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平成8年5月15日
第40回老人保健福祉審議会について
1 日 時 平成8年5月15日(水) 午後6時30分〜
2 場 所 「東京厚生年金会館」
3 資 料
(1) 与党福祉プロジェクトチーム関係資料
(2) 介護保険制度試案
(3) 参考資料=省略
(4) 「厚生省試案に対する意見」全国市長会、全国町村会
(5) 「公的介護保険制度に関する生命保険業界の考え方について」生命保険協会
=省略
与党福祉プロジェクトチーム関係資料
〇 要請書(H8.4.26)
〇 介護保険制度の試案作成に当たっての基本的視点(H8.5.10)
〔要請書〕
H8.4.26
急速な高齢化の中で介護問題を解決していくためには、新たな介護
制度を創設することが求められている。
このため、与党福祉プロジェクトチームとしては、当チームとの調
整を図るため厚生省に対したたき台として介護保険制度に関する試案
を作成し、提出することを要請する。当チームとしては、この試案を
基にさらに審議を重ね、国民的議論の中でコンセンサスを得て法案化
を進めることとしたい。
その際、特に次の点に留意して試案を作成されたい。
1. 国民負担のあり方や社会保障制度の効率化、公平化の措置を含
め社会保障全体の道筋を示すこと
2. 保険者については、まず、市町村の不安を払拭するため財政不
安の解消、事務体制の整備、広域化等具体的な対応策を十分に検
討すること
3. 介護サービス基盤整備の着実な実施のための方策を明らかにす
ること
4. 費用は、国、地方公共団体、事業主、高齢者及び現役世代等が
納得できるような確実かつ公平に分担するための理念、方策を明
らかにすること
また、この際あわせて、民間事業者や住民参加型組織の活用、文教
施設等の介護施設への転用、十分な準備体制の整備にも留意されたい。
介護保険制度の試案作成に当たっての基本的視点
与党福祉プロジェクトチーム
自由民主 党座長 衛藤 晟一
社会民主 党座長 五島 正規
新党さきがけ 座長 荒井 聰
1. 老化に伴って生じる介護ニーズに適確に応えられる効率的で公平な、
負担と受益のバランスのとれた利用者本位の制度とすること。
2. 制度構成は、地方分権という時代の流れを踏まえたものとすること。
この場合、市町村に財政・事務両面で過度の負担をかけないための必
要な措置を講じること。
3. 高齢者、現役世代、事業主等が納得して費用を負担できるような方
策を講じること。また、将来にわたって保険財政が安定するような措
置を盛りこむこと。
4. 社会的入院の解消及び施設間の利用者負担の適正化等を進めつつ、
国民負担が過度にならないよう努めること。
5. 介護サービスが充実するよう、現物給付を原則とすること。特に、
マンパワーの養成確保及び施設整備の促進について配慮すること。
6. 規制緩和を進め、多様な民間事業者の参入を促し、介護関係の市場
の拡大につながる制度とすること。また、民間保険との適切な連携が
とれる給付設計とすること。
7. 施行までの間に、十分な準備ができる期間をとること。また、実施
に当たって市町村等の不安を少なくするとともに施設整備の状況等を
踏まえ、段階的な施行を検討すること。さらに、施行後一定期間内に
介護を巡る諸状況の変化を踏まえ、制度を全面的に見直すこと。
介護保険制度試案
《基本的な考え方》
(1) 高齢化の進展等に伴い高齢者介護が大きな社会問題となっている状況を踏まえ、
高齢者が自立した生活が送れるよう、老化に伴い介護が必要な者に対して社会的な
支援を行う仕組みを確立する。
(2) 地方分権の推進や介護サービスの地域性を重視する観点から、住民に最も身近な
行政主体である市町村を基本に置いた制度とする。ただし、安定的かつ効率的な制
度運営を確保するため、財政・事務両面で、国及び都道府県が重層的に支え合う制
度とする。
(3) 介護が必要な者が、自らの意思でサービスの利用を選択でき、ニーズに即した介
護サービスが総合的、一体的に提供されるような利用者本位の制度とする。また、
介護サービスが充実するよう、現物給付を原則とし、マンパワーの養成確保及び施
設整備の促進を図る。
