トピックス ホームページへ戻る 「全国厚生関係部局長会議資料」へ戻る 次ページ

全国厚生関係部局長会議資料(健康政策局)

平成9年1月21日(火)
健康政策局


(総務課)
1.医療法改正について
2.地域医療推進医師研修について
3.インフォームド・コンセントの推進について
4.輸血療法の適正化について
5.社会福祉・医療事業団(医療貸付事業)について
6.医療情報について

(計画課)

1.保健所の機能強化及び所管区域について
2.保健婦等人材の確保について
3.地方衛生研究所の機能強化について
4.地方分権推進委員会勧告について
5.医療計画について

(指導課)

1.医療施設近代化施設整備事業等について
2.救急・災害医療対策について
3.へき地保健医療対策について
4.医療施設経営改善支援事業について
5.医療法人の運営管理指導等について
6.医療監視について
7.院内感染対策について
8.医療機能評価について
9.医療関連サービスについて
10.衛生検査所の精度管理について

(医事課)

1.医師臨床研修制度の改善について
2.将来の医師需給について
3.医師、歯科医師等の処分について
4.医療関係職種の養成について

(歯科衛生課)

1.地域保健法の全面施行に向けた歯科保健医療対策について
2.8020運動等歯科保健対策について
3.歯科医療対策について
4.歯科医師の臨床研修及び養成等について
5.歯科衛生士・歯科技工士の養成等について

(看護課)

1.准看護婦問題について
2.看護職員確保対策について
3.保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則等の一部改正について
4.保健婦助産婦国家試験出題基準作成委員会について
5.看護補助者の研修マニュアル作成検討会について

(社会福祉・医療事業団)

1.平成9年度事業計画(医療貸付事業)について
2.福祉・保健情報サービス事業(社会・援護局所管)について

(総務課)


1.医療法改正について


(1)医療法の一部を改正する法律案は、昨年11月29日に第139回国会に提出され、第140回国会に継続審議とされたところである。

(2)高齢化の進展、疾病構造の変化、国民の要望の高まり等医療を取り巻く環境が変化する中で、要介護者の増大に対応するための介護体制の整備を図ることが重要な課題となっている。また、日常生活圏において、通常の医療需要に対応できるよう医療提供体制の整備を図ることや、患者の立場に立った医療に関する情報提供を促進することが一層求められている。
 このような状況を踏まえ、療養環境・介護体制の整備や地域医療の確保の観点から、医療提供施設に係る制度の見直しを行うとともに、医療計画制度の充実、医療法人の業務範囲の拡大を行うなど、国民に良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の整備を図るため必要な措置を講ずることとするのが、今回の改正の趣旨である。

(3)同法案は、介護保険関連法案として介護保険法、介護保険法施行法とともに国会に提出されたが、これは同法案が
(1) 有床診療所にも療養型病床群を設置できることとすること
(2) 医療計画を見直し、療養型病床群の整備目標を明記すること
などの改正を行うことにより、介護保険制度の基盤整備の一環をなすものであることによるものである。

(4)同法案の概要は、次頁以降のとおりであるが、今後、同法案の早期成立、実施に向け全力で取り組んでまいりたい。

医療法の改正(案)について

改正の目的

○要介護者の増大に対応して療養環境の整った療養型病床群の整備
○日常生活圏において地域医療を完結するとともに、地域医療のシステム化を図るための医療提供体制の整備
○医療法人の附帯業務の拡大
○患者の立場・選択を尊重した情報提供の推進
改正の概要

1.医療提供に当たっての患者への説明

○医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療 を受ける者の理解を得るよう努める旨の努力規定を位置付ける。

2.療養型病床群の診療所設置

○要介護者の増大に対応し、身近な医療磯関である診療所を活用する観点から、療養型病床群を診療所にも設置できるものとする。
○この場合、患者の収容時間制限(48時間)を適用除外とする。また、診療所の療養型病床群は、病床規制の対象とする。
○療養環境・介護体制を確保するため、必要な構造設備・人員配置基準を厚生省令で定める。

3.「地域医療支援病院」の制度化

○かかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援し、地域に必要な医療を確保する観点から、次の要件に該当する病院を「地域医療支援病院」として位置付ける。(都道府県知事の承認)
(1)地域の医療機関による医療提供の支援(紹介患者への医療提供や、施設・設備の共同利用・オープン化等)
(2)救急医療の実施
(3)地域の医療従事者の研修
(4)厚生省令で定める数以上の病床
○国、都道府県、市町村、特別医療法人(5.参照)等が開設する病院を対象とする。
○現行の名称独占としての総合病院制度は廃止する。

4.医療計画の見直し

○日常生活圏(二次医療圏=全国344圏)で必要な医療を確保し、地域医療のシステム化を図る観点から、現行の必要的記載事項である医療圏の設定、必要病床数に関する事項に加え、次の事項を二次医療圏ごとに定めるものとする。
(1)地域医療支援病院や療養型病床群の整備の目標等、機能を考慮した医療施設の整備の目標
(2)設備、器械・器具の共同利用等、医療施設相互の機能の分担及び業務の連係
(3)救急医療の確保
(4)へき地医療の確保
(5)医師、歯科医肺、薬剤師、看護婦等医療従事者の確保

5.医療法人の附帯業務の拡大

○医療法人は、老人居宅介護事業等、第二種社会福祉事業のうち厚生大臣の定めるものを行うことができるものとする。
○特別医療法人(医療法人のうち、役員の構成、残余財産の帰属等に関する要件に該当するもの)は、その収益を医療機関の経営に充てることを目的として、収益業務を行うことができるものとする。

6.広告事項の追加

○療養型病床群の有無、紹介先の病院・診療所の名称を広告事項に追加する。
7.施行期日
○療養型病床群の診療所設置
○地域医療支援病院の制度化
○医療計画の見直し
○医療法人の附帯業務の拡大
(収益業務関係)
○広告事項の追加
─┐
 │
 ├─
 │
 │
─┘


改正法の公布の日から1年以内の政令で定める日
○医療提供に当たっての説明
○医療法人の附帯業騎の拡大
(第二種社会福祉事業関係)
─┐
 ├─
─┘

改正法の公布の日
〔参考〕
○療養型病床群の診療所設置(構造設備・人員配置(案))
<現行の有床診療所>
○医師 1人      (平成6年10月現在)
・有床診療所数
22,082
・有床診療所病床数
262,273
○看護体制
・看護婦/准看護婦 適当数
○療養環境
・病室面積(1人当たり)      4.3u

        

<改正後の有床診療所(療養型病床群部分)>

○医師 1人
○看護体制(強化)
・看護婦/准看護婦
看護補助者
─┐
 ├─
─┘
患者3人に1人
○療養環境(改善)
病室面積(1人当たり)      
浴室食堂
6.4u

2.地域医療推進医師研修について


 地域の医療を取り巻く環境は、高齢化社会の進展や医療技術の進歩等により大きく変化してきており、在宅医療に対する需要の高まりにあわせて、訪問看護制度や各種在宅医療機器の普及、老人訪問看護ステーションの整備等、在宅医療サービスの環境整備が整いつつある。
 このような背景の下では、地域においてプライマリ・ケアを担う医師が、地域社会の医療システムや福祉システムを十分に理解して活用するとともに、医療法に規定されている医療機関の間の相互連携に基づいた適切な医療の提供を推進していくことが必要である。
 このため、平成5年度から地域のかかりつけ医を対象に、地域医療や病診連携に対する関心を高めるとともに、医療機関相互連携に基づいて適切な医療提供を推進していくため、地域医療連携システムや福祉施設等とリンクした体験的研修、地域の医療機関、福祉施設等の間の相互連携に必要な知識・技術等の研修を各都道府県に委託して行ってきたが、平成9年度においても引き続き研修内容を充実させ、地域医療を担う医師に求められる機能の一層の推進を図ることにより、かかりつけ医の更なる普及・定着及び資質の向上を目指すこととしている。

3.インフォームド・コンセントの推進について

 近年、医療技術の高度化や高齢社会の進展に伴い、国民の側からは患者の人権や意思を尊重した患者主体の医療が求められており、このような医療を推進する一つの方策としてインフォームド・コンセントの重要性が高まってきている。
 このため、平成9年度においてもインフォームド・コンセント普及の具体的な推進方策として、医療施設の管理者等に対する研修会等を実施することとしている。

