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厚生省保健医療局


平成9年1月21日(火)

目 次

(重点事項)

1.感染症対策について
2.エイズ対策について
3.生活習慣病対策について
4.臓器移植対策について
5.国立病院・療養所の再編成について

(予算概要等)

1.平成9年度歳出予算(案)の概要
2.保健医療局関係の平成9年度組織改正の概要

(連絡事項)

<企画課>

1.原爆被爆者対策について
2.毒ガス障害者対策について

<企画課指導調査室>

公衆衛生関係行政事務指導監査等について

<健康増進栄養課>

国民健康づくり対策について
(1) 喫煙対策の推進
(2)栄養指導業務等の推進
(3)健康保養地の推進

<疾病対策課>

1.生活習慣病対策について
2.難病対策について
3.臓器移植対策について
(1)腎臓移植対策について
(2)角膜移植対策について
(3)骨髄移植対策について

<エイズ結核感染症課>

1.結核対策について
2.予防接種対策について
3.その他対策について

<運営企画課>

5.国立病院・療養所の再編成について

予 算 概 要

重 点 事 項

重 点 事 項

1.感染症対策について

(1) 感染症対策の見直しについて
  ア 見直しの考え方

 近年、腸管出血性大腸菌感染症(O−157)やエボラ出血熱のような新たな感染症の出現や結核のように減少を続けていたものが再び増加するなど感染症の脅威の拡大が問題となっている。これらの新興感染症及び再興感染症に対しては、WHOやアメリカ合衆国等も対応を開始しているところである。
 新興感染症は、発生時には、その病原体、感染経路、感染力等が不明のため、過剰反応や社会不安を引き起こしやすい。このため、感染症の発生をすばやく察知し、病態の解明を進めるとともに、迅速かつ適切な防疫対策が必要であり、正確な情報をいち早く国民に周知させる必要がある。
 さらに、国際化の進展による海外交流の機会の拡大に伴い、我が国に常在しない新種の感染症が短期間に国内に侵入する可能性もあり、危機管理体制の面からも新しい感染症についての海外感染症情報の収集・分析やその対策の方針決定などの体制づくりが重要である。

 以上のような新しい感染症の出現と国際化の進展によるこれら感染症の国内への侵入の危険性が拡大しているほか、公衆衛生水準の向上、医学の進歩、国民の健康意識の向上等、感染症対策を取り巻く環境は大きく変化している。こうした諸環境の変化を踏まえ、隔離主体の伝染病予防法を中心とした現行の感染症対策を見直し、新たな感染症対策を構築する必要がある。

  イ 公衆衛生審議会における検討

 感染症対策を取り巻く諸環境の変化を踏まえた伝染病予防法その他感染症予防法規の見直し及び平成11年に改正予定とされているWHOの国際保健規則(IHR)の検討状況を踏まえた検疫法の抜本的な改正を検討するため、平成8年7月に公衆衛生審議会伝染病予防部会の中に基本問題検討小委員会を設置し、平成10年の法改正を目指して検討を進めている。

  ウ 平成9年度予算案での対策

(ア) 感染症に関する情報収集・提供対策の強化

 平成9年4月に、国立予防衛生研究所を、国立感染症研究所(仮称)に改組し、感染症に関する情報の収集・解析を行う感染症情報センター(仮称)を設置する。
 センターでは、最新の情報をデータベース化し、医療関係者、国民に対し広く提供できる体制を整備する。

(イ) 新興感染症を含む感染症発生に備えた対策委員会等による危機管理体制の整備

 新興感染症に対する各種防疫対策等の策定と緊急時の医療機関への情報提供を行うた め、新たに「感染症危機管理対策委員会」を設置する。

(ウ) 緊急時感染症対策基盤整備事業の創設

 都道府県による緊急時に備えた医療従事者の研修の実施及び緊急時の感染症情報の早期提供、市町村による緊急時の防疫措置の実施を支援する。

(エ) 感染症の専門家等に対する研修事業の創設

 新興感染症等に対応するため、厚生省において、感染症の専門家等に対する研修を実施する。

(オ) 感染症に関する研究の推進

 新興感染症等に関する研究、外国人研究者招へい事業や日本人研究者の海外派遣事業等の研究推進事業を実施する。

(2) 腸管出血性大腸菌O−157の指定伝染病への指定の経緯及び今後の二次感染防止対策について

 厚生省としては、平成8年7月31日の公衆衛生審議会伝染病予防部会の意見を受け、二次感染の防止及び原因究明の推進の観点から、平成8年8月6日に、伝染病予防法において、「腸管出血性大腸菌感染症」を伝染病予防法に基づき予防方法を施行すべき伝染病として指定したところである。
 本感染症については、季節を問わず感染事例が報告されているところであり、引き続き、二次感染防止等に当たられるようお願いする。

(3) 結核の集団発生について

 奈良県内の医療施設において、結核の二次感染による集団発生(要治療:9名、経過観察:95名)が見受けられたことから、各自治体におかれては、その防止対策として「結核定期外健康診断ガイドライン(平成4年12月8日付健医感発第68号疾病対策課結核・感染症対策室長通知)」に沿った適切な実施をお願いする。

(4) ハンセン病対策について
  ア らい予防法廃止について

 「らい予防法の廃止に関する法律」は、平成8年3月27日に参議院において可決成立し、4月1日より施行されたところである。(平成8年法律第28号)
 らい予防法(昭和28年に制定)においては、強制入所等の隔離措置、国立療養所入所者に対して必要な療養を行うこと、患者家族に対する援護等の処遇等が規定されていた。
 今回の廃止法においては、らい予防法の廃止により、ハンセン病が一般の疾患として取り扱われることと併せて、法の廃止後も引き続き療養所の入所者に対する医療及び福祉の措置並びに入所者の親族に対する援護措置の維持継続を図るものである。

  イ 社会復帰者の支援について

 社会復帰者の支援については、国会の附帯決議においてその支援対策の充実を図ることが求められている。療養所入所者の多くは、高齢であり、合併症を有し、長期にわた療養所に入所していたことなどから社会復帰が困難であることから、各都道府県におかれても、療養所入所者の社会復帰に際し、公営住宅の確保等の支援の申し出があった場合には、これに対応していただくよう、特段の配慮をお願いする。

(5) 薬剤耐性菌について

 バンコマイシン耐性腸球菌、メチシリン耐性ブドウ球菌などの薬剤耐性菌が注目を集めている。厚生省では平成8年12月に「薬剤耐性菌対策に関する専門家会議」を設置して、現在の知見を整理するとともに、必要な対策や手法について提言をとりまとめることとしている。また、平成8年度の厚生科学研究において、薬剤耐性発生機序、耐性菌の実態把握などの研究を行っているところである。

(6) 地方分権推進委員会における感染症対策に係る国と地方のあり方の検討について

 現在、国と地方の新しい関係について、地方分権推進委員会(首相の諮問機関)で検討が進められているが、昨年12月にとりまとめられた地方分権推進委員会の第1次勧告では、以下の整理がなされているところである。
・法定の伝染病のまん延防止に関する事務:法定受託事務(仮称)
・性病予防法に係る事務:自治事務(仮称)

2 エイズ対策について

(1)エイズ対策の基本的方向

 厚生省としては、エイズの流行阻止をめざして以下の目標に沿って平成6年度から西暦2000年までの7年計画で施策の推進に取り組んでいるところである。

<西暦2000年までの目標>
1 特効薬及びワクチンの開発
 ・ウイルスの増殖等のメカニズムの解明
 ・開発の促進
 ・国際共同研究の推進 等
2 我が国におけるエイズの流行阻止
 ・相談、指導体制の整備
 ・検査、医療体制の整備
 ・患者、感染者の社会的受入れの促進 等
3 アジア地域におけるエイズの流行阻止のための支援
 ・国連エイズプログラムへの支援
 ・アジア地域に対する支援 等

