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(総務課)

平成11年度
厚生省健康政策局
予算(案)の概要


I.  平成11年度予定額   708億6千3百万円
平成10年度予算額 749億8千0百万円
差引増△減額 △41億1千7百万円
対前年度伸率 94.5%

 (注)上記計数には、厚生科学研究費補助金は含まない。

厚生科学研究費補助金
 平成11年度予定額   41億5千9百万円
 平成10年度予算額 37億4千8百万円


II.主要施策

 1.救急医療体制の充実
 2.へき地保健医療対策の推進
 3.医療施設近代化整備の促進
 4.医療技術評価の推進
 5.治験推進のための医療環境の整備
 6.医療関係従事者の養成・確保等
 7.保健医療分野の基礎研究の充実
 8.社会福祉・医療事業団(医療貸付事業)の融資
 9.その他


平成11年度予算案の主要施策

10年度予算額  11年度予定額
1.救急医療体制の充実
(12,650百万円 → 12,691百万円)

(1)小児救急医療支援事業  ( 0百万円 → 250百万円)

 小児救急医療について、在宅当番医等の初期救急及び病院群輪番制病院を支援するしくみを二次医療圏単位で確保するため、小児救急医療支援事業を実施する。
 当番日の病院に対して、小児救急医療に必要な医師、看護婦の確保に必要な経費の助成を行う。

(2)ドクターヘリ試行的事業  ( 0百万円 → 106百万円)

 広域救急搬送体制の充実とともに救命率等の向上を図るため、試行的に救命救急センターにドクターヘリ(医師が同乗する救急ヘリコプター)を委託により配備し、患者の予後やコスト分析等により、ドクターヘリの理想的な運用についての評価・検証を行い、全国的な導入へ向けての検討材料とする。


2.へき地保健医療対策の推進  ( 2,144百万円 → 2,173百万円)

へき地保健医療対策検討会  ( 0百万円 → 6百万円)

 平成12年度をもって第8次へき地保健医療計画が終了するに当たり、全国の無医地区及び無歯科医地区等の実態を調査するとともに、第9次計画策定に向けた総合的なへき地保健医療対策について検討する。


3.医療施設近代化整備の促進  ( 34,702百万円 → 33,158百万円)

(1)介護基盤整備促進事業(10年度補正予算からの継続)

 廊下幅の基準を除き、医療法及び医療法施行規則本則に定める療養型病床群の構造設備の基準を満たす、改修等による療養型病床群への転換整備事業。

(2)脳卒中専用病室(SCU:Stroke Care Unit)整備事業(救命救急センター施設整備事業の補助対象範囲の拡大)

 急性期の重篤な脳卒中患者への対応の充実を図るため、既存の救命救急センターの増改築又は改修により、遮光性・遮音性を高めた脳卒中専用病室(1カ所当たり4床)の整備を行う。

(3)医療施設経営安定化推進事業

 経済、経営学者等による1)経営改善事例2)銀行からの借り入れに代わる資金調達方法3)収益業務の導入、運営 事項に係る事例の収集、実態把握及び手引き書の作成を民間のシンクタンクに委託する。


4.医療技術評価の推進  ( 0百万円 → 5百万円)

 医療技術評価推進委員会(仮称)を有識者、関係者等により組織し、医療技術評価推進のための検討を実施する。
 また、医療技術評価の現状や得られた成果は、医療現場や患者など広く一般に、普及・啓発を行う。


5.治験推進のための医療環境の整備

 国内外における治験推進体制の調査検討とともに治験管理施設の整備を実施する。

・治験推進体制整備費(調査検討)  ( 0百万円 → 3百万円)

・治験管理施設整備事業(メニュー項目への追加)


6.医療関係従事者の養成・確保等

(1)医師・歯科医師等の資質の向上  ( 6,403百万円 → 6,229百万円)

(2)看護職員の養成等確保対策  ( 12,360百万円 → 11,638百万円)

(3)その他

ア.救急救命士の業務の在り方に関する検討会

 救急救命士制度については、平成3年の救急救命士法施行から7年経過したところであるが、病院前救護の一層の充実を図る観点から、救急救命士の業務範囲等について検討する。

イ.歯科技工士の養成の在り方等に関する検討会

 質の高い歯科技工士を安定的に確保していく為、将来における歯科技工士数の適正確保対策、教育及び試験制度等について検討を行う。

ウ.看護職員の需給に関する検討会

 少子・高齢化社会の中で、医療の改革に応じた必要病床数の動向、介護保険制度の推進などを踏まえ、平成13年以降の需給計画に関する検討を行う。


7.保健医療分野の基礎研究の充実  ( 3,056百万円 → 3,267百万円)

 保健医療分野における基礎研究を強化し、科学技術の充実を図るため、医薬品機構が行う基礎研究推進事業に対して出資する。


8.社会福祉・医療事業団(医療貸付事業)の融資

 (社会・援護局一括要求)


