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重点事項


1.「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の施行等感染症対策について


(1) 感染症新法の施行に向けてのこれまでの取り組みについて

平成10年10月 2日 感染症新法の公布
10月 7日 公衆衛生審議会伝染病予防部会
(以降、12月15日まで計5回開催)
10月20日 依命通知の発出
10月23日 全国感染症担当課長会議
12月15日 公衆衛生審議会伝染病予防部会
(基本指針案の諮問・答申)
12月18日 全国感染症担当課長会議
12月28日 施行令・施行規則の公布
 この間、基本指針(案)、施行令、施行規則のほか、感染症発生動向調査体制や感染症指定医療機関の整備(配置基準、指定基準)について検討してきたところ。

(2) 今後の法施行までの予定

ア 厚生省における今後の予定

(ア) 基本指針、感染症指定医療機関の基準等の告示
 審議会で審議された基本指針、指定医療機関の基準について告示するほか、感染症新法に基づくその他の告示を行う。
(イ) 関係通知の整備等
 感染症新法の施行までに、新法の運用の参考となる通知を示すほか、従来の伝染病予防法に基づく各種の通知について所要の改廃を行う。
(ウ) 特定感染症予防指針の検討
 インフルエンザ、後天性免疫不全症候群及び性感染症について特定感染症予防指針の策定に向けての検討を行う。

イ  都道府県等において今後想定される事項

(ア) 予防計画(案)の作成作業
 法施行後速やかに予防計画を制定・公布するための作業
(イ) 感染症発生動向調査体制の構築の準備
 保健所・地方衛生研究所・都道府県等との連携体制の構築や、指定届出機関として指定する予定の医療機関の選定
(ウ) 感染症指定医療機関の指定の準備
 感染症指定医療機関として指定する予定の医療機関の選定
(エ) 感染症の診査に関する協議会の構成等
 設置の準備や、委員として任命する予定者の人選



(参考1)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の概要


1 疑似症患者を患者とみなす感染症について

 二類感染症のうち疑似症患者を患者とみなす感染症は、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスとすること。

2 獣医師の届出について

 獣医師の届出は、サルについて、エボラ出血熱又はマールブルグ病にかかり、又はかかっている疑いがあると診断したときに行うものとすること。

3  建物に係る措置及び交通制限・遮断の基準について

(1) 建物に対する封鎖その他の措置は、一類感染症の建物の外部へのまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する建物の構造及び設備の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこととし、また緊急の必要がなくなったときに、できる限り現状回復に支障をきたさない方法で行うこととすること。

(2) 交通制限・遮断は、一類感染症の広範囲の地域にわたるまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、措置を実施する場所の交通の状況その他の事情を考慮し、当該措置の対象となる者の人権に配慮しつつ適切な方法で行うこととし、緊急の必要がなくなったときは速やかに当該措置を解除すること。

4  感染症の病原体を媒介するおそれがある動物の輸入に関する措置

(1) 感染症の発生の状況等を考慮して定める地域からの輸入が原則として禁止される動物は、サルとすること。

(2) (1)に規定する動物を輸入する場合に検疫の対象となる感染症は、エボラ出血熱及びマールブルグ病とすること。

5 費用について

 都道府県等に対する国の負担金及び補助金の額等の算定につき必要な事項を定めること。

6 その他

 この政令は、4.を除き、平成11年4月1日から施行すること。

(参考2)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の概要


1 四類感染症

・ 四類感染症は、アメーバ赤痢、咽頭結膜熱、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、エキノコックス症、黄熱、回帰熱、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎(日本脳炎を含む。)、Q熱、狂犬病、クラミジア肺炎、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、コクシジオイデス症、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、腎症候性出血熱、水痘、髄膜炎菌性髄膜炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム、先天性風疹症候群、炭疽、ツツガムシ病、手足口病、デング熱、伝染性紅斑、突発性発疹、日本紅斑熱、乳児ボツリヌス症、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、百日咳、風疹、ブルセラ症、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、発疹チフス、マイコプラズマ肺炎、麻疹、マラリア、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、ライム病、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症及びレジオネラ症とする。

2 特定感染症予防指針

・ 特定感染症予防指針を作成する感染症は、インフルエンザ、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム、梅毒及び淋菌感染症とする。

3 感染症に関する情報の収集及び公表
(1) 一類感染症から三類感染症までについての届出事項

 氏名、年齢、性別の他、一類感染症の患者、二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者についての医師の届出事項は、次に掲げる事項とする。
1) 当該者の職業及び住所
2) 当該者が成年に達していない場合については、その保護者の氏名及び住所
3) 感染症の名称及び当該者の症状
4) 診断方法
5) 当該者の所在地
6) 初診年月日及び診断年月日
7) 病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者については、発病したと推定される年月日を含む。)
8) 病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域又はこれらとして推定されるもの
9) 診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師については、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
10) その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項

