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8.老人保健事業等の推進について

(1)保健事業第4次計画の推進について
 ア 保健事業第4次計画の策定

 老人保健法に基づく医療等以外の保健事業については、昭和58年以来、3次にわたる計画により推進してきたところであるが、今年度に終了する第3次計画に引き続き、平成12年度を初年度とする第4次5か年計画を策定し、保健事業の一層の充実を図ることとしているので、その推進について特段の配慮をお願いしたい。
 第4次計画は、ゴールドプラン21における「ヤング・オールド(若々しい高齢者)作戦」推進の柱として、疾病(特に生活習慣病)の予防及び寝たきりなどの介護を要する状態となることの予防(以下「介護予防」という)を通じ、「健康日本21」の目標でもある健康寿命の延伸を図ることを重点的な目標とし、ひいては、医療保険制度及び介護保険制度の安定的な運営にも資するものである。
 平成12年度においては、第4次計画の初年度分として、所要の事業量を確保したところであるので、管下市町村に対し保健事業のより一層の推進が図られるよう指導方をお願いするとともに、これに必要な都道府県、市町村における財政措置についても、特段の配意をお願いする。
 第4次計画の詳細については、後日、お示しする予定であるが、事業量等については、「保健事業第4次計画の考え方について」(平成11年10月29日付事務連絡)を参考とされたい。
 イ 保健事業第4次計画の推進>

 (ア)疾病(特に生活習慣病)予防のための施策の推進
(1) 重点対象疾患等について
 重点的に対策を講じることが必要な疾患として、がん、脳卒中、心臓病、高血圧、高脂血症が挙げられる。また、歯周疾患及び骨粗鬆症についても取組を推進することが重要である。
(2) 健康度評価(ヘルスアセスメント)に基づいたサービスの提供について
 保健サービスを、対象者個人個人の必要性に応じて、計画的かつ総合的に提供する観点から、新たに、生活習慣行動票や基本健康診査の情報等を基に、保健指導者が、本人の意向を踏まえたサービス提供のための計画の作成を行う「健康度評価事業」を導入することとしので、市町村における実施体制等に留意しつつ、積極的にその推進が図られるよう特段の配慮をお願いしたい。
(3) 個別健康教育の推進について
 これまでの疫学研究の成果等を踏まえ、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙の4領域について、対象者と保健指導者が1対1で実施する方式の「個別健康教育」を新たに実施することとしたので、第4次計画の期間中に事業の導入を図ることができるよう、市町村に対する特段の指導と支援をお願いしたい。
(4) がん検診について
 平成10年度から、地方交付税措置(一般財源化)を講じたところであるが、平成12年度においても引き続き、各市町村が地域の実情に合わせた効果的ながん検診の実施等自主性を活かした取組がなされるよう期待しているので、本趣旨を理解の上、管下市町村に対する指導方配意願いたい。
 なお、がん検診に関する情報提供等については、今後とも積極的に取り組んでいくこととしているので、ご了知の上、管下市町村に対しても周知方をお願いする。
(5) その他各事業の推進について
 集団健康教育(新たに薬の健康教育の実施)、健康相談、健康診査等についても、その充実・強化について引き続き管下市町村に対して指導をお願いしたい。

 (イ)介護予防のための施策等の推進
 介護予防の観点からは、脳卒中等の疾病の予防に加えて、転倒、閉じこもり、生活機能の低下、運動機能の低下等にも着目した保健事業を福祉サービスや住民の自主的活動との連携に配慮しつつ実施することが重要である。
(1) 健康度評価(ヘルスアセスメント)に基づいたサービスの提供について
  (ア)の(2)「健康度評価(ヘルスアセスメント)に基づいたサービスの提供について」を参照。
(2) 機能訓練及び訪問指導の推進について
 介護予防対策推進のための事業として今後とも重要な役割を担っているので、介護保険制度との整合性を図りつつ、積極的な事業実施が図られるよう特段の配意をお願いしたい。
(3) 家族介護に携わる者に対する健康管理支援について
 家族介護に携わる者に対する健康管理を支援する観点から、「介護家族健康教育」等を新たに導入することとしたので、市町村における実施体制等に留意しつつ、積極的にその推進が図られるよう配慮願いたい。
(4) その他各事業の推進について
 (ア)の(5)「その他各事業の推進について」を参照。
 
