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平成9年6月27日

検体検査の精度管理等に関する委員会報告書(概要)

1 委員会設置の目的

・ 昭和61年の臨床検査技師、衛生検査技師法等に関する法律施行規則改正から10年を経過したことを機に、医療技術の進歩や衛生検査所の実態等を踏まえ、医療関連サービス基本問題検討会(健康政策局長の懇談会)の下で「検体検査の精度管理等に関する委員会」を開催し、衛生検査所等における検体検査の精度管理のあり方等について検討を行った。

2 衛生検査所の精度管理について

(1)内部精度管理について

・ 日常検査の精度を確保する重要性に鑑み、内部精度管理の方法を見直し、その実施は、現在の外部精度管理と同様に必須事項として位置づける必要がある。

○ 内部精度管理手法の見直しについて

・ 作業日誌、台帳等のうち、簡素化できるものについて要件を見直す必要がある。また、生化学的検査等、検査の自動化が進んだ分野については検査担当者の技能評価方法を見直す必要がある。

○ 検体受領以前の精度管理について

・ 衛生検査所の管理者は、検体採取後の検体の取り扱いや保管方法など、受領までの検体取り扱いの留意点について医療機関に対し具体的かつ懇切な情報提供を行う必要がある。

○ 検体搬送時の精度管理について

・ 検体搬送業務従事者に対する教育、研修について一層の充実を図る必要がある。

○ 形態学的検査の精度管理について

・ 医師、臨床検査技師等の担当者は、形態学的検査の技能及び知識の研鑽に絶えず努めていくことが望まれる。

・ 微生物学的検査の精度管理は、検査担当者の技能チェックの充実を図り、検体の保存や搬送を適切に行う必要がある。

・ 病理組織検査で、所見及び病理学的診断を記載する場合、所見等を記載した者の自筆サイン等を記載することが望ましい。
また、取り扱い検体数にふさわしい病理医等の配置、前回標本を検索するシステム、専門医へのコンサルテーションシステムの確立が今後望まれる。

・ 細胞診検査を行う場合、取り扱い検体数にふさわしい相応の技能を持った医師等の配置を行うことが望ましい。
また、細胞診所見を記載する場合、所見を記載した者の自筆サイン等を記載することが望ましい。

(2)外部精度管理調査について

・ 効率的な外部精度管理調査が実施できるよう、実施主体同士が、精度管理調査プログラムや評価方法の調整などを行う必要がある。
さらに、評価等が一元的に行なわれる環境整備を図るなど、効率的な外部精度管理調査を実施していくための検討を行う必要がある。

2 院内検査委託業務における精度管理について

・ 衛生検査所に定める精度管理法と同様に、院内検査委託業務(ブランチラボ)についても精度管理を徹底する必要がある。

3 都道府県等の精度管理における指導監督体制のあり方について

・ 都道府県における精度管理専門委員会の活性化を図るとともに、衛生検査所に対する立入検査等には精度管理専門委員を積極的に活用すべきである。
また、指導の標準化を図る観点から、各都道府県の精度管理専門委員等が、衛生検査所の精度管理に関する問題点等について情報交換等を行う必要がある。

4 指導監督医、精度管理責任者等の役割について

○指導監督医について

・ 指導監督医は、今後とも検体検査についての必要な知識の研鑽に努めていくことが望ましい。

○精度管理責任者について

・ 検体検査の精度管理は日々行う必要があることから、精度管理責任者を常勤職員の中から選任することや、検査の作業工程ごとに指定されている精度管理担当者による精度管理の徹底を図ることが考えられる。
その際には、現在の精度管理責任者の要件について、一定の水準を担保しつつ緩和を行っていくことが考えられる。

5 衛生検査所等における構造・設備等のあり方について

・ 構造・設備については、改正から10年経過する中で、実情にそぐわないものについて見直しを行う必要がある。

6 医療技術の発達に伴う諸問題について

・ 検査技術の革新に伴い、DNA解析をはじめとする遺伝子検査等が出現しており、その登録について一定の取り扱いが望まれており、当面、指針等で区分についての解釈を示す必要がある。

・ 病理標本や細胞診等の画像伝送については、画像伝送に係る技術的条件や病理医の確保等について関係者による検討を更に進め、良質な病理
・細胞画像診断を行うための環境整備を行っていくことが望まれる。



検体検査の精度管理等に関する委員会報告書

1 委員会設置の目的

○ 検体検査については、医療施設調査によれば9割を超える医療機関が検体検査の一部又は全部を衛生検査所(全国900ヶ所、平成9年2月1日現在)に対し外部委託している状況である。

