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地域保健・健康増進栄養課

1.地域保健対策

(1)保健所の機能強化

 保健所を設置している地方公共団体においては、地域保健法及び基本指針を踏まえ、保健所の機能強化及び所管区域の在り方等について定める「機能強化計画」を策定していただいており、これにより地域保健の新たな体系の構築が図られているところである。
 既に機能強化計画を策定した自治体においては、機能強化計画に基づき、保健所の機能強化等に引き続き努力されたい。なお、一部の自治体においては、未だ機能強化計画が策定されていないので、早急に策定されるよう所要の作業を進めていただくとともに、必要に応じて当課と協議されたい。
 また、地域における健康危機管理体制の整備については、基本指針の改正等も踏まえて、保健所の機能強化と併せ、より一層のご配慮をお願いする。

(2)基本指針の見直し

 地域保健法に基づき、平成6年12月に「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」が告示されてから5年が経過しているが、告示からこれまでの間の社会情勢の変化には著しいものがあり、地域保健をめぐる新たな課題も生じている。
 具体例をあげると、

1) 阪神・淡路大震災や和歌山カレー毒物混入事件等地域住民の生命、健康に直接影響を及ぼすような災害や事件が頻発しており、このような健康危機が発生した場合に保健所や地方衛生研究所といった地域保健を担う機関の役割の明確化が求められている。
2) 平成12年度から介護保険制度が施行されることに伴い、地域保健部門が担うべき役割の明確化が求められている。

 このため、平成10年11月に、公衆衛生審議会総合部会が開催され、地域保健対策の推進に関する基本指針の見直しについて検討を行うために、「地域保健問題検討会」が設置され、この検討会において、基本指針の見直しを含めた地域保健対策をめぐる基本的な問題についてご議論いただき、平成11年8月12日に報告書が提出された。
 その後、厚生省において、この報告書に基づいて基本指針の改正案を作成し、平成11年12月7日に開催された公衆衛生審議会総合部会にお諮りして議論が行われたところであるが、今後は、この議論を踏まえて、遅くとも年度内に基本指針の見直しに係る告示を行うこととしているので、ご了知願いたい。

(3)保健婦等の人材確保及び資質の向上

ア.保健婦の確保
 市町村保健婦については、ゴールドプラン21の推進、老人保健事業及び母子保健事業の充実に対応するため、その人材確保を図ることが重要となっている。これまで、厚生省としては、平成5年度厚生科学研究「保健婦の配置のガイドラインに関する研究」報告書等に基づき、関係省庁と協議の上、従来から必要な地方交付税措置を講じてきたところであり、平成11年度までに約24,500人の交付税措置をしたところである。しかしながら、実際に全国に配置されている市町村保健婦数は、地方交付税による措置人員を下回っていることが推測されることから、各都道府県においては、財政状況厳しい中ではあるが、地域保健対策の推進に支障を来さないよう、管下市町村への特段の指導方をお願いする。
 特に、上記研究報告書で示されている配置基準に満たない市町村に対しては、平成12年度において適切な人員を確保するよう指導方、重ねてお願いしたい。
 なお、介護保険部門の職員について、介護保険費の交付税措置において大幅な増員がされたことから、介護保険部門の保健婦については、介護保険費の交付税措置による増員として対応していただきたい。
 次に、都道府県保健婦については、平成11年度においても、平成5年度末と概ね変わらない人員が必要と考えている。
 なお、12年度以降の保健婦の配置の基準については、現在、検討しているところである。
 地域保健対策の一層の推進を図る上から、今後とも保健婦等の人材確保にご努力をお願いする。

イ.小規模町村対策
 平成10年3月31日現在の保健婦の設置状況をみると、未設置町村及び1人設置町村は年々減少してきているものの、未設置が33市町村、1人設置が206町村といまだ人材確保の困難な町村が多数存在している。
 各都道府県においては、これら保健婦等の人材確保が困難な町村と十分連携を図り、国庫補助事業である「特定町村人材確保対策事業」を活用して人材の確保に努めていただきたい。
ウ.地域保健関係職員等の資質の向上
 地域保健対策の推進を図る上から、人材の確保と並んで人材の資質向上は重要な課題である。このため、各都道府県においては、市町村における保健・医療・福祉の連携や健康日本21を効果的に推進するための市町村職員の研修、市町村への技術支援を行う保健所職員の研修等、地域保健関係職員等の資質の向上のための事業実施に特段のご配慮をお願いする。

