平成１１年５月２５日

１．本年３月末をもって、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律（以下、「エイズ予防法」という。）が廃止となり、本年４月からは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による発生動向調査が開始された。
　これに呼応して、エイズ動向委員会も改組され、委員長には柳川洋埼玉県立大学副学長が選任された。

２．本日の委員会では、エイズ予防法に基づく最終報告月である３月１ヶ月分の患者・感染届出状況を解析するとともに、今後の委員会の運営方針を協議した。

３．平成１１年３月１日から３月末日までの間に、医師から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長に報告されたエイズ患者は３８件、ＨＩＶ感染者７２件であった。
　患者３８件、感染者７２件の内訳は、

ＨＩＶ感染者情報

	男　　　性	女　　　性	合　　　計
異性間の性的接触	18 ( 1 ）	2 ( 2 ）	20 ( 3 ）
同性間の性的接触	6 ( 0 ）	0 ( 0 ）	6 ( 0 ）
静注薬物濫用	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）
母子感染	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）
そ の 他	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）	0 ( 0 ）
不　 明	10 ( 3 ）	2 ( 1 ）	12 ( 4 ）
合　　　計	34 ( 4 ）	4 ( 3 ）	38 ( 7 ）

注：（　）内は外国人再掲数

１．日本のエイズ患者の届出状況　　　　　（単位：件）

	男　　性	女　　性	合　　計
異性間の性的接触	502 （ 93 ）	100 （ 51 ）	602 （ 144 ）
同性間の性的接触 *1	322 （ 39 ）	0 （ 0 ）	322 （ 39 ）
静注薬物濫用	13 （ 9 ）	0 （ 0 ）	13 （ 9 ）
母子感染	8 （ 1 ）	4 （ 1 ）	12 （ 2 ）
そ　の　他	18 （ 5 ）	9 （ 3 ）	27 （ 8 ）
不　　　明	310 （ 118 ）	77 （ 57 ）	387 （ 175 ）
小　　　計	1,173 （ 265 ）	190 （ 112 ）	1,363 （ 377 ）
凝固因子製剤 *2	624 （ … ）	7 （ … ）	631 （ … ）
患　者　合　計	1,797 （ 265 ）	197 （ 112 ）	1,994 （ 377 ）

（　）内は外国人再掲数

注：	*1	男性両性愛者（26件）を含む。
	*2	平成９年１０月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後（平成元年２月１７日以降）、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。

２．ＨＩＶ感染者の届出状況　　　　　（単位：件）

	男　　性	女　　性	合　　計
異性間の性的接触	708 （ 145 ）	743 （ 515 ）	1,451 （ 660 ）
同性間の性的接触 *1	773 （ 91 ）	0 （ 0 ）	773 （ 91 ）
静注薬物濫用	19 （ 13 ）	1 （ 1 ）	20 （ 14 ）
母子感染	10 （ 2 ）	11 （ 6 ）	21 （ 8 ）
そ　の　他	27 （ 10 ）	24 （ 6 ）	51 （ 16 ）
不　　　明	328 （ 156 ）	415 （ 393 ）	743 （ 549 ）
小　　　計	1,865 （ 417 ）	1,194 （ 921 ）	3,059 （ 1,338 ）
凝固因子製剤 *2	1,417 （ … ）	17 （ … ）	1,434 （ … ）*3
感　染　者　合　計	3,282 （ 417 ）	1,211 （ 921 ）	4,493 （ 1,338 ）

（　）内は外国人再掲数

注：	*1	男性両性愛者（41件）を含む。
	*2	平成９年１０月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後（平成元年２月１７日以降）、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。
	*3	患者６３１名を含む。

３．累積死亡者数　　　 　1,113名

*1 上記死亡者数には「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの累積死亡報告数493名が含まれる。


（参考）

・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数（法施行後）　　　（単位：件）

	男　　　性				女　　　性				合　　　計
	国内	海外	不明	計	国内	海外	不明	計	国内	海外	不明	計
１０歳未満	10	1	0	11	6	4	1	11	16	5	1	22
	8	0	0	8	2	2	0	4	10	2	0	12
１０〜１９	9	0	3	12	16	43	34	93	25	43	37	105
	0	0	0	0	1	0	1	2	1	0	1	2
２０〜２９	362	105	92	559	150	269	374	793	512	374	466	1,352
	61	57	39	157	14	20	37	71	75	77	76	228
３０〜３９	302	171	122	595	64	46	90	200	366	217	212	795
	129	120	92	341	14	29	21	64	143	149	113	405
４０〜４９	215	95	65	375	18	10	8	36	233	105	73	411
	156	92	90	338	3	10	5	18	159	102	95	356
５０歳以上	139	54	48	241	31	1	1	33	170	55	49	274
	147	72	71	290	17	1	5	23	164	73	76	313
不　　明	0	1	2	3	0	4	1	5	0	5	3	8
	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0
合　　計	1,037	427	332	1,796	285	377	509	1,171	1,322	804	841	2,967
	501	341	292	1,134	51	62	69	182	552	403	361	1,316