4.輸血療法の適正化について

輸血療法の適正化については、平成元年9月19日付健政発第502号厚生省健康政策局長通知により、ガイドラインを定めているところであるが、その後も、輸血後移植片対宿主病(GVHD)の発生がみられることから、各都道府県等に平成9年1月7日付総第1号健康政策局総務課長通知を発出したところである。貴職においても輸血後移植片対宿主病(GVHD)に対する安全対策を含め輸血療法の適正化が図れるよう、貴管下医療機関に対し周知徹底していただきたい。

5.社会福祉・医療事業団(医療貸付事業)について

 社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)においては、医療法人等民間法人等に対し、病院、診療所及び老人保健施設等の整備に必要な資金の融通及び民間医療機関の経営診断・指導事業等を行っているが、平成9年度については、
(1) 医療機関の経営の健全化、患者の療養環境の向上等を目指した医療施設近代化施設整備補助事業の大幅な拡大
(2) 長期療養患者を対象とした療養型病床群の一層の整備促進
(3) 新ゴールドプランに基づく老人保健施設の整備
 など適切な医療提供体制の整備等国の政策の推進に合わせ、必要となる資金の需要に十分対応できるよう貸付枠及び資金交付枠を大幅に拡大し、また、建築資金の貸付限度額の引き上げ等貸付条件の改善を図ったところである。
 ついては、管下の医療機関等に対して、本事業団貸付資金の積極的活用を図るようご指導願いたい。
 なお、医療施設近代化施設整備及び老人保健施設等国庫補助金の申請予定の施設で事業団からの融資を希望するものについては、予め事業団と十分連携をとり適切な整備計画及び資金計画を策定するようご指導願いたい。

(参考)医療貸付事業分
区 分 平成8年度予算 平成9年度予定 対前年度伸率
貸付契約額 2,350億円 2,950億円 25.5%
資金交付額 2,295億円 2,934億円 27.8%

6.医療情報について

(1)保健医療情報システムの研究開発及び普及推進について

ア 少子・高齢化社会において、良質な保健医療サービスを効率的に提供するために、近年の発達の目覚ましい情報通信技術の活用が必要であるとの認識に立って、保健医療情報システムの研究開発と普及・推進を図っている。

イ 政府では、平成6年8月に、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた施策を総合的に推進するとともに、情報通信の高度化に関する国際的な取組みに積極的に協力するため、内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信社会推進本部」が内閣に設置された。

ウ 厚生省においては、平成6年5月に厚生行政各分野の情報化を総合的かつ整合的に推進するため、官房長を本部長とする情報化推進連絡本部が設置されている。

エ 健康政策局では、平成6年7月に健康政策局長の私的懇談会である「保健医療情報システム検討会」(座長 開原成允東大教授)より、21世紀における保健医療情報システムの基本構想とその達成に必要な施策を提言した中間報告が取りまとめられている。

オ 平成7年7月には、厚生大臣の私的懇談会として「保健医療福祉サ−ビスの情報化に関する懇談会」(座長 石井威望慶應大学教授)より保健医療福祉サ−ビスの情報化の現状と課題、望まれる推進体制等について報告書がまとめられ、8月には「保健医療福祉分野における情報化実施指針について」が公表された。

カ 「規制緩和推進計画」(平成8年3月29日閣議決定)のなかに、遠隔診断及び診療録の電子媒体による保存が盛り込まれた。現在、これを受けて、情報通信技術にかかる信頼性の確保にかかる研究開発を行うとともに、用語・コード等をはじめとした標準化の推進に取り組んでいる。

(2)研究開発中の事業について

 平成6年度から平成8年度に実施した「新医療情報通信網基盤整備開発事業」及び平成7年度補正予算事業の「診療録の電子的保存の標準化(電子カルテ)」で得られた成果を引き継いで、平成9年度より「高度情報社会医療情報システム構築推進事業」を実施する。本事業は、情報化社会において様々な利用者が高度で多様な情報を活用できる医療情報システムを構築するための研究開発であり、電子診療録を出発点として、医療機関の内外にわたる統合的医療情報システムの構築をめざすものである。

(3)医療における情報通信技術の活用の推進について

 地域における保健・医療・福祉分野の情報化を推進するため「遠隔医療推進モデル事業」を実施する。
 このモデル事業は、診療所等の医療施設と在宅で療養している患者の家庭に、テレビ電話等の遠隔医療に必要な機器を設置し、診療所等の診療、看護・介護指導等の充実による機能強化を図るものである。
 また、国民医療総合政策会議の中間報告などにおいて、かかりつけ医機能の向上が求められていることから、情報通信技術を活用した診療所支援システムに関する研究等を行う。
 なお、遠隔医療に係わる医師法第20条の解釈については、初診時を原則として除き、遠隔医療を認める旨の解釈通知を出すことを予定している。

(4)医療技術評価の在り方の検討について

 限られた医療資源を効率的に活用し、医療の質と患者サービスの向上を図る手段として「医療技術評価」が注目されていることから、現在、「医療技術評価の在り方に関する検討会」(座長:竹中浩治 (財)厚生年金事業振興団常務理事)を開催し、諸外国における医療技術評価の現状と効果を把握するとともに、我が国における医療技術評価の在り方や推進方策について検討している。

(計画課)


1 保健所の機能強化及び所管区域について


 平成6年に制定された地域保健法は、本年4月から全面施行されることとなっており、保健所については、各自治体で策定していただいている機能強化計画に沿って、機能の強化及び所管区域の見直しを着実に推進することが必要である。
 所管区域の見直しについては、既に条例改正等の手続きを終了した自治体もかなりあるが、手続きが終了していない自治体にあっては、4月から新体制に円滑に移 行できるよう早急に作業を進めていただきたい。
 なお、4月からの体制が確定していない自治体が少数ながらあるが、このような自治体にあっては早急に調整を進めるとともに、遅くとも今月中に計画課に内容を報告されたい。
 また、具体的な機能強化の方策については、機能強化計画に従い、各自治体において予算化・組織改変等の作業を進めていると思うが、9年度の地域保健推進特別事業の選択に当たっては各自治体の機能強化計画の推進に資するものを優先的に採択していく方針であるので留意の上、その活用を図られたい。

2 保健婦等人材の確保について

(1)保健婦の確保

 市町村保健婦については、ゴールドプランの推進、老人保健事業の充実及び権限移譲される母子保健事業に対応するためさらに増員を図ることが重要である。このため、厚生省としては、平成11年度には約26,000人を確保する計画を策定し、関係省庁と協議の上、必要な地方交付税措置を講じてきたところであり、平成8年度は人口10万人の標準団体で11名と平成5年度(6名)の約2倍の数が措置されている。一方、実際の市町村保健婦数は、平成6年・7年の2年間で約1,900人の増加に留まっており、計画に見合った増員がなされていない状況にある。
各都道府県においては、財政状況厳しい中ではあるが、平成9年4月からの地域保健法全面施行に支障を来さないよう、管下市町村への特段の指導方をお願いする。
 なお、都道府県保健婦は、母子保健事業の市町村への権限移譲により減員の要素がある一方、地域保健の見直し及びエイズ対策の充実の業務が増加することから、平成11年度末において平成5年度末と概ね変わらない人員が必要と考えており、必要な地方交付税措置を図ることとしている。

(2)小規模町村対策

 平成7年末の保健婦の設置状況をみると、未設置市町村は49、1人設置は337と減少はしてきているものの、いまだ人材の確保が困難な市町村が存在している。
 各都道府県においては、保健婦等の人材確保が困難な町村と十分連絡をとり、過疎地域等保健婦等設置促進事業を活用して人材の確保に努めていただきたい。
また、本事業については、平成9年度より、新たに、事業内容に巡回支援事業が追加されるところである。これは、複数の市町村(及び都道府県)で一部事務組合を設け、保健婦、栄養士、OT、PT等の巡回支援チームを編成し、市町村からの要請に応じ、市町村にチームを派遣して保健活動を支援するものである。
 都道府県においては、事業内容を周知の上、事業の推進について特段の御配慮をお願いする。

