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国立病院・療養所等におけるコンピュータ西暦2000年問題対応マニュアル

第1 コンピュータ西暦2000年問題とは
年数の標記を末尾2桁だけで識別するコンピュータが、2000年の末尾2桁「00」を1900年と認識することにより、システムの誤作動、システム停止にまで至る可能性がある。病院の場合、コンピュータシステムはもとより、コンピュータ制御、マイクロ・コンピュータ搭載の医療機器の誤動作等は患者の生命に密接に関わってくるものである。

第2 コンピュータ西暦2000年問題の対象とは
1.ホストコンピュータ、オフィス・コンピュータ(業務処理用小型コンピュータ)、サーバ(ネットワークを通じて特定の機能を提供する装置)、パーソナル・コンピュータ(以下、「パソコン」という。)(個人利用を目的とした小型コンピュータ)等の機器及び市販のアプリケーションソフト、自己開発プログラム、外部委託開発プログラム等のコンピュータハードウェア、ネットワーク関連機器及びアプリケーションソフト等ソフトウエア(以下、「コンピュータシステム」という。)  主なコンピュータシステムは「別添ー1」のとおりである。
2.コンピュータ及びマイクロ・コンピュータ搭載の医療機器(以下、「医療機器等」という)特に、生命に影響を与える可能性のある医療機器は「別添ー2」のとおりであるが、検査機器等の生命に直接の影響が考えにくい、これ以外のコンピュータ及びマイクロ・コンピュータ搭載の機器(調理機器を含む)も対象となる。
3.コンピュータ及びマイクロ・コンピュータ搭載の一般設備及び医療設備(以下、「一般・医療設備」という。)で、主な一般・医療設備は「別添ー3」のとおりである。
第3 報告表及び点検表の様式と作成方法
1.報告表及び点検表の様式
2000年問題の対応に当たっての点検総括表(別紙2)、点検表(別紙3,4,5,6)及び報告表(別紙7)の様式については、HOSPnetの掲示板にエクセル(Ver5.0)及び一太郎(Ver6.3)(別紙3のみ)で掲載する。
2.
 点検総括表(別紙2)、点検表(別紙3,4,5,6)及び報告表(別紙7)の作成に当たっては、上記1による様式にパソコンにて入力し、電子媒体で扱うものとする。
 

第4 2000年問題への実施対応
1.平成11年(1999年)12月31日までに実施する対応
(1)コンピュータシステムへの対応
A 対象システムの確認、リスト化
 稼働しているコンピュータシステムについて確認し、点検総括表(別紙2)のシステム欄に、システム名を平成10年12月末日までにリスト化を終了する。  なお、オーダーエントリーシステムのシステム構成の範囲は、医療機器に直接接続されているコンピュータシステム及びインターフェース(コンピュータ間のデータのやり取りをする装置)により接続している他のコンピュータシステムを除く、コンピュータシステムとする。
B 点検総括表から点検表へのシステム名の転記
点検総括表(別紙2)のシステム名を点検表(別紙3又は4)のシステム名欄に転記する。
C 点検表のサブシステム名のリスト化
点検表(別紙3又は4)のサブシステム名及び導入機器等名欄に納入業者(又は保守契約業者)の協力のもと、サブシステム名及び導入機器等名をリスト化する。
D 2000年問題への対応の有無を確認
点検表(別紙3又は4)のサブシステム名及び導入機器等名毎について納入業者等の協力のもと、2000年問題に関連する点検事項を確認し、点検事項欄等を作成する。
 なお、点検表(別紙3)の点検事項欄等の作成に当たっては、別紙1の「厚生省コンピュータシステム総点検実施指針」に基づいて作成することとする。
E 点検表を基づき点検総括表の点検事項欄等を作成
点検表(別紙3又は4)に記載された2000年問題に関連する点検事項の内容をもとに点検総括表(別紙2)の該当システム欄の点検事項欄等を作成する。
F 対応していない場合の対応方法の検討、適切な対応方法を実施
2000年問題の対応が未了のシステムについて、納入業者等の協力のもと、対応方法(プログラムの修正、システムの更新等)を検討した上で、最も適切な対応方法を実施する。
G システムの危機管理計画を策定
トラブルが具体的業務に与える影響とその範囲の特定、対象システムのシステムの停止、誤動作等による修復計画、代替方法を記載した危機管理計画書及び平成12年(2000年)1月1日以降に実施するシステムの動作確認計画を策定する。
H 模擬テストの実施
ア 模擬テストの実施可能なシステムの模擬テストの実施に当たっては、原則として納入業者等の協力のもと、できるだけ本番に近い環境下(OS(operating system)に組み込まれた日付データを模擬的に2000年として入力する等)で、2000年以降のデータを与え、システムの停止、誤動作の有無を担当職員の立ち会いのうえ確認する。
イ 模擬テストの実施不可能なシステムについては、動作確認計画を作成する。
I 模擬テストの正常終了の確認
点検総括表(別紙2)及び点検表(別紙3又は4)の該当システムの点検事項欄等を速やかに更新する。

