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第7回中央児童福祉審議会基本問題部会NO4
○F委員 今の件に関してなんですけれども、現在の20人以上の補助基準がございます
ね。それが今度、法制化した場合、先ほどL委員がおっしゃったように、児童遊園とか
児童館のところに施設名を列記するような形で法律に入れたという場合に、現在も例え
ば指導員の資格などというのは入っていないですよね。幅広くとっている訳ですね。そ
うすると、施設名を1個入れただけで、そこのところを強めなきゃならないのかどうか
ですね。
つまり、20人以上というような枠は多分必要だろうと思うんです。法制化した場合に
もそれがとける訳でもないですから、それを例えば15人にするとか、多少上下すること
はあっても基準は必要でしょう。しかし、施設名を入れたために資格要件が変わるのか
とか、設置基準みたいなものを強くしなきゃならないのかどうか。予算要求のときには
もうちょっと厳密なものが必要なんでしょうけれども、現在行われている程度のものだ
ったら法律に書いても出来るんじゃないかという気はいたしますが、その辺をお尋ねし
たいんですけれども。
○児童家庭局長 今回お願いしていますのは、中児審でこれまで法制化すべきであると
いう結論だけが出ているものですから、それらを考えたときに、それだけでは現実問題
として意見の集約にはならない訳であります。それだけにもうちょっと具体性を持った
御議論をいただきあとは技術論だと。今のF委員のお話はかなり技術論のお話で、これ
はいろいろ工夫が出来るということで考えております。
ただ、先ほどの一般財源と補助金との関係というのは、これはかなり制度を仕組む上
において大きな問題があるんです。本当のところ地方分権というのは何か、という観点
で私は考えたいと思っているんですが、決して厚生省として何か補助金を配り、そして
権限みたいなものを振りかざしていくというようなことは考えていないです。
ただ、一点申し上げられるのは、残念ながら福祉の現状を見てみますと、我々の狭い
経験かもしれませんけれども、大部分の市町村なり、そういうような行政を見ています
と、何だかんだ言っても財源配分は福祉に回るよりも、それは土木とか農政に回る力の
方が強いのではないかと思われるような今の日本の現状の中で、福祉制度というものを
もっと伸ばしていく必要があるという国民的なコンセンサスはあると思うんですが、だ
とするともうちょっと厚生省も頑張らなきゃいかぬのではないかということでやってい
るのであります。
○部会長 では、L委員どうぞ。
○L委員 補助金か、一般財源化という議論でございましたけれども、確かに一般財源
化というのは交付税措置をするということでございますし、その交付税措置をするとき
にはちゃんと基準をつくって、そして積算をする、積み上げるということはあると思い
ます。当然そうだと思います。
ただ、それは交付税の積算の基礎であって、現実にそのように仕組まれた交付税が地
方に配分をされるということになりますと、その使途は別に特定をされない訳でありま
して、厚生省が最初に積み上げられた基準と違った使い方をしても、それは自由だとい
うことでありますから、私は理論から言ったら補助金よりもやはり一般財源化即ち交付
税措置がいいなということは率直に思っております。
ただ、このことについてM委員は一般財源化した方がいいというふうにおっしゃいま
したけれども、交付税というのはやはり所得税でありますとか、法人税でありますとか
、それにリンクをして、その一定額を総額として定めて支給する訳であります。別に一
般財源化した部分を上乗せして総額を決めるんだったらいいんですけれども、上乗せさ
れるということはほとんどありませんので、簡単に一般財源化ということについては、
やはり私としては慎重になると、こういうことなのであります。
○部会長 それではどうぞ。
○M委員 要するに一番いいのは、地方の固有財源を強化するということですね。それ
が出来なければ地方交付税で見ると、そういう意味の私の一般財源化でございます。
地方交付税で福祉分はこれだけですよと回ってきたお金も土木や農政に回ることが現
実には多いのではないかというお話なんですけれども、私はそれも一つの地方自治だと
いうふうに考えています。そこまで割り切らないと世の中は変わらないというふうに思
っております。
○児童家庭局長 実態としてA委員の中にありますけれども、全国で3分の1の市町村