3 地方衛生研究所の機能強化について

 地方衛生研究所については、基本指針において、地域における科学的かつ技術的に中核となる機関として再編成し、その専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うとともに、当該地域の地域保健関係者に対する研修を実施することが示されたところである。
現在、基本指針の趣旨を踏まえ、地方衛生研究所の要綱の改訂を検討中であり、近々通知する予定であるが、地域保健対策にかかわる地方衛生研究所の機能強化につき特段のご配慮をお願いする。
なお、平成8年度補正予算(案)の編成に際し、腸管出血性大腸菌感染症(O− 157等)の対策経費を計上し、地方衛生研究所におけるベロ毒素検査機器の緊急整備を図ることとしているので、これらを活用し、試験検査機能の充実を図られたい。

4 地方分権推進委員会勧告について

 地方分権の推進については、平成7年7月に発足した地方分権推進委員会で検討が進められ、厚生省の所掌分野については、くらしづくり部会において検討されているが、保健所に関しては、平成8年3月29日に出された中間報告において「保健所長の医師資格規制を廃止するという方向で引き続き検討すること」とされた。その後、委員会では関係省庁、関係団体等からヒアリングを行い、12月20日に第一次勧告を行った。この中で「保健所長の医師資格規制については、必置規制の見直しの一環として、その要否を引き続き検討する」こととされたところである。
 委員会では、必置規制の整理合理化を含めたいくつかの課題について本年前半を目途に第二次勧告を行うこととしており、これを受けて政府としての地方分権推進計画が策定されることとなる。
 厚生省としては関係者からの意見も踏まえ、引き続き保健所長が医師である必要性について理解を求めていきたいと考えているが、これに関するご意見・参考となる事例等あれば計画課まで連絡をお願いしたい。

5 医療計画について

(1)医療計画等の見直しについて

 現在、医療法改正法案を国会に提出しているところであるが、この改正法の施行と医療計画の見直しの時期については、
(1) 医療法改正法の成立・公布から施行まで1年程度の期間をおく予定としており、医療計画の見直しの作業を進めている都道府県においては、そのまま作業を継続して頂くとともに、予定されている法改正の内容を踏まえ、医療計画の記載事項を可能な限り充実して頂く
(2) 改正法施行以前に見直された医療計画については、改正後の規定に基づき定められた医療計画とみなすという経過措置を設けることとしており、各都道府県においては、改正法施行後直ちに医療計画を見直す必要はないこととしているので留意されたい。
 ただし、成立・施行の時期が不確定であるとともに、改正法成立後できるだけ早期に改正後の法の規定に基づく計画としていただくことが望ましいことから、本年又は来年に計画の見直しを予定している都道府県にあっては、あらかじめ、作業スケジュールについて、当課と打ち合わせされるようお願いする。
 また、医療計画等の見直しに当たっては、事務局試案が作成された時点で、当課に説明頂けるよう重ねてお願いする。

(2)地域医療連携推進事業

 地域医療連携推進事業については、医療計画の着実な実施・推進を図るための方策の一つとして実施しているところであるが、現在国会に提出している医療法改正法案においては、二次医療圏での地域医療の完結、地域医療のシステム化を図るための医療提供体制の整備を改正の目的としており、また、国民医療政策会議の中間報告においても、かかりつけ医の重要性が報告されているなど、体系的な医療提供体制の構築、医療機関相互の機能分担と機能連係等を図ることが今後更に重要となってくることから、各都道府県におかれましては、医療提供体制を充実していただくため、今後とも、事業の一層の活用を図られたい。

(3)特定の病床等の特例

 特定の病床等に係る特例の適用に当たっては、各都道府県の取扱いの均衡を図るため、事前に当課へ説明いただくようお願いしているところであるが、事前説明の前に当該病床の整備が既存の病床数の範囲で行えるよう検討するとともに、時間的余裕をもって事前説明していただけるようお願いする。
 なお、平成7年度における当該病床の利用状況を調査したところ、調査開始の平成4年度以降、年々要件外使用件数が減少しているが、まだ、特例の要件どおりの使用が行われていない例が見受けられるところであり、今後とも特例制度における不適正な運用については、厳正な指導を行い、その改善を図られたい。

(指導課)

1.医療施設近代化施設整備事業等について

(1) 現在、多くの病院が築後30年を経て建替時期を迎えており、また、人口の高齢化・疾病構造の変化や、患者ニーズの高度化・多様化等医療を取り巻く環境の変化に対応するため、療養環境・勤務環境の整った医療施設の整備が重要な課題となっている。
(2) 平成6年1月の「医療機関経営健全化対策検討委員会」において、生活関連の社会資本としての病院の整備充実が必要であるとの報告書を受け、平成5年度より民間病院をも対象とした「医療施設近代化整備事業」を実施し、医療資源の効率的な再編及び地域医療の確保に配慮しつつ、病院における患者の療養環境等の改善を進めているところである。
(3) 平成9年度においては、この医療施設近代化施設整備事業を拡充し、増大が見込まれる要介護者の生活の質に配慮した療養環境を整備する療養型病床群への転換整備の一層の推進を図るため、平成9年度予算案では、災害拠点病院の整備を含め276億円(対前年度74億円の増)を確保したところである。
(4) 療養型病床群への転換整備の項目を追加した補助要綱の改正を予定しているが、従来の近代化整備と同様に、原則病床削減を条件とすること等を盛り込む予定であり、詳細については決定次第通知する。
(5) また、医療施設近代化施設整備事業に係る採択基準については、各都道府県衛生主管部(局)長並びに精神保健福祉主管部(局)長あて健康政策局指導課長・保健医療局精神保健課長連名通知(平成8年5月10日付け指第28号・健医精発第34号)により引き続き行う予定である。
(6) なお、昨年の特別養護老人ホームに係る施設整備費補助金における問題に関連し、現在、厚生省において「施設整備業務等の再点検のための調査委員会」を設置し、施設整備補助金の選定手続きの見直し等再点検を行っており、医療分野に係る施設整備等については3月末を目途に改善事項をとりまとめることとしているので、それに伴う補助要綱等の改正があり得ることを承知願いたい。

2 救急・災害医療対策について

(1) 救急医療体制の充実
(1) 我が国の救急医療については、各都道府県において体制整備に積極的に取り組んでいただいた結果、初期、二次、三次等の救急医療機関の受入体制は概ね整ってきているところである。
 しかしながら、平成7年には、総務庁の行政監察による、一部地域あるいは一部時間帯の救急医療体制が未だ十分に機能していない旨の指摘を受け、救急医療体制の確保について遺漏のないように周知及び業務改善の指導を行ったところである。
 ついては、今後とも、救急医療体制の充実と国民の救急医療体制に対する信頼の確保に努められたい。
(2) また、先の国会に提出し継続審議となっている医療法改正案において、地域医療支援病院が創設され、また、医療計画の必要的記載事項として救急医療に関する事項が位置付けられることとなっており、行政監察の指摘も併せて踏まえ、救急医療体制の質的な充実を図る必要があることから、「救急医療体制基本問題検討会(仮称)」を来月にも開催する予定である。
 ついては、検討を進めるにあたり、実態調査等行う場合には、 各都道府県の協力方よろしくお願いする。
(3) 救急救命士国家試験については、実施都道府県の御協力をいただき平成4年度から実施してきているところであるが、第11回国家試験を本年3月23日(日)に、北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の5か所において実施する予定である。
国家試験実施地の都道府県においては、2月27日(木)に国家試験実施に係る打合せ会を予定しているので協力方お願いしたい。
(4) 救命救急センターについては、平成4年度から、概ね人口30万人以上の二次医療圏(複数の二次医療圏で概ね人口30万人以上の地域を含む。)での設置についても補助対象とする場合があることとしているので、県内における既設の救命救急センターの配置状況、今後の医療計画等を踏まえた配置計画を策定の上、その設置について当課あて相談願いたい。
(5) 高度救命救急センターについては、多発外傷、広範囲熱傷、急性中毒等の特殊疾病患者に対応できる医療施設として、第三次救急医療施設の救命救急センターのうちから、原則として各都道府県に1か所整備することとしているので、その設置については当課あて相談願いたい。
(2)災害医療対策について
阪神・淡路大震災による被害が甚大であったことに鑑み、この教訓を生かすため、「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」において災害時の医療体制について検討を行い平成8年4月に研究報告書が取りまとめられたところである。
この研究報告書を受け、平成8年5月10日健政発第451号「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」を通知し以下の施策を講じている。
(1) 本年度より、災害時における被災地内の医療機関の支援、災害拠点病院を整備している。
ア 基幹災害医療センター
各都道府県に原則1か所整備
イ 地域災害医療センター
二次医療圏に原則1か所整備
(事業概要)
 都道府県知事の要請を受けた病院に対し、災害時の搬送受入機 能(ヘリポートの整備等)、災害医療の研修機能(基幹災害医療センターのみ)、水・医薬品・医療材料の備蓄機能を付与するための施設整備及び患者収容力を臨時的に拡大するための簡易ベット等を確保し、被災した地域に対する医療救護チームの派遣を迅速に行うための応急ベット、発電機、仮設テント等の機器等を整備する。
(2) 現行の救急医療情報システムを拡充強化し、通常時における応需状況のほか、災害時における医療機関の診療状況、医師・看護婦等のスタッフの状況、ライフラインの確保及び医薬品の備蓄状況等の災害医療に関する広域災害医療情報ネットワークを整備し、さらに、災害時におけるボランティア等マンパワーの確保・受入れ、派遣調整を行い、適切なスタッフの配置を行う災害ボランティア支援システムを整備する。
 各都道府県においては、引き続き災害時における医療体制の確立に積極的に取り組んでいただきたい。