(2)医療機器等(調理機器を含む)への対応
A 対象医療機器等(コンピュータ及びマイクロ・コンピュータ搭載されている機器)の確認、リスト化。
対象医療機器等を確認し、点検表(別紙5)の機器名欄に、機器名をリスト化する。 なお、医療機器等に直接接続されているコンピュータシステムは医療機器等の一部として取り扱うものとする。

 例えば、数字等がデジタル表示されているもの、ディスプレー上にデータが表示されているものは、マイクロ・コンピュータが搭載されている機器と考えられ、また、操作において日付入力を行うものは当然であるが、操作上日付入力を行わないものであっても内蔵されているマイクロ・コンピュータ内に日付機能を備えている場合もあり、日付入力を行わない医療機器についてもリスト化の対象とする。
 
B 対象医療機器等に確認票シールの貼付
記載した点検表(別紙5)の番号欄の番号を「コンピュータ西暦2000年問題対応確認票(以下、確認票という。)」シール(別紙8)の点検表番号欄に記入し、該当の機器に貼付する。(Bまでの作業を平成10年12月末日までに終了すること
 なお、確認票シール(別紙8)は、各施設においてラベル用紙(剥離紙)を購入し、厚生省が配布する当該様式により印刷又はコピーするものとする。
C 2000年問題への対応の有無の確認
点検表(別紙5)の機器名毎について、納入業者(又は製造業者)の協力のもと、2000年問題に関連する点検事項を確認し、点検事項欄等を作成する。
D 製造業者において「機能の停止、誤動作等がなく正常に稼働する」旨、納入業者等からの連絡(又は、厚生省ホームページへの掲載)があった医療機器等については、点検表(別紙5)に該当する医療機器の確認方法欄に確認方法及び業者担当者名(連絡をしてきた場合の連絡者名)を記入する。(製造業者において模擬テストの実施の有無について確認のうえ、模擬テストが実施している医療機器等については、模擬テスト及び動作確認のテストを不要とする。)
 なお、確認票シール(別紙8)には「正常稼働確認済」欄に連絡を受けた年月日及び受信者名を記入する。
E 対応していない場合の対応方法の検討、適切な対応方法を実施
 機能の停止、誤動作の可能性のある機器については、事務部門の会計担当者の協力のもと、対応方法(プログラムの修正、機器更新等)を検討した上で、最も適切な対応方法を実施する。
F 機器の危機管理計画を策定
 機能の停止、誤動作等による修復計画、代替方法を記載した危機管理計画を策定する。
G 模擬テストの実施
 ア 模擬テストの実施可能な機器の模擬テストの実施に当たっては、原則として納入業者等の協力のもと、できるだけ本番に近い環境下(機器のカレンダーを2000年に変更等)で、2000年以降のデータを与え、機能の停止、誤動作の有無を担当職員の立ち会いのうえ確認する。
 イ 模擬テストの実施不可能な機器については、危機管理計画に基づいた対応体制を実施する。
H 模擬テストの正常終了の確認
 ア 点検表(別紙5)の該当機器の点検事項欄等を速やかに更新する。
 イ 該当の機器に貼付している確認票シール(別紙8)の模擬テスト欄に完了年月日及び確認者名を記入する。
(3)一般・医療設備への対応
A 対象設備(コンピュータ及びマイクロ・コンピュータ搭載されている設備)の確認、リスト化
 対象設備を確認し、点検表(別紙6)の機器名欄に、機器名を平成10年12月末日までにリスト化を終了する。
 例えば、数字等がデジタル表示されているもの、ディスプレー上にデータが表示されているものは、マイクロ・コンピュータが搭載されている機器と考えられ、また、操作において日付入力を行うものは当然であるが、操作上日付入力を行わないものであっても内蔵されているマイクロ・コンピュータ内に日付機能を備えている場合もあり、日付入力を行わない設備についてもリスト化の対象とする。
 