 (ウ)保健と医療・福祉との連携
 高齢者の健康保持を図るためには、健康増進活動や生きがい対策を含む、保健・医療・福祉の連携や一体的な提供が必要であり、老人保健福祉計画においてこうした連携を位置づける等、特段の配意をお願いしたい。

 (エ)保険者による保健事業との連携及び整合性の確保について
 各保険者による自主的な事業運営を尊重しつつ、老人保健事業との連携と整合性を確保する観点から、都道府県における職域保健連絡協議会の設置及び活性化につき、特段の配意をお願いしたい。なお、同協議会は、「健康日本21」の推進における「中核的推進組織」の一つとして位置づけられていることに留意されたい。

 (オ)基盤づくりについて
 第4次計画を推進する観点から、保健事業の評価を適切に行うための情報システムの充実、人的資源の確保や研修の充実及び健康づくりボランティア活動の推進並びに研究の推進が重要であり、これらに関して今後とも積極的に情報提供に取り組んでいくこととしているので了知されたい。

 ウ 「ヤング・オールド作戦」関連事業について

 ゴールドプラン21においては、新ゴールドプランにおける重要な柱の一つとし
て推進してきた「新寝たきり老人ゼロ作戦」を発展させ、「ヤング・オールド作
戦」として推進することとしているが、今後は、介護予防対策、寝たきり予防対策
の観点から以下の事業を展開していくこととしているので、事業への取組みについて配意願いたい。

 (ア)地域リハビリテーション支援体制の推進
 高齢者が寝たきり状態になることを予防するためには、高齢者それぞれの状態に応じ、リハビリテーション医学に基づく、急性期、回復期、維持期の適切なリハビリテーションが提供されることが必要である。
 あわせて、障害を持つ者や高齢者が閉じこもり状態となり、老化に伴う心身機能の低下とあわせて寝たきり状態となることを予防し、住み慣れた地域において、生涯にわたって生き生きとした生活が送ることができるよう、医療・保健・福祉の関係者のみならず、ボランティア等の地域における住民が参画し、生活の場を中心に展開される、いわゆる地域リハビリテーションが適切に行われることが重要である。
 このため、平成10年度から実施している地域リハビリテーション支援体制整備推進事業を引き続き推進していくこととしており、平成12年度においては、地域リハビリテーション広域支援センターが、リハビリ施設等への指導・支援等を実施する事業を新たに補助対象として加えるなど、内容の充実を図ることとしたところであり、事業の実施につき配意願いたい。

 (イ)介護予防・生活支援事業の推進
 「新寝たきり老人ゼロ作戦」をより効果的、効率的に展開するため、都道府県において、寝たきりゼロ推進本部の設置・運営及び市町村、保健所等に対しての指導、助言、事業支援並びに住民に対しての普及啓発活動を行うこととして、都道府県事業については「寝たきり老人ゼロ作戦等普及啓発推進事業」を、また、市町村事業については「在宅高齢者保健福祉推進支援事業」を実施してきたところであるが、平成12年度より、これらについては「寝たきり予防対策普及啓発事業」として、「介護予防・生活支援事業」の中に位置付けることとしたので了知願いたい。
 さらに、同事業のメニューとして、食生活改善に係るボランティアの積極的な参画を得ながら、高齢者の食事の自立を促し、また、家族への食生活改善に関する支援を行うことにより、高齢者の生活の質の向上を図ることを目的とした「高齢者食生活改善事業」及び生活習慣病の予防を通じ、寝たきりや要介護状態となることを予防するための運動指導を効果的に推進することを目的とした「生活習慣改善事業」の二つの事業を新たに市町村事業として位置付け、推進することとしたので、管下市町村に対し積極的な取り組み方について指導をお願いする。

