5.医療における情報化の推進について
(1)診療録の電子媒体による保存に関する検討状況について
医療の情報化を進めるうえで重要な診療録の電子化に関連して、平成10年3月に改めて閣議決定された「規制緩和推進計画」において、「診療録の電子媒体による保存の技術的基準を定め、電子媒体による保存を認める方向で検討し、結論を得る」ことが盛り込まれた。
厚生省としては、従前より診療録の電子化の研究開発に取り組んできており、診療録の電子化の前提となる病名等の用語やコードの標準化の作業を進めてきている。
進捗状況としては、病名の標準化を終え、その成果を実費にて頒布しており、病名以外の用語の標準化にも取り組んできており、今年度中に主要な各種用語の標準化を終える予定である。
診療録の電子化に関する作業は広範多岐にわたるものであり、引き続き積極的に取り組んでいく予定である。
診療録の電子媒体による保存に関する検討状況としては、これを実施するために必要となる技術基準を策定中であり、早急に完了させる予定である。
当該基準を策定した後、速やかに医師法をはじめとする各法令上の取り扱いについて検討を行う予定である。
(2)遠隔医療の推進について
地域における保健・医療・福祉分野の情報化を推進するため、「遠隔医療推進試行的事業」を平成9年度より実施している。
当該事業は、診療所等の医療施設と在宅で療養している患者の家庭に、テレビ電話等の遠隔医療に必要な機器を設置し、診療所等の診療、看護・介護指導等の充実による機能強化を図るものである。
なお、遠隔医療に係る医師法第20条等の解釈については、初診及び急性期の疾患を原則として除き、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の情報が得られる場合には、直ちに違反を構成するものではないとの解釈を示す通知を、平成9年12月に発出したところである。
遠隔医療関連事業としては、平成10年度の補正予算(「へき地遠隔医療システム開発事業」)において、へき地における遠隔医療を推進するための具体的なシステム開発に着手しているところである。
これは、へき地において、医療機関間で具体的な遠隔医療を実地に取り組んでいただき、へき地遠隔医療のシステムづくりに役立つ実証的な検証を行うものであり、へき地における遠隔医療の推進を図るものである。
6.医療技術評価の推進について
限られた医療資源を効率的に活用し、医療の質と患者サービスの向上を図る手段として注目されている「医療技術評価」について、「医療技術評価の在り方に関する検討会」(座長:竹中浩治(財)ヒューマンサイエンス振興財団理事長(当時))を開催し、平成9年6月に報告書を取りまとめ、医療技術評価の推進を図る意義があることを確認した。
当該報告書を踏まえ、現在、「医療技術評価推進検討会」(座長:高久史麿自治医科大学学長)を開催しており、医療技術評価及びEBM(科学的根拠に基づく医療)の具体的な推進方策の検討に着手しているところである。
平成11年度予算案において、医療技術評価及びEBMの推進を図るために必要な検討会関係経費を計上しているところであり、検討会での検討を継続させるだけでなく、検討の成果を踏まえ、医療技術評価及びEBMの普及啓発にも取り組む予定である。