しかやっていない。これに対してもっとやりたいという声が関係者の間で非常に強いん
ですが、そういう中で、今だってやろうと思えば出来るんです。だけど、それはなぜな
んだろうか。
○M委員 地方の財政基盤を強化することが国の責任であると私は申し上げている訳で
す。今の財政構造が変わらないことを前提にして児童家庭局長はお話になっているとい
うことですね。そこを変えていかなければいけないのではないでしょうか。
○部会長 今、会を重ねてきたこの部会がこれくらい熱烈なことは初めてだったと思う
んです。そして、ようやく何かゴールが見え始めたということでございます。そういう
意味で、いろいろな御意見があってしかるべきなのでありますが、ゴールへ近づけるた
めの最終段階での御議論と。この問題についてでございますよ。保育問題はまだほかに
ありますから、これはこの次にやりますけれども、いかがでございましょうか。
今、何度も繰り返しますけれども、放課後児童対策は大変大事なんだということにつ
いてはよく分かっている訳で、しかも2年前の中児審の方で法制化ということを言って
いると。これも再確認して、その上でどんな形のものでそれを願っているのかというこ
とを2年後のこの基本問題部会で明らかにしなければいかぬということなんですね。そ
して、お互いが見たり聞いたりしていること、考えていることは極めて多様であるとい
うことがよく分かった訳ですが、それを言っただけではどうも具合が悪い。それを集約
するものが何かないといけない訳ですね。その集約の中で、余り細かく規定してしまう
ことになると多様さを失ってしまうので、余り細かくない規定ということでいくならば
、規定といいますか、枠といいますか、あるいは項目といいますか、何と何と何をお互
いに議論しておかなければいけないのかということではないかと思うのであります。
○L委員 先ほど部会長のお言葉の中に、児童クラブの市民権を確立をすると、そうい
うスタンスといいますか、態度というのはどうだろうかというお話がございまして、私
も大事だなと、そんなふうに感じました。
○部会長 ありがとうございました。
○B委員 今、私どもの自治体で地方版のエンゼルプランをつくっている訳ですけれど
も、あの中でやはり学童放課後対策というのはどうしても検討しなければいけない課題
に出てくる訳です。したがって、これはあちこちで最近地方版の都道府県なり、市町村
で始まっているところもあるようですけれども、あれを老人と同じように地域福祉計画
づくりを強制的にやればいやおうなくそれぞれの市町村で学童保育問題が論議されると
いうことにもなるんじゃないのかなというふうに思っている訳です。
それからもう一つ、ちょっと質問したいんですけれども、教育委員会が学童保育クラ
ブをやっているという市町村もあるやに聞いていますが、そこら辺はかなりの数なんで
しょうか。
それから今、学校の設備などの問題で、生涯教育というようなことだと思うんですけ
れども、空教室を洋室にしたり、あるいは和室にしたりして、地域に開放しているとい
うようなことが今、進んで、これはやはり東京都の区部でやられていると思うんです。
そういった中で、やはり学童保育クラブが単なるあの教室でやれるというよりは、皆さ
んがおっしゃっているように、ただいまと言えるような、そういう家庭的な雰囲気を持
ったような、そういう部屋のつくり方といいますか、改装をしてということも不可能じ
ゃないんじゃないかというふうに思っているんですけれども、そこら辺はエンゼルプラ
ンを立てるときに教育委員会も交えてというふうなことであれば、可能なのかなという
ふうに思っています。
○児童家庭局長 まず最初の、教育委員会でどの程度やっているかということでありま
す。これは実態的にはまた資料でお渡ししたいと思いますが、教育委員会そのものがス
トレートにやっているというのはどちらかといえばマイナーなんだと思います。
というのは、例えば学校の空教室を使うとか、そういうことになったときに教育委員
会の協力を求めて、そして使わせてもらうというような格好で大体社協がやる場合でも
やっていると、こんなケースが多いんだろうと。
それで、実はこの学童保育の問題なのでありますけれども、国会でも質問がありまし
て、文部省と厚生省との関係で私も答弁したことがあるんです。予算委員会の分科会だ
ったと思いますが、文教関係の分科会で質問がありまして、文部省サイドはこの問題と
いうのは福祉の問題であるというふうに整理をしております。私どもの方は、この問題