3.へき地保健医療対策について

(1) へき地保健医療対策については、平成8年度を初年度とし、計画期間を5か年とした「第8次へき地保健医療計画」に基づき、従来の施策に加え、
(1) へき地診療所に対して医師の休暇時等に代替医師の派遣や画像伝送等を使った支援を実施する「へき地医療支援病院」を新たなへき地医療の担い手として位置付けること
(2) へき地診療所において、在宅ケアを支えるデイサービスやショートステイ等の機能に重点を置くため、看護婦の人件費加算を設けて、在宅医療の充実を図ること等の施策を実施しているところである。
また、平成5年度より厚生省との協力の下に、自治省が計画的に実施される医師の確保等の地方単独事業に対する財政支援を行ってているので、地域の実情に応じて積極的に活用されたい。
(平成5年2月15日健政発第93号「へき地医療等に対する財政支援措置の充実について」参照)
(2) 会計検査院の実地検査において、へき地診療所運営事業について、診療収入の過小報告の指摘や総事業費の取扱いについての指導を受けたところである。
これらの取扱いについては、従来から指導課長通知により、その改善を指示してきたところであるが、かかる事のないよう今後とも引き続き指導の徹底を図られたい。

4.医療施設経営改善支援事業について

 本事業は、平成6年1月の「医療機関経営健全化対策検討委員会報告書」の提言を受け、医療機関の経営管理の改善に対する支援策として、平成6年度より実施しているところであるが、各都道府県においては、引き続き、管下医療機関が病院自身による経営努力をより効果的なものにするため、医療機関の幹部職員等に対する研修会事業をはじめ、経営管理に関する情報提供や経営相談、経営診断事業等の充実を図り、創意工夫に富んだ事業展開に努められたい。

5.医療法人の運営管理指導等について

 医療法人は、非営利の組織体として、健全な医療事業の経営と適切な法人運営を維持することが要請される。このことは、何よりも自らの不断の努力によるべきものであるが、同時に十分な指導監督が必要である。
 このため、各都道府県においては、平成2年3月1日健政発第110号「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱の制定について」及び平成5年2月3日総第5号・指第9号「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」等により、今後とも医療法人の指導監督に十分留意するとともに適正な法人運営の確保に努められたい。

6 医療監視について

 医療監視については、従来より、当該年度の重点項目等実施方針に基づき、厳正に実施していただいているところであるが、依然、医療機関における種々の問題が生じているところでもあり、特に次の事項については、引き続き配慮をお願いしたい。
(1) 医師、看護婦等の医療従事者が医療法で定める標準数を大幅に下回っている病院については、具体的な改善計画を提出させ改善状況を追跡調査するとともに、新規入院の停止、医療従事者に見合った範囲に入院患者数をとどめること等についても念頭に置き、強力に指導されたいこと。また、これについては保険担当部局とも連携を密にし対処されたいこと。
(2) 患者の超過入院等直ちに是正する必要のある事項がある場合には、医療機関に改善計画を提出させ、これが履行されない場合には、医療法に基づく改善命令等により厳正に対処されたいこと。
(3) 医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認については、医療法の根幹に関わる重要な事項であり、開設許可等の際に十分な配慮をお願いしているところであるが、開設後において病院の運営に第三者が関与している等の疑いが生じた場合には、直ちに実態の把握を行い厳正に対処されたいこと。

7 院内感染対策について

(1) 院内感染対策については、これまでにおいても、手洗いの励行、清掃等院内の環境整備、院内感染に関する医療従事者への教育などを基本とした対策、また、B型肝炎やHIV、MRSAをはじめ、最近ではレジオネラ、クロイツフェルト・ヤコブ病等の個別の疾患に応じた対策としても医療機関への周知徹底を図ってきたところである。この問題は、医療の現場における医療関係者と患者との信頼関係にも深く関わるものであり、さらに一層の指導をお願いしたい。
(2) 従来より実施している「院内感染対策施設・設備整備事業」の実施、「院内感染対策講習会」の開催、「施設内感染対策相談窓口」の周知について、引き続き協力をお願いしたい。

8.医療機能評価について

(1) 平成6年9月の「病院機能評価基本問題検討会報告書」の提言を踏まえ、病院等の医療施設の機能について、学術的な観点から中立的な立場で評価し、その改善を支援することを目的として、平成7年7月に財団法人日本医療機能評価機構が設立され、2ヶ年度に亘って評価組織体制と評価手順等を確立するための運用調査事業について予算補助を講じてきたところであるが、平成9年度より病院機能評価事業が本格的に実施されることとなった。
(2) 当該財団では、平成9年度において年間240病院を対象に医療機能評価事業と病院を調査するサーベイヤー160人の養成を計画しており、機能評価の申し込みについては、既に8年12月より受付を開始しているところである。
(3) なお、審査結果については、当該財団において、地域における役割を適切に担い、医療の質の向上とサービス改善に取り組み、一定の成果をあげていると認められた場合には、認定証が発行されることとなっており、また、評価結果の情報公開について検討を行っているところであり、各都道府県においては、管下医療関係者、公立病院等への一層の理解を求めるよう努められたい。

9 医療関連サービスについて

(1) 近年、医療機関の行う業務を代行又は支援するサービスや在宅医療を支援するサービスが民間事業者によって提供されており、今後さらにその範囲も拡大していくものと見込まれる。
医療関連サービスは、医療機関や国民のニーズに応えるものとして有意義なものと考えられるが、患者の身体や生命に深く関わるこ とから質の確保を図ることが重要である。
(2) このため、医療法においては、これらサービスのうち医師等の診療等に著しい影響を与える業務として、「検体検査」、「医療用具の滅菌・消毒」、「患者等への食事の提供」、「患者搬送」、「医療機器の保守点検」、「医療ガス供給設備の保守点検」、「寝具類の洗濯」、「施設の清掃」の8つの業務を政令で定め、これらの業務を委託する際の基準を設け、医療関連サービスの質の確保及び事業者の健全育成に努めているところである。
(3) また、医療関連サービスの健全な発展に関する事業を行うことを目的として設立された財団法人医療関連サービス振興会においては、民間の自主的な取組みとして医療関連サービスマーク制度を設け、これらの業務の評価認定事業を行っている。
なお、医療関連サービスマークは、良質な医療関連サービスの普及を図るために、振興会が定めた認定基準に適合した事業者に対して交付するものではあるが、あくまで医療機関が事業者を選定する 際の目安であり、当該マークがないと事業が行えないものではない。
このことについては、平成8年3月26日付け指導課長通知により示ししたところではあるので、この趣旨に御留意願いたい。
(4) 病院における患者等の食事提供業務の委託については、平成8年3月に医療法施行規則の改正を行い、従来の調理から配膳までを病院内の給食施設で行う形態に加え、病院外の調理加工施設で調理したものを病院において加熱調理後提供する形態(いわゆる「院外調理」)も認めたところである。
院外調理を行うにあたっては、院内での調理業務以上に厳しい衛生管理が必要なことから、(1)食事の運搬、保存に際しては、冷蔵(3℃以下)、冷凍(ー18℃以下)または65℃以上を保つこと、(2)HACCP(危害分析重要管理点)方式による衛生管理を行うこと、等を求め、平成8年4月24日付け指導課長通知により「院外調理による衛生管理ガイドライン」を示したところである。
院外調理の導入に際しては、これらの趣旨に留意のうえ、引き続き関係者への適切な指導方よろしくお願いしたい。