(2) 全数届出の四類感染症

 全数届出の対象となる四類感染症は、後天性免疫不全症候群、梅毒及びマラリアの他、アメーバ赤痢、急性ウイルス性肝炎、エキノコックス症、黄熱、オウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、コクシジオイデス症、ジアルジア症、腎症候性出血熱、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群、炭疽、ツツガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、日本脳炎、乳児ボツリヌス症、破傷風、発疹チフス、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、ブルセラ症、ライム病及びレジオネラ症とする。

(3) 四類感染症患者に関する届出事項

 (2)の感染症にかかっている患者についての医師の届出事項は、患者の年齢及び性別の他、(1)の3)、4)、6)〜9)に掲げる事項とする。

(4) 指定届出機関の指定と各定点種別ごとの届出感染症

  定点届出機関が届け出る四類感染症は、次の表に掲げるものとする。
 定点届出機関の指定は、地域における感染症に係る医療を提供する体制、保健所の設置の状況、人口等の社会的条件、地理的条件等の自然的条件その他の地域の実情を勘案して、次の表の四類感染症の区分ごとに、原則として各区分ごとに次の表に定める病院又は診療所のうち当該感染症の区分に係る感染症の指定届出機関として適切と認めるものについて行う。
咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発疹、百日咳、風疹、ヘルパンギーナ、麻疹(成人麻疹を除く。)及び流行性耳下腺炎 診療科名中に小児科を含む病院又は診療所
インフルエンザ 診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所
急性出血性結膜炎及び流行性角結膜炎 診療科名中に眼科を含む病院又は診療所
性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム及び淋菌感染症 診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、性病科又は泌尿器科若しくは皮膚科若しくは皮膚泌尿器科を含む病院又は診療所
急性脳炎(日本脳炎を除く。)、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、成人麻疹、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症 患者を三百人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもの

(5) 指定届出機関からの届出の期日

 指定届出機関は、原則として毎週月曜日に届出を行うものとする。

(6) 指定届出機関からの届出事項


 指定届出機関からの届出事項については、年齢、性別のほか、(4)の表の五の区分に掲げる四類感染症については、原因となった病原体の名称及びその識別のために行った検査の方法とする。

(7) 積極的疫学調査に関する報告事項

 都道府県が行った質問又は必要な調査の結果のうち、厚生大臣に対して報告するのは、都道府県知事が感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を考慮して重要と認めるものについて行うものとする。

4 健康診断、就業制限及び入院
(1) 健康診断を行う場合の通知事項

1) 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
2) 健康診断の勧告をする場合は、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
3) 健康診断の措置を実施する場合は、健康診断を行う日時、場所及びその方法
4) 健康診断の勧告をする場合は、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を実施することがある旨
5) その他(都道府県知事が)必要と認める事項
(2) 就業制限を行う場合の通知事項
1) 3の(1)の内容のうち3)、4)及び6)に係る内容
2) 法第十八条第二項に規定する就業制限及びその期間に関する事項
3) 法第十八条第二項の規定に違反した場合に、法第六十九条第三項の規定により罰金に処される旨
4) 法第十八条第三項の規定により確認を求めることができる旨
5) その他(都道府県知事が)必要と認める事項

(3) 就業制限対象職種

1) エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病及びラッサ熱については、他者の身体に直接接触する業務及び飲食物の製造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に直接接触する業務
2) 急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス及び腸管出血性大腸菌感染症については、飲食物の製造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に直接接触する業務
3) ジフテリア及びペストについては、多数の者に接触する業務及び飲食物の製造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に直接接触する業務

(4) 入院勧告を行う場合等の通知事項

1) 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長をする理由
2) 入院の勧告又は入院の措置をする場合については、入院すべき期限及び医療機関
3) 入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
4) 入院の勧告をする場合については、当該勧告に従わない場合に入院の措置をすることがある旨
5) 法第二十二条第一項に規定する退院に関する事項
6) 法第二十二条第三項の規定により退院を求めることができる旨
7) 法第二十五条に規定する審査請求の特例に関する事項
8) その他(都道府県知事が)必要と認める事項

5 消毒その他の措置
(1) 消毒の方法

 一類感染症から三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための消毒は、次の基準に従い、消毒薬を用いて行うものとする。
1) 対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し十分な消毒が行えるような方法により行うこと。
2) 消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(2) ねずみ族及び昆虫等の駆除の方法

 一類感染症から三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための駆除は、次の基準に従い行うものとする。
1) 対象となる区域の状況、ねずみ族又は昆虫等の性質その他の事情を勘案し十分な駆除が行えるような方法により行うこと。
2) 駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