については確かに私どもとしてきちんとしていかなければいけない問題だという理解が
まず1つありますが、それと同時に、いわゆる文部行政といいますか、学校行政との連
携というものが非常に重要であるというふうに考えておりますと、こういうような答弁
をしてあります。
いずれにしましても、私はやはりこれは主体的には私どもがこれをきちんと受け止め
てやっていかなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、だけど、学校に
行っている子供たちでありますから、教育委員会を始めとして学校関係との連携という
ものをうまくとっていかないと、やはりこういう事業というのはうまくいかないという
認識です。そういう意味では、正に各市町村の独自性の中でその辺の連携をうまくとっ
ていただいてやっていくということが課題なんだろうというふうに思っております。
それからもう一つの問題はエンゼルプランとの関係ですが、エンゼルプランそのもの
が出来たときは、こういうふうな児童福祉体系の見直しというようなことを前提としな
い、現行制度のままの5年計画ということで緊急保育等5か年事業というのは出来てお
りますから、今回の制度の見直しとの絡みで、そこら辺のところを若干直すべきものが
あれば直せばいいだけであろうというふうに理解をしております。
それからもう一つ、老人保健福祉計画のように、地域での計画づくりの義務付けとい
う御発言でありますが、これは現実論として私は難しいのではないかと思っております
。それは、福祉八法の改正をやったとき老人保健福祉計画の義務付けを入れさせていた
だいたのでありますが、これは要するに各市町村が地域の、特に要介護老人の方はどう
いう実態でおられるのかという、その実態の把握をまずしていただくということがねら
いだったんです。そこからプラスアルファーで、それならば計画的にということを考え
た訳です。
というのは、21世紀をにらんでいまして、限られた期間に急速に整備をするためには
きちんとした計画づくりが必要だというような物の考え方で計画をつくっていただくと
いうことを考えたんです。
それで、そこから先、市町村長さんにしてみれば大変御苦労されていると思うんです
。これの焼き直しのエンゼルプラン版をつくるということは、訓示的な意味での啓蒙的
な意味でそういうものをうたうことは出来るかもしれませんが、法制的に義務付けると
いうのは私は難しいのではないかと思います。
○部会長 それでは、両課長からお願いします。
○育成環境課長 先ほど児童家庭局長が申し上げたことをちょっと補足いたしますと、
所管のところでございますが、実際に前回お出しした資料で学校の空室、あるいは敷地
内の専用施設を使っていらっしゃるところが全体の放課後児童対策事業の約40%という
ことでございますが、市町村においてどこの部局で行われているかというところでは、
教育委員会の部分が約4分の1ございます。これらにつきましても教育委員会が所管さ
れて実施されているところでありましても、先ほど来いろいろ御議論が出ている補助金
の流れは当然流れているのが圧倒的に多くなっております。
それで、県は多くの場合、福祉部局でございますが、市町村になって教育委員会を通
じて実施されているところが約4分の1というふうに承知してございます。
○保育課長 ちょっと補足させていただきたいと思います。
先ほど児童家庭局長の話の中で、このエンゼルプランあるいは緊急保育等5か年事業
とその制度体系の見直しとの関係につきまして、緊急保育等5か年事業の中にも、エン
ゼルプランの中にも、保育所制度ということで申し上げれば、保育所制度の改善見直し
を含めた保育システムの多様化、弾力化を進めるという一文が入っております。
○部会長 ありがとうございました。
それでは、D委員の御発言で今日は終わらせていただきたいと思いますので、どうぞ
。
○D委員 そんな難しいことを言うつもりはなかったんですが、学童保育の歴史的な流
れを見ていきますと、最初は人件費がないような補助体制の中やっていましたが、たし
か平成3年のころから国の補助に人件費1人分が含まれるようになってきていると思い
ます。そんなことで、歴史的にずっといろいろな積み重ねをしてきて、現在の学童保育
制度が定着してきていると思います。
ただ、まだ現在もいろいろな学童の施設があって、それを選択して、自分が気に入っ
たところへ子どもを預けるということが出来るほどぜいたくな状態にはなっていないと
