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1 少子化対策について

(1)新エンゼルプランについて

ア 趣旨

 少子化対策については、これまでエンゼルプラン及び緊急保育対策等5か年事業等に基づき、その推進を図ってきたところであるが、政府一体となって対策を進めるため、少子化対策推進関係閣僚会議において策定された「少子化対策推進基本方針」及び与党三党の少子化対策検討会による提言において、仕事と子育ての両立に係る負担感や子育ての負担感を緩和し、安心して子育てができるようにするための環境整備を進めるに当たって、特に重点的に取り組むことが必要な働き方や保育サービスなどの分野における施策を計画的に推進する具体的実施計画を策定することとされたところ。
 今般の新エンゼルプランは、こうした経緯を踏まえ、従来のエンゼルプラン及び緊急保育対策等5か年事業を見直し、平成12年度を初年度として、平成16年度までに重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画として、大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治の関係6大臣の合意により策定したものである。
イ 内容
(ア)このプランは、働き方及び保育サービスに加え、相談・支援体制、母子保健、教育、住宅などの総合的な施策の実施計画となっている。

(イ)厚生省関係としては、
1) 保育対策については、11年度で終了する「緊急保育対策等5か年事業」の後を受けてさらに、必要な時に利用できる多様な保育サービスを利用できるよう、
○ 需要の多い低年齢児(0〜2歳)の保育所受入枠を10万人拡大し、68万人とするとともに、
○ 延長保育を全国3,000か所拡大し、1万か所とするなど、弾力的な保育サービスの提供などを推進すること

2) 相談支援体制の整備として、
○ 地域子育て支援センターの整備をはじめとして、保育所の活用などにより、子育ての相談や一時預りなど多様な需要に対応できる子育て支援の拠点を地域に整備するとともに、
○ 放課後児童クラブを2,500か所拡大し、11,500か所とすること

3) 母子保健対策としては、
○ 新たに母子保健医療体制をプランの中に追加し、国立成育医療センター(仮称)の13年度開設、
○ 47都道府県への周産期医療ネットワークの整備など、安心して子どもを産み育てることができるよう妊産婦などについての母子保健対策を推進していくこと

を柱として、平成16年度の目標を設定し、対策を推進していくこととしている。

(ウ) 平成12年度予算案については、新エンゼルプランの目標達成に向けた保育対策、母子保健医療対策等の推進に必要な予算額を確保したところである。
 また、少子化対策推進基本方針においても、「地方公共団体においては、本基本方針の策定趣旨、内容を踏まえ、少子化対策の計画的な推進を図るなど、地域の特性に応じた施策を推進するものとする」とされたところであり、少子化対策の重要性を踏まえ、地方版エンゼルプランの策定・見直しを含め、積極的な対策の推進をお願いしたい。


重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について(新エンゼルプラン)の要旨
平成11年12月19日

I.趣旨
○ 少子化対策については、これまで「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(平成6年12月文部・厚生・労働・建設4大臣合意)及びその具体化の一環としての「当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方」(平成6年12月大蔵・厚生・自治大臣合意)等に基づき、その推進を図ってきたところ
○ このプランは、「少子化対策推進関係閣僚会議」で決定された「少子化対策推進基本方針」に基づく重点施策の具体的実施計画として策定(大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治の6大臣の合意)