○ 検査技術の進歩に伴い、医療における検査は医師が的確な診断を行う上で、重要な役割を果たしており、適正な医療の確保を図る観点からも、衛生検査所等における検体検査の精度を確保していくことは重要な課題である。

○ 厚生省では、昭和61年4月に臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律施行規則を改正し、衛生検査所の開設者が都道府県知事の登録を受ける際の登録基準に、精度管理面での諸基準を盛り込むなどその強化を図ったところである。

○ しかしながら、昨今の医療技術の進歩や検体検査を取り巻く状況の変化に伴い、精度管理の実施方法など課題が生じつつある。

○ 今般、昭和61年の施行規則改正から10年を経過したことを機に、医療関連サービス基本問題検討会の下で「検体検査の精度管理等に関する委員会」を開催し、衛生検査所等における検体検査の精度管理のあり方等について検討を行い、その結果について報告するものである。

2 検体検査等を取り巻く状況について

(1)検体検査の現状について

○ 近年の医療技術の進歩は目覚ましく、臨床検査の領域においても検査機器の自動化、システム化により、検査業務の迅速化が図られ、より精密なデータが得られるようになっている。また、遺伝子検査が可能になるなど年々新しい検査が開発され、臨床現場でも使用されている。

○ 医療現場においては、問診、診察、検査、画像情報などにより医師による診断が行われているが、検査に関する情報は最も客観的な情報の一つであり、 診断を行う上で極めて重要な役割を果たしている。

○ また疾病の診断のみならず、疾病の早期発見や健康の保持増進に役立つなど、医療現場等における検査の重要性は益々増している。

(2)臨床検査の標準化を巡る動向について

○ 一方、臨床検査について、ISOやWHO等を中心として国際的に標準化を進める動きがあり、標準物質の作成や基準分析法の設定等を行い、正しい検査結果を得るための努力が積極的になされている。

○ 国内においても臨床検査の標準化について、関係者の間で徐々に進められつつあり、今後とも国際的動向を踏まえながら臨床検査の標準化を進めてい くことが求められている。

○ 臨床検査については、誰が、どこで行ったとしても同一の検査結果を示す必要があり、施設間での互換性等が向上すべく、関係者による努力がなされており、衛生検査所等における精度管理のあり方を考えるにあたっても、こういった視点が必要である。

(3)医療関連サービスマークによる検体検査の質の評価について

○ 平成2年に(財)医療関連サービス振興会が設立され、医療法施行規則等の基準に加え、独自の基準を満たした事業者等に対し医療関連サービスマークを交付しているところであり、検体検査については、平成8年10月現在369カ所の衛生検査所が医療関連サービスマークを取得している。

○ 医療関連サービスマーク制度が創設されたことを踏まえ、すべての衛生検査所が遵守すべき法律等で定める基準と、良質なサービスを提供する衛生検査所としての基準について、今後その違いを明確にしていくことが求められている。

3 衛生検査所の現状

○ 衛生検査所は、900カ所登録がなされている。(平成9年2月1日現在)

○ 従業員数でみると、49人以下が798カ所(88.7%)であり、特に5人以下が243カ所(27.0%)である。

○ 経営主体別でみると、株式会社が最も多く550カ所(61.1%)で、次に多いのが公益法人で179カ所(19.9%)である。

○ 登録業務でみると、生化学的検査の登録が655カ所(72.8%)で最も多く、次いで血清学的検査、血液学的検査の順である。血清分離のみで登録しているのは68カ所(7.6%)であり、検体検査用放射性同位元素を備える衛生検査所として登録を行っているのは55カ所(6.1%)である。

○ 登録検査業務数でみると、登録数1が最も多く229カ所(25.4%)であり、次いで登録数3、登録数5の順である。

4 衛生検査所における精度管理について

(1)内部精度管理について

○ 日常検査の精度を確保する重要性に鑑み、内部精度管理の方法を以下に述べるように見直すとともに、その実施は、現在の外部精度管理と同様に必須事項として位置づける必要がある。

(1) 内部精度管理手法の見直しについて

○ 内部精度管理について、これまでの運用実態に鑑み、検体受領日誌など簡素化できるものについては特に要件を義務付けないなどの措置を行っていく必要がある。
具体的には、「検体搬送作業日誌」と「検体受領作業日誌」の一本化、「血清分離作業日誌」、「委託検査管理台帳」と「検体受付及び仕分作業日誌」の一本化、「検体受付及び仕分作業日誌」、「測定作業日誌」についてコンピューター出力帳簿での代用でも良いこととするなどが考えられる。