 このような取り組みにもかかわらず、最近もHIV感染者が増加し続けており、油断を許さない状況が続いている。エイズ予防のためには、患者のみならず国民全員が正しい知識を持つことことが重要であることから、地域住民との接点となる都道府県において、正しい知識の普及啓発を一層充実するようお願いする。また、治療法の進歩など、エイズを取り巻く社会的な変化が著しいことから、厚生省では、エイズ治療・開発研究センター(仮称)や地域ブロック拠点病院を整備し、最新のエイズに関する医療と情報の提供を行うこととしている。各都道府県においてはこれらの医療機関から発せられる最新の情報を受け取り、適切に医療機関や関係機関に還元するとともに、新しい情報に基づいたエイズに関する施策の企画立案をお願いしたい。更に、保健所は、電話相談及び匿名HIV検査を含む個別相談を通じて、感染の不安を持つ者が最初に接する機関であることから、カウンセリング等の一層の充実に努めていただきたい。

(2)平成9年度予算案における対策

<エイズストップ7年作戦> 8年度予算額 9年度予算額(案)
13,268百万円 18,629百万円
 上記目標達成にむけて平成6年度に策定した「エイズストップ7年作戦」を引き続き推進し、その目標達成に向けて施策を充実する。
 また、HIV訴訟の和解等を踏まえ、エイズ治療研究体制の充実を図るため、エイズ治療・研究開発センター(仮称)の整備、国立病院・療養所のエイズ診療体制の整備、地方ブロック拠点病院等の整備促進等を図ることとしている。
(ア) 医療体制の充実 2,099百万円 7,238百万円
 ・エイズ治療・研究開発センター(仮称)の整備
 新・地方ブロックの拠点病院整備促進事業
 新・エイズ拠点病院ブロック別病院長会議開催事業
 ・エイズ拠点病院における施設・設備整備等
 新・エイズ拠点病院医療従事者海外実地研修
 新・エイズ拠点病院診療支援事業
 新・HIV診療医師ネットワーク支援事業
 新・エイズ治療研究情報ネットワークシステム整備費
(イ) 相談・指導体制及び検査体制の充実 1,089百万円 1,115百万円
 新・エイズ患者等に対する社会的支援事業
(ウ) 研究の推進及び国際協力の推進 6,293百万円 6,486百万円
 ・研究推進事業の充実
 ・エイズ医薬品等の研究開発の推進
 新・アジアエイズ会議研究者等派遣事業
(エ) 正しい知識の啓発普及 2,787百万円 2,790百万円
(オ) 都道府県によるエイズ対策促進事業の充実 1,000百万円 1,000百万円

3.生活習慣病対策について

(1)生活習慣病対策とは

 近年の医学の進歩によって、疾病の発症と進行には、食事、運動、休養、喫煙、飲酒といった個人の生活習慣が大きく関与いていることが明らかになってきている。
 このような新たな知見に基づき、昨年の12月に公衆衛生審議会から「生活習慣病」概念導入による疾病対策の構築について提言があったので、これを踏まえ、疾病の発症と進行に生活習慣が大きく関与している疾患群について、個人や社会の努力でその予防に努めていこうとするものである。

(2)今後の検討課題について

 今後、具体的な対策を策定するに当たっては、次の各検討課題等について公衆衛生審議会の意見を聴きながら検討していくこととしている。

 ア 生活習慣病の観点からの疾病予防のための包括的な指針のとりまとめや分煙対策などの社会的支援策など一次予防の推進方策

 イ 検診の意義、費用対効果、個人の選択性などの観点からの検診サービス提供体制の整備などの効果的な二次予防対策のあり方

 ウ 患者のQOLの向上を目指した医療技術の開発

 エ ハイリスク者に対する生活改善指導手法の開発などの研究推進のあり方

 オ その他、情報化への対応、地域における支援体制及び拠点機能の整備、健康増進・保健医療従事者の資質の向上等に関する方策

(3)公衆衛生審議会の検討経過

ア 第1回部会
 日 時:平成8年10月21日
 審議内容:成人病及び対策の現状について
生活習慣病(仮称)の導入について 等

イ 第2回部会
 日 時:平成8年12月 5日
 審議内容:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について

ウ 意見具申
 日 時:平成8年12月18日

(参 考)

(1) 公衆衛生審議会における検討上の論点

ア 成人病対策の現状と課題
 ・これまでの成人病対策は、病気の早期発見のための検診が中心であり、病気そのものの予防に対しては必ずしも十分ではなかった。
 ・成人病の発症・進行には、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与しているが、国民の生活習慣には改善すべき点が少なくない。
イ「成人病」という概念の評価
 (利 点)
 ・「成人病は成人になるとかかる病気なので一定の年齢になったら検診を受けて早期発見するという認識」を国民に醸成してきた。
 (欠 点)
 ・「生活習慣を改善すれば病気を予防できるという病気そのものの予防に対する認識」が高まりにくい。
 ・「成人になるとかかる病気という認識」が、小児期からの健康づくりへの動機付けを阻害する。
ウ 「生活習慣病」という概念の必要性
 ・成人病の発症・進行に生活習慣が深く関与していることを国民に普及し、その改善を促す必要がある。
 ・生活習慣は小児期に身につくので、小児期からの生涯を通じた健康教育を促進する必要がある。
 ・生活習慣の改善により、病気そのものが予防されれば、患者の生活の質の低下が予防きるし、結果的に国民医療費の効率的な使用にもつながる。

(2) これまでの疾病対策の経緯

 ・昭和20年代:国民の死亡原因の第1位は結核であり、結核検診による早期発見
 ・治療を中心とする結核対策が推進された。
 ・昭和30年代:昭和25年から死亡原因の第1位は脳卒中になり、「がん、脳卒中等の成人病」という概念が提唱され、検診等による早期発見・治療を中心とする成人病対策が進められた。
 ・昭和50年代:老人保健法が制定され、基本健康診査、各種がん検診の充実などが図られた。
 ・昭和60年代:「がんを防ぐための12カ条」や食生活指針、運動指針、休養の指針が策定されるなど、生活改善への啓発が進められた。

(3) その他

○ 成人病の定義(第1回成人病予防対策連絡協議会:昭和32年)
 成人病とは、主として脳卒中、がん、心臓病など40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40〜60歳くらいの働き盛りに多い疾病
○ ブレスローの7つの健康習慣
 適正な睡眠時間、喫煙しない、適正体重を維持する、過度の飲酒をしない、定期的にかなり激しいスポーツをする、毎日朝食を食べる、間食をしない。

4. 臓器移植対策について

 (1) 臓器の移植に関する法律案について

 (1) 法律案に関する経緯
 ・平成8年12月、「臓器の移植に関する法律案」が国会に再度提出された。
 ・法律案の内容は、平成6年4月に提出された法律案の内容に、平成8年6月に提出された修正案の内容を加えたものになっている。
 ・法律案に関するこれまでの経緯は以下のとおり。

ア 脳死臨調の答申
平成4年1月 「臨時脳死及び臓器移植調査会」が答申。
脳死を「人の死」とすることについては概ね社会的に受容さ
れ合意されているといってよいとした上で、一定の条件の下に
脳死体からの臓器移植を認める内容。
同月 「答申を尊重し、脳死及び臓器移植問題に取り組む」旨の閣議
決定。

イ 立法化の検討
平成4年4月 中山太郎議員を会長とする超党派の「生命倫理研究議員連盟」が立法化に向け検討。
各党間の協議の場として、「脳死及び臓器移植に関する各党協議会」が発足し、法案作成に向け具体的検討。
(歴代座長:畑英次郎議員、野呂昭彦議員、森井忠良議員)
平成4年12月 各党間の協議の場として、「脳死及び臓器移植に関する各党協議会」が発足し、法案作成に向け具体的検討。
(歴代座長:畑英次郎議員、野呂昭彦議員、森井忠良議員)