II.主な内容
1.保育サービス等子育て支援サービスの充実

(1) 低年齢児(0〜2歳)の保育所受入れの拡大
(2) 多様な需要に応える保育サービスの推進
・延長保育、休日保育の推進等
(3) 在宅児も含めた子育て支援の推進
・地域子育て支援センター、一時保育、ファミリー・サポート・センター等の推進
(4) 放課後児童クラブの推進
2.仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備
(1) 育児休業を取りやすく、職場復帰をしやすい環境の整備
・育児休業制度の充実に向けた検討、育児休業給付の給付水準の40%への引上げ(現行25%)、育児休業取得者の代替要員確保及び原職等復帰を行う事業主に対する助成金制度の創設等
(2) 子育てをしながら働き続けることのできる環境の整備
・短時間勤務制度等の拡充や子どもの看護のための休暇制度の検討等
(3) 出産・子育てのために退職した者に対する再就職の支援
・再就職希望登録者支援事業の整備
3.働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正
(1) 固定的な性別役割分業の是正
(2) 職場優先の企業風土の是正
4.母子保健医療体制の整備
・国立成育医療センター(仮称)、周産期医療ネットワークの整備等
5.地域で子どもを育てる教育環境の整備
(1) 体験活動等の情報提供及び機会と場の充実
・子どもセンターの全国展開等
(2) 地域における家庭教育を支援する子育て支援ネットワークの整備
・家庭教育24時間電話相談の推進等
(3) 学校において子どもが地域の人々と交流し、様々な社会環境に触れられるような機会の充実
(4) 幼稚園における地域の幼児教育センターとしての機能等の充実
6.子どもたちがのびのび育つ教育環境の実現
(1) 学習指導要領等の改訂
(2) 平成14年度から完全学校週5日制を一斉に実施
(3) 高等学校教育の改革及び中高一貫教育の推進
・総合学科、中高一貫教育校等の設置促進
(4) 子育ての意義や喜びを学習できる環境の整備
(5) 問題行動へ適切に対応するための対策の推進
・「心の教室」カウンセリング・ルームの整備、スクールカウンセラー等の配置
7.教育に伴う経済的負担の軽減
(1) 育英奨学事業の拡充
(2) 幼稚園就園奨励事業等の充実
8.住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援
(1) ゆとりある住生活の実現
(2) 仕事や社会活動をしながら子育てしやすい環境の整備
(3) 安全な生活環境や遊び場の確保


新エンゼルプランの目標値について
 平成11年度目標値 
低年齢児受入れの拡大58万人平成16年度68万人
延長保育の推進7,000ヶ所平成16年度10,000ヶ所
休日保育の推進100ヶ所平成16年度300ヶ所
乳幼児健康支援一時預かりの推進450ヶ所平成16年度500市町村
多機能保育所等の整備365か所(5年間の累計で1,600ヶ所)平成16年度までに2,000ヶ所
地域子育て支援センターの整備1,500ヶ所平成16年度3,000ヶ所
一時保育の推進1,500ヶ所平成16年度3,000ヶ所
ファミリー・サポート・センターの整備62ヶ所平成16年度180ヶ所
放課後児童クラブの推進9,000ヶ所平成16年度11,500ヶ所
フレーフレー・テレフォン事業の整備35都道府県平成16年度47都道府県
再就職希望登録者支援事業の整備22都道府県平成16年度47都道府県
周産期医療ネットワークの整備10都道府県平成16年度47都道府県
小児救急医療支援事業の推進118地区平成13年度360地区(2次医療圏)
不妊専門相談センターの整備24ヶ所平成16年度47ヶ所
子どもセンターの全国展開365ヶ所1,000ヶ所程度
子ども放送局の推進約1,300ヶ所5,000ヶ所程度
子ども24時間電話相談の推進16府県47都道府県
家庭教育24時間電話相談の推進16府県47都道府県
総合学科の設置促進124校当面500校程度
中高一貫教育校の設置促進4校当面500校程度
「心の教室」カウンセリング・ルームの整備 平成12年度までに5,234校を目途


2 児童手当について

 平成12年度予算案においては、少子化の進行等を踏まえ、総合的な少子化対策の一環として、子育て家庭の経済的な負担の軽減等を目的とする現行児童手当制度について、所要の見直しを行うこととした。
 なお、今回の見直しは与党3党の「児童手当等に関する合意書」(平成11年12月22日付)を踏まえたものである。

(1)見直し内容の骨子

○ 支給対象年齢の延長
 現行 3歳未満 → 改正案 義務教育就学前まで(6歳到達後初めての年度末まで)
○ 手当額
 現行どおり 第1子・第2子 月額 5,000円
       第3子以降 月額 10,000円
○ 所得制限限度額
 ・0歳から3歳未満 現行どおり
 ・3歳から義務教育就学前 現行の所得制限限度額を適用。
  (特例給付に相当する部分についても同様。)
○ 費用負担割合 (地方自治体の負担は都道府県と市町村の折半)
 ・0歳から3歳未満 現行どおり
 ・3歳から義務教育就学前 国 2/3 地方1/3 (地方交付税措置予定)(なお公務員は全額所属庁)
  (特例給付に相当する部分についても同様)
○ 実施時期
 平成12年6月1日施行(予定)