※上段：感染者、下段：患者

（参考）世界のエイズ患者の状況（1998年11月15日現在、ＷＨＯ報告）

地　　域	患者発生状況		患　者　数	人　　　口
アフリカ州 （54カ国）	706,318 人	タンザニア ケニア ジンバブエ	97,621 人 81,492 70,669	23,126 千人 21,433 10,412
アメリカ州 （45カ国）	951,755	アメリカ合衆国 ブラジル メキシコ	691,647 128,821 35,069	248,709 146,825 81,249
アジア州 （42カ国）	108,738	タイ インド 日本	88,403 6,252 1,917	54,532 846,302 126,220
ヨーロッパ州 （40カ国）	211,352	スペイン フランス イタリア	51,284 48,453 42,122	39,433 56,634 59,103
オセアニア州 （16カ国）	9,054	オーストラリア	7,766	16,850
計(197ヵ国)	1,987,217

（　）内は、患者報告のあった国数である。
注：※１日本の患者数は1998年12月末現在

　　　 都道府県別感染者累積報告状況

都道府県名		感染者 報告件数 （件）	構成割合 （％）	ブロック別
				感染者 報告件数（件）	構成割合 （％）
1	北海道	20 （ 0 ）	0.7	20	0.7
2	青森県	6 （ 0 ）	0.2	東北 　 　 42	1.4
3	岩手県	4 （ 0 ）	0.1
4	宮城県	12 （ 0 ）	0.4
5	秋田県	4 （ 0 ）	0.1
6	山形県	4 （ 0 ）	0.1
7	福島県	12 （ 0 ）	0.4
8	茨城県	301 （ 0 ）	9.8	関東・甲信越 　 　 　 　 2,365	77.3
9	栃木県	73 （ 2 ）	2.4
10	群馬県	52 （ 0 ）	1.7
11	埼玉県	155 （ 8 ）	5.1
12	千葉県	253 （ 3 ）	8.3
13	東京都	1,036 （ 35 ）	33.9
14	神奈川県	262 （ 6 ）	8.6
15	新潟県	34 （ 0 ）	1.1
16	山梨県	45 （ 0 ）	1.5
17	長野県	154 （ 4 ）	5.0
18	富山県	5 （ 0 ）	0.2	北陸 19	0.6
19	石川県	1 （ 0 ）	0.0
20	福井県	13 （ 0 ）	0.4
21	岐阜県	15 （ 0 ）	0.5	東　海 　 226	7.4
22	静岡県	70 （ 0 ）	2.3
23	愛知県	95 （ 0 ）	3.1
24	三重県	46 （ 1 ）	1.5
25	滋賀県	8 （ 0 ）	0.3	近　畿 　 269	8.8
26	京都府	35 （ 0 ）	1.1
27	大阪府	167 （ 6 ）	5.5
28	兵庫県	30 （ 2 ）	1.0
29	奈良県	21 （ 2 ）	0.7
30	和歌山県	8 （ 0 ）	0.3
31	鳥取県	2 （ 0 ）	0.1	中国・四国 　 　 　 48	1.6
32	島根県	4 （ 0 ）	0.1
33	岡山県	5 （ 0 ）	0.2
34	広島県	16 （ 1 ）	0.5
35	山口県	6 （ 0 ）	0.2
36	徳島県	2 （ 0 ）	0.1
37	香川県	3 （ 0 ）	0.1
38	愛媛県	3 （ 0 ）	0.1
39	高知県	7 （ 0 ）	0.2
40	福岡県	37 （ 1 ）	1.2	九州・沖縄 　 　 　 70	2.3
41	佐賀県	0 （ 0 ）	0.0
42	長崎県	8 （ 0 ）	0.3
43	熊本県	6 （ 1 ）	0.2
44	大分県	2 （ 0 ）	0.1
45	宮崎県	0 （ 0 ）	0.0
46	鹿児島県	8 （ 0 ）	0.3
47	沖縄県	9 （ 0 ）	0.3
合　 計		3,059 （ 72 ）	100.0	3,059	100.0