(4) 規制緩和を進め、多様な民間事業者等の参入を促し、介護関係の市場の拡大につ
ながる制度とする。介護の専門職のみならず、市民参加の非営利団体、地域住民や
ボランティアなども参加できる柔軟な仕組みとする。
なお、民間保険の積極的な活用が可能となるよう努める。
(5) 介護サービスに要する費用は、社会保険制度により、高齢者、現役世代、事業主
等が連帯して支え合うこととし、国及び地方公共団体による公費負担も適切に組み
入れることとする。
(6) 国民負担が過度にならないよう、効率的な介護サービスの提供に配慮するととも
に、社会的入院の解消や施設間の利用者負担の適正化等を進める。また、将来にわ
たって保険財政が安定するような仕組みとする。
(7) 施行までの間に十分な準備期間を置くとともに、実施に当たっては、市町村等の
不安の解消を図り、施設整備の状況等を踏まえ段階的に施行する。さらに、施行後
一定期間内に介護をめぐる状況の変化を踏まえ、制度の見直しを行うものとする。
I.施行準備と介護サービスの基盤整備について
1.介護保険制度の円滑な施行のための準備
(1) 介護保険制度の施行に当たっては、国民に対し制度の全体的仕組みや運用の仕
方に関する情報を分かりやすく提供して十分な理解を求めるとともに、施行に必
要な事前準備として、1.要介護認定やケアプランの作成に係る準備、2.介護支援
担当者の養成、3.保険料徴収システムの検討などを進め、円滑に実施できるよう
に努める。
(2) このため、できる限り早期に、適切なモデル地域を対象として要介護認定等の
試行を行い、実施に当たっての実務上の課題や対応方策に関する調査研究結果を
制度施行に反映させるものとする。
2.介護サービスの基盤整備
(1) 基本的な考え方
○ 介護保険制度の円滑な実施のためには、それを支える介護施設や人材などと
いった介護サービス基盤の整備が極めて重要な課題となる。このため、地域の
特性を踏まえつつ、全国的に見て均衡ある介護サービス基盤の整備を計画的に
行う。
(2) 施設整備の促進方策
○ 介護サービス基盤の整備を進めるため、介護力強化病院等の療養型病床群へ
の転換、養護老人ホームの特別養護老人ホームへの転換等を進める。療養型病
床群のあり方を検討し、施設要件や転換促進方策の見直し等を行う。また、学
校、保育所等の既存公共施設で転用可能なものについて介護サービス提供施設
への転用を推進する。
(3) 人材の養成・確保、質の向上など
○ ホームヘルパー、訪問看護婦等の在宅サービスや介護施設で介護にあたる人
材の養成・確保については、魅力ある職場づくり、研修の充実、潜在的人材の
活用など幅広い観点から計画的な対応策を考え、サービスモデルで示されたサ
ービス水準が達成できるように努める。
○ また、人材の質の向上を図るため、サービスの質や業務の評価方法を確立す
るとともに、介護支援担当者の養成に努める。さらに、介護にあたる家族、ボ
ランティアなどに対する介護の知識・技術の普及、啓発に積極的に取り組む。
(4) 情報システムの整備と事務、サービスの共同化
○ 介護サービスを身近で利用しやすいものにしていくために、保健福祉に関す
る情報システムの統合・整備等を進め、情報の公開を図るとともに、福祉用具
や住宅改修等について、情報提供の拡充や機能評価方法の確立を図る。
○ また、市町村における要介護認定業務の共同化や介護サ−ビス提供機関の共
同設置・利用など、市町村間の連携を図るとともに、利用者の便宜を考慮した
簡便な事務処理方法について検討する。
3.国及び都道府県、市町村による計画的な基盤整備
○ 介護サービス基盤の計画的な整備を進めるため、国において全国的な整備目標
などの基本指針を示す一方、都道府県及び市町村は、介護サービスの基盤整備に
関する計画を策定するものとする。こうした計画を通じ、1.人材の養成・確保、
2.介護施設の整備、3.各サービス提供機関間のネットワークの確立、4.情報シス
テムの確立を計画的に進める。
○ 特に、小規模市町村や介護サービス不足地域については、サービス提供体制の
広域化、基盤整備等に対し積極的な支援を行う。
II.介護保険制度について
1.保険者
(1) 保険者は、市町村及び特別区とする。