B 2000年問題への対応の有無の確認
 点検表(別紙6)の機器名毎について、施工業者(又は保守契約業者)の協力のもと、2000年問題に関連する点検事項を確認、作成する。  なお、製造業者において「機能の停止、誤動作等がなく正常に稼働する」旨、施工業者等からの連絡があった場合は、製造業者の工場等での同一機種の模擬テストの実施状況を確認のうえ、模擬テストを実施している機種については、施設においての模擬テスト及び動作確認のテストを不要とする。(点検表(別紙6)の備考欄に、相手の会社名、氏名を記入する)
C 対応していない場合の対応方法の検討、適切な対応方法を実施
 設備機能の停止、誤動作の可能性のある一般・医療設備ついては、対応方法(設備の改修、設備の更新等)を検討した上で、最も適切な対応方法を実施する。
D 設備の危機管理計画を策定
 対象設備の機能の停止、誤動作等による修復計画、代替方法(電力会社による送電停止等、外部の事業体のトラブルに対する対応も含む)を記載した危機管理計画を策定する。
E 模擬テストの実施
 ア 模擬テストの実施可能な設備の模擬テストの実施に当たっては、原則として施工業者等の協力のもと、できるだけ本番に近い環境下(設備のカレンダーを2000年に変更等)で、2000年以降のデータを与え、設備機能の停止、誤動作の有無を担当職員の立ち会いのうえ確認する。
 イ 模擬テストの実施不可能な設備については、危機管理計画に基づいた対応体制を実施する。
F 模擬テストの正常終了の確認
 点検表(別紙6)の該当設備の点検事項欄等を速やかに更新する。
2.平成12年(2000年)1月1日0時における対応
(1)医療機器等への対応
A 模擬テストが実施できなかった対象医療機器の内、平成11年(1999年)12月31日から平成12年(2000年)1月1日にかけて稼働している機器については、危機管理計画書に基づいた対応体制を実施する。
B 正常動作の確認
該当の機器に貼付している確認票シール(別紙8)の動作確認テスト欄に完了年月日及び確認者名を記入する。
(2)一般・医療設備への対応
模擬テストが実施不可能な対象設備の内、平成11年(1999年)12月31日から平成12年(2000年)1月1日にかけて稼働している設備(常時待機中の設備を含む)について、危機管理計画書に基づいた対応体制を実施する。
3.平成12年(2000年)1月1日以降に行う対応
(1)コンピュータシステムへの対応
A 動作確認計画に基づき、平成12年(2000年)1月1日以降、システムの使用開始以前に動作確認のテストを実施し、システムの停止、誤動作の有無を担当職員において、原則として納入業者等の立ち会いのもと確認する。
B システムに異常が生じた場合は、危機管理計画書に基づいた対応体制において実施する。
(2)医療機器等への対応
A 模擬テストが実施できなかった対象医療機器等について、平成12年(2000年)1月1日以降に当該医療機器等を使用しようとする場合は、使用を開始するに当たり、必ず動作確認のテストを実施し、機能の停止、誤動作の有無を担当職員において、原則として納入業者等の立ち会いのもと確認する。(動作確認計画)
B 機器に異常が生じた場合は、危機管理計画書に基づいた対応体制において実施する。
C 動作確認テストの正常終了の確認
該当の機器に貼付している確認票シール(別紙8)の動作確認テスト欄に完了年月日及び確認者名を記入する。
(3)一般・医療設備への対応
A 模擬テストが実施不可能な対象設備について、平成12年(2000年)1月1日以降に設備の使用開始以前に動作確認のテストを実施し、設備機能の停止、誤動作の有無を担当職員において原則として施工業者等の立ち会いのもと確認する。
B 設備に異常が生じた場合は、危機管理計画書に基づいた対応体制において実施する。