10 衛生検査の精度管理について

(1)衛生検査所の指導・監督について
近年では、9割を超える医療機関が検体検査の全部又は一部を衛生検査所(平成8年2月1日現在、全国909ヶ所)に委託しており、適正な医療を確保するうえで、衛生検査所における検体検査の精度管理は極めて重要なものとなっている。
各都道府県においては、精度管理の重要性を十分に認識し、衛生検査所に対する立入検査の際には、精度管理専門委員の協力を得て内部精度管理の徹底について指導を行うなど、検体検査の精度が確保・向上するよう衛生検査所に対する指導・監督の徹底に努められたい。
なお、本年4月1日に地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律の全面施行を迎え、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律等衛生検査所業務に係る関係法令の一部改正も施行される。これに伴い保健所を設置する市又は特別区の区域に所在する衛生検査所については、同市区が登録事務や立入検査等衛生検査所業務を行うことになるので、その事務の移譲にあたっては、遺憾のないよう万全を期されたい。
また、外部精度管理調査については、引き続き都道府県において実施していただきたいので、関係団体と調整のうえ実施するようお願いする。
(2)検体検査の精度管理等に関する委員会の設置について
衛生検査所の登録事務等については、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律等関係法令に基づき執り行われているところであるが、昨今の医療技術の発達に伴い、検査機器が高度化するなど衛生検査所を取り巻く環境も大きく変化している。
このような状況に対し、健康政策局では、昭和61年4月の同法施行規則の改正から10年を経過したことを機に、昨年10月、精度管理の徹底方法や検査所の登録基準のあり方など検体検査を取り巻く課題について検討を行うため「検体検査の精度管理等に関する委員会」を設置したところである。
現在、同委員会では、今年の春を目途に報告書を取りまとめるべく検討が行われている。

(医事課)

1.医師臨床研修制度の改善について

(1) 医学・医療の進歩や高齢化社会の到来等医療をめぐる変化に対応するためには、医師として幅広い臨床経験を積み、患者を全人的に診る能力を身に付けることが必要である。厚生省としても、医師の卒後臨床研修について、その改善を図ってきたが、近年、研修プログラムの未整備、指導体制の不十分さ、研修医の身分・処遇の不安定さがその問題点として指摘されている。
(2) こうした中で、平成6年12月に医療関係者審議会臨床研修部会から、「基本的には臨床研修を必修化するとともに、その内容等の改善を図ることが望ましい」との中間まとめが提出された。
この中間まとめを受けて、平成7年5月に同部会の下に委員会(臨床研修検討小委員会)を設置し、昨年7月31日には中間意見書が提出されたところである。
今までの議論を通じて、臨床研修の必修化を含めて、臨床研修を充実することについては大方の理解が得られている。
(3) 現在、意見書の方向を踏まえ、研修指導体制や研修病院・施設基準等の詳細、医師免許の性格等の法制上の問題や制度改正の前提である財源問題について、検討を行っているところであり、今後、大学関係者を含めて意見交換の場を設けることとしている。

2.将来の医師需給について

(1) 医師数については、昭和50年代後半の医科大学(医学部)の入学定員で推移すると、将来的に深刻な医師数の過剰が生じると予測されたことから、「将来の医師需給に関する検討委員会」は、「昭和70年(平成7年)を目途に新規参入を最小限10%削減する必要がある。」との意見を取りまとめた(最終意見 昭和61年6月)。これを受けて厚生省は、文部省等に対し、医科大学(医学部)の入学定員の削減を要請してきたところである。
(2) 最終意見の公表後、地域医療計画に基づく必要病床数の設定、高齢者保健福祉推進10か年戦略の進展等の医療制度の改正や高齢化社会を踏まえての各種施策が推進されてきている。こられが、医師需給にどのような影響を与えるかを把握し、今後取り組むべき課題について検討するため、平成5年8月に「医師需給の見直し等に関する検討委員会」を設置し、平成6年11月に意見書の提出を受けたところであるが、同意見書でも、医学部入学定員の10%削減を達成できるよう公立大学を始め大学関係者の最大限の努力を要望すること等が報告されたところである。
(3) 医学部入学定員の削減については、平成8年度までに累計で7.7%にとどまっており、未だ目標は達成されていない。特に公立大学の削減率は0%であるので、早急に削減に着手されるようお願いする。
削減率) 国立 公立 私立
10.5% 0% 5.1% 7.7%

3.医師、歯科医師等の処分について

(1) 平成8年9月に医道審議会が開催され、5名の医師、3名の歯科医師に対し、1月から3年の業務停止の処分を行ったところである。
また、新たに24名の医師、歯科医師に対しては、意見陳述手続を行うこととなり、関係都道府県にその実施を依頼し、この度、完了の報告をいただいているところである。
なお、これら本人の意見陳述が完了したものについては、次回の審議会において再度審議され処分等が決定されることとなる。
(2) 医師、歯科医師として不適切な行為のあった者に対する処分については、今後も厳正な態度で臨むこととしているので、各都道府県におかれても、医師法(歯科医師法)第3条又は第4条に該当する事案及び医師、歯科医師としての品位を損なうような行為のあった場合には、これを的確に把握し、速やかに報告をされるよう御協力いただきたい。
なお、診療報酬の不正請求に係る事案については、部局間の連携を十分に図り、迅速に報告されるようお願いする。
(3) また、その他の医療関係職種についても、今後とも不正な行為があった場合には、その事案を把握し、報告いただくよう御協力をお願いする。

4.医療関係職種の養成について

(1) 理学療法士、作業療法士については、従来から需給計画を策定して、その養成・確保を進めてきたところであるが、人口の高齢化の一層の進展に伴い、理学療法士、作業療法士といったリハビリ関連職種の必要性が益々高まっており、平成3年8月、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会に需給計画を見直していただいたところである。
 この新たに策定した需給計画に沿って、平成4年度から養成施設の新設・定員増を図っているところであり、理学療法士については定員1,845名分、作業療法士については定員 1,490名分を承認した。(更に、平成9年4月には理学療法士 310名、作業療法士 340名の入学定員増が見込まれている。)
 全体の量の確保については既に目標を達成しているが、複数の養成施設を有する都道府県がある一方、養成施設を全く有していない都道府県がある。こうした状況を踏まえて平成6年8月の理学療法士作業療法士部会で、都道府県ごとやブロックごとの人口10万人当たり入学定員及び従事者が全国平均を上回っている都道府県においては、養成施設の新設・定員増は、原則として適当でない旨の考え方が取りまとめられ、平成8年4月開校のものから適用されているところである。
(2) 医療関係職種の養成施設における入学者選抜に当たっての適正な管理については、従前より十分留意するよう指導してきたところであるが、未だ不明瞭な施設が見受けられるところである。
 また、学生数についても、恒常的に定員を超過している施設が見受けられるところである。
 入学者の選抜に関しては誤解を招くようなことは厳に慎まねばならないのは当然のことであり、平成5年11月29日付医事第 105号により通知した内容等についての各養成施設への指導方、引き続きよろしくお願いする。
(3) いわゆるSTの資格化について
(1) 言語や聴覚に障害を持つ者の機能やコミュニケーション能力を回復、向上させるための検査、訓練、患者の家族に対する指導助言については既に高い専門性が認められているところであるが、これらの業務を行っている者についての資格制度は同じリハビリテーション関連職種である作業療法士、理学療法士、視能訓練士が既に国家資格化されているのに比べて立ち後れてしまっている状況である。
(2) いわゆるSTの資格法制化については、直近では昭和62年の「新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会」で検討が行われたところであるが、同検討会では「職務領域を巡って一部ではあるが教育か医療か等の議論が残り、いま少し検討調整が必要である」とされ、資格法制化に至らなかった経緯がある。
(3) 厚生省としては、この職務に従事する者の確保と資質の向上を求める患者の声が高まっていることに鑑み、「言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者(いわゆるST)の資格化に関する懇談会」を平成8年10月に設置し、国家資格化に向けて、問題点等を検討しているところである。