ウ 法律案の審議
平成6年4月 「臓器の移植に関する法律案」が第129回国会に提出
(提出者−森井忠良衆議院議員外14名(当時))
第131回国会衆議院本会議で趣旨説明・質疑
平成6年12月 第131回国会衆議院本会議で趣旨説明・質疑
平成7年6月 第132回国会衆議院厚生委員会で提案理由説明及び参考人意見聴取
第134回国会衆議院厚生委員会が愛知県名古屋市で地方公聴会開催
「臓器の移植に関する法律案に対する修正案」が第136回国会衆議院厚生委員会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外11名)
第136回国会衆議院厚生委員会が宮城県仙台市及び福岡市で地方公聴会開催。
衆議院解散に伴い、「臓器の移植に関する法律案」廃案。
「臓器の移植に関する法律案」が第139回国会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外13名)
※第139回国会で継続審査。
平成7年11月 第134回国会衆議院厚生委員会が愛知県名古屋市で地方公聴会開催
「臓器の移植に関する法律案に対する修正案」が第136回国会衆議院厚生委員会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外11名)
第136回国会衆議院厚生委員会が宮城県仙台市及び福岡市で地方公聴会開催。
衆議院解散に伴い、「臓器の移植に関する法律案」廃案。
「臓器の移植に関する法律案」が第139回国会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外13名)
※第139回国会で継続審査。
平成8年6月 「臓器の移植に関する法律案に対する修正案」が第136回国会衆議院厚生委員会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外11名)
第136回国会衆議院厚生委員会が宮城県仙台市及び福岡市で地方公聴会開催。
衆議院解散に伴い、「臓器の移植に関する法律案」廃案。
「臓器の移植に関する法律案」が第139回国会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外13名)
※第139回国会で継続審査。
平成8年6月 第136回国会衆議院厚生委員会が宮城県仙台市及び福岡市で地方公聴会開催。
衆議院解散に伴い、「臓器の移植に関する法律案」廃案。
「臓器の移植に関する法律案」が第139回国会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外13名)
※第139回国会で継続審査。
平成8年9月 衆議院解散に伴い、「臓器の移植に関する法律案」廃案。
平成8年12月 「臓器の移植に関する法律案」が第139回国会に提出。
(提出者−中山太郎衆議院議員外13名)
※第139回国会で継続審査。

 (2) 今回提出された「臓器の移植に関する法律案」のポイント

 ア 医師は、イの条件を満たすときに限り、移植術に使用するため、死体(脳死体を含む)から臓器を摘出できるものとすること。
 イ 臓器の摘出は、本人が生前に臓器提供の意思を書面により表示しており、かつ、遺族が拒まないときに限定すること(ただし、当分の間の経過措置として、角膜及び腎臓については、これまで通り、遺族の同意により、心停止後の死体からの摘出が可)。
 ウ 法施行後3年で検討を加えること。
 エ その他(臓器売買の禁止、業として行う臓器のあっせんの許可等について規定)
(参考) 我が国における脳死・臓器移植の現状
脳死者数(年間) 3, 000人〜8, 000人
移植実施数
(1995年)
肝臓:生体肝112件、死体肝0件
(欧米豪:約6, 200件/5年生存率71%)
心臓:0件
(欧米豪:約3, 600件/5年生存率68%)
移植必要患者数
(推計)
肝臓:年間適応数約3, 000人
心臓:年間適応数約60〜660人
海外で移植を受けた
邦人の数(累計)
肝臓:125人
(平成7年7月20日現在:肝移植研究会調べ)
心臓: 26人
(平成7年度厚生省研究班報告)

(2) 腎臓移植の推進について

(1) 現状
 ・死体腎による腎臓移植は、「角膜及び腎臓の移植に関する法律」に基づきその推進が図られてきたが、近年の状況は、平成元年の259件をピークに減少傾向にあり、平成7年度の実績では年間161件にとどまっている。

 ・こうしたことから、10月の腎移植推進月間にあわせ、昨年10月1日付けで、医療機関、関係機関等の腎臓移植に対する一層の理解と協力を得ることを目的として、全国の救急救命施設を持つ医療機関に協力依頼の文書(次頁)を送付した。

 ・併せて、各都道府県知事あてにも、厚生省保健医療局長名で、関係する病院長の会議等を通じて移植に関する情報の提供を促すなど、(社)日本腎臓移植ネットワークとの連携強化を働きかけていただくよう、依頼の文書を送付した。また、昨年秋に開催された平成8年度全国衛生部長会第2回総会においても、同様にご協力をお願いした。

(2) 死体腎移植の件数
 ・平成8年4月から12月までの死体腎移植の件数は136件となっており、平成7年度同時期の116件より増加している。今後とも、腎臓移植の推進にご協力をお願いしたい。
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月〜3月
7年度 20 18 19 6 7 16 10 16 4 45
累計 20 38 57 3 70 86 96 112 116 161
8年度 21 14 8 11 15 12 18 22 15
累計 21 35 43 4 69 81 99 121 136

(3) 生体腎の売買等の問題について

(1) 状況
 ・「腎臓譲ります」といったビラの張り出しや海外へ移植希望者を組織的に紹介しようとする動きなど、臓器の売買にかかわる可能性のある事例が依然として見られる。
 ・臓器売買の禁止については、世界保健機関(WHO)において、臓器売買の禁止規定を盛り込んだ臓器移植に関する指針が採択され、また、日本移植学会においても、臓器売買に関与した会員への厳しい罰則規定を盛り込んだ倫理指針がまとめられている。
 ・また、現在、国会に提出されている「臓器の移植に関する法律案」においては、臓器売買に対する明確な禁止規定(国外犯も含め)が盛り込まれている。

(2) 具体的な指導等
・昭和59年11月 厚生省保健医療局結核難病課長及び健康政策局総務課長の連名で各都道府県衛生主管部(局)長あて通知
「生体腎の売買びそのあっせんについて」により、生体腎の売買等に対する適切切な指導及びその概要等の厚生省への報告について指示。
・昭和63年3月 厚生省保健医療局結核難病課長名で各都道府県衛生主管部(局)長あて通知
「海外における腎移植勧誘問題について」により、関係機関との密接な連携を取り適切な指導を行う旨及びその概要等の厚生省への報告について指示。
・平成7年8月 厚生省保健医療局臓器移植対策室長名で海外における腎移植勧誘問題について、関係機関等と連携しつつ、速やかに適切な指導を行う旨及び事実の概要について報告するよう重ねて依頼。

(4) 骨髄バンク事業におけるNMDP(全米骨髄バンク)との提携について

 ・骨髄提供者(ドナー)を10万人集めれば日本国内の骨髄移植を希望する90% の患者にHLA型の適合するドナーが見つかると試算されているが、残りの10%の患者は、国内ではドナーが見つかりにくいHLA型であり、これらの方々にも移植の機会を多く提供する必要がある。
 ・このため、去る平成8年末に財団法人骨髄移植推進財団において、NMDP(全 米骨髄バンク)との提携が図られ、事業開始に向け具体的な準備を進めているところであり、早ければ平成9年度早々に自国でドナーが見つからない日米両国の骨髄移植希望患者のためのドナー検索が行われる予定となっている。

5.国立病院・療養所の再編成について

○ 国立病院・療養所については、医療機関における役割分担として、国立にふさわしい広域・高度・専門の医療を担えるよう、機能の質的強化を図るため、全国 的視野に立って統廃合・移譲による再編成を進めている。

○ これまで終了したものは13ケース24病院、これ以外に、11ケース16病院が再編成に向けて具体的に動いているところである。

○ 平成8年度においては、地元自治体等関係者のご協力を得て、7月1日(長野県)国立療養所中信松本病院(国立療養所東松本病院、国立療養所松本城山病院の統合)の再編成が終了したところである。
 また、本年2月1日には国立塩原温泉病院を栃木県医師会に経営移譲する予定で現在、着々と準備を進めているところである。

○ 平成9年度においては、長野県の「国立長野病院と国立東信病院を統合して東信病院の地において、国立長野病院(仮称)」を、山口県の「国立湯田温泉病院と国立療養所山陽荘病院を統合して山陽荘病院の地において、国立療養所山陽病 院(仮称)」を設置する予定である。
 なお、国立長野病院については、日本赤十字社長野県支部が長野赤十字上山田病院(仮称)として、国立湯田温泉病院については、山口県済生会が山口県済生会湯田温泉病院(仮称)として引き継がれる予定である。

○ 昭和61年以来概ね10年間の計画として進められてきた再編成は、11年が経過し、最近は加速する傾向にあるものの、全体として計画どおり進んでいない。
 一方、現行の計画策定以来10年の間に、医療法の改正による医療計画の策定・推進により、地方公共団体が地域の医療供給に第一に責任を有する主体として明確に位置づけられるようになるとともに、保健・医療・福祉の分野における地方分権の推進等、国立病院・療養所を取り巻く状況は大きく変化してきている。

