資料1
○新型インフルエンザウイルス(New Influenza Virus)
A型インフルエンザウイルスには、表面の抗原性(血球凝集素)の違いにより、現在までに15亜型が発見されている。これまで人に感染を起こしていなかった亜型が数十年に1回の割合で不連続変異によって新たに人の世界に出現してくる。このように、人にとっては新しい亜型のA型インフルエンザウイルスを新型インフルエンザウイルスという。
○不連続変異(Antigenic Shift)
A型インフルエンザウイルスの抗原変異の中で、ウイルス表面抗原がこれまで流行していた亜型から他の亜型に一新されることをいう。
○連続変異(Antigenic Drift)
A型及びB型インフルエンザウイルスの抗原変異の中で、ウイルス表面抗原が遺伝子の点突然変異によって、同じ亜型内で少しずつ抗原性がずれることをいう。
○インフルエンザの汎流行(Influenza Pandemic)
新型インフルエンザウイルスが人の集団に広範かつ急速に広がり、ついには大陸間を越え地球規模での大流行を呈する状況。
○インフルエンザ汎流行の警戒警報(Influenza Pandemic Alert)
世界のいずれかの地域で、ヒトから新型のインフルエンザウイルスが分離され、これが汎流行に発展する可能性がある際に発令される警報。
○インフルエンザ汎流行の中間期(Influenza Inter-pandemic Period)
以前からヒトに感染を繰り返しているインフルエンザウイルス(その亜型を含む)により、汎流行に至らない規模のインフルエンザの発生を認めている期間。
○インフルエンザの集団発生(Influenza Outbreak)
既知又は未知のインフルエンザウイルスにより、特定の地域や集団でインフルエンザが発生する状況。
○インフルエンザの流行(Influenza Epidemic)
地域あるいは国の規模で、インフルエンザが通常予測される以上の頻度で発生する状況。
○第二波(Second Wave)
特定のインフルエンザウイルスにより、ある地域の人集団で流行が生じ(第一波)、その後、当該ウイルスがその地域の人集団の残りで第二の流行が発生した状況。
○罹患した場合に重症化しやすい集団(High Risk Group)
インフルエンザに罹患すると経過も重く、死亡率が高い集団。具体的には、乳児、妊婦、高齢者(65歳以上)、慢性肺疾患患者(気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核など)、心疾患患者(僧帽弁膜症、鬱血性心不全など)、腎疾患患者(慢性腎不全、血液透析患者、腎移植患者など)、代謝異常患者(糖尿病、アジソン病など)、免疫不全状態の患者が含まれる。
○インフルエンザへの防備(Preparedness)
インフルエンザの流行又は汎流行を早期に察知し、またそれによる健康上の被害や社会経済的混乱・損失を最小限にするための包括的な準備活動。
○行動計画(Action Plan)
インフルエンザの汎流行の警戒警報宣言に続いて取られるインフルエンザ対策のための活動計画。
○超過死亡(Excess Mortality)
インフルエンザの流行があった場合に、インフルエンザの流行がなかったと想定した場合に較べての死亡数の増加。
○相対危険(Relative Risk)
要因への暴露が非暴露に較べて疾病危険度を何倍上げる(下げる)かを表す指標。インフルエンザワクチンにおいては、ワクチン接種をした場合に、接種しなかった場合に較べて、インフルエンザ罹患時の重症化、入院、死亡等の危険をどの程度下げるかの指標として用いられる。