○ また、生化学的検査等について、現在、既知検体を用いて、月一回以上検査担当者の技能が評価されていることとされているところであるが、検査の自動化が進んだ分野については技能の評価を見直し、軽減していく必 要がある。

○ 精度管理の結果の活用法について、許容限界を越えた場合の対応法など具体的に示す必要がある。

○ また、精度管理に使用する管理血清は、管理血清の正確性、安定性等について信頼性の高いものを使用すべきであり、特に自家調整された管理血清等を使用する場合にはその点に注意を払う必要がある。

(2) 検体受領以前の精度管理について

○ 検体検査の精度管理は医療機関等における検体採取時から始まるものであり、どんなに内部精度管理を確実に行っても検体採取後の検体の取り扱いが不適切な場合には正確な値が期待できない。

○ 特に衛生検査所等に委託して検査を行う場合には、検体採取時点から実際に検査が行われるまでに長時間を要することが予想され、例えば血液採取後に速やかに血清分離がなされないと、検査項目によっては正確な値が期待できなくなるとの指摘もあることから、検体検査の精度管理に対する医療機関の理解と協力が重要である。

○ そのためには、精度管理の一環として、衛生検査所の管理者は、検体採取後の検体の取り扱いや保管方法など、受領までの検体取り扱いの留意点について医療機関に対し具体的かつ懇切な情報提供を行うなどにより、検体受領以前の精度管理について徹底を図る必要がある。

(3) 検体搬送時の精度管理について

○ 衛生検査所の内部の従事者の教育、研修のみならず、検体搬送の重要性に鑑み、検体搬送業務従事者に対する教育、研修について一層の充実を図るべきである。

(4) 微生物学的検査、病理組織検査、細胞診検査の精度管理について

○ 微生物学的検査、病理組織検査、細胞診検査、血液形態学的検査等は、他の検体検査とは異なり、形態学的な鑑別が重要な検査であり、検査の精度管理は、検査を行う担当者の知識や技能に左右される場合が多い。また、他の検体検査と比べて、検査結果そのものが、患者の診断や治療に直接結びつく場合が多く、これらの精度管理は重要である。

○ 医師、臨床検査技師等の担当者は、今後ともこれら形態学的検査の技能及び知識の研鑽に絶えず努めていくことが望まれる。

ア 微生物学的検査の精度管理について

○ 微生物学的検査の精度管理については、現在、既知検体を用いて、月一回以上検査担当者の技能(染色技術を含む)を評価すること、定期的、あるいはロットごとに、既知の微生物を用いて培地等(感受性ディスク、試薬等も含む)の活性を調べること、定期的に染色液のチェックを行うこととされている。

○ 微生物学的検査については、免疫学的検査、核酸検査等による早期診 断等が可能になっており、必ずしも全体的な需要が増しているわけではないが、最終診断には重要な検査の一つである。

○ また、最近では腸管出血性大腸菌や新興・再興感染症などの食中毒、感染症等の発生や流行もみられることから、検査担当者の技能チェックの充実を図り、検体の保存や搬送を適切に行うなど、今後とも精度管理に十分注意を払う必要がある。

イ 病理組織検査の精度管理について

○ 病理組織検査の精度管理については、現在、病理組織検査の目的に応じた適切な固定液が用いられているかの確認を適時行うこととされている。

○ 病理組織検査を実施するにあたって所見及び病理学的診断を記載する場合が多く、臨床医が疾病の診断を行う際に極めて重要な役割を果たしているのが現状であり、専門の学術団体において病理医の認定等を行うなど、関係者の尽力により、病理組織検査について優れた精度管理の成績を上げている。

○ この場合、病理組織検査において、所見及び病理学的診断を記載するにあたっては、記載内容についての責任を明確化するために、所見等を記載した者の自筆サイン等を記載することが望ましい。

○ また、病理組織検査を行うにあたっては、取り扱い検体数にふさわしい病理医等の配置を行うことや、前回標本を検索するシステムや専門医へのコンサルテーションシステムを確立していくことが今後望まれる。

ウ 細胞診検査の精度管理について

○ 細胞診検査の精度管理については、現在、既知標本を用いて月一回以 上検査担当者の技能を評価すること等とされている。

○ 細胞診検査については、専門の学術団体において細胞診指導医や細胞 検査士の認定を行っている。
こうした学術団体を初めとする関係者の尽力により、細胞診について 優れた精度管理の成績を上げている。

