに大気中に放散されることは回避すべきである。

(3)将来の再商品化等の基準等についての御意見

・ 将来的内容に関しては、今後の施設の整備状況、実動面での処理技術の進捗状況と、消費者の負担金額の容認限度を充分考慮すべき。「2008年に歩留まり90%」は全国ベースで展開するには非現実的な値である。

・ 再商品化率80〜90%の達成時期は新法制定後10年では達成極めて困難である。

・ 基準の改訂に当たって、特にプラスチック類について、「再商品化等」が可能となる社会環境整備に行政として努力をし、その整備状況を踏まえた検討をすること、基準達成時期について、現実的な製品の開発・商品化の期間に基づく検討をし、2019年とすることが現実的で妥当である。

・ リサイクルしやすい製品が廃棄されるのは、施行後10数年後であり、プラスチックのリサイクル技術開発動向を踏まえることと、樹脂メーカーの役割分担の強化が必要であり、現時点で将来のリサイクル率を言及するのは時期尚早と考える。

・ 段階的に引き上げていくことが適当という考え方が示されているが、リサイクル技術を向上させ再商品化費用の低減を図りながら、より早期に再商品化基準を引き上けるべきである。

・ 家電製品の再商品化等基準は、いずれも低すぎる。木製キャビネット製品に別
途特例を設定しつつ、全て80%以上とし、3年以内に見直しを行い、10年以
内に90%に引き上げることとすべきである。

(4)その他の御意見

 (以下の意見は、制度全般の在り方等に対する意見であり、再商品化等の基準等に直接関係するものではありませんが、今後の施策を検討するに当たっての御意見として掲載します。)

・ 大型家電のみではなく、全てのもの(電球、電池、ホットプレートなど)を対象とすべきである。また、対象機器の素材として用いられているプラスチック類や木もリサイクルの対象とすべきである。

・ モーター、コンプレッサー類の事前取外しなど、ガイドラインの検討に当たっては、新しい処理技術の開発・採用を妨げないよう配慮すべきであり、でなければ、ガイドライン設定は不適当と考える。

・ 自治体が家電廃棄処理にかけている実コスト(台数あたりベースで)を早急に開示し、広く国民に認識していただくことが料金の請求を基本とする家電リサイクルの仕組みを円滑に機能させるために必要である。

・ 市町村にまかせるだけでなく、その製品を生産した業者が回収し、リサイクルをすべきである。

・ 再商品化等基準は、消費者の容認負担金額(リサイクル及び回収費用)と密接な関係があり、消費者の負担金額は厳しい再商品化等基準をクリアさせるためのものである旨消費者へのPRをお願いしたい。

・ 自治体が粗大ごみとして収集した特定家庭用機器廃棄物を製造業者等の設置する指定引取場所まで搬入し、製造業者等に引き渡す費用については全額製造業者等の負担とするよう要望する。また、特定家庭用機器廃棄物については、一般廃棄物から除外し、小売業者から製造業者等へのリサイクルルートとなるよう、今後の法改正の検討も併せてお願いする。

2.当省の考え方

 いただいた御意見に対する当省の考え方は以下のとおりです。また、特定家庭用機器廃棄物の処理については、4月20日付けで生活環境審議会廃棄物処理部会特定家庭用機器処理基準等専門委員会の報告がまとまっておりますので、ご参照ください。

http://www.mhw.go.jp/houdou/1104/h0420-2_13.html

(1)家電リサイクル法施行当初の再商品化等の基準について

・ 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)は平成13年4月から本格施行の運びとなり、特定家庭用機器の製造業者等については法で定める再商品化等の基準を満たす再商品化等と再商品化等と一体として行う事項を行わなければならない
こととなります。

・ 本格施行当初の再商品化等の基準については、現在の廃棄物処理・リサイクルの水準等を勘案し、特定家庭用機器を構成する素材のうち金属類、ガラス類について素材回収効率80%程度を算定に見込み、プラスチック類等現状ではリサイクル可能量を把握することが困難なものについては今回の算定対象には入れないことにしたいと考えます。再商品化等の基準としては、エアコン60%、テレビ55%、電気冷蔵庫及び電気洗濯機50%以上としたいと考えます。

・ 再商品化等を義務として実施する製造業者等の方々にとっては厳しい数値かも知れませんが、法の趣旨を御理解いただきたいと考えます。

・ なお、再商品化等がされたかどうかの指標は法の規定にもあるように「自ら原材料として利用」又は「有償又は無償で他人に譲渡」することですので、いわゆる逆有償の状態であれば、再商品化等として基準に算入することはできません。

(2)家電製品の各素材について

・ 家電リサイクル法の対象となる特定家庭用機器(エアコン、テレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機)はおおむね鉄、銅、アルミ等の金属類、プラスチック類、テレビについてはこれにガラス類が加わるものです。

・ 今回の再商品化等の基準等の検討に当たっては、これら共通する素材を中心にそのリサイクルの可能性等を検討したものです。それぞれの素材に関する当省の考え方は以下のとおりです。

ア.金属類について

・ 特定家庭用機器に含まれる金属類については、鉄、銅及びアルミがその重量のほとんどを占めています。廃棄物の減量・資源の有効利用の観点から、今回の再商品化等の基準においては、これら3つの金属を対象とすることとしたいと考えます。
 また、廃棄物処理基準においても盛り込むこととしたいと考えます。
・ その他の金属類(プリント基板の金属類を除く)については、機器の重量に比較して少なくこれを再商品化の対象とするかどうかによって再商品化等の基準の値が変わるものではありませんが、その他の金属類についても生活環境保全の観点からリサイクルの方策等について今後検討を進めていきたいと考えます。
・ また、再商品化等されず残渣として存在する金属類については廃棄物処理法に従い適切に処理されることとなります。