(参考)与党3党の「児童手当等に関する合意書」(平成11年12月22日) =抜粋=

1.自由民主党・自由党・公明党の3党は、児童手当制度を少子化対策の柱として位置づけ、平成13年を目途として、支給対象年齢及び支給額の充実を含めた制度全体の抜本的な見直しを合意する。
2.制度の具体化を検討するに当たっては、社会保障制度全般にわたる改革の方向との整合性及び扶養控除の見直し等税制の在り方との関連に充分留意するとともに、その財源及び費用負担の在り方についても総合的に検討し、合意するものとする。
3.育児休業制度・保育サービス・母子保健対策など児童手当制度以外の少子化対策の充実を進め、これらの施策を総合的に推進するよう積極的に取り組むものとする。
4.現行の所得税及び個人住民税における扶養控除制度の見直しについては、平成12年度秋までに結論を得るよう努力する。
5.経過措置として、児童手当法(昭和46年法73号)を改正し、支給対象児童を小学校就学前(6歳に到達後初めての年度末)まで引き上げ、財源は平成12年度当初予算において措置することとした。
(2)市町村事務取扱交付金について
○ 物件費・人件費
・0歳から3歳未満 現行どおり
・3歳から義務教育就学前の事務費については、物件費及び人件費を予算措置しており、単価については、現行の特例給付程度に設定し、国が予算の範囲内において補助することとしている。
○ 受給者サービス経費及び市町村事務適正化対策費
受給者に対する広報及び今回新たにシステムを導入する場合、また今回の改正に伴うシステム変更にかかる経費を別途予算措置しており予算の範囲内において補助することとしている。
(3)今後の予定
○ スケジュールの概要
 1月中〜下旬 中央児童福祉審議会育成環境部会への諮問・答申
        社会保障制度審議会への諮問・答申
 2月中旬   改正法案閣議決定・国会提出
        国会(衆・参)における審議→法案の国会成立
        公布
        関係政省令の公布等
        6月1日 施行(予定)
○ 広報等の実施について
 ・制度改正の内容等について、貴管下市区町村等への情報提供につき、ご配慮をよろしくお願いする。
 ・改正法の円滑な施行に向けて、住民への情報提供や受給資格者の把握等、貴管下市区町村における準備等についても、遺漏ないよう、適切な対応をよろしくお願いする。
(参考)児童手当の財源内訳 児童手当の財源内訳
※所得制限額は、夫婦と児童2人の世帯の所得ベース
( )内は収入ベース(試算)


(3) 子育て支援基金について

 社会福祉・医療事業団における基金事業(「長寿・子育て・障害者基金」)として、政府出資金(現行2,400億円)の運用益により、高齢者や障害者の在宅福祉の充実と生きがい・健康づくり事業の推進、地域の実情に即したきめ細かな在宅福祉事業等の推進、地域社会における子育てや児童の非行防止への幅広い支援、障害者スポーツの振興を通じた障害者の社会参加等の推進を図るため、民間団体に対し助成を行っているところであるが、平成12年度予算(案)において、子育て支援のより一層の充実を図るため、子育て支援基金の拡充(400億円の追加出資)を図ることとしている。
 なお、今般、拡充される基金の取り扱いについては、別途通知することとしている。
各都道府県・市における本事業への御協力に感謝申し上げるとともに、引き続き管下団体等に対する周知、社会福祉協議会に対して指導願いたい。


(4) その他少子化対策への取組について

 少子化対策の推進に当たっては、社会全体の取組みとして国民的理解と広がりをもって子育て家庭を支援することが求められている。
 このため、内閣総理大臣の主宰の下で各界関係者が参加する「少子化への対応を推進する国民会議」の開催に協力するとともに、国民会議の活動を含め、少子化への対応に関し、広く国民に向けた情報発信を行うこととしている。
 具体的には、(財)こども未来財団が子育て支援基金を活用して本年3月に実施する予定の「国民会議と共に考える少子化問題シンポジウム(仮称)」を支援するほか、平成12年度は「少子化時代の家族や企業の在り方を考える国際シンポジウム(仮称)」を労働省と共同して開催することとしている。
 少子化への対応については、地方公共団体においても、広く国民に向けた情報提供や広報・啓発活動などを引き続き取り組むことが重要であることから、都道府県下における取組みが一層図られるよう特段の配慮をお願いしたい。

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