○ これを踏まえ、保健医療局長の下に開催された「国立病院・療養所の政策医療、再編成等に関する懇談会」の報告(平成7年11月)を受け、先の通常国会において、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部が改正され(平成8年5月22日公布・施行)、国立病院・療養所の再編成の一層の推進のための条件整備が図られた。

○ 具体的な改正内容は、以下のとおり。

(1) 譲渡後の後利用の範囲の拡大
(2) 職員を引き継ぐ場合の譲渡の特例の拡大
(3) 地方公共団体が管理委託を行う場合の減額措置の創設
(4) 譲渡先に対する施設・設備整備の国庫補助制度の創設
(5) 譲渡先の範囲の拡大
○ さらに、上記の法律改正や懇談会報告を踏まえ、昨年11月1日には「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」の見直しを行い、同日、閣議へ報告した。基本指針は、国立病院・療養所の再編成の基本的な考え方等を規定した国の方針であり、再編成計画はこれに基づくものである。
 なお、従来の基本指針は、昭和60年3月に策定したものであり、11年ぶりに改定したことになる。

○ 新「基本指針」に示された国立病院・療養所の果たすべき役割の考え方は、従来のスタンスと変わりなく、国立病院・療養所は、基本的・一般的医療は他に委ね、広域・高度・専門という分野の医療等に特化する方向を引き続き目指すべきであり、このため、再編成を一層推進することにより、国立病院・療養所の経営資源を集約・集中し、その役割を適切に果たし得るよう機能強化を図るというものである。他の医療機関との連携を図る上で国立病院・療養所が担った方が最も資源活用上望ましい政策医療等の分野に一層集約・集中すること及び量的なカバーから質的な充実を図ることの考え方をより鮮明に打ち出したものである。

○ 基本指針の見直しの概要については、以下のとおり

(1) 国立病院・療養所の担うべき医療について、量から質への観点から見直す。
 ・ エイズ、難治性の免疫異常、感覚器障害、代謝性疾患を明示
 ・ 結核病棟の集約(原則として都道府県に1か所とする)
 ・ 精神疾患に対する医療について、他の設立主体では対応困難な精神科救急、薬物依存症、合併症に重点化
(2) 統廃合及び経営移譲の終了していない施設については、引き続き再編成計画の対象施設とし、施設の廃止を含む対処方策を平成12年度末までに決定した上、速やかに実施する。
(3) 現在、再編成対象施設となっていない施設についても、その果たすべき役割を適切に遂行できないものは、統廃合又は経営移譲の対象施設としての追加を検討する。
(4) 経営の合理化の方策を引き続き推進し、効率的な経営体制の確立を図る。

○ 最後に、これまでの再編成計画の推進に際しては、都道府県の皆様には多大な御協力をいただいており、心からお礼を申し上げる。厚生省としては、この新たな基本指針を踏まえ、再編成の推進に不退転の決意をもって一層積極的に取り組む所存である。もちろんそのためには、地方公共団体等関係者の御理解が不可欠であり、今後とも各地方医務(支)局が逐次各自治体へお伺いし、自治体等地元 関係者と十分話し合いを行うなど関係を一層密にしていきたいと考えているので、その際は、再編成の趣旨を御理解の上、より一層の御協力をお願いしたい。

予 算 概 要

保健医療局

1.平成9年度歳出予算(案)の概要
(新規事項及び主な改正内容)

1.感染症対策 7,744百万円 9,900百万円

(1) 感染症危機管理体制の整備 518百万円

 ○感染症に関する情報収集・提供体制の強化(新規)
国立予防衛生研究所を国立感染症研究所(仮称)に改組し、感染症に関する情報の収集・解析を行う感染症情報センター(仮称)を設置。

 ○感染症危機管理対策策定のための体制の整備(新規)
感染症情報の収集、感染症の専門家等への研修及び緊急時の海外派遣計画、防疫対策の企画立案並びに実施方針等の策定を行う感染症危機管理対策委員会を設置。

 ○感染症に対するサーベイランス体制の強化
国内外の感染症情報を収集し、さらに解析・評価した情報を都道府県等や地域の医療機関に速やかに還元する体制を整備。

(2) 緊急時感染症対策の充実 80百万円

 ○感染症ファックスの創設(新規)
新種の感染症について、感染拡大等の危険性があると判断された場合に、発生状況、感染源、治療法などの情報を医療機関等に対しファックスで緊急に提供。

 ○緊急時感染症対策基盤整備事業の創設(新規)
都道府県が実施する緊急時に備えた医療従事者の研修、緊急時の感染情報の早期提供及び市町村が実施する緊急時の防疫のために必要な措置への支援。
 ○専門家の現地派遣等緊急時における情報収集体制の強化(新規)

(3)予防対策のための人材育成 1,987百万円

 ○感染症予防対策研修事業の創設(新規)
海外から招へいした感染症専門家による国内の医学微生物等専門家に対する高度な研修及び地方衛生研究所等の職員に対する研修を実施。

(4)調査・研究の推進 2,098百万円

 ○新興・再興感染症に関する研究、外国人研究者招へい事業や日本人研究者の
海外派遣事業等の国際共同研究の促進等。

 ○結核研究所の充実強化

(5)防疫対策等 2,003百万円

2.エイズ総合対策(エイズストップ7年作戦) 13,268百万円 18,629百万円

(1) 医療体制の充実 7,238百万円

 ○エイズ治療・研究開発センター(仮称)の設置(新規)
国立国際医療センターに、エイズ専門の治療、臨床研究、情報提供、研修を担当する機能を有するセンターを設置。

 ○エイズ拠点病院の整備と診療体制の充実等
・地方ブロック拠点病院等の整備促進(新規)
・エイズ拠点病院の医療従事者に対する海外研修の実施(新規)
・エイズ拠点病院の医療従事者等に対する診療支援(新規)
・HIV診療医師のネットワーク支援(新規)
・エイズ診療のための個室病室等の整備

 ○エイズ治療研究情報ネットワークシステムの整備(新規)
エイズ治療・研究開発センター(仮称)を核とし、国立感染症研究所(仮称)のエイズ研究センター及び全国のエイズ拠点病院等を結んで、全国の医療関係者、エイズ患者等が最新の治療技術等に関する情報を利用できるネットワークを整備。

(2) 相談・指導体制及び検査体制の充実 1,115百万円

 ○エイズ患者等に対するボランテイア団体の活動支援(新規)

(3) 研究及び国際協力の推進 6,486百万円

 ○エイズ治療に関する研究の推進

(4) 正しい知識の啓発普及 2,790百万円

(5) 都道府県によるエイズ対策の促進 1,000百万円

3.がん対策 68,730百万円 69,472百万円

 ○がん診療総合支援システムの構築

・がん診療施設情報ネットワーク事業の充実(4施設 6施設)

 ○がん診療画像レファレンスシステムの構築(新規)
がんの画像診断時に参照すべきレファレンス画像を収集し、データベース化して、世界の医療従事者にネットワークを介して提供する事業。

4.循環器疾患等対策 42,476百万円 44,462百万円

 ○循環器病診療総合支援システムの構築

・循環器病診療施設情報ネットワーク事業の充実(2施設 4施設)

 ○循環器病診療画像レファレンスシステムの構築(新規)
循環器病の画像診断時に参照すべきレファレンス画像を収集し、データベース化して、世界の医療従事者にネットワークを介して提供する事業。

5.難病対策 84,365百万円 94,036百万円

(1) 治療研究 18,634百万円

 ○対象疾患の追加(38 39疾患)

(2) 難病患者生活支援促進事業(新規) 12百万円
 難病患者や家族の方々が安心して暮らすための環境づくりのため、難病に関する様々な情報を提供するために「難病患者生活支援促進シンポジウム」を開催する事業。

(3) 難病情報センター事業の推進 100百万円

(4) 難病患者等の福祉施策の推進 879百万円
 ・ホームヘルプサービス
 ・難病患者等ホームヘルパー研修
 ・日常生活用具給付
 ・ショートステイ

6.臓器移植対策 1,946百万円 2,130百万円

(1) 臓器移植ネットワークの充実 574百万円
 (社)日本腎臓移植ネットワーク本部と全国7カ所のブロックセンターを中心として、腎臓移植に関する啓発普及やコーディネート等を実施。

 ・腎移植サブコーディネーターの設置(新規)(0 2名)