○ 衛生検査所等において、細胞診検査を受託するにあたっては、取り扱い検体数にふさわしい相応の技能を持った医師、臨床検査技師等の担当者の配置を行うことが望ましい。
また、細胞診所見を記載するにあたっては、記載内容についての責任を明確化するために、所見を記載した者の自筆サイン等を記載することが望ましい。

(5) 薬事法で未承認の自家調整試薬の使用について

○ 衛生検査所で検査を行う場合、体外診断薬として薬事法で承認された試薬が存在する場合には、精度管理の観点からも、承認試薬を使用するのが望ましく、その際には使用方法に従い使用すべきである。

○ 薬事法で未承認の自家調整試薬の使用については、体外診断薬として薬事法で承認された試薬が存在しない場合等のやむを得ない場合に限って使用すべきである。
その場合にあっては、検査データの普遍性、試薬の安定性、精度管理等について管理された試薬を使用すべきである。

○ その際には、検査案内書等への記載などにより、医療機関等にその使用を示すことが望ましい。また、必要があれば試薬の管理データについて提示できるようにしておくことが望ましい。

(6) 検体検査の精度管理に関する用語について
○ 現在、施行規則等に使用されている用語について、1993年のWHO国際会議で統一見解が公表されたこと等を受け、総合的精度管理(Total Quality Control、TQC)を精度保証(Quality Assurance)に、外部精度管理(External Quality Control)を外部精度評価(External Quality Ass essment)、正常参考値を基準値等に変更していくことが考えられる。

○ しかしながら、用語については、諸外国や学会等によっても取り組みの違いが見受けられることから、学問的な立場からさらに検討を加えていく必要がある。

(2)外部精度管理調査について

○ 現在、外部精度管理調査は、日本医師会、日本臨床衛生検査技師会、日本衛生検査所協会等が実施している全国規模のものや、各都道府県単位で自治体や都道府県医師会等が実施しているのものを含め、約30種類以上あると言われている。

○ 現在実施されている外部精度管理調査は、それぞれに歴史や特徴があるとともに、優れた成果を上げており、医療機関、衛生検査所等からも評価を受けているところである。

○ しかしながら、サーベイを受ける衛生検査所等にとっては、実施主体のサーベイの間の評価方法が異なることや結果が出るまでの期間が長いこと等から、参加回数が多いにもかかわらず、各施設の精度管理の改善に効果的に結びつかないなどの指摘もあり、外部精度管理調査に参加する側の意見が反映され、効率的な外部精度管理調査が実施できるようにすることが望まれている。

○ そのため、外部精度管理調査を行っている実施主体同士が、精度管理調査プログラムや評価方法の調整などを行っていく必要がある。
さらに、評価等が一元的に行なわれる環境整備を図るなど、効率的な外部 精度管理調査を実施していくための検討を加えていく必要がある。

5 院内検査委託業務における精度管理について

○ 院内委託検査(ブランチラボ)の精度管理については、従来より衛生検査所と同様の精度管理を行うよう医療法施行規則等に定めてきたところである。
○ 今後とも、衛生検査所に定める精度管理法と同様、ブランチラボについても精度管理を徹底すべきであり、必要な措置を講ずることが考えられる。

6 都道府県等の精度管理における指導監督体制のあり方について

○ 衛生検査所に対する立入検査については、臨床検査技師、衛生検査技師等 に関する法律第20条の5に基づき都道府県において実施されている。

○ 衛生検査所における立入検査は、原則2年に一回以上行うこととしており、平成8年度における立入検査は510カ所の衛生検査所に対し実施された。

○ 立入検査のうち何らかの改善点の指摘が行われたのは258カ所(50.6%)で あった。又、精度管理専門委員を同行して立入検査が行われたのは406カ所(79.6%)であり、既知検体を持ち込んでの立入検査は168カ所(32.9%)であった。

○ 今後とも、都道府県による立入調査等の充実を図るために、都道府県における精度管理専門委員会の活性化を図るとともに、衛生検査所に対する立入検査等には精度管理専門委員を積極的に活用すべきである。

○ また、指導の標準化を図る観点から、各都道府県の精度管理専門委員等が、衛生検査所の精度管理に関する問題点等について情報交換等を行う必要があ る。

7 管理者、指導監督医、精度管理責任者の役割について

(1)管理者について

○ 現在、検体検査用放射性同位元素を備える衛生検査所の管理者の資格については、臨床検査技師又は衛生検査技師であるとともに、第一種放射線取扱主任者の免状を有する者か薬剤師の資格等を必要としているところである。