(歯科衛生課)

1.地域保健法の全面施行に向けた歯科保健医療対策について

平成6年7月に「地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律」(平成6年法律第84号)が公布され、同年12月には、新しい地域保健体系の下で、市町村、都道府県、国等が組むべき施策の方向を示した「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」が策定された。これに伴い、歯科保健医療対策についても都道府県、市町村の役割分担等の見直しが必要となり、平成2年に示された「保健所における歯科保健業務指針」等の見直しや歯科保健医療の新たな体系における施策等を幅広く全般的に検討を行うために「今後の歯科保健医療の在り方に関する検討会」を設置し、平成8年11月検討会として、今後の歯科保健医療方策の方向性及び具体的対応についての意見が取りまとめられた。

〔今後の歯科保健医療の在り方に関する検討会意見(要点)〕
○今後の地域歯科保健医療方策の方向性
ア 8020運動の充実
イ 地域歯科保健医療の新たな提供体制
ウ 在宅歯科保健医療
エ 人材の確保と資質の向上
オ 歯科の救急医療体制
○具体的対応について
ア 8020運動の新たな展開とかかりつけ歯科医機能の充実
イ 地域における歯科保健業務指針の作成
ウ 市町村を単位とした継続的な在宅歯科保健推進事業等の展開
エ 市町村保健センターでの歯科保健の拠点づくり及び口腔保健センターの医療面での充実
オ 地域歯科保健医療に従事する歯科医師、歯科衛生士の確保及び資質向上のための教育・研修の充実
カ 口腔保健センター及び実施可能な地域における在宅当番医方式による救急医療体制の整備

平成9年4月の地域保健法の全面施行に向けて、今後、本検討会の意見の内容を踏まえ、新たな体制における地域の歯科保健業務の内容について周知を図るために健康政策局長名により各都道府県知事に対して通知を行う予定である。
各都道府県におかれては、関係部局等との十分な連携・協力を図りながら新たな体系における歯科保健医療対策の円滑な実施等に努めていただくとともに、管下市町村への特段の指導方をお願いする。

2.8020運動等歯科保健対策について

高齢社会を迎えた今日、国民すべてが健康で明るく快適に過ごせる社会づくりを進めていくことが重要な課題であるが、歯の喪失等は、物が食べにくい、会話が不明瞭になることが生じる等豊かな生活を送る上で大きな影響を与えることとなる。
そこで、生涯を通じた歯科保健活動を推進していくため、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標とした8020(ハチマル・ニイマル)運動を進めているが、各都道府県におかれても、本運動の一層の推進に努められたい。
平成9年度からは、現行の「8020運動」のスローガンの普及・啓発活動を中心とした事業から、今後は、地域に密着したより実践的な形での事業展開を図ることとしている。

(1) 8020運動推進特別事業について
8020運動事業の推進を支援することを目的として、平成9年度から新たに、地域の特性を生かし、また、創意工夫を凝らしながら実施主体である市町村・特別区の歯科保健水準を向上させる事業に対して補助を行い、生涯を通じた歯の健康づくりを推進することとしている。

(2) かかりつけ歯科医機能支援事業について
歯科における患者の心身の特徴を踏まえた治療と口腔の継続管理等を行う、かかりつけ歯科医の機能の普及・定着を図るため、平成9年度から事業実施主体である市町村・特別区に対して支援事業を行うこととしている。

(3) 在宅要介護者歯科保健推進事業について
要介護高齢者及び要介護障害(児)者の歯科保健指導等のモデル事業を行ってきたところであるが、平成9年度においては、事業の統合及び名称の改組を行い、要介護高齢者及び要介護障害(児)者に対して、歯科保健状況の一層の改善を図るため、事業実施主体を市・特別区から市町村・特別区に拡大し、事業の効率と推進を図ることとしている。

(4) 成人歯科保健事業について
歯科検診を受ける機会に恵まれない母親等地域住民に対して歯科健康診査・歯科保健指導を行い歯科疾患の予防を図ってきたところであるが、平成9年度においては、事業実施主体を市・特別区から市町村・特別区に拡大し、地域歯科保健の推進を図ることとしている。
(5) 市町村保健センタ−の口腔保健室の整備について
地域保健法に基づき、市町村が歯科保健業務を行っていくことになるが、市町村保健センタ−に口腔保健室を設けるために必要な設備費を9年度においても引き続き補助し、その促進を図ることとしている。

(6) 歯科関係者講習会について
HIV等感染予防講習会及び歯科関係者を対象とした各種講習会については、(社)日本歯科医師会に、また、歯科衛生士養成所及び歯科技工士養成所の専任教員を対象とした講習会については、全国歯科衛生士教育協議会及び全国歯科技工士教育協議会に、それぞれ9年度においても引き続き委託して実施することとしている。

(7) 歯科保健関係行事について
国民の歯科保健に対する関心をより向上させるために、各地域で歯の健康づくりを推進していくことが重要であることから、歯の衛生週間(6月4日〜10日)や第18回全国歯科保健大会(11月15日埼玉県大宮市で開催予定)等の実施を通じ、歯科衛生思想の普及啓発を行うとともに地域における歯科保健事業の積極的な推進を図ることとしているので、各都道府県におかれてもその推進に努められたい。

(8) 保健所等に勤務する歯科医師及び歯科衛生士について
歯科保健対策の推進を図るためには、歯科医師及び歯科衛生士を都道府県、政令市、市町村、保健所等に配置することが必要であり、成人歯科保健や母子歯科保健の充実に伴い、従事者数は増加してきているものの、まだ不十分であり、今後とも十分配慮願いたい。
市町村における配置は勿論のこと、特に、現在未配置の県にあっては、是非とも協力方よろしくお願いする。

3.歯科医療対策について

無歯科医地区及び離島住民に対する歯科巡回診療事業、過疎地域における歯科診療所の整備、へき地中核病院設備整備事業(歯科医療機器分)、歯科衛生士養成所の巡回臨床実習教育事業の助成については、平成9年度においても引き続き行うこととしている。
また、休日等における救急及び要介護障害(児)者等の歯科医療確保のための休日等歯科診療所の運営費補助については、平成9年度においても引き続き行うとともに、新たに、休日及び休日夜間における地域住民の医療の確保を図るための歯科の在宅当番医制の事業(60か所)の推進を図ることとしている。

4.歯科医師の臨床研修及び養成等について

(1) 歯科医師の臨床研修について
近年、歯科医学や歯科医療技術が進歩し、また、人口の高齢化等を背景に国民の歯科医療ニーズが多様化・高度化していること等に伴い、歯科医師の資質の向上が強く求められており、特に、歯科医師の臨床研修の重要性が増大している。
こうした状況を踏まえ、歯科医師の養成のあり方全般について見直しを行っていた「歯科医師養成のあり方に関する検討委員会」において、平成7年11月、検討会意見がとりまとめられ、(1)臨床研修の到達目標(2)臨床研修の努力規定の法制化(3)臨床研修の実施体制の整備の三点について提言され、さらに、平成8年6月の第132回通常国会において、歯科医師免許取得後に1年以上の臨床研修を行うことを努力義務とする歯科医師法の一部改正法律案が議員立法として提出され可決・成立したところである。
また、同年8月、医療関係者審議会の中に、歯科医師臨床研修に関する重要事項を調査審議する歯科医師臨床研修部会が新たに設置され、同年10月、歯科医師臨床研修に関する指定要件について本部会から意見具申され、これを受けて、各都道府県知事に対して歯科医師臨床研修に関する指定基準等が通知されたところである。
平成9年4月からの歯科医師臨床研修の実施に向けて、今後、厚生大臣の指定する臨床研修施設の指定のための申請施設に対する実地調査及びヒアリング等を行うこととしているので、よろしく御協力をお願いしたい。
〔歯科医師臨床研修に関する今後の日程〕
○平成9年1月末 臨床研修指定申請の締切
○平成9年2月〜3月 実地調査及びヒアリングの実施
○平成9年3月 医療関係者審議会歯科医師臨床
研修部会における審議
○平成9年4月 歯科医師臨床研修施設の指定
○平成9年4月〜 歯科医師臨床研修の実施