思います。
そういった中で、私はやはりここで歴史的な経緯を追認する形で、現在の制度をほぼ
そのまま、法制化していくような形が一番望ましいんじゃないかと思います。
例えば、20人というような数字につきましても、これはおおむね20人だと思いますし
、その20人というのも登録が20人なのか、常時通ってくるのが20人なのか、そのときど
きによってカウントの仕方が違います。多分、そういう中でやられる制度ですから、か
なり現場では柔軟に行われているし、もしそれに満たないときにはそれなりの工夫を各
市町村単位で、あるいは県単位で行っていると思われますので、制度としては現在行わ
れているのを追認していくような形が一番望ましいと思っております。
○部会長 ありがとうございました。
放課後児童対策についての期待、あるいは役割り、機能というふうなものについては
だんだんと深まってまいりまして、最小限必要な基準は何かということはまだ十分では
ないかと思いますが、そのようなところまできたんじゃないかと思います。
それからまた、そこでどのような学童の生活が約束されるのかということについても
お話は進んできたというふうに思います。
それから、放課後児童対策に携わる指導員の資質、事業の問題については、指導員の
資質についてはあえて何々という文言で示すようなものではないけれども、いわば本当
の意味での資質ですね。資格要件ではなくて、資質ということについては十分御議論が
行われたというふうに思います。
それから、事業を行える場所については先ほど来、教育委員会がかかわっているのは
どれくらいかという御質問もありましたが、これもかつていただいた資料にあったよう
に思います。いろいろなところがやっているということが出ていたと思います。ですか
ら、大体この辺りも済んだのではなかろうか。
それから、市民権という私が使った言葉をL委員が同感だとおっしゃっていただいた
ことには恐縮いたしますが、ともかくもうそろそろという気持ちは皆にあるんじゃない
かというところくらいで、その書き方あるいは表現の仕方、これは局長のお話のように
財源問題とか、その他さまざまないわゆる役所の方でないと分からない部分がたくさん
あると思うんです。
そこで、この問題については今日の議論は十分煮詰まらなかったというふうに思いま
すし、また私たちの学習の過程であるという印象を強く持ちました。そして、現在市町
村の3分1くらいはこのような仕組みがあると、しかし、あとはないじゃないかという
ことについて、これもまた出来るだけ我々の選択肢の一つになれるような状況で設置さ
れることが望ましいというようなお話でもあったろうと思うんです。A委員はかなり具
体的に、小学校低学年の子どもが自分で行き来することが出来ると言われる半径500 メ
ートル以内に1か所の学童保育があればとあります。極めて理想の目標をお示しなさっ
たと思いますけれども、一小学校区に1つくらい少なくともという気持ちは、働く婦人
にとっては切実な願いということになるのではないかというふうな気持ちでございます
。
それでは、大変進行がまずくてここで終わってしまいまして、保育内容、保育水準、
公費負担の在り方、こういう問題が全部残ってしまいました。
○F委員 ひとつお願いですけれども、やはり1.43になったというのは皆さんにお知ら
せしておいた方がいいんじゃないかと思うんです。
それからもう一つは今、労働省で男女雇用機会均等法の見直し作業というのをやって
いるんですけれども、その進捗状況などもこちらと随分関係してくると思うんですね。
だから、そういうことは情報として委員さんに共通認識として持っておいてもらわない
と、やはり保育所の在り方というときに困ると思うので、ひとつよろしくお願いいたし
ます。
○B委員 今日の新聞を見ていると、規制緩和の委員会でも、何か認可外保育所の法制
化などというふうなことが論点になるというふうに書かれていましたが、あれはどうい
うことなんでしょうか。
○部会長 それでは、その辺りはまた次の機会に大きな話題としてやっていきたいと思
うんですが、今、F委員がおっしゃった件で何かありましたらおっしゃっていただきた
いと思います。
○企画課長 F委員の件は承りましたので、次回御用意出来るかどうか検討させていた
だきたいと思います。
○部会長 それでは、これで閉会させていただきます。ありがとうございました。
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