トピックス | HOME | 本文目次 | 次ページ |
(1) 年金制度改正の基本的考え方
○ 制度改正の背景
少子・高齢化の進展、経済基調の変化 → 将来の現役世代の負担増
○ 制度見直しの視点
・給付と負担の均衡を確保
・将来世代の負担が過重なものとしない
→将来にわたって安心して年金が受給できる長期的に安定した制度とする
(2) これまでの検討の経緯
○ 年金審議会
平成9年5月以来31回開催
→ 平成10年10月9日意見書
○ 厚生省
平成10年10月28日 制度改正案(3案)を提示
○ 自由民主党
平成9年4月以来20回開催
→平成10年12月2日藤本会長試案
(3) 今後の予定
○通常国会で審議される平成11年度予算における年金制度の取扱い
・平成11年度に引上げ予定であった国民年金・厚生年金の保険料の据え置き
・国民年金額・厚生年金額の物価のみによる改定
○現行法上、平成11年4月に引き上げることとされている国民年金保険料を据え置くための法律案を予算関連法案として通常国会に提出
○制度改正全体については、更に検討を進め、成案を得て、予算非関連法案として通常国会に提出
年金制度改正に向けた検討経緯及び今後の予定
|
|
|
9年 5月 12 10年 1月 10 12 |
年金審議会において検討開始 │ │ │ 「論点整理」のとりまとめ │ │ │ │ │ │(31回の審議会開催) │ │ ↓ 年金審議会意見書(10月9日) 厚生省案の提示(10月28日) 自由民主党年金制度調査会藤本会長試案(12月2日) |
「5つの選択肢」の提示 年金白書(9年度)の刊行 有識者調査の実施 学生調査の実施 |
11年 1月 2 |
国民年金保険料引上げ凍結法案 │ の諮問・答申(年金審議会・ │ 社会保障制度審議会) ↓ 国会提出 制度改正法案の諮問・答申(年金審議会・ │ 社会保障制度審議会) │ ↓ 国会提出 |
次期制度改正に当たっての基本的考え方 | |
公的年金の財政方式 | 積立と賦課の要素を合わせ持った現行方式を維持することが基本 |
公的年金の民営化 | 現行の2階建ての公的年金の仕組みを維持 |
基礎年金 | |
税方式への転換 | 税方式への転換は、現状では現実的でなく更に慎重な検討が必要 |
国庫負担率の引上げ | 次期制度改正後の検討課題として、引き続き検討 |
基礎年金給付水準 | 基礎年金額を引き下げることは現実的に困難であり、少なくとも当面、物価スライドによる購買力の維持にとどめることが適当 |
厚生年金の給付と負担の水準 | |
将来の厚生年金保険料率の水準 | 月収の30%程度という意見、月収の30%より低くすべきという意見、年収の20%程度(月収の26%程度)という意見、月収の20%以内という意見 |
厚生年金給付水準 | 引き下げることはやむを得ない。この場合、現に受給している年金額やまもなく受給する者の年金額は物価スライドを含めて保証 |
スライド方式 | 年金裁定後の賃金再評価や政策改定を当分の間行わないようにすることはやむを得ない。 |
在職老齢年金 | 60歳台後半の在職者にも、厚生年金を適用し保険料負担を求めるとともに、年金支給も一定の制限を行うことが適当 |
支給開始年齢 | |
60歳から65歳までの間の報酬比例部分(別個の給付) | 十分な準備期間を取った上で段階的に支給開始年齢を65歳に引き上げるべきという意見が強かった。 |
保険料引上げ計画 | 適切な段階的引上げを行うべき。具体的な引上げ方は現下の経済状況に十分配慮した方法を検討 |
総報酬制 | ボーナスについても保険料賦課の対象とするとともに、給付にも反映させる総報酬制を導入 |
女性の年金 | 民事法制、税制、社会保障、年金数理等の専門家からなる検討の場を設置 |
少子化への対応 | 年金制度にそぐわない、わずかな現金給付は出生率の向上には結びつかないとの意見、何らかの対策を検討すべきとの意見 |
厚生年金基金等 | |
代行制度 | 免除保険料率の個別化を徹底。代行制度の在り方は引き続き検討 |
確定拠出型の給付設計 | 確定拠出型の導入を認めるべき。税制上の措置が不可欠 |
企業年金に関する包括的な基本法 | 受給権の保護を中心とした共通の基準の設定を内容とする包括的な基本法の制定が必要。引き続き企業年金としてあるべき基準の制定に向けて検討を深めるべき。 |
年金積立金の運用 | |
新しい自主運用のあり方 | 資金運用部への預託義務を廃止し、自主運用の仕組みを構築 |
還元融資事業 | 住宅融資等は引き続き実施すべき、社会保障基盤整備のために年金積立金を活用すべきとの意見、政策的融資事業は積立金の効率的運用に反する、民間でできることは民間に委ねるべきとの意見 |
社会背景の変化 | ||