(2) 骨髄バンク事業の充実 1,135百万円
 (財)骨髄移植推進財団を中心に、骨髄移植に関する啓発普及やコーディネート等の実施及び日本赤十字社の協力を得て、骨髄ドナーのHLA型(白血球の型)検査を実施。

 ・地区主任調整員(旧:地区コーディネーター・アシスタント)の増員
 (12名 14名)

 ・骨髄ドナー登録時における1次・2次検査の同時実施。

7.予防接種対策 1,074百万円 1,125百万円

(1) 救済給付費の給付水準の改善 848百万円

 (1) 医療手当
ア 入院 (7年4月〜) (9年4月〜)
  (ア)月8日以上 35,530円 35,570円
  (イ)月8日未満 33,530円 33,570円
イ 通院 (7年4月〜) (9年4月〜)
  (ア)月3日以上 35,530円 35,570円
  (イ)月3日未満 33,530円 33,570円
 (2) 障害児養育年金
  (7年4月〜)   (9年4月〜)
   1級  1,518,000円(2,358,600円) 1,549,200円
(2,397,000円)
   2級  1,214,400円(1,774,800円) 1,239,600円
(1,804,800円)
(注)( )内は介護加算後の額
 (3) 障害年金
  (7年4月〜)   (9年4月〜)
   1級  4,854,000円(5,694,600円) 4,952,400円
(5,800,200円)
   2級  3,883,200円(4,443,600円) 3,961,200円
(4,526,400円)
   3級  2,911,200円 2,972,400円
   (注)( )内は介護加算後の額
 (4) 死亡一時金 (7年4月〜) (9年4月〜)
42,500,000円 43,300,000円
 (5) 葬祭料 (8年4月〜) (9年4月〜)
166,000円 171,000円
 (6) 介護加算 (8年4月〜) (9年4月〜)
1級(在宅) 840,600円 847,800円
2級(在宅) 560,400円 565,200円

(2) 健康被害者保健福祉事業の充実 133百万円

8.その他疾患対策

(1) 生活習慣病対策 49百万円

 ○糖尿病実態調査の実施(新規)

 ○「生活習慣病」の概念の導入

(2) ハンセン病対策 41,524百万円

 ○啓発普及事業の実施

 ○療養所入所者の社会復帰の支援(新規)

(3) 肝炎対策の推進 145百万円

9.健康づくり対策 86,974百万円 86,712百万円

(1) 地域健康づくり特別事業費(新規) 250百万円
 高齢者の機能維持等年齢に応じた運動の実践や食生活の指導等を行う健康増進事業のほか、たばこ対策、外食栄養成分表示店定着促進事業及び健康文化都市等推進事業などをメニュー事業として実施する。

(メニュー事業)
 ・健康増進事業費
 ・外食栄養成分表示店定着促進事業費
 ・健康文化都市等推進事業費
(健康保養地推進事業計画策定費)
 ・たばこ行動計画推進費 等

(2) 婦人の健康づくり推進等事業 1,276百万円

 ○食生活改善地区組織活動強化費
・アトピー性皮膚炎啓発普及事業(新規)

(3) 栄養成分表示活用推進事業(新規) 8百万円

(4) 健康科学センターの整備
・補助対象の拡大(設備整備費の追加)

(5) ストレス対策研究の実施(新規)

(6) 保健事業費等補助金
・市町村保健対策推進事業費(市町村栄養改善事業費)を一般財源化

10.原爆被爆者対策 152,868百万円 162,885百万円

(1) 手当等 111,958百万円

 ○手当額の改善(物価スライド0.1%見込み等)
(9年4月〜)
  医療特別手当 136,350円 136,480円
  特別手当 50,350円 50,400円
  原子爆弾小頭症手当 46,930円 46,970円
  健康管理手当 33,530円 33,570円
  保健手当(一般分) 16,820円 16,830円
  保健手当(増額分) 33,530円 33,570円
  介護手当
  重 度 105,080円以内 105,980円以内
  中 度 70,050円以内 70,650円以内
  家族介護手当 21,410円 21,420円
  葬祭料 166,000円 171,000円

(2) 原爆死没者追悼事業等 980百万円

 ○原爆死没者追悼平和祈念館
広島:施設整備
長崎:実施設計

11.保健衛生施設等整備 18,051百万円 19,707百万円

(1) 施設整備費 16,746百万円

 ○精神障害者社会復帰施設
補助対象の拡大(冷房設備工事費・授産設備施設工事費)

 ○在宅介護支援センター施設
交付対象の拡大(都道府県都道府県・指定都市・中核市)
補助対象の拡大(冷房設備工事費)

(2) 設備整備費 2,961百万円

 ○健康科学センター設備整備(新規)

 ○精神障害者社会復帰施設利用者用送迎車の整備(新規)

連絡事項

企画課

1.原爆被爆者対策について

 原子爆弾被爆者対策については、被爆者の高齢化等に伴う保健、医療、福祉に関する広範な需要に対応するため、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、各種施策の充実・強化を図ることとしている。平成9年度においては特に以下の点に留意し、その円滑な実施に努められたい。
(1) 平成9年4月からの各種手当及び葬祭料の引き上げに係る周知及び改訂手続等
(2) 平成9年6月末日で申請期間が終了する特別葬祭給付金の周知徹底、認定及び支給事務
(3) 原爆死没者追悼平和祈念館の設置を含む原爆死没者追悼事業等の推進

2.毒ガス障害者対策について

 毒ガス障害者対策については、引き続き広島県及び福岡県に委託して実施したいので、特段のご協力をお願いする。

企画課指導調査室

公衆衛生関係行政事務指導監査等について

 原爆被爆者援護法及び結核予防法に関する行政事務指導監査については、平成9年度においても、例年どおり重点事項を定め実施することとしており、また、精神保健福祉法に関する行政事務指導監査については、公衆衛生関係行政事務指導監査に併せて実施することとしているので、関係部局との連携を密にし、指導監査が円滑に行えるようお願いする。
 なお、平成9年度から特定疾患治療研究事業について指導監査時に併せて指導調査を行う予定である。
 また、平成8年度における指導監査の結果を見ると、前回文書指摘された事項について再度指摘を受けるケースが多く見られるので、各都道府県、指定都市、中核市、政令市及び特別区におかれては、公衆衛生関係行政事務の執行の適正化について、一層のご努力をお願いする。

健康増進栄養課

1.国民健康づくり対策について

 来るべき本格的な高齢・少子社会を健康で活力あるものとしていくためには、疾病の発生予防のみならず質の高い生活を確保するという観点にたって健康増進を図っていくことが重要になっている。
 このため、昭和63年度から、栄養、運動、休養のすべての面でバランスのとれた健康的な生活スタイルの確立を目指して、「第2次国民健康づくり対策」(アクティブ80ヘルスプラン)を推進しているところである。
 平成9年度においては、高齢者の機能維持等、年齢に応じた運動の実践や食生活の指導等を行う健康増進事業を新たに行うこととしている。 本事業は、昨年12月に設置した「生涯を通じた健康づくりのための運動のあり方検討会」において、従来の中高年の成人病予防を中心とした運動の普及のみならず、高齢者のQOL向上の為の身体機能の維持・向上や女性の骨粗鬆症予防など、各年齢対象別に重点的に実施すべき運動の具体的指針の検討を行っており、本年度末を目途に取りまとめられる予定であるので、その成果を活用して実施することとしている。
 このほか、健康情報ネットワークの整備充実を図るとともに、喫煙対策の推進、市販食品の栄養成分表示制度の活用及び調理師養成制度の改正等栄養指導業務などの推進、健康保養地の推進並びに現代社会でのストレスへの積極的対応を図るためストレス対策研究に取り組む等、健康づくり対策の一層の推進を図ることとしている。
 また、本年7月1日からは、健康増進栄養課に健康政策局から地域保健業務を移管し、「地域保健・健康増進栄養課(仮称)」と組織改正を行い、地域保健対策と健康増進施策を一元的に所掌し、地域住民の健康増進を総合的一体的に推進するとともに、疾病対策課の成人病予防業務を移管し、成人病対策についてより予防に重点をおいた「生活習慣病」対策として取り組む体制を整備することとした。
 今後とも、健康づくりに関する施策の積極的な充実強化を図り、生涯を通じた健康づくり対策を総合的に進めていくこととしているので、各都道府県等においてもその推進に特段の協力をお願いする。