9.その他

(1)歯科疾患実態調査

 わが国における歯科疾患の実態を把握し、8020運動の効果判定を行うとともに、今後の効果的な歯科保健対策の推進方策及び歯科医療提供体制等を見直す際の基礎資料を得る。

(2)国家試験の業務に関する検討会

 国が直接行っている医師等10職種の試験及び登録業務の実施等に係る効率化・省力化のための検討を行う。


平成11年度税制改正の概要(医療関係)


○ 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続
○ 医療法人に係る事業税の軽減措置の存続及び税率の引き下げ(事業税)

・社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を存続する。

・医療法人に係る事業税の軽減措置を存続し、税率を引き下げる。

年間所得 400万円以下 400万円超
800万円以下
800万円超
医療法人 5.6%→5.0% 7.5%→6.6%
普通法人 8.4%→7.3% 11.0%→9.6%


○ 医療法人の法人税率の引き下げ (法人税)

・法人税率全体の引き下げに伴い、特定医療法人・医療法人の法人税率をそれぞれ引き下げる。
医療法人 34.5%→30.0%
特定医療法人 25.0%→22.0%


○ 療養型病床群に係る特別償却制度の適用期限の延長 (所得税、法人税)

・現行措置(5年間8%の割増償却)の適用期限を2年間延長する。


○ 医療用機器に係る特別償却制度の適用期限の延長 (所得税、法人税)

・現行措置(400万円以上14%の特別償却)の適用期限を2年間延長する。

・共同利用医療用機器の特別償却率を14%に引き下げ、一般医療用機器の特別償却制度に含める。


○ 看護業務省力化機器に係る特別償却制度の適用期限の延長及び対象機器の見直し (所得税・法人税)

・特別償却率を16%に引き下げ、適用期限を2年間延長する。

・対象機器に「車椅子型特殊浴槽」を追加し、「蓄尿器自動洗浄装置」を除外する。


○ 介護保険法施行後において、医療法人が行う老人居宅生活支援事業等の用に供する固定資産税等の非課税措置 (固定資産税・都市計画税)

・非課税となる主体の範囲を社会福祉法人のほか、次のものとする。
 民法34条法人等の一定の公益法人、農業協同組合等、消費生活協同組合等、医療法人


3.医療提供体制の改革について

(1)本格的な少子・高齢社会の到来を目前に控え、将来にわたって質の高い医療を確保していくためには、医療需要に見合った適正かつ効率的な医療提供体制を確立していくことが重要な課題となっている。

(2)このため、厚生省においては、一昨年8月にとりまとめた医療保険制度及び医療提供体制の両面にわたる抜本改革案及び与党医療保険制度改革協議会がとりまとめた抜本改革案を踏まえ、その具体化に向けて、「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会」、「必要病床数等に関する検討会」、「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」を設け検討を行ってきたところであり、それぞれ昨年夏までに報告書をとりまとめていただいたところである。

(3)これらの検討会報告書を踏まえて、昨年9月から、医療審議会において改革の具体化に向けた審議を進めているところであり、昨年12月25日にはそれまでの審議等を踏まえて、議論のためのたたき台(参考資料6)を審議会に提出し、現在、このたたき台を基に審議が進められているところである。

(4)また、医師の臨床研修必修化については、平成8年7月にまとめられた医療関係者審議会臨床研修部会臨床研修検討小委員会報告書を踏まえて昨年10月から医療関係者審議会医師臨床研修部会において審議を行っており、歯科医師の臨床研修必修化については、昨年11月から同審議会歯科医師臨床研修部会において審議を行っているところである。

(5)審議会における検討の具体的な内容については、関係資料として添付している「医療提供体制の改革について(議論のためのたたき台)」を参照していただきたいが、今後は、これら審議会における意見集約に努めるとともに、与党をはじめとする関係者との調整を進め、本通常国会に、医療保険制度の改革と併せて、関連法案を提出する方向で作業を進めていく予定であるので、各都道府県におかれては御留意いただきたい。


4.地域医療推進医師研修等について

(1)地域の医療を取り巻く環境は、高齢化社会の進展や医療技術の進歩等により大きく変化してきており、在宅医療に対する需要の高まりに合わせて、訪問看護制度や各種在宅医療機器の普及、老人訪問看護ステーションの整備、また、第3次医療法改正において、住民の身近な所で医療を提供するかかりつけ医、かかりつけ歯科医を支援し、地域に必要な医療を確保することを目的に、新たに制度化された地域医療支援病院等により、地域における医療サービスの環境整備が整いつつある。

(2)さらに、平成12年度からの介護保険法の施行を間近に控え、地域においてプライマリ・ケア(初期診療における総合的な診断と治療)を担う医師が、地域社会の医療システムや福祉システムを十分に理解してこれらを活用するとともに、医療機関の間の相互連携に基づいた適切な医療の提供を推進していくことが必要である。