○少子化・長寿化の急速な進行 ・総人口労働力人口の減少 ・高齢者人口の急増 ○経済の低成長化 ・負担能力の低下 ・国際競争の激化 |
→ | 将来世代の負担が大きく上昇 ・現行制度の場合、将来の厚生年金保険料率は35%程度まで上昇 |
↓
21世紀の年金制度のあり方 |
○活力ある長寿社会の実現に資する。 ○世代間・世代内の公平性を確保する。 ○社会連帯と自助努力の適切なバランスをとる。 |
↓
制度全体にわたって見直しを行い、長期的に安定した信頼される年金制度を維持していく。 |
将来の保険料の負担を抑制するため、給付総額の伸びを調整。その際には、
|
平成10年12月2日
年 金 制 度 調 査 会
会長 藤 本 孝 雄
1 基本的考え方
○国民の老後生活の安定を図るため、年金制度の将来のあるべき姿を示し、年金制度に対する国民の安心と信頼を確保する。
○将来にわたって確実な給付を約束するとともに、将来世代の負担を過重なものとしないことを基本とし、給付と負担の在り方を見直す。
○世代間・世代内の公平性に配慮する。
○経済状況や年金財源の在り方等を踏まえ、平成16年(2004年)までの間に、必要に応じて財政再計算を行う。
2 基礎年金の費用負担の在り方
○基礎年金については、社会保険方式の長所を生かしながら制度の安定化を図るため、平成16年(2004年)に行われる財政再計算時までに、安定した財源を確保した上で、国庫負担の割合を現行の1/3から1/2へ引き上げる。
3 保険料負担の在り方
○景気の動向を見ながら、厚生年金保険料率については平成11年10月から、国民年金保険料については平成11年4月からの保険料引上げ計画を凍結するが、後世代への負担の先送りを避けるための措置を速やかに講じる。
○基礎年金の国庫負担の割合1/2を前提にした場合、人口構成の高齢化のピーク時においても、厚生年金の最終保険料率については、おおむね年収の19%(月収の24%)を超えないものとし、国民年金の最終保険料については、2万円を相当程度下回るものとする。
4 給付の在り方
○現に受給している年金額及びこれから受給する年金額は、現在の年金額を確保するとともに、物価スライドは、すべての受給者に対して保証する。
○基礎年金の水準は堅持する。
○厚生年金の給付水準は、将来にわたって、現役世代の手取り年収のおおむね6割を確保する。
○次の措置を講じる。
5 年金積立金の運用
○年金積立金は、安全確実かつ有利に運用し、その利子収入を将来の保険料の引下げに充てる必要がある。
○年金積立金については、市場を通じた運用を基本とする新たな仕組みを構築し、財政投融資制度の抜本的な改革に合わせ実施する。年金福祉事業団の廃止とその事業からの撤退に当たっては、被保険者、地域経済・雇用等への影響を考慮して十分な期間をとって必要な措置を講じる。
また、この間、少子高齢化社会への進展や被保険者の福祉に配慮した年金資金の活用の在り方について検討し、結論を得る。
6 その他の事項
○その他次の措置を講じる。
○確定拠出型年金を導入する。
○厚生年金の改正に合わせ厚生年金基金について必要な措置を講じる。
○第3号被保険者制度、遺族年金、年金分割等女性の年金の在り方について、引き続き検討する。
○公的年金制度の一元化を推進する。
○障害無年金者問題について引き続き検討する。
7 関連施策の推進
○年金制度の安定のためにも、財政・経済の再建、高齢者のための「65歳現役社会」の推進、女性の雇用拡大等に努める。
○医療、介護を含め、21世紀に向けた社会保障全体にわたる改革を進め、国民の老後の生活に対する安心を確保する。
1.法律案概要
(1) 平成11年度以後の国民年金の保険料額を、平成10年度の保険料額と同額の月額13,300円とすること。
(2) この法律は、公布の日から施行すること。
(3) この法律の施行の日前に平成11年度の国民年金の保険料を前納した者については、その者の請求に基づき、平成11年4月1日以後、前納期間に係るこの法律による改正前後の国民年金の保険料額の差額に相当する額を還付すること。
2.予算への影響
○国民年金保険料凍結影響額 1,107億円
(平成11年度予算政府原案ベース)
【参考】平成6年改正で定められた保険料額
|
|
||||
平成7年4月から平成8年3月 |
11,700円
|
||||
平成8年4月から平成9年3月 |
12,300円
|
||||
平成9年4月から平成10年3月 |
12,800円
|
|
|
||
平成10年4月から平成11年3月 |
13,300円
|
→ | 改正後 | 平成10年4月以降 |
|
平成11年4月以降 | 14,000円 |
(注)物価スライド後の額である。
トピックス | HOME | 本文目次 | 次ページ |