注：凝固因子製剤による感染者は除く　　　（平成１１年3月末現在）
　（　）内は今回報告件数（平成１１年3月分）である


　　　 都道府県別患者累積報告状況

都道府県名		患者 報告件数 （件）	構成割合 （％）	ブロック別
				患者 報告件数（件）	構成割合 （％）
1	北海道	27 （ 0 ）	2.0	27	2.0
2	青森県	3 （ 0 ）	0.2	東北 　 　 36	2.6
3	岩手県	6 （ 0 ）	0.4
4	宮城県	13 （ 1 ）	0.9
5	秋田県	3 （ 0 ）	0.2
6	山形県	5 （ 0 ）	0.4
7	福島県	6 （ 0 ）	0.4
8	茨城県	94 （ 1 ）	6.8	関東・甲信越 　 　 　 　 985	72.3
9	栃木県	40 （ 0 ）	2.9
10	群馬県	30 （ 3 ）	2.0
11	埼玉県	73 （ 1 ）	5.3
12	千葉県	111 （ 2 ）	8.0
13	東京都	440 （ 14 ）	31.3
14	神奈川県	131 （ 3 ）	9.4
15	新潟県	12 （ 0 ）	0.9
16	山梨県	13 （ 1 ）	0.9
17	長野県	41 （ 4 ）	2.7
18	富山県	6 （ 0 ）	0.4	北陸 15	1.1
19	石川県	3 （ 0 ）	0.2
20	福井県	6 （ 0 ）	0.4
21	岐阜県	15 （ 0 ）	1.1	東　海 　 121	8.9
22	静岡県	41 （ 0 ）	3.0
23	愛知県	52 （ 3 ）	3.6
24	三重県	13 （ 1 ）	0.9
25	滋賀県	5 （ 0 ）	0.4	近　畿 　 109	8.0
26	京都府	17 （ 0 ）	1.2
27	大阪府	59 （ 2 ）	4.2
28	兵庫県	20 （ 1 ）	1.4
29	奈良県	3 （ 0 ）	0.2
30	和歌山県	5 （ 0 ）	0.4
31	鳥取県	1 （ 0 ）	0.1	中国・四国 　 　 　 23	1.7
32	島根県	1 （ 0 ）	0.1
33	岡山県	1 （ 0 ）	0.1
34	広島県	7 （ 1 ）	0.4
35	山口県	3 （ 0 ）	0.2
36	徳島県	1 （ 0 ）	0.1
37	香川県	1 （ 0 ）	0.1
38	愛媛県	6 （ 0 ）	0.4
39	高知県	2 （ 0 ）	0.1
40	福岡県	17 （ 0 ）	1.2	九州・沖縄 　 　 　 47	3.4
41	佐賀県	1 （ 0 ）	0.1
42	長崎県	6 （ 0 ）	0.4
43	熊本県	5 （ 0 ）	0.4
44	大分県	2 （ 0 ）	0.1
45	宮崎県	1 （ 0 ）	0.1
46	鹿児島県	6 （ 0 ）	0.4
47	沖縄県	9 （ 0 ）	0.7
合　 計		1,363 （ 38 ）	100.0	1,363	100.0

注：凝固因子製剤による患者は除く　　　（平成１１年3月末現在）
　（　）内は今回報告件数（平成１１年3月分）である

平成１１年５月２５日

１．委員会の役割は、感染症新法に基づく後天性免疫不全症候群（ＨＩＶ感染症を含む）発生届けと任意の病状変化報告を疫学的に解析することである。

２．我が国では感染の拡大が引き続き認められるので、発生動向を対策に結びつけるような分かりやすい形で整理し、情報発信していくことが、当委員会の大きな役割であ
ると認識している。

３．今回は、エイズ予防法により報告された最後の月である平成１１年３月分の発生動向について検討したので、主要点を述べる。

（１）今回は、３月ひと月分の報告ではあるが、患者３８件、感染者７２件とひと月分としては報告数が多い。その理由については、本当に増加しているのか、新法の啓発に伴う報告数の増加なのか等、今後の動向を踏まえた十分な検討・吟味が必要である。

（２）感染原因別における特徴としては、同性間の性的接触による感染者数が３８件あり、感染者の全報告の約５３％を占めている。

（３）異性間の性的接触においてもひと月の集計でありながら、患者２０件、感染者２０件報告されており、更に患者と感染者の数が同数であることは、早期発見の観点から憂慮すべき点である。

４．最後に、当委員会としては、従前どおり、２月に１回のペースで会合をし、現在、週報の形で公表されている情報を解析するとともに、平成９年から開始した発生動向年報の継続作成を行っていくこととしている。
　また、本年秋を目途に９９年前半期の発生動向に関する中間とりまとめを行うこととしたが、詳細は次回以降の会合で決することとした。

照会先：保健医療局エイズ疾病対策課
担当者：清水(内2358) 井口(内2357)
ＴＥＬ：[現在ご利用いただけません](代表）
　　　　3595-2249(直通)

平成１１年５月２５日（火）

（注）

・昭和６１年は、年中途から実施したことなどから、3,146,940件、内陽性件数１１件（女性０）となっている。

・抗体検査陽性の献血血液は、焼却されており、使用されていない。

照会先：医薬安全局血液対策課
担当者：河 原，長 崎
ＴＥＬ：[現在ご利用いただけません](内線)2905,2904
　　　　03-3595-2395(直通)