(2)老人保健施設等の整備と運営について

 ア 老人保健施設等の整備促進

(ア) 老人保健施設の整備については、ゴールドプラン21に基づき、計画的な整備を推進することとしている。
 平成12年度予算(案)においては、7,000人分を確保し、11年度第2次補正予算の4,000人分と合わせ、年度末から年度当初にかけて切れ目のない効率的な予算執行を図ることとしているので、遺漏のないよう取り扱われたい。
 また、老人保健施設(設備)整備費については、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)」の終了に伴い老人保健拠出金による老人保健施設の整備事業が廃止されることから、従来実施していた特別保健福祉事業費補助金による老人保健施設の施設整備事業についても併せて廃止し、民間立に係る老人保健施設(設備)整備費については、新たに保健衛生施設等施設(設備)整備費補助金において一括計上することとしたので遺漏のないよう取り扱われたい。

(イ) 痴呆性老人グループホームについても、ゴールドプラン21に基づき、計画的な整備を推進することとしており、平成12年度予算(案)において保健衛生施設整備分として100か所分を確保し、11年度第2次補正予算の100か所分と合わせ、老人保健施設整備と同様切れ目のない効率的な予算執行を図ることとしている。
 なお、平成11年度から医療法人等が老人保健施設に併設又は隣接して整備する場合に国庫補助の対象として整備促進を図ってきたところであるが、平成12年度から新たに精神科等を標榜する医療機関に併設又は隣接して整備する場合についても国庫補助の対象として追加することとしているので留意されたい。

(ウ) 老人保健施設等の整備に係る国庫補助協議については、別途通知するが、平成11年度第2次補正予算に係る協議と平成12年度予算に係る協議を併せ、2月初旬以降ヒアリングを実施するので準備方よろしくお願いいたしたい。
 なお、国庫補助協議にあたっては事業内容等の徹底した審査をお願いしているところであるが、国庫補助内示後において取り下げ、事業内容の変更等の事例が散見されるので、協議対象施設の審査にあたっては、厳密な審査をお願いいたしたい。

 イ 老人保健施設等の適切な運営
(ア)介護保険制度への円滑な移行
 平成12年4月から介護保険法が施行されることから、老人保健施設及び痴呆性老人グループホーム事業の円滑な移行に向け、管下市町村及び関係機関との連携を図り、施設の適切な運営に万全を期されたい。
(イ)感染症対策の適正な実施について
 結核、インフルエンザ等の施設内感染症対策については、従来から指導いただいているところであるが、今年度既に通知している、結核感染症の予防について、今冬のインフルエンザ総合対策及びレジオネラ症予防対策等を踏まえ、引き続き施設内における感染症対策について特段の注意を払うよう管下老人保健施設に対し、指導をお願いしたい。

 ウ 訪問看護事業所の整備促進
(ア) 訪問看護事業所(訪問看護ステーション)については、今後、増加する要介護老人等の在宅療養を支援するため、ゴールドプラン21において、介護保険制度における居宅介護サービスの一つとして掲げ、より一層の整備促進を図ることとしている。
 平成12年度予算(案)においては、1000か所分を確保したところであり、各都道府県においては、訪問看護制度の趣旨を踏まえ、要介護老人等の動向、地域特性を勘案しつつ、訪問看護ステーションの開設の促進について一層の配慮をお願いいたしたい。
 特に、訪問看護ステーションの整備が進んでいない地域においては、市町村等との連携の下に整備が阻害されている要因の分析・検討を行うなど、訪問看護サービスが効率的に実施できるよう整備の促進について配慮願いたい。
 また、過疎地等における整備対策としては、現行の従たる事務所に相当する事業の実施拠点の設置促進を図るなど、より一層の取組をお願いする。

(イ) 老人保健拠出金による助成制度が平成11年度で終了することから、民間立(営利法人立を除く。)に係る訪問看護ステーションの施設整備事業については、新たに保健衛生施設等施設(設備)整備費補助金において一括計上することとしたので遺漏のないよう取り扱われたい。


 エ 訪問看護ステーションの適切な運営
 平成12年度からは、訪問看護ステーションが、介護保険制度と医療保険制度の双方から看護サービスを提供することになるため、地域における各種の保健・医療・福祉サービスの実施機関及び居宅介護支援事業所等、関係機関との連携強化が一層促進されるよう配慮願いたい。
 また、訪問看護事業全体の質の向上を図るため、各都道府県におかれても、訪問看護ステーションの適切な運営、従事者の質の向上のための研修等について一層の指導をお願いする。


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