(1)喫煙対策の推進

 より効果的な喫煙対策を総合的に推進していくため、平成元年の第42回世界保健機関(WHO)総会における「たばこに関するWHOの行動計画」の決議、平成5年の公衆衛生審議会「喫煙と健康問題に関する報告書」等を踏まえ、今後のたばこ対策の礎となる「たばこ行動計画」について、「たばこ行動計画検討会」において、幅広く検討を重ね、平成7年3月に「たばこ行動計画検討会」報告書として取りまとめた。
 本報告書は、平成7年4月の公衆衛生審議会において、今後のたばこ対策の指針とすべき計画として適当であるとの意見具申がなされたところであり、厚生省においては、この意見具申をうけ、「たばこ行動計画」の三本柱の一つである「分煙」について、特に公共の場においてより効果的に非喫煙者に対する受動喫煙による影響を排除又は減少させるため、「公共の場所における分煙のあり方検討会」を開催し、平成8年3月に報告書を取りまとめたところである。
 本報告書においては、官公庁等公共性の高い場所については、原則として禁煙とするとが望ましいとされており、本報告書を衆・参議院、最高裁判所、地方公共団体等に対し、通知し、禁煙・分煙等の推進に関する協力を依頼したところである。
 平成9年度においては、地域健康づくり特別事業費のメニュー事業の一つとしてたばこ行動計画推進費により、分煙行動計画の策定と、断たばこ教室の開催を補助し、地域におけるたばこ対策をさらに進めるとともに、「受動喫煙等たばこによる健康影響に関する調査」及び「たばこと健康」に関する正しい知識の啓発普及を行うなど喫煙対策のより一層の推進を図ることとしている。
 各都道府県におかれても、管下市町村や関係団体との連携を図りつつ、喫煙対策の一層の推進をお願いする。

(2)栄養指導業務等の推進
  ア 栄養改善法の改正

 地域保健対策強化の一環として、栄養改善法が平成6年7月に一部改正され、住民によりきめ細かい対応を行うため、従来都道府県等で行っていた栄養相談・一般的栄養指導を平成9年度から市町村で実施することとなった。
 このため、権限移譲に伴う市町村における栄養士の確保に必要な地方交付税の措置について、平成7年度から業務量を勘案した計画的措置が講じられているところであるので、栄養士の配置について市町村に対する特段のご指導をお願いする。なお、栄養指導業務に従事する職員としては、その職務の性質上、管理栄養士が望ましいと考えている。
 また、平成9年度からその業務が円滑かつ適正に行われるよう、平成7年6月29日健医健発第832号保健医療局長通知「地域における栄養改善業務の推進について」により都道府県、市町村の業務分担を示したところであるので、引きつづきその周知徹底を図られたい。
  イ 調理師養成制度の改正
 調理師の資質向上と養成施設の週5日制に対応したカリキュラムの見直しを検討していたところであるが、平成8年12月27日公衆衛生審議会から「調理師養成のあり方について」(意見具申)をいただいたところである。これを踏まえて、新しい調理師の養成制度の円滑な実施を図る関連省令等について所要の改正の作業を進めており、養成施設については平成10年4月から、調理師試験については、平成11年4月からの適用を予定しており、本年度中に、関連省令、指導要領及び試験実施基準等を示すこととしている。
  ウ 栄養情報の提供
 適切な栄養情報の提供の一環として、栄養改善法の改正に伴い、市販食品の栄養成分表示制度が昨年5月に施行されたことに伴い、平成9年度以降においては、食品に表示された栄養成分値を国民の食生活の改善に向けた効果的、効率的な栄養指導等に利用するための検討を行い、栄養相談・栄養指導の事業強化を図ることとしている。
  エ 集団給食施設等の栄養管理指導
 栄養改善法に基づく集団給食施設の栄養管理指導については、平成8年4月30日付保健医療局長通知をもって、その指導の強化をお願いしたところである。 今後とも次の点に留意いただきたい。

(1) 栄養改善法に基づき管理栄養士の設置が必要な集団給食施設に対する未指定例及び指定された集団給食施設への管理栄養士未設置例が見られるので、指定基準に該当する施設の速やかな指定及び管理栄養士未設置施設に対する設置指導について、一層のご指導をお願いする。
 また、集団給食施設の中には管理栄養士、栄養士のいづれもが配置されていない施設が約4割にも及んでおり、今後とも栄養改善法の趣旨に基づきより一層の設置促進の指導をお願いする。

(2) 昨年からの病原性大腸菌Oー157被害の重大性に鑑み、万全の対応が求められていることから、集団給食施設等に対する衛生管理の指導強化について、引き続きより一層の徹底をお願いする。
 なお、保健所における調理師研修会については昭和45年9月16日付公衆衛生局長通知をもってその実施をお願いしているところであるが、昨今の食中毒発生状況に鑑み、講習内容において特に衛生管理の向上に留意し、開催されるようお願いする。

(3) 集団給食施設に対しても、外食としての料理の栄養成分表示の普及推進の指導をお願いする。

  オ 21世紀の栄養・食生活のあり方

 国民のライフスタイルの多様化に伴い、加工食品の利用、外食の機会の増加とともに、食事の内容、時間、回数等食生活のスタイルも多様化し、過度のグルメ志向や食事の簡便化をはじめとする孤食、過食、食事の乱れ等からエネルギーの過剰摂取、栄養素摂取の偏り等の問題も生じている。このような食生活は種々の生活習慣病(成人病)とも深く関わりをもっている。
 このようなことから、検討会を設けて、健康づくりを踏まえたより幅広い見地から検討いただき、本年度末を目途として21世紀に向けて国が行うべき健康・栄養問題のあり方について提言をいただくこととしている。

(3)健康保養地の推進

 健康保養地は、中長期の滞在により恵まれた自然環境の中で心身のリフレッシュがなされるとともに、積極的な健康づくり及び健康的な生活習慣の定着につながる学習が出来る保養地であり、休養を利用した健康づくりの一環として近年鋭意取り組みを進めてきたところである。
 平成9年度において、市町村における健康保養地の計画策定費について補助対象としたので、各都道府県においても本事業の趣旨をご理解の上、その推進に特段の協力をお願いする。
 平成4年度には、「健康休暇のすすめ−健康のために休暇をとることがあたりまえの社会をめざして−」(健康休暇に関する検討会報告書)において健康のために平日を含め連続して取得する健康休暇の受け皿として健康保養地の整備を進めるよう提言されており、これらの内容は、昨年7月閣議決定された「高齢社会対策大綱」の中でも明記されているところである。
 平成6年度から健康保養地の創設に向けて様々な研究やモデル事業の実施等を行ってきたところであるが、平成8年度においては、健康保養プログラムの開発や健康保養医学の研究等を行っているところである。
 また、昨年7月5日には、第1回の「健康保養地検討会」を設置し、12月までに計6回の検討会を開催し、健康保養地に関する様々な要件等について検討を行ってきたところであり、健康保養地の創設に向けての提言がまとめられる。詳細については、まとまり次第お知らせする。

疾病対策課

1.生活習慣病対策について

 厚生大臣の諮問機関である公衆衛生審議会は、これまでの成人病を「生活習慣病」としてとらえ直し、食事や喫煙などの生活習慣改善を重視した予防対策を推進することが適切だとする意見書をまとめ、平成8年12月18日に厚生大臣に提出した。厚生省としては、今回の意見具申を踏まえて、国民一人ひとりに生活習慣の改善に取り組んでいただけるよう、啓発活動を進めるとともに、個人の取り組みを社会全体で支援するための諸方策について検討を行っているところである。
 そのため、例年2月に実施されている「成人病予防週間」を「生活習慣病予防週間」に改め、生活習慣の改善による疾病の発症・進行予防についての認識を国民に醸成していくこととし、昨年12月24日付け厚生事務次官通知したところである。但し、既に「成人病予防週間」として準備が進んでいる都道府県などもあることを考慮し、平成9年については暫定的に「生活習慣病(成人病)予防週間」とし、「生活習慣病予防週間」、「成人病予防週間」のいずれの名称を用いることも可能とした。さらに、代表的な生活習慣病である糖尿病の実態を把握するため、「糖尿病実態調査」に要する経費を平成9年度予算(案)において新規計上したところである。この調査では、国民栄養調査に糖負荷試験を追加するほか、患者の合併症の状況を医療機関に対して照会するアンケート調査を都道府県に委託する予定であるのでご協力をお願いする。
 なお、がん、循環器病対策については、それぞれ「がん診療総合支援システム」、「循環器病診療総合支援システム」の整備を引き続き推進しており、平成9年度には地方中核がん(循環器病)センターに4施設を整備し、がん及び循環器病の診療総合システムの計画的な全国展開を目指すこととしているので、都道府県の協力方をお願いする。
 また、例年2月中旬に開催している「成人病予防技術者職員研修」については、平成9年度においても引き続き実施する予定であるので、関係職員の派遣方ご協力をお願いする。

