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14 生活保護及び保護施設の指導監査について(監査指導課)


(1)生活保護指導監査関係

 近年の保護動向については、全国的にはほぼ横ばいとなっているが、都市部を中心として全体の5割を越える福祉事務所において被保護世帯が前年度と比較し増加してきており、従前とは異なった傾向が見受けられる。
 一方、福祉事務所の実施体制については、現業員の4分の1が毎年の人事異動の対象となっているほか、査察指導員についても現業経験を有しない者が3割を占める状況にあり実施体制の強化が課題となっている。
 このような状況の中で、保護の適正実施を確保するためには、従前にも増して個々の福祉事務所における保護動向やその背景に留意しつつ、各福祉事務所の抱える課題を踏まえた指導監査の充実・強化が求められている。

ア 保護の適正実施の推進

(ア)相談体制の確保及び調査の徹底
1) 相談体制の確立

 相談業務は、生活保護法はもちろん関連する他法他施策にも精通した経験豊富な担当者を配置し、被保護者等が必要とする援助や情報を的確に提供できる体制を確保するとともに、相談内容及びその結果については、所長等幹部職員が随時点検するなど相談業務が担当任せとならないよう指導すること。
 また、民生委員との連携、他の行政部局との連絡体制など生活困窮者に関する情報が福祉事務所の窓口につながるような体制づくりについても指導すること。

2) 調査の徹底

 保護の開始時においては金融機関、生命保険会社、社会保険事務所等関係先調査を徹底して行い、傷病を理由に申請したケースに対しては、主治医訪問、嘱託医協議、必要に応じた検診命令等により病状及び就労の可否を的確に把握したうえで、要否判定を行うよう指導すること。
 また、毎年度相当数の不正受給が判明しているところであるので、定期的な収入申告書の徴取や、申告内容、挙証資料等の審査の徹底を図るとともに、「課税台帳の一斉点検による収入の確認」の定着に向けて引き続き指導すること。

(イ)稼働年齢層の者に対する指導の徹底
 稼働年齢層の者に対しては、訪問による生活実態の把握、主治医訪問等による病状把握を行い、就労の可否について十分検討すること。その結果就労が可能な者に対しては、就労意欲の助長、生活習慣形成等への指導援助を図りつつ、求職活動を定期的に報告させる等により積極的な就労指導がなされるよう徹底を図ること。

イ 要援護世帯等に対する指導援助の推進

 近年、高齢者、傷病・障害者等要援護世帯が保護受給世帯の大層となっている。
 これらの世帯の需要は多岐多様に亘っており、単に保護費を給付するといった所得保障の対応だけではその需要を満たすことはできないケースが大半である。
 ついては、的確なケース処遇を確保する観点からこれらの世帯の需要を的確に把握し、保健所、医療機関、各種相談員等関係機関との連携を密にした幅広い対応に努めるよう指導すること。

ウ 組織的な運営管理の推進

 前述のよう実施体制のもと、保護の適正な実施水準を確保するためには、研修等による個々の職員に対する資質の向上を図ることはもとより、職員の士気高揚への配慮に努める必要がある。
 また、処遇困難ケース等問題を抱えるケースの取扱いについてはケース診断会議を積極的に活用するなどし、幹部職員、査察指導員、現業員等全職員が一体となって問題解決に取り組む体制を確保するよう指導すること。

エ 福祉事務所毎の課題に応じた指導監査の実施について

 本庁が実施する指導監査に当たっては、これまでの監査結果を踏まえた継続的な指導を行なうとともに、監査結果の是正・改善の指示については、その要因について十分な分析・検討を行い、これに基づいた具体的な改善方策を指示すること。
 また、所長等幹部職員に対し、制度運営についての理解・認識及び人事上の配慮を求めるとともに、改善措置の進捗状況については確認監査や巡回指導等による継続的な指導を行いそれぞれの段階で的確な助言・指導等を行うこと。
 なお、監査の事前検討、監査結果の分析、是正・改善の指示、今後の指導方針の策定等の一連の過程においては、組織的な協議・検討が十分に行われる体制を確保し、特に多くの課題を抱えた福祉事務所の指導監査に当たっては、幹部職員が自らその指揮に当たるなど必要な対応を行うこと。


(2)保護施設等指導監査関係

 保護施設が健全で安定した運営のもとに、その設置目的に沿った適切な入所者処遇を確保するためには、法人・施設に対する都道府県、指定都市及び中核市の指導監査の果たす役割は極めて重要である。
 ついては、平成10年度の保護施設の指導監査に当たっては、次の事項に留意されたい。

ア 指導監査体制の充実

 指導監査に当たっては、他の社会福祉施設監査との整合性を保ちつつ指導監査体制を整備し、適正な法人・施設運営が確保されるよう計画的な指導監査を実施すること。

イ 入所者処遇に重点をおいた指導監査の実施
 施設運営の基本は、入所者に対する適切な処遇を確保することにあるので、各種の社会的不利を有する入所者個々の人権を尊重した運営がなされているかに重点をおいた指導監査を実施するとともに、入所者の自立、自活等への援助にむけた取組みを一層図られるよう指導すること。

ウ 必要な職員の確保と職員処遇の充実

 職員の処遇については、適切な給与水準の確保や労働時間の短縮等労働条件の改善を図るとともに、研修等職員の資質向上及び福利厚生等の士気高揚策の充実に努め、有用な人材の確保及びその定着化を指導すること。

エ 社会福祉法人及び施設の適正な運営管理体制の確立

 法人運営の中核となる理事会運営の適正化及び監事機能の充実を図るとともに施設における経理事務に関する内部牽制体制の確立等について指導すること。


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