(3)このため、厚生省においてはこれまでも、平成5年度から地域のかかりつけ医を対象に、地域医療や病診連携に対する関心を高めるとともに、医療機関の相互連携に基づいて適切な医療提供を推進していくため、地域医療連携システムや福祉施設等と連携した体験的研修、地域の医療機関、福祉施設等の間の相互連携に必要な知識・技術等の研修を各都道府県に委託して行っているところである。

(4)平成11年度においてもかかりつけ医の更なる普及・定着及び資質の向上を目指すこととしており、各都道府県におかれては引き続きご協力方よろしくお願いいたしたい。
 併せて、在宅医療に関しては、患者・家族に対する在宅医療の普及・啓発事業として、在宅において人工呼吸療法を実施している患者及び家族、医療関係者等を支援することを目的としたビデオ及びテキストを作成することとしているのでご承知おき願いたい。


5.社会福祉・医療事業団(医療貸付事業)について

(1)医療貸付事業

 社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)においては、医療法人等に対し、病院、診療所及び老人保健施設等の整備に必要な資金の融通を行っているが、平成11年度については、

1) 医療機関の経営の健全化、患者の療養環境の向上等を目指した医療施設近代化施設整備補助事業

2) 長期療養患者を対象とした療養型病床群の一層の整備促進

3) 新ゴールドプランに基づく老人保健施設の整備

など適切な医療提供体制の整備等国の政策の推進に合わせ、必要となる資金の需要に十分対応できるよう貸付枠及び資金交付枠を確保したところである。
 ついては、管下の医療機関等に対して、本事業団貸付資金の積極的活用を図るようご指導願いたい。
 なお、医療施設近代化施設整備及び老人保健施設等国庫補助金の申請予定の施設で事業団からの融資を希望するものについては、予め事業団と十分連携をとり適切な整備計画及び資金計画を策定するようご指導願いたい。
 また、財政投融資制度の見直しの一環として、平成10年10月1日以降の借入申込みに係る新規契約分から、従来どおりの固定金利制度と10年経過後の金利設定見直し制度の選択制が、また、弁済補償金による繰上償還制度が導入されたので周知等ご協力方よろしくお願いいたしたい。

(参考)

1)事業計画

区  分 平成10年度予算 平成11年度予定 対前年度伸率
貸付契約額 2,400億円 2,412億円 0.5%
資金交付額 2,575億円 2,491億円 △3.3%

2)貸付条件の改善

 療養型病床群を整備する病院及び診療所の新築資金並びに医療施設近代化施設整備事業の対象となる増改築資金については、融資率を引き上げる。(80%→90%)

(2)開業医承継支援事業

 開業医の高齢化等から地域医療の確保が困難となっている都市部において、「事業譲渡希望医」と「開業希望医」の情報の登録・提供を行い、一般診療所の継続のための仲介を行っているところであるが、今般、対象地域を全国に拡大することとしたので本事業の周知等ご協力方よろしくお願いいたしたい。


6.コンピュータ西暦2000年問題(医療分野)について

(1)コンピュータのプログラムが西暦2000年以降の日付に対応していない場合にシステムが正常に機能しない、いわゆる「コンピュータ西暦2000年問題」(以下「2000年問題」という。)については、平成10年9月11日付けで高度情報通信社会推進本部(本部長:小渕恵三内閣総理大臣)にて決定された「コンピュータ西暦2000年問題に関する行動計画」(以下「行動計画」という。)により、対応が必要な各領域において官民を挙げた具体的な行動が求められている。

(2)行動計画において、「医療」は民間における2000年問題への対応中、特に重要な分野と位置づけられており、医療機関、医療用具製造業者等においては、模擬テストの実施、危機管理計画の策定、対応状況に関する情報の提供等を含めた自主的な総点検を行うことが求められているところである。
 これを踏まえ、平成10年10月20日付け健康政策局長他連名通知『医療分野における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応について』において、医療機関及び医療用具製造業者等へそれぞれ適切な対応をとるよう周知徹底をお願いしたところである。

(3)医療機関に求められる対応として、具体的には「担当責任者の明確化」「保有する医療用具等の安全性確認」「危機管理計画の策定」等が挙げられる。また、医療用具製造業者等に対し、その製造・輸入販売する医療用具における2000年問題への対応状況(模擬テストの結果を含む)について報告するよう求めているところである。
 その調査結果がまとまり次第、全医療機関(国が設置・運営するものを除く)へ配付し、自主的総点検の実施を徹底するとともに、その完了報告を求め、対応の遅れている医療機関については各都道府県が指導を行うなどの方法により、平成11年6月までに全医療機関が自主的総点検を完了するよう周知徹底を図ることを予定しているので、各都道府県におかれては引き続きご協力方お願いいたしたい。

(4)また、医療機関の2000年問題への対応についての進捗状況及び実態を把握するために、上記の自主的総点検の完了報告とは別に定期的(3月・6月・9月を予定)にサンプル調査を行うこととしているのであわせてご協力方お願いする。


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