(2) 歯科医師の養成及び需給について
昭和61年の「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」の最終意見においては、平成37年には歯科医師数の2割程度が過剰になるとの見通しが示され、平成7年を目途に歯科医師の新規参入を最小限20%削減することが提言された。その結果、歯科大学・歯学部の入学定員(募集人員)の削減の努力が行われ、平成6年度には削減率は 19.7%に達したところである。
さらに、歯科保健サ−ビスの充実強化等歯科保健医療をめぐる状況が昭和61年以降変化してきていることから、歯科医師数の需給について「歯科医師養成のあり方に関する検討委員会」において再度検証したところ、「供給数は西暦2020年までは需要数を上回る形で推移するが、それ以降は、需要数とほぼ均衡を保つ」という大筋において前回の推計と同様の報告(平成7年11月28日)がなされたところである。
歯科医師は総体としては充足の状況にあるが、都市集中の傾向が著しいため、各都道府県におかれては、地元歯科医師会等と十分連携をとり、へき地等における歯科医師の確保、在宅要介護者等に対する歯科保健医療の充実等に対して配慮されたい。

(3) 在宅医療推進歯科医師研修について
在宅要介護者等に対しても歯科保健サービスや歯科治療等が実施されるようになってきているが、健常者に比べ、全身管理を必要とすることや歯科保健指導の技法が複雑なこと等から、在宅歯科医療への対応が不十分である。
このため、地域医療を担う歯科医師に対して在宅医療についての研修を行い、受入れ体制の強化を図り、地域住民により良質で適切な歯科保健医療の提供を図るため、平成9年度も引き続き在宅医療推進歯科医師研修を各都道府県に委託し行うこととしているので、協力方お願いしたい。

5.歯科衛生士・歯科技工士の養成等について

(1) 歯科衛生士について
地域保健法の全面施行により、歯科保健事業の一層の拡大等が期待される中、地域における歯科保健を推進していく上で、住民に対する歯科衛生士による歯科保健指導が充実されることが重要となることから、歯科衛生士の役割は今後とも増大していくことが予想される。
このため、歯科保健サ−ビスを担う歯科衛生士に対して、義歯の取扱い等を始めとする歯科保健の指導法の研修及び地域保健医療についての研修を行い、地域住民により良質で適切な歯科保健の充実を図るため、平成9年度も引き続き地域保健医療推進歯科衛生士研修を各都道府県に委託をして行うこととしているので、協力方お願いしたい。

(2) 歯科技工士について
良質な歯科技工物を供給するため、歯科技工所の作業環境を改善・整備することを目的した「歯科技工所運営マニュアル作成検討会」において、平成8年4月に意見がまとめられ、既に、歯科技工所の適切な運営の参考として活用いただいているところであるが、今後とも、歯科技工所の適切な運営が図られるよう貴管内関係方面への周知をお願いしたい。
また、歯科技工所の運営に関し、無資格者が技工業務を行ったことによる歯科技工士法違反として摘発された事例等が報告されており、今後とも、法に基づき適正な運営が行われるよう、よろしく御指導願いたい。

(看護課)

1.准看護婦問題について

准看護婦制度は、高等学校卒業資格である看護婦の不足を補うものして、昭和26年に中学卒業者を対象として制度化された。10年余を経過した頃より、そのあり方について再検討が必要との議論が繰り返されてきた。
このため、平成6年12月にまとめられた「少子・高齢社会看護問題検討会」の報告を踏まえ、准看護婦養成のあり方等についてその実態を調査検討するため、平成7年10月より有識者からなる「准看護婦問題調査検討会」を開催し、准看護婦養成所等の客観的な実態把握とそれに基づく検討を行い、平成8年12月に報告書が、公表されたところであ 。
このうち、21世紀に向けた准看護婦養成のあり方については、「関係者の努力により、現行の准看護婦養成課程の内容を看護婦養成課程の内容に達するまでに改善し、21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努めること」としている。さらに、准看護婦養成所の運営について直ちに改善が必要な事項として
○医療機関での勤務の義務付けを禁止するための法令上の整備。
○奨学金の受給は生徒の自由な選択に委ねること等、不適切な奨学金貸与契約の改善
○無資格者の違反行為については医療監視等の機会に指導・監督を徹底。
○看護に関する情報提供を行うための進路相談窓口の開設。
等があげられている。
 今後、検討会報告の提言で示された諸課題の具体的な手順や方策について関係者との協議を進め、必要な対応を図っていくこととしている。

2.看護職員確保対策について

国民に良質で適切な保健・医療サービスを提供していくためには、資質の高い看護職員を十分に確保していくことが不可欠である。
このため、平成4年6月に成立した「看護婦等の人材確保の促進に関する法律」及び「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」(以下「基本指針」という。)に基づき、「看護職員需給見通し」(平成3年12月策定)の達成に取り組んでいるところであり、達成状況については、現在のところ順調に推移している。 (別記資料1参照)
看護職員確保対策は、今後の若年労働力人口の減少に鑑み、看護職員 の離職の防止、潜在看護職員の再就業の促進に重点を置いて取り組むと ともに、高齢社会に対応する訪問看護の推進や高度・専門医療に対応で きるよう看護職員の資質の向上を図る必要がある。
(1)看護職員の離職防止対策
今後の若年労働力人口の減少により、新卒就業者の大幅な増加が困難になると考えられることから、看護職員の確保については現在就業している看護職員の離職防止が重要な課題となっている。そのためには、看護職員がその専門性を発揮し、誇りをもって患者サ−ビスの向上に努められる働きやすい魅力ある職場環境を築くことが必要となってきている。
子供を持つ看護職員が安心して勤務を継続、あるいは再就業できるようにするための院内保育所運営費については、平成9年度において、民間立については、厚生保険特別会計児童手当勘定から一般会計に移し、1,250か所に、地方公共団体立については引き続き一般会計で227か所に拡大した。また、24時間保育を行っている保育所に対する保育時間の延長加算分として、707か所分を確保した。
(2)看護職員の再就業の促進対策
潜在看護職員の再就業の促進は、離職防止対策とともに重要な定着対策として取り組む必要がある。
各都道府県においても、引き続き都道府県ナースセンターを中心に医療関係団体、看護婦等就業協力員、公共職業安定所等と連携して、潜在看護職員の把握と再就業に向けての相談や情報提供等協力支援体制の構築及び訪問看護支援事業の充実に努められたい。
(3)看護職員の養成力の適正化
ア.平成3年に策定した需給見通しを達成するため、これまで計画的に養成力の拡充強化に取り組んできたところであるが、現状においても平成12年以降は看護職員が過剰になると予測されている中で、今後、新設養成所等の整備については、新設養成所の定員数と同数の既設准看護婦及び看護婦養成所の定員を減少させた上での認可となることも考えられるので、慎重に検討していく必要がある。
各都道府県においても、
○各都道府県全体の需給バランス
○看護婦・准看護婦の養成数及び就業者数の割合
○当該地域を中心とする18歳人口の将来予測及び大学等への進学率の動向等学生数確保の見込み
○当該地域の既設養成所の課程切り替えの可能性
等幅広い観点からその必要性について十分検討した上で対応されたい。
イ.また、新設養成所等に対する国庫補助の採択に当たっては、各都道府県の看護職員需給見通しの達成状況を勘案することとするので、採択できない場合もあることを了知されたい。
なお、具体的な国庫補助採択方針については、別途連絡することとしているところである。
ウ.看護婦等養成所関係の平成9年度予算(案)においては、看護婦等養成所指定規則の改正に伴い、専任教員経費、実習施設謝金を増額し、看護教育の充実を図ったところである。
エ.看護職員を志望する者の確保については、平成3年に制定した看護の日及び看護週間等を通じ普及啓発に努めている。基本指針でも看護の魅力を積極的に若年層に伝える対策の必要性が指摘されており、「看護の日」等の行事の実施に当たっては、教育委員会と調整して実施するよう引き続き努められたい。
なお、厚生省及び日本看護協会主催の中央行事を今年度は東京にて行う予定であるので、各都道府県の協力をお願いする。