2.難病対策について

 特定疾患治療研究事業については、現在38疾患を対象としているところであるが、平成9年度においては、さらに1疾患を追加する予定であり、追加疾患については予算成立以降に決定することとしている。都道府県から要望の強い当該事業費の確保については、医療保険法の改正をにらんで平成9年度予算(案)では39億円増の186億円を計上したところであり、その増額については、今後とも努力して参りたい。
 また、医療受給者の認定に当たっては特定疾患対策協議会の積極的な活用を図るなど、事業の適正かつ円滑な実施に万全を期するほか、対象となる医療の範囲について、契約医療機関への周知をより一層徹底するなど、医療費の適正な執行に努められたい。引き続き「特定疾患治療研究事業指導調査」を計画しているので、協力方をお願いする。
 さらに平成8年度から稼働している難病情報センターにおいて、平成9年度予算(案)では医療水準の地域間格差の是正を図るため、最新の診断基準、治療指針及び症例情報等を収集・整理し、医療関係者に対して専門的な情報の提供を行うこととしているので積極的に利用いただきたい。
 なお、難病患者地域保健医療推進事業のうち、平成6年度に創設した「在宅人工呼吸器使用特定疾患患者緊急一時入院事業」については、本事業の趣旨を十分御理解のうえ、関係医療機関等との連携を図りながら一層の推進をお願いする。
 さらに、本年1月から難病患者等居宅生活支援事業を開始したところであるので、本事業の趣旨を十分御理解のうえ、関係団体等と調整を図りながら、一層の推進をお願いする。
 また、平成9年4月に施行される「地域保健法」においては、保健所事業の一つとして、新たに「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項」が明示されている。
 これらの情勢を踏まえ、地域における難病の保健医療福祉の充実・連携を図る等体制の整備方をお願いする。

3.臓器移植対策について

(1)腎臓移植対策について

 平成7年4月から、社団法人日本腎臓移植ネットワーク本部とその全国7カ所のブロックセンターを中心として、移植情報を移植実施施設から分離、移植情報の流れを全国レベルにおいて一元化するなど、公平かつ適正な腎臓移植ネットワークを整備し、腎臓移植の円滑な推進を図っているところである。
 各都道府県におかれては、本事業へのご理解、ご協力をお願いしているところであり、腎移植コーディネーターについても今年度中にほとんどの都道府県において設置していただく予定であるが、未設置の県におかれては関係医療機関等との協力の上、早期に設置されるようお願いする。
 また、毎年10月の腎移植推進月間において、国民に対して腎臓移植に関する各種の普及啓発事業を行っているところであるが、平成9年度においても10月に第12回腎移植推進国民大会を岩手県において開催する予定であり、引き続き腎臓移植の普及啓発に一層のご協力をお願いするとともに、より多くのドナー(臓器提供者)を確保するため、従来の腎臓バンクに登録する登録制ドナーカードに加えて、臓器提供の意思の有無を明らかにする意思表示カード(自由配布制ドナーカード)の普及についても併せてご協力をお願いする。

(2)角膜移植対策について

 献眼思想の普及と角膜移植の推進を図るため、全国50カ所のアイバンク及び財団法人日本眼球銀行協会を中心に、国民に対して理解と協力を呼びかけているところであり、各都道府県におかれても角膜移植の普及啓発、移植の推進についてご協力をお願いする。

(3)骨髄移植対策について

 白血病や重症再生不良性貧血等の血液難病患者に対する有効な治療法である骨髄移植の推進を図るため、平成3年12月から「日本骨髄バンク」事業を実施しているが、当該事業の円滑な推進にはドナーの確保が最重要課題である。このため当面10万人のドナー確保を目標に広く国民に対して募集運動を行っているところであり、事業開始以来満5年を経過した平成8年12月末現在、全国で約8万人の方々に骨髄提供の希望登録を行っていただいているところである。特に毎年12月は「骨髄バンク推進月間」としており、骨髄バンク推進全国大会を開催する等ドナー募集のための全国運動を積極的に展開することとしている。各都道府県におかれては従前より普及啓発活動等により当該事業の推進に御協力いただいているところであるが、来年度においても10万人のドナー確保の早期実現のため一層の普及啓発等に御尽力願いたい。
 また、「骨髄ドナー休暇」制度については、既に全ての都道府県において制定されているが、市町村においてはいまだ制定されていない市町村もあるので、その制定につき御理解、御協力くださるよう市町村に対する御指導のほどよろしくお願いいたしたい。
 なお、平成6年度から実施をお願いしている一部保健所におけるドナー登録受付事業については、全ての都道府県においての実施を目標としているところであるが、いまだに一部の県(山梨、徳島、熊本)において実施されていないので早期の体制整備をお願いする。これまで、1次・2次に分けて実施していたHLA型(白血球の型)適合検査を、平成9年度より1回の採血で同時に検査する予定である。これにより、ドナーの負担が軽減され、ドナー登録時に日赤データセンター及び一部の保健所において1回の採血をすれば、1次及び2次検査を同時にデータセンターにおいて実施する予定であるので、登録窓口の保健所に対する周知方よろしくお願いしたい。

エイズ結核感染症課

1.結核対策について

(1)結核の活動性分類、医療の基準の改正等について

 平成7年10月23日の公衆衛生審議会において、
 ア 従来、我が国における結核の診断、治療及び管理はエックス線所見に重点を置いて行われてきたが、結核診断技術の進歩等を踏まえ、菌所見を中心とした対策に改めるべきであり、このため、活動性分類を菌検査所見を中心とした分類に改定し、患者管理をより効果的、効率的に行うことが必要であること
 イ 結核化学療法の進歩を積極的に取り入れ、治療初期2カ月にピラジナミド(PZA)を加える初期強化短期療法を初回標準治療方式の一つとして採用し、治療の強化、短期化を図ること
 ウ 結核の疫学像の変貌、地域的配置などを考えると、今後の結核病床については、結核病床を特定の医療機関に集中させる「集中型」と、病室単位で患者を収容する「分散型」の両者を併用した形で結核病床を確保することが必要であること等を内容とする「結核の活動性分類、医療の基準の改正等について(意見)」が出されたところである。
 これを受け、平成7年12月26日厚生省告示第213号をもって「結核医療の基準」の改正を行うとともに、患者管理に関する諸通知を改正し、活動性分類については平成8年1月1日から、結核医療の基準については平成8年4月1日からそれぞれ適用しているところである。
 各都道府県におかれては、これらについて、引続き関係機関への周知方をよろしくお願いする。

(2)結核対策特別促進事業費補助金について

 結核予防法による定期の健康診断及び予防接種の着実な実施を図りつつ、結核のり患率、有病率の高い地域において、地域の実情に応じた重点的な結核対策事業を実施するために、今後とも本補助金の積極的な活用をお願いする。

(3)結核予防法における公費負担の取扱いについて

 結核予防法第34条の規定に基づく一般患者に対する医療の公費負担の取扱いについては、「結核予防法による公費負担及び命令入所取扱要領について(昭和36年9月22日衛発第757号公衆衛生局長通知)」の別添「結核予防法による公費負担及び命令入所取扱要領」により執り行われているところであるが、公費負担のそ及承認事例が多数見受けられるため、「結核予防法における公費負担の取扱いについて(平成8年7月23日健医感発第74号エイズ結核感染症課長通知)」をもって、本取扱要領の趣旨に沿って適正な運用を図るよう、再度管下保健所、指定医療機関等関係機関に対する周知方をお願いしたところであり、引続き、公費負担の取扱いに遺漏のないよう関係機関に対する指導方よろしくお願いする。