○ 検体検査用放射性同位元素を備える衛生検査所においては、取り扱いに精通した者が放射性同位元素の管理を行うことが望ましいが、検体検査用放射性同位元素を取り扱う検査項目がごく一部であっても、施設全体の管理者として位置づけられることとなり、検体検査全般の精度管理等について必ずしも目が行き届かない場合があるとの指摘もある。

○ そのため、検体検査用放射性同位元素を備える衛生検査所の管理者にあっては、検体検査全般の管理を行う観点から、放射線管理者とは別に検体検査全般に精通した管理者を定めても良いようにし、その場合にあっては検体検査用放射性同位元素を扱う責任者を別に定めること等の措置が考えられる。

(2)指導監督医について

○ 指導監督医による指導は衛生検査所によっては十分活用されていないとの指摘もあるが、検査項目の拡大や専門化など、検査を取り巻く環境の変化が著しい中で、指導監督医の果たす役割は益々重要であり、精度管理など検査業務の全般について指導・監督を行うことが求められている。

○ そのために、指導監督医は、今後とも検体検査についての必要な知識の研 鑽に努めていくことが望ましい。

(3)精度管理責任者について

○ 検査項目の拡大や専門化など、検査を取り巻く環境の変化が著しい中で、 精度管理責任者の役割は益々重要であり、精度管理方法や日々の実施体制の チェックなど、より具体的な業務を行うことが求められている。

○ 具体的には、現在、非常勤の場合、最低週一日のみ勤務が義務付けられているが、検体検査の精度管理は日々行う必要があることから、精度管理責任者を常勤職員の中から選任することなどの措置が考えられる。

○ また、検体検査の各分野について専門化が進んでいる状況の中で、各検査の作業工程ごとに指定されている精度管理担当者による精度管理の徹底を図るなどの措置も考えられる。

○ その際には、現在、精度管理責任者について、精度管理に関し学会誌に論文を発表した実績があること、総合病院の検査室の技師長として2年程度の経験があること等、精度管理に関し相当の知識及び経験を有する者が望ましいこととされているが、これらの要件について一定の水準を担保しつつ緩和を行っていくことなどが併せて考えられる。

○ なお、精度管理責任者等は、検体検査の精度管理等についての必要な知識の研鑽に努めていくことが望まれる。

8 衛生検査所等における構造・設備等のあり方について

○ 構造・設備については、改正から10年経過する中で、実情にそぐわないものもあり、見直していく必要がある。

○ 具体的には、下記のような見直しを行うことが考えられる。

血清分離のみ ピペット洗浄機 → 【削除】
血清学的検査 ふ卵器 → 【削除】
ピペット洗浄機 → 【削除】
血液学的検査 ヘマトクリット遠心機 → 〃又は自動血球測定器
分光光度計又は光電比色計 → 〃又は自動分析装置
病理学的検査 ふ卵器 → 【削除】
寄生虫学的検査 ふ卵器 → 【削除】
生化学的検査 ふ卵器 → 【削除】
分光光度計又は光電比色計 → 〃又は自動分析装置
原子吸光光度計又は炎光光度計 → 〃又は自動分析装

9 医療技術の発達に伴う諸問題について

(1)衛生検査所登録における遺伝子検査の取り扱いについて

○ 現在、登録業務として法律で定められているのは、微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査、生化学的検査の6業務である。

○ 近年、検査技術の革新に伴い、DNA解析をはじめとする遺伝子検査等が出現しており、その登録について一定の取り扱いが望まれている。

○ 遺伝子検査など、新しい検査の出現に柔軟に対応するため、当面、指針等で区分についての解釈を示す必要がある。

(2)衛生検査所等における病理・細胞画像情報による精度管理の方法等について

○ 衛生検査所の登録業務ではないが、医療分野における技術革新が進むことにより、病理標本や細胞診等の画像伝送が可能となり、医療機関と衛生検査所の間を回線で結び、コンサルテーションを行うなど、衛生検査所でも試験的に行われつつあるが、今後、画像伝送に係る技術的条件や病理医の確保等について関係者による検討を更に進め、良質な病理・細胞画像診断を行うための環境整備を行っていくことが望まれる。


 問い合わせ先 厚生省健康政策局経済課医療関連サービス室
    担 当 筒井、永田(内線2538)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
注)7月1日付けの厚生省組織改正により、医療関連サービス室は指導課 から経済課に移りました。

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