第5 各部門における具体的な対応方法
1.事務系
(1)コンピュータシステムの対応方法
A 対象システムの確認、リスト化
 担当者は、稼働しているコンピュータシステムについて確認し、点検総括表(別紙2)のシステム欄に、システム名(医事・会計システム等)を平成10年12月末日までにリスト化を終了リスト化する。
 なお、オーダーエントリーシステムのシステム構成の範囲は、医療機器に直接接続されているコンピュータシステム及びインターフェースにより接続している他のコンピュータシステムを除く、コンピュータシステムとする。
B 点検総括表から点検表へのシステム名の転記
ア オーダーエントリーシステムの点検表への転記
 点検総括表(別紙2)のシステム名を点検表(別紙3)のシステム名欄に転記する。
イ HOSPnetに関連する施設調達パソコン等の点検表への転記
 施設において調達したパソコン等(IPアドレス申請により承認を受けたパソコン等及びハードウェア、ソフトウェア増強申請により承認を受けたハードウェア、ソフトウェア)を対象とし、点検総括表(別紙2)のシステム名「HOSPnet」を点検表(別紙3)のシステム名欄に転記する。
ウ 国立高度専門医療センターが保有するネットワークに関連する施設調達パソコン等の点検表への転記
 「がん診療総合支援システム(以下、「がんネット」という。)」及び「循環器病診療総合支援全国ネットワークシステム(以下、「循ネット」という。)」に接続するため、施設において調達したパソコン等を対象とし、点検総括表(別紙2)のシステム名「がん診療総合支援システム」又は「循環器病診療総合支援全国ネットワークシステム」を点検表(別紙3)のシステム名欄に転記する。
エ 上記以外のコンピュータシステムの点検表への転記
 点検総括表(別紙2)のシステム名を点検表(別紙4)のシステム名欄に転記する。
C 点検表のサブシステム名のリスト化
 担当者は、点検表(別紙3又は4)のサブシステム名及び導入機器等名欄に納入業者(又は保守契約業者)の協力のもと、サブシステム名及び導入機器等名をリスト化する。
D 2000年問題への対応の有無を確認
ア 担当者は、点検表(別紙3)のサブシステム名及び導入機器等名毎について、納入業者等の協力のもと、2000年問題に関連する点検事項を確認し、「厚生省コンピュータシステム総点検実施指針」(別紙1)に基づき、点検事項欄等を作成する。
イ 担当者は、点検表(別紙4)のサブシステム名及び導入機器等名毎について、納入業者等の協力のもと、2000年問題に関連する点検事項を確認し、点検事項欄等を作成する。
E 点検表を基づき点検総括表の点検事項欄等を作成
 点検表(別紙3又は4)に記載された2000年問題に関連する点検事項の内容をもとに点検総括表(別紙2)の該当システム欄の点検事項欄等を作成する。
F 対応していない場合の対応方法の検討、適切な対応方法を実施
 担当者は、2000年問題の対応が未了のシステムについて、納入業者等の協力のもと、対応方法(プログラムの修正、システムの更新等)を検討した上で、最も適切な対応方法を実施する。
G システムの危機管理計画を策定
 トラブルが具体的業務に与える影響とその範囲の特定、対象システムのシステムの停止、誤動作等による修復計画、代替方法を記載した危機管理計画及び平成12年(2000年)1月1日以降に実施するシステムの動作確認計画を策定する。
H 模擬テストの実施
ア 模擬テストの実施可能なシステムの模擬テストの実施に当たっては、納入業者等の協力のもと、できるだけ本番に近い環境下(OS(operating system) に組み込まれた日付データを模擬的に2000年として入力する等)で、2000年以降のデータを与え、システムの停止、誤動作の有無を担当職員の立ち会いのうえ確認する。
イ 模擬テストの実施不可能なシステムについては、動作確認計画を作成する。
I 模擬テストの正常終了の確認
 点検総括表(別紙2)及び点検表(別紙3又は4)の該当システムの点検事項欄等を速やかに更新する。
J 動作確認テストの実施
 模擬テストの実施不可能なシステムについては、平成12年(2000年)1月1日以降にシステムの使用開始以前に動作確認のテストを実施し、システムの停止、誤動作の有無を担当職員において、原則として納入業者等の立ち会いのもと確認する。
 なお、システムに異常が生じた場合は、危機管理計画書に基づいた対応体制において実施する。
K コンピュータシステムの基本的な対応方法図は、次のとおりである。

2000年問題への基本的な対応方法

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