3.保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則等の一部改正について

(1)改正の経緯
平成6年の「少子・高齢社会看護問題検討会」報告書での提言を具体化するため、平成7年6月に医療関係者審議会保健婦助産婦看護婦部会の下に「看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会」が設置され、9回にわたる検討の結果、平成8年3月に中間報告書がとりまとめられた。それを受けて、保健婦助産婦看護婦養成所指定規則、指導要領及び手引きの改正を平成8年8月に行ったところである。
ただし、看護婦2年課程、准看護婦課程のカリキュラム内容や指定基準については「准看護婦問題調査検討会」において准看護婦養成のあり方についての検討結果を踏まえて必要に応じて引き続き検討を行うということで、今回の指定規則改正を見送ったところである。平成8年12月20日の「准看護婦問題検討会報告書」の具体化に向けて、今後検討を行う予定にしているので、その結果を待って対応していくこととしている。
(2)指定規則等改正の概要
ア.教育内容の充実等
(1)在宅療養者に対するニーズに対応するための「在宅看護論」、患者の精神的緊張や不安の緩和を図るための「精神看護学」の設定。
(2)教育科目による規定から教育内容よる規定に変更。
(3)時間数の規定から単位数による規定に変更。
イ.統合カリキュラムの提示
施設内看護と地域看護とを視野に入れた看護サービスの提供ができる能力を有する看護職員を育成するために、看護婦(士)と保健婦(士)又は助産婦の国家試験受験資格が同時に取得できる、統合カリキュラムの提示。
ウ.教育体制の充実
(1)看護婦養成所3年課程の専任教員の配置については、各専門領域における教育水準を向上させるため、従来の各学年、各学級ごとの配置を改め、専門領域を重視した配置とし、従来の4人 以上から8人以上とした。
(2)保健婦及び助産婦養成所にあっては、現行の2人以上から3人以上とした。
エ.実習施設の拡大
(1)実習施設については、病院での実習のみならず、実習施設としての要件が満たされていれば訪問看護ステーション等、看護が行われているあらゆる場で行うこととした。
(2)実習施設は病院の病床数で規定するのではなく、看護の質や実習体制の状況で規定することとした。
オ.施設設備の見直し
看護婦養成所においては、在宅看護実習室を新たに必置とし、調理実習室、実験室などの必要性の低い施設設備の設置義務を指定規則から削除した。
今回の改正に伴い、必要となる学校又は養成所の学則の変更等の手続きについて現在、事務的作業を進めているところであるので、各学校又は養成所については遺漏のないよう指導されたい。

4.保健婦助産婦国家試験出題基準作成委員会について

指定規則の改正に伴い、平成9年度から施行される新たなカリキュラムは、従来のカリキュラムに比べて大幅に教育内容の弾力化が図られているところである。このため、平成10年以降に実施される保健婦及び助産婦国家試験の受験者に対して、国家試験で求める水準を明確に示す必要性が生じてきたところである。
そこで、医療関係者審議会保健婦助産婦看護婦部会の下に、保健婦助産婦国家試験出題基準作成委員会を設けたものであり、平成9年4月までに作成し、公表する予定としている。
なお、看護婦国家試験出題基準については、平成11年春までには検討し公表する予定である。

5.看護補助者の研修マニュアル作成検討会について

(1)検討会設置の趣旨等
平成4年の医療法の改正において、療養型病床群が制度化され、「看護補助者」が医療制度の中に位置付けられた。また、平成6年10月から実施された新看護体系においては、看護職員を評価する体系と看護補助者を評価する体系に改められ、看護分野において看護補助者が位置付けられた。
さらに、平成6年12月の少子・高齢社会看護問題検討会報告においても、「看護補助者の資質の向上を図るための措置を講じるべきである。」と指摘されたところである。
また、平成7年8月の総務庁「保健医療福祉にかかる人材確保対策に関する行政監察結果に基づく勧告」においては、「医療機関がそれぞれの実状に応じて看護婦等の業務分担の軽減方策を検討できるよう、看護補助者等の無資格者の業務に関するマニュアルを作成し、看護婦等と他の医療関係職種の者との業務分担に関する事例を収集する等をして医療機関に対し情報提供すること。」と勧告された。
そこで、本検討会においては、医療関係団体等からの要望も踏まえ、看護補助者の資質の向上を図るための対策を講じるために、病院に勤務する看護補助者として必要な知識・技術を修得するための研修マニュアルの作成を検討することを目的として、平成8年12月25日に検討会を設置し、検討を行っているところである。
(2)検討項目及びスケジュール
ア.検討項目
・看護補助者の業務及び責任の範囲、指示及び監督のあり方
・集合教育のカリキュラムの作成
・集合教育終了後、看護管理者が職場でのOJTに活用できる看護補助者の技術レベルの確認表の例示等
イ.スケジュール
・平成9年3月までに3回実施予定

(別記資料1)

看護職員の需給見通しの達成状況

(単位:人)

年 次 需 要 数 (A) 年末就業者数 (B) 達成率(%)
(B)/(A)×100
平成3年 見通し数 932,000 858,000 92.1
実績数 932,000 851,734 91.4
平成4年 見通し数 976,000 885,000 90.7
実績数 976,000 880,216 90.2
平成5年 見通し数 1,012,000 914,000 90.3
実績数 1,012,000 922,471 91.2
平成6年 見通し数 1,034,000 946,000 91.5
実績数 1,034,000 961,744 93.0
平成7年 見通し数 1,055,000 979,000 92.8
実績数 1,055,000 −−−−− −−−
平成8年 見通し数 1,076,000 1,014,000 94.2
実績数 1,076,000 −−−−− −−−
平成9年 見通し数 1,096,000 1,049,000 95.7
実績数 1,096,000 −−−−− −−−
平成10年 見通し数 1,117,000 1,086,000 97.2
実績数 1,117,000 −−−−− −−−
平成11年 見通し数 1,138,000 1,122,000 98.6
実績数 1,138,000 −−−−− −−−
平成12年 見通し数 1,159,000 1,159,000 100.0
実績数 1,159,000 −−−−− −−−

(社会福祉・医療事業団)

1.平成9年度事業計画(医療貸付事業)について

(1)貸付事業

社会福祉・医療事業団においては、医療の普及及び向上を図るため、民間医療機関等の設置等に対する資金の融通並びに経営指導を行っているが、平成9年度においては、医療施設の近代化、療養型病床群の整備促進及び新ゴールドプランに基づく老人保健施設の設置等による資金需要の増加に対応するため大幅な貸付枠の拡大を図っている。

ア 医療貸付事業分
区 分 平成8年度予算 平成9年度予定 対前年度伸率
貸付契約額 2,350億円 2,950億円 25.5%
資金交付額 2,295億円 2,934億円 27.8%

イ 主な貸付条件の改善
(ア)病院及び老人保健施設等の建築資金の貸付金限度額の引き上げ
7億円 7億2千万円

(イ)国立病院等資産譲受資金の貸付相手方の変更等
平成8年5月、「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律(昭和62年法律第106号)」の一部改正に伴い次のように貸付条件を改善する。
(1) 貸付相手方の追加
・ 医学部を置く大学を設置する学校法人
  保健医療に関する教育研究を行う大学、短期大学を設置する学校法人
・ 医師会 法人税が非課税となっている民法法人
(2) 貸付対象資産の拡大
国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律第2条の2に規定する譲渡(引継職員数が1/3以上1/2未満の場合)となる資産を追加

(ウ)第三次改正医療法の成立を前提として地域医療支援病院を「特定病院」に加え、総合病院を「特定病院」から除外する。
区 分 資金の種類 病 院 特定病院
貸付金
限度額
建築資金 7 億円 12 億円
機械購入資金 7.5千万円 1.5億円
長期運転資金 1.5千万円 3 千万円

(2)経営診断・指導事業等

平成9年度においても引き続き、民間医療機関の経営の安定化及び向上に資するための経営診断・指導事業及び地域医療の確保を図るための開業医承継支援事業を実施することとしている。

2.福祉・保健情報サービス事業(社会・援護局所管)について

福祉・保健情報サービス事業については、各都道府県を地方センターとして管下市町村等に対して各種情報を提供するものであり、各都道府県独自のデータベースを作成することにより、地域レベルの情報も提供できるシステムとなっている。
さらに、平成9年度においては、市町村等がより有効に情報が活用できるよう利用機関にデータ検索のみならず、当該市町村に係るデータの加工機能を追加することとしている。
そのため、各都道府県においては地方センターとしての機能の維持、拡充に努めるとともに、管下市町村等が利用しやすい環境づくりに努め、本システムの有効な活用を図られたい。



トピックス ホームページへ戻る 「全国厚生関係部局長会議資料」へ戻る 次ページ