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  (3) 介護給付の内容

   1. 介護給付額

    ○ 要介護認定を受けた被保険者は、在宅サービスを利用する場合、要介護度
     ごとに設定された介護給付額の範囲内で、実際に利用した介護サービスにつ
     いて給付を受けることができる。また、超過分を本人が負担することにより
     介護給付額を超えて介護サービスを利用できる仕組みとする。
    ○ 在宅サービスに関する介護給付額は、現実に提供可能なサービス量に見合
     った水準とし、サービス基盤の整備の進捗状況等に応じて、段階的に望まし
     い水準の実現を目指すものとする。
    ○ 施設サービスについては、被保険者の要介護度や施設の人員配置状況等を
     踏まえ、必要とされる費用に基づき、介護給付額を設定する。

   2. 利用者負担

    ○ 介護サービスの利用者負担は、介護給付の対象となる費用の1割とする。
     また、施設については、食費は利用者負担とし、日常生活費は給付対象外と
     する。ただし、負担額が著しくならないよう、医療保険の高額療養費と同様
     の仕組みを制度化する。
    ○ 利用者負担の水準については、介護サービスの整備状況や介護費用の水準
     等を勘案して、一定期間ごとに、適正な国民負担等の観点からその在り方を
     見直すものとする。

   3. 対象となるサービス

    ○ 介護給付の対象となる介護サービスは、下記のとおりとする。
     【在宅サービス】
      ア.ホームヘルプサービス
      イ.デイサービス
      ウ.リハビリテーションサービス(デイケア、訪問リハビリテーションを
       含む)
      エ.ショートステイ
      オ.訪問看護サービス
      カ.福祉用具サービス
      キ.痴呆性老人向けグループホーム
      ク.住宅改修サービス
      ケ.訪問入浴サービス
      コ.医学的管理等サービス
      サ.有料老人ホーム、ケアハウス等における介護サービス
      シ.ケアマネジメントサービス

     【施設サービス】
      ア.特別養護老人ホーム
      イ.老人保健施設
      ウ.療養型病床群、老人性痴呆疾患療養病棟その他の介護体制の整った施
       設

     ○ 市町村は、地域の非営利組織等が提供する在宅サービスであって、必要
      かつ適当と認められるものを介護の必要度に応じて設定された給付額の範
      囲内で給付対象とすることができる。
     ○ 市町村は、地域の実情に応じて独自のサービスを付加給付とすることが
      できる。

  (4) 介護サービス提供機関

   ○ 介護サービス提供機関は、一定の要件を備え、良質な介護サービスを安定的
    に提供できる機関とする。
   ○ 介護サービス提供機関の事業主体は、施設サービスにおいては現行の事業主
    体を基本としつつも、在宅サービスについては、利用者本位の効率的なサービ
    ス提供の観点から、民間事業者や住民参加の非営利組織などの多様な主体が参
    加し得ることとする。


 4.費用負担

  (1) 費用負担の区分

   ○ 介護費用の負担区分は、次のとおりとする。
    1. 第1種及び第2種被保険者の負担   介護給付費総額の1/2
    2. 公費負担                  〃   1/2

  (2) 第1種被保険者の費用負担

   ○ 第1種被保険者は、市町村が、当該市町村のサービス水準に応じて定めた保
    険料額を負担する。
     保険料は市町村が徴収するものとし、老齢年金受給者のうち、一定の基準に
    該当する者については、年金からの特別徴収を検討する。保険料の納付義務者
    は被保険者本人とし、世帯主及び配偶者を連帯納付義務者とする。
   ○ 保険料未納者については、給付率の引き下げ等の措置を講ずる。