(4)市町村保健センターの整備

 市町村保健センターについては、年々、国民の健康づくりに対する関心が高まる中、地域住民に密着した健康教育、健康相談、健康診査等の対人保健サービスを総合的に行う拠点であるとともに、地域住民の自主的な保健活動の場としてその役割が増大してきているところである。
 このため、市町村保健活動の重要な拠点となる市町村保健センターの適切かつ円滑な整備促進を図るうえから、施設整備費補助金にかかる予算の確保について従来から鋭意努力しているところであるが、平成12年度予算(案)においても必要な額を計上したところであり、各市町村の要望に対して十分対応できるものと考えている。

(5)地方衛生研究所の機能強化について

 地方衛生研究所については、地域における科学的かつ技術的に中核となる機関として再編成し、その専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うとともに、当該地域の地域保健関係者に対する研修を実施することが、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の中で示されており、地域保健対策の推進において、大きな役割が期待されている。このような中、平成11年4月1日に「感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律」が施行され、本法の基本指針(平成11年4月1日厚生省告示115号)においても地方衛生研究所が都道府県における感染症の技術的かつ専門的な機関として位置付けられているところである。また、平成10年7月に和歌山県で発生したカレー事件をはじめとした毒劇物による犯罪への対応等、健康危機管理に対する新たな役割の明確化等を図るため、公衆衛生審議会の下に「地域保健問題検討会」を設置し、平成11年8月に当該検討会における報告書の提出を受けたところである。現在、本報告書をもとに「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の見直しを進めており、この中で地方衛生研究所に関する記述の充実を図っているところである。
 今後とも、基本指針、設置要綱、各種提言等を踏まえ、精度管理・リファレンス活動の推進、健康危機管理の観点からの体制作り、調査研究等の企画調整と組織強化、情報関連機能の充実強化などを通じ、地域保健対策に関わる地方衛生研究所の機能強化につき、特段のご配慮をお願いする。

2.たばこ対策

(1)たばこ対策の現状と今後の方向性

 厚生省としては、喫煙の健康に与える影響が大きいこと、受動喫煙の危険性やニコチンの依存性を踏まえると喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない健康問題であること等から、平成7年4月に公衆衛生審議会から意見具申された「たばこ行動計画検討会報告書」を受けて、広く国民に対して喫煙と健康に関する正しい知識の普及啓発を中心とした対策を講じてきたところである。
 しかしながら、近時、若年者、特に女性の喫煙率の上昇、たばこ消費の拡大、たばこ関連疾患による死亡者数の増大とそれに伴う医療費の増大が深刻な問題となっている。また、喫煙習慣とニコチンの依存性との関連やたばこ煙の発がん性等の危険性、低タール化に伴う健康影響等についての全世界的な知見が深まってくるとともに、諸外国のたばこ対策の動向に変化も見られている。
 このため、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」において、2010年までの目標を設定した計画を盛り込むことを検討しているところである。
 今後、厚生省では、1)喫煙経験のない国民、特に未成年者の喫煙開始及び妊婦の喫煙を防ぐ方策(防煙)、2)受動喫煙の害を排除・減少させる対策(分煙)、3)喫煙の健康影響などに関する正しい情報提供、4)禁煙支援などについて、従来以上に積極的に取り組むこととしている。

(2)具体的な施策

 現在、平成11年度事業として、1)内外の科学的知見及び諸外国のたばこ対策の状況等を取りまとめた報告書の作成、2)公共の場所における禁煙・分煙の実態を把握するために平成11年度喫煙問題実態調査を実施、3)インターネットを用いたたばこ情報の提供、4)禁煙週間(5月31日〜6月6日)期間中の普及啓発、5)たばこ煙の有害成分の分析、を実施しているところである。
 また、平成12年度においては、新たに1)年間を通じた普及啓発(ポスター、パンフレット等の作成・配布)、2)分煙が効果的に実施されているかを判定するための客観的基準の策定、3)禁煙指導者養成のための指導マニュアルの作成及び研修会の実施、を順次実施することとしている。
 今後ともたばこ対策への一層のご理解・ご協力をお願いする。


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