(4)結核の集団感染の防止について

 最近、医療施設等集団生活の場所における結核の集団感染の事例が多数見受けられることから、二次感染防止対策として「結核定期外健康診断ガイドライン(平成4年12月8日付健医感発第68号疾病対策課結核・感染症対策室長通知)」に沿った適切な実施をお願いする。
 また、結核予防法第11条の規定による結核健康診断の実績報告についても、関係機関との密接な連携のもとに、その徹底について指導方よろしくお願いする。
 なお、患者が発生した場合には、二次感染防止の観点から迅速かつ適切な対応が必要となることから、結核予防法第22条の規定による医師の行う届出の徹底についても併せて指導をお願いする。

(5)その他

 結核患者の収容モデル病室の整備については、「結核患者収容モデル事業の実施について(平成4年12月10日健医発第1415号保健医療局長通知)」の別添「結核患者収容モデル事業実施要領」により実施しているところであるが、その実施件数は、現在計画中のものを含めてわずか5件にとどまっている。
 本事業は、平成3年5月17日公衆衛生審議会意見具申「結核患者収容施設のあり方について」の趣旨を踏まえ、結核患者の高齢化等に伴って複雑化する高度な合併症を有する結核患者に対して、医療上の必要性から、一般病床において収容治療するためのより適切な基準を策定するためにモデル事業として実施しているものであるので、各都道府県におかれては、本事業の医療機関へのさらなる周知をお願いするとともに、実施施設の推薦についてご協力をお願いする。

2 予防接種対策について

(1) 予防接種対策については、公衆衛生水準や医療水準の向上、予防接種に関する国民の意識の変化等を踏まえ、平成6年に予防接種法等の改正を行い、新しい制度による円滑な推進を図っているところである。
 都道府県におかれては、今後とも以下の点に留意しつつ、管下各市町村への周知・指導方よろしくお願いする。
 ア 接種の際に保護者等に接種の意向を確認するに当たっては、予防接種の意義及びその重要性について趣旨の周知徹底を図り、予防接種が円滑に実施されるよう指導方お願いしたい。
 イ 予防接種の実施に当たっては、有効かつより安全な予防接種を推進する観点から、早急に個別接種体制を整備するとともに、やむを得ず集団接種により実施する場合であっても、的確な予診の実施を徹底して事故防止に万全の配慮を期されたい。
 また、適切な情報提供のため、(財)予防接種リサーチセンターにおいて、保護者・医療従事者向けのパンフレットの作成・配布のほか、保護者に対して予防接種ホットラインによる電話相談を行っているところであり、その活用等について周知指導方あわせてお願いしたい。
 ウ 予防接種による健康被害者に対する救済措置については、障害年金等救済給付金の支給事務が円滑に行われるよう指導方お願いする。また、(財)予防接種リサーチセンターにおいて行う保健福祉相談事業の充実に努めているところであり、これが事業の円滑かつ効率的な実施につき、支援・協力方の周知徹底をお願いする。更に、重症心身障害児施設等への予防接種健康被害者の入所が円滑に行われるよう、関係部局とも連携を図るなど種々のご配慮をお願いしたい。

(2) 予防接種副反応情報については、平成6年の制度改正に伴い、予防接種後副反応報告書の提出をお願いしているところであり、当該報告については既に、平成6年10月から平成7年9月分を報告書No1として、平成7年10月から平成8年3月分までを報告書No2として都道府県・指定都市に送付し貴管下市町村を通じ地域住民等へ情報提供するようお願いしたところである。今後とも協力方お願いする。
 また、予防接種副反応モニタリング調査についても、平成8年度より本格的に実施しており、報告頂いた分については、現在、集計・解析し近々に情報還元することとしているので了知願いたい。なお、引き続き協力方よろしくお願いする。

3.その他対策について

 〇 ハンセン病対策について

(1)ハンセン病診断・治療指針の発行について

 らい予防法の廃止に伴い、今後ハンセン病は「一般の疾患」として扱われ、新規のハンセン病患者については、保険診療の対象として一般医療機関で診療が行われることとなった。しかしながら、我が国におけるハンセン病新規患者は年々減少し、ここ数年は10名前後となっておりハンセン病治療の専門家の減少も懸念されている。
 こうした状況を踏まえ、厚生省としても、一般医療機関でのハンセン病診療が支障なく実施されるよう、「ハンセン病診断・治療指針」の作成を現在行っているところであり、2月中には配布できる予定である。本書がハンセン病診断及び治療に携わっている方々に広く活用され、ハンセン病医療体制の一層の充実に役立てられるよう、各都道府県におかれましても、特段のご配慮をお願いする。

(主な配布予定先)
 ・ 地方公共団体 : 都道府県、特別区、市町村、保健所
 ・ 医学関係者 : 日本皮膚科学会、日本神経病学会、日本ハンセン病

4.正しい知識の啓発・普及について

 昨年4月にらい予防法が廃止されたところであるが、社会には、偏見や差別が未だ根強く存在している。このため、あらゆる機会を通じてハンセン病に対する正しい知識の啓発・普及を行い、偏見・差別の解消を図るためのより積極的な取組を行う必要がある。
 厚生省としても、今後とも啓発普及事業を一層充実することとしているところであるが、各都道府県におかれましても「ハンセン病を正しく理解する週間」の実施等を通じた啓発普及事業の実施に向けて、特段のご配慮をお願いする。

(主な啓発事業)
 ・「ハンセン病を正しく理解する週間」の実施
毎年6月25日を含む一週間(平成9年は、6月22日〜28日)
 ・ 啓発普及事業の実施
シンポジウムの開催、社会交流事業の実施、ハンセン病資料館の公開、啓発資料の作成等

運営企画課

国立病院・療養所の再編成について

1.再編成の趣旨等

 近年、我が国の医療を取り巻く環境は大きく変化しており、公私の医療機関の整備が進んだ結果、マクロ的に見れば医療機関の数や病床数など医療の量的確保はほぼ達成されつつある。
 このような我が国の医療機関の整備状況等を踏まえれば、今後は医療資源の効率的な活用を図りつつ、医療機関相互の機能分担と連係を強化していくことが重要となってくる。このような観点から、国立病院・療養所については、医療機関における役割分担として国立医療機関としてふさわしい、主としてより広域を対象とする高度又は専門医療等を担えるよう、その機能の充実強化を図るため、全国的視野に立った経営移譲又は統合による再編成を実施するものである。

(過去の経緯)
○ 昭和60年 3月29日 「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を作成、閣議に報告。
○ 昭和61年 1月 9日 国立病院・療養所の再編成全体計画公表。
○ 昭和62年10月17日 「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」、「同法施行令」、「省令」を公布、施行。
○ 平成 8年 5月22日 「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律」、「同法施行令」、「省令」等を公布、施行。
「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を改定、閣議に報告。
○ 平成 8年11月 1日 「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を改定、閣議に報告。

2.「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律等」の概要について(別紙1のとおり)

3.改定された「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」について

(別紙2のとおり)

4.国立病院等の再編成推進のための税制について

 国立病院等の再編成の推進のために、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律に基づき再編成対象施設の資産の移譲等を受けた者に対して、国税及び地方税の負担軽減措置が講じられている。

(1)登録免許税の軽減措置
 公的医療機関の開設者等(租税特別措置法施行令に定める者に限る。)が平成10年3月31日までに国立病院等の移譲等を受けた場合には、土地又は建物の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率を1000分の9(本来は1000分の50)に軽減する。

(2)不動産取得税の軽減措置
 公的医療機関の開設者等が平成10年3月31日までに国立病院等の移譲等を受けた場合には、当該不動産の譲渡価格の割引率に応じて不動産取得税の課税標準を軽減する。

(3)固定資産税・都市計画税の軽減措置
 公的医療機関の開設者等が平成8年3月31日までに国立病院等の移譲等を受けた場合には、初年度から3年度分に限り、開設する医療機関(特定整備施設を除く。)の用に供する土地又は建物に係る固定資産税・都市計画税の課税標準を本来の5分の3に軽減する。
 (平成9年度税制改正により、課税標準を本来の5分の3から3分の2に引き上げたうえで、適用期間が平成11年3月31日まで延期される予定。)



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