(2) 保険運営の安定性、効率性を確保するため、保険運営の広域化、財政調整など
の支援措置を講ずる。
1. 要介護認定について、事務の共同化、広域化等を進める。
2. 給付費が見通しと異なって変動することや保険料未納等による保険財政の不
安定性を補完する仕組みを導入する。
3. 後述の第2種被保険者の保険料を全国でプールし、市町村ごとの高齢化率の
違いに伴う負担の格差を調整するよう、市町村に対して交付するとともに、保
険者努力に期待できない事由に起因する保険料負担の格差を財政調整により是
正する。
2.被保険者
(1) 基本的な考え方(介護保険と障害者福祉の役割分担)
○ 高齢者介護が大きな社会問題となっている状況を踏まえ、介護保険制度は、
老化に伴う介護ニーズに適切に応えることを目的とする。障害者福祉(公費)
による介護サービスについては、障害者プランに即して、引き続き充実を図る
ものとする。
(2) 介護保険における被保険者の範囲
○ 介護保険が対象とする老化に伴う介護ニーズは、高齢期のみならず、中高年
期においても生じ得ること、また、40歳以降になると、一般に老親の介護が
必要となり、家族という立場から介護保険による社会的支援という利益を受け
る可能性が高まることから、40歳以上の者を被保険者とし、社会連帯によっ
て介護費用を支え合うものとする。
(3) 被保険者の区分
○ 給付や負担面の違いを踏まえ、被保険者は、65歳以上の者(第1種被保険
者)と40〜64歳の者(第2種被保険者)に区分する。
1. 介護保険においては、要介護リスクの高まる65歳以上の高齢者が基本と
なる。40〜64歳の者は、自らが要介護となるリスクが低く、しかも、老
化に伴う介護のケースに限定される。
2. 負担の面では、高齢者は中心的な受給者であることから、その居住する地
域で受けた介護サービスの水準に応じて保険料を負担することが考えられる
これに対し、40〜64歳の者は、社会的扶養の観点から費用を負担する
要素もあることから、全国共通のルールによって費用を負担する仕組みとす
る。
3.介護給付
(1) 受給者
○ 被保険者であって、老化に伴い介護が必要となった者を受給者とし、いわゆ
る虚弱老人も寝たきり予防等の観点から必要なサービスを提供する。
第1種被保険者の場合は、高齢者であることから、その原因を問わず要介護
者は一般的に介護保険の対象となる。
第2種被保険者については、老化に伴う介護という観点から、具体的な対象
範囲を定める(それ以外のケースは、障害者福祉の介護サービスの対象とする
。)。
(2) 介護給付の受給手続
1. 要介護認定
○ 被保険者が介護保険の給付を受けようとする場合には、保険者に申請して
介護が必要な状態にあることの認定を受けるものとする。認定は、要介護認
定機関が公平かつ客観的な基準に従い、専門家の合議によって審査した結果
に基づき保険者が決定することにより行う。
○ 要介護認定については、効率的な事務処理や専門家の確保といった観点か
ら、要介護認定の事務の共同化、広域化等を進める。
被保険者に判断能力がなく、身寄りもないような場合や緊急に保護が必要
な場合については、行政の措置によって、サービス利用を確保するものとす
る。
2. ケアプランの作成
○ 要介護認定を受けた被保険者は、自らの意思に基づき、利用する介護サー
ビスを選択することができる。
○ 被保険者は、自らの意思に基づき、ケアプラン(介護サービスの提供に関
する計画)の作成をケアプラン作成機関に依頼できる。ケアプラン作成機関
においては、専門家が被保険者や家族の相談に応じ、ケアプランを作成の上
実際のサービス利用につなぐ。ケアプラン作成機関は、市町村が設置するも
ののほか、在宅介護支援センター、訪問看護ステーションなどの在宅サービ
ス機関、介護施設、医療機関であって一定の要件を満たすものが設置できる
。
NO2に続く
問い合わせ先 厚生省高齢者介護対策本部事務局
担 当 香取(内2249)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
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