  (3) 第2種被保険者の費用負担

   1. 保険料の算定方法と医療保険者による一括納付

    ○ 第2種被保険者は、自らの介護リスクに備えるとともに、社会的扶養の考
     え方に基づき費用を負担する。第2種被保険者は就労や所得形態が多様であ
     ることから、確実かつ効率的な徴収を確保するため、各医療保険者が自らの
     保険に加入している第2種被保険者の負担すべき費用を一括納付する方法を
     採用する。
    ○ 医療保険者が一括納付する金額は、国が介護給付費総額に基づき定めた第
     2種被保険者の基準負担額に、各医療保険に加入している第2種被保険者数
     を乗じた金額とする。各医療保険者は、医療保険各法の定めるところにより
     これに係る費用をその被保険者から介護保険料として医療保険料と一体的に
     徴収する。
    ○ 被用者保険については事業主負担、国保等については医療保険各法に従い
     国庫負担を行うものとする。

   2. 介護保険者への交付(高齢化率の相違に係る調整)

    ○ 各医療保険者が一括納付した第2種被保険者の保険料は、全国レベルでプ
     ールし、市町村の高齢化率の違いによる第1種被保険者の保険料負担の格差
     が調整されるよう、介護保険者に対しその介護給付費のうち第2種被保険者
     の負担割合に相当する額を基に交付する。

  (4) 財政調整

   ○ 保険者努力に期待することができない、以下の事由等に起因する第1種被保
    険者の保険料負担の格差を是正するため、公費等により一定の調整措置を講ず
    る。
    1. 介護施設の集中度の相違
    2. 災害時の保険料減免等特殊な場合
    3. 要介護リスクの高い後期高齢者の加入割合の相違

  (5) 公費負担

   ○ 公費負担は、介護給付費の1/2とする。
   ○ 介護サービス基盤のより一層の整備を進めるために公費を投入するとともに
    現行制度に比し負担が急増しないよう配慮する。


 5.施行及び検討

  (1) 円滑な施行を目指し、必要な準備期間を置くため、平成11年4月から実施に
   移す。この場合、在宅サービスを先行実施し、社会的入院の解消を図りつつ、施
   設サービスについては5年後(平成13年)を目途に実施する。
   (注)在宅及び施設の給付内容については一本の法律で規定し、施設サービスの
     実施時期は、別に定めるものとする。

  (2) 施設サービスについては、介護の質の向上を図るため、介護保険施行前におい
   ても、ケアプラン作成の義務づけや介護体制の強化を図るとともに、老人医療を
   含めた施設間の利用者負担の格差是正等を進めていくものとする。

  (3) 家族介護に対する現金支給は、原則として当面行わないものとする。

  (4) 介護サービスの整備状況や介護費用の動向、社会保障をめぐる状況を踏まえ、
   施行一定期間後に、被保険者の年齢、他制度との整合性を含め、給付内容及び費
   用負担のあり方等全般的な見直しを行うものとする。

                            平成8年5月15日

                  厚生省試案に対する意見

                            全国市長会
                            全国町村会


 介護保険制度の試案について、市町村の立場から若干意見を申し述べたい。
 まず、この度、現下の重要課題となっている高齢者介護のための新制度について、先
に取りまとめられた当審議会の報告をもとに試案を作成された厚生省ご当局のご努力と
ご労苦に対し、敬意を表するものである。
 新制度は、将来にわたり国民が期待するサービスを安定的に供給していくためには、
多額の財源を要するものと見込まれ、また、介護ニーズをめぐる全国各地の置かれた状
況が様々であることから、慎重な検討を行うよう求めてきたところである。
 しかしながら、こうした点について我々が十分納得し得る説明のないまま、とりわけ
、市町村の態様別の財政見通しの資料すら示されることなく、今回示された試案で市町
村が保険者とされていることは、誠に遺憾である。
 したがって、まず、我々が昨年来求めてきている財政見通しの資料を提出することを
求める。それがなければ、責任ある議論ができない。
 併せて、国が財政主体となり得ない理由を明確にしていただきたい。
 以上のほか疑問点も色々あるので、今後、慎重な論議を重ね、市町村に過重な財政負
担を強いることなく、政府の責任において安定した保険運営ができる制度を構築するこ
とを強く要望する。

    問い合わせ先 厚生省高齢者介護対策本部事務局
     担 当 香取(内2249)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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