6 医療
(1) 費用負担の申請

 医療費の公費負担の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行う。
1) 患者の住所、氏名、生年月日及び性別
2) 申請者が患者の保護者の場合については、当該保護者の住所、氏名及び患者との関係
3) 患者が法第三十九条に規定する者に該当する場合については、その旨

(2) 前項の申請書には、次に掲げるものを添付しなければならない。

1) 入院に当たっての通知の写し
2) 当該患者並びにその配偶者及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都道府県知事が必要と認める書類

7 新感染症
(1) 新感染症に係る通知事項

 健康診断、入院及び消毒その他の措置を行うに当たっての通知事項は、一類感染症等に係る通知事項に準じて行う。

(2) 新感染症に係る通報事項

 新感染症に対して都道府県が措置を実施する際に、厚生大臣に対して通報すべき事項は、当該措置の内容及び当該措置を実施する時期の他、次に掲げる事項とする。
 1) 当該措置を実施することが必要な理由
 2) その他(都道府県が)必要と認める事項

8 その他
 施行期日及び関連して廃止又は改正すべき省令について規定する。

(参考3)
感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針
(構成)

第一 感染症の予防の推進の基本的な方向

一 事前対応型行政の構築
二 国民個人個人に対する感染症の予防及び治療に重点を置いた対策
三 人権への配慮
四 健康危機管理の観点に立った迅速かつ的確な対応
五 国及び地方公共団体の果たすべき役割
六 国民の果たすべき役割
七 医師等の果たすべき役割
八 感染症対策における国際協力
九 予防接種

第二 感染症の発生の予防のための施策に関する事項

一 感染症の発生の予防のための施策に関する考え方
二 感染症発生動向調査
三 感染症の予防のための対策と食品保健対策の連携
四 感染症の予防のための対策と環境衛生対策の連携
五 検疫所における感染症の国内への侵入予防対策
六 関係各機関及び団体の連携
七 予防計画を策定するに当たっての留意点

第三 感染症のまん延の防止のための施策に関する事項

一 患者発生後の対応時の対応に関する考え方
二 健康診断、就業制限及び入院
三 感染症の診査に関する協議会
四 消毒その他の措置
五 積極的疫学調査
六 指定感染症の指定
七 新感染症への対応
八 感染症のまん延防止のための対策と食品保健対策の連携
九 感染症のまん延防止のための対策と環境衛生対策の連携
十 患者発生後の対応時における患者発見時の対応
十一 関係各機関及び関係団体との連携
十二 予防計画を策定するに当たっての留意点

第四 感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項

一 感染症に係る医療提供の考え方
二 国における感染症に係る医療を提供する体制
三 都道府県における感染症に係る医療を提供する体制
四 その他感染症に係る医療の提供のための体制
五 関係各機関及び関係団体との連携
六 予防計画を策定するに当たっての留意点

第五 感染症に関する調査及び研究に関する事項

一 感染症に関する調査及び研究に関する基本的な考え方
二 国における感染症に関する調査及び研究の推進
三 地方公共団体における感染症に関する調査及び研究の推進
四 関係各機関及び関係団体との連携
五 予防計画を策定するに当たっての留意点

第六 感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項

一 感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する基本的な考え方
二 国における研究開発の推進
三 民間における研究開発の推進
四 関係各機関及び関係団体との連携
五 その他ワクチン等の供給に関する留意点

第七 感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項

一 感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する基本的な考え方
二 国における感染症の病原体等の検査の推進
三 都道府県等における感染症の病原体等の検査の推進
四 国及び都道府県における総合的な病原体等の検査情報の収集、分析及び公表のための体制の構築
五 関係各機関及び関係団体との連携

第八 感染症の予防に関する人材の養成に関する事項

一 人材の養成に関する基本的な考え方
二 国における感染症に関する人材の養成
三 都道府県等における感染症に関する人材の養成
四 医師会等における感染症に関する人材の養成
五 関係各機関及び関係団体との連携
六 予防計画を策定するに当たっての留意点

第九 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の配慮に関する事項

一 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の配慮に関する基本的な考え方
二 国における感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権への配慮に関する方策
三 地方公共団体における感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権への配慮のための方策
四 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権への配慮のためのその他の方策
五 関係各機関との連携
六 予防計画を策定するに当たっての留意点

第十 緊急時における国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡体制に関する事項

一 緊急時における国と地方公共団体との連絡体制
二 緊急時における地方公共団体相互間の連絡体制
三 国及び地方公共団体と関係団体の連絡体制
四 予防計画を策定するに当たっての留意点

第十一 その他感染症の予防の推進に関する重要事項

一 施設内感染の防止
二 災害防疫
三 検疫所の機能強化
四 動物対策
五 国際保健規則への対応
六 世界保健機関の拡大予防接種計画等への協力
七 外国人に対する適用



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