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5.年金制度改正案


| 第1案 |

【概要】

1.裁定後の基礎年金・厚生年金は物価のみで改定
現役世代の負担が重くなっている中で、既に年金を受給し始めた者の年金額については実質価値を維持し購買力を保証するための物価スライドは堅持するが、現役世代の賃金上昇に応じた年金額の改定は当分の間行わない。
2.60歳台後半の在職老齢年金制度の導入
現に就労し、賃金を得ている者に年金が満額支給されることは現役世代の理解を得にくいことから、65歳から69歳の間に就労する者に対しては、厚生年金の被保険者として保険料の支払いを求めるとともに、賃金に応じて厚生年金(報酬比例部分)の全部又は一部を支給停止する。ただし、基礎年金は全額支給する。
3.60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の引上げ
平均寿命が伸びていることや保険料負担の増大を抑える必要があることから、将来の65歳現役社会への移行を踏まえて、60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を、15年後の平成25年度(2013年度)から平成37年度(2025年度)にかけて段階的に引き上げる(女子は5年遅れ)。これに伴い、厚生年金についても60歳から繰上げ受給できる制度を導入する。
4.将来の厚生年金(報酬比例部分)の額
厚生年金(報酬比例部分)については、将来新たに裁定される年金額を5%程度適正化する。ただし、それまでの間、現在の年金額を物価スライドした額は保証する。
5.将来の基礎年金額
現行どおり(今回の改正では前回の改正時点からの現役世代を含む全世帯の消費動向等を総合的に勘案して物価上昇率により設定)。
6.その他
○ 総報酬制の導入
○ 国民年金保険料の半額免除制度の創設
○ 国民年金保険料の学生特例の創設
○ 育児休業期間中の厚生年金保険料の事業主負担分の免除



【最終保険料(率)】
○ 厚生年金対年収:20%程度(対月収:26%程度)
○ 国民年金2.3万円程度(平成11年度価格)
(注)厚生年金保険料率は5年ごとに2.0%ずつ、国民年金保険料は平成11年度価格で毎年500円ずつ引き上げ


| 第2案 |

【概要】

1.裁定後の基礎年金・厚生年金は物価のみで改定
第1案と同じ。
2.60歳台後半の在職老齢年金制度の導入
第1案と同じ。
3.60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢
60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の引上げは行わない。
4.将来の厚生年金(報酬比例部分)の額
厚生年金(報酬比例部分)については、将来新たに裁定される年金額を15%程度適正化する。ただし、それまでの間、現在の年金額を物価スライドした額は保証する。
5.将来の基礎年金額
第1案と同じ。
6.その他
第1案と同じ。
【最終保険料(率)】
○ 厚生年金対年収:20%程度(対月収:26%程度)
○ 国民年金2.3万円程度(平成11年度価格)
(注)厚生年金保険料率は5年ごとに2.0%ずつ、国民年金保険料は平成11年度価格で毎年500円ずつ引き上げ


| 第3案 |

【概要】

1.裁定後の基礎年金・厚生年金は物価のみで改定
第1案と同じ。
2.60歳台後半の在職老齢年金制度の導入
第1案と同じ。
3.60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢
60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の引上げは行わない。
4.将来の厚生年金(報酬比例部分)の額
厚生年金(報酬比例部分)については、将来新たに裁定される年金額を10%程度適正化する。ただし、それまでの間、現在の年金額を物価スライドした額は保証する。
5.将来の基礎年金額
国民年金の最終保険料を抑えるため、基礎年金についても、将来新たに裁定される年金額を10%程度適正化する。ただし、それまでの間、現在の年金額を物価スライドした額は保証する。
6.その他
第1案と同じ。
【最終保険料(率)】
○ 厚生年金対年収:20%程度(対月収:26%程度)
○ 国民年金2.1万円程度(平成11年度価格)
(注)厚生年金保険料率は5年ごとに2.0%ずつ、国民年金保険料は平成11年度価格で毎年500円ずつ引き上げ


第1案の場合新規裁定年金額の推移(試算)

第1案の場合新規裁定年金額の推移(試算)基礎年金


第1案の場合新規裁定年金額の推移(試算)厚生年金

(参考)サラリーマンの標準的な年金額(夫婦2人、夫40年加入、妻専業主婦の場合)
 平成6年度    平成11年度   平成21年度   平成37年度
23.1万円程度   23.8万円程度   29.7万円程度   42.8万円程度
(注)上記年金額の手取り年収に対する比率は、平成6年度では62%程度であるが、最終的には59%程度となる。

(注1)基礎年金額については、今回改正においては前回改正時点からの現役世代を含む全世帯の消費動向等を総合勘案して物価上昇率により設定。

(注2)試算の前提


第2案の場合新規裁定年金額の推移(試算)

第2案の場合新規裁定年金額の推移(試算)基礎年金


第2案の場合新規裁定年金額の推移(試算)厚生年金

(参考)サラリーマンの標準的な年金額(夫婦2人、夫40年加入、妻専業主婦の場合)
 平成6年度    平成11年度   平成21年度   平成37年度
23.1万円程度   23.8万円程度   28.9万円程度   40.9万円程度
(注)上記年金額の手取り年収に対する比率は、平成6年度では62%程度であるが、最終的には56%程度となる。

(注1)基礎年金額については、今回改正においては前回改正時点からの現役世代を含む全世帯の消費動向等を総合勘案して物価上昇率により設定。

(注2)試算の前提


第3案の場合新規裁定年金額の推移(試算)

第3案の場合新規裁定年金額の推移(試算)基礎年金


第3案の場合新規裁定年金額の推移(試算)厚生年金

(参考)サラリーマンの標準的な年金額(夫婦2人、夫40年加入、妻専業主婦の場合)
 平成6年度    平成11年度   平成21年度   平成37年度
23.1万円程度   23.8万円程度   27.7万円程度   39.4万円程度
(注)上記年金額の手取り年収に対する比率は、平成6年度では62%程度であるが、最終的には54%程度となる。

(注1)基礎年金額については、今回改正においては前回改正時点からの現役世代を含む全世帯の消費動向等を総合勘案して物価上昇率により設定。

(注2)試算の前提


  (参考)将来の年金額を適正化した場合の経過措置

将来の年金額を適正化する場合であっても、年金の伸びを調整するだけであり、年金額は物価上昇率に応じて増加する。

<<具体的方法>>

将来の年金額を適正化した場合の経過措置のイメージ図


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