イ.プリント基板の金属類について

・ プリント基板(ここではプリント基板やこれを取り巻く部品類を言います。)にも銅、鉛、アルミ等の金属類が含まれます。これを分離し再商品化することが廃棄物の減量・資源の有効利用の観点とともに適正処理の推進という観点からも適当であることから、廃棄物処理基準において再生処理の対象としたいと考えます。
・ しかしながら、特定家庭用機器に使用されているプリント基板は大小さまざまであり、極く小さなプリント基板まで全てを分離し再生処理することは、これに係る費用(すなわち料金)が非常に高くなる等の可能性があることから、今回は、比較的大型のプリント基板(メイン基板)が使用されているテレビを対象としたいと考えます。
・ また、再生処理されず残渣として存在する金属類については廃棄物処理法に従い適切に処理されることとなります。

ウ.ガラス類について

・ 特定家庭用機器に使用されているガラス類のほとんどはブラウン管ガラスです。
 今回の再商品化等の基準においては、これを対象とすることとしたいと考えます。
 また、ブラウン管ガラスは鉛ガラスとその他のガラスから構成されるものですが、両方ともに再商品化の対象とすることとしたいと考えます。また、廃棄物処理基準においても盛り込むこととしたいと考えます。
・ また、再商品化の過程で発生した微細なガラスくずについては、廃棄物処理法に従い適切に処理されることとなります。

エ.プラスチック類について

・ プラスチック類については、特定家庭用機器の多くの部分を占めるもので、リサイクルの必要性が高いものです。しかしながら、プラスチック類を再商品化するための施設・能力がそれほど多くなく義務として再商品化等の基準に算入することが困難であること、熱回収を行う場合どのような熱回収が適切として認められるものであるか未だ検討の余地があること等から、家電リサイクル法の本格施行当初においては再商品化等の基準に算定しないこととしたいと考えます。
・ しかしながら、平成12年4月から容器包装リサイクル法が完全施行となり全てのプラスチック製容器包装がリサイクルの対象となること等を踏まえ、順次、再商品化等の基準の対象とするなどの対応を採っていきたいと考えます。また、熱回収として認めうる水準等についても検討を進めていきたいと考えます。
・ また、本格施行後の再商品化等の基準の引上げに当たってはプラスチック類の取扱が大きな要素であることから、製造業者等にはプラスチック類のリサイクルを念頭においた製品の設計・製造、プラスチック素材メーカー等関係者の協力が不可欠であると考えます。

オ.フロン類について

・ フロン類については、電気冷蔵庫の断熱材フロンの回収・破壊が一部で進められているものの全国的に見ると施設・能力の観点から対応が困難であると考え、家電リサイクル法の本格施行当初においては、エアコン及び電気冷蔵庫に冷媒として使用されているフロン類の回収・破壊等を行うこととしたいと考えます。
・ 電気冷蔵庫の断熱材フロンについては、施設整備の状況等も勘案しつつ、当省としては早急に法の義務としてその実施を確保したいと考えます。

(3)将来の再商品化等の基準等について

・ 特定家庭用機器はその使用状況等により異なるものですが、おおむね10年から15年程度使用され廃棄されるものと考えます。つまり、現在製造販売された製品が廃棄の中心となるのは約10年後と考えられます。当省では、将来達成されるべき再商品化等の基準等については、家電リサイクル法の公布から10年後(2007年)を目標として順次引き上げ、80〜90%としていくことが適当と考えます。
・ 将来の再商品化等の水準を考えるに当たっては、単に製品の入れ替わりだけでなく、その間のリサイクル関連の施設整備、リサイクルに関する技術開発の進展等を考慮することが必要です。他方、再商品化等の基準等については義務として設定されるものであり、その時点における廃棄物処理の状況を勘案することも必要です。
・ 将来については不確定要素が大きいことは理解できますが、現下の廃棄物処理をめぐる厳しい状況、資源循環型経済社会の構築への強い社会的要請に応じていくためには、関係者が一丸となって取り組んでいく必要があります。
・ 言うまでもなく、廃棄物の更なる減量、リサイクルの水準の向上は自然に達成されるものではなく、関係者のかなりの努力が必要ですが、リサイクルを推進することの意義を十分御理解いただき、取り組んでいただきたいと考えます。
(4)今後の予定について
・ 再商品化等の基準(エアコン60%、テレビ55%、電気冷蔵庫50%、電気洗濯機50%以上の再商品化)、再商品化等と一体として行うべき事項(エアコン及び電気冷蔵庫の冷媒フロンの回収・処理)については、特定家庭用機器再商品化法施行令を改正により規定されることとなります。

・ また、特定家庭用機器廃棄物からの鉄、銅及びアルミの回収及び再生、テレビに使用されているガラス類及びプリント基板の金属類の回収及び再生等については廃棄物処理法施行令の改正等により規定されることとなります。

・ 公布時期は5月末を考えています。

<貴重な御意見をお寄せいただきありがとうございました。今後とも廃棄物処理・リサイクルにつきまして、御理解と御協力の程、お願いいたします。>


照会先
厚生省水道環境部リサイクル推進室


トピックス HOME