1 はじめに
○ | 当懇談会は、言語機能や聴覚機能などに障害を持つ者に対してその機能の向上、維持のための訓練、検査などの業務に携わる者、いわゆるST(以下、単に「ST」という。)の資格法制化に向けて、問題点の所在とその対応について検討を行うため、昨年10月28日に設置され、日本聴能言語士協会及び日本言語療法士協会の関係2団体からの意見の聴取及び主な論点についての意向の確認を含め、11回にわたり検討を重ねてきた。 |
○ | STの業務は、専門的知識及び技能の裏打ちがあって初めて行うことが可能なものであり、専門分野として確立しており、他の職種では対応することが困難なものである。 |
○ | 資格制度化の目的は、こうした専門的な知識及び技能を必要とする業務に従事する者の資質を担保することにある。 |
○ | また、その業務中に患者の生命、身体の安全に影響する医療に係る業務が予定されている資格の場合には、資格制度を創設し、看護婦等の「診療の補助」に係る業務独占を部分的に解除することで、当該分野の医療に携わることが可能となる。 |
○ | 現在のST必要数は全国で約9千人と推計され、資格制度化によりST数の増加も期待できる。 |
○ | ST業務は次のような行為を行うことにより、言語機能や聴覚機能などに障害を持つ者に対し、その機能を向上、維持させることを目的とするものと考える。 (1)主として、音声、構音、言語のそれぞれの機能又は聴覚機能の向上、維持のために行われる訓練 (2)訓練の実施や評価等のために必要な検査 (3)言語機能等に障害を有する者及びその家族に対して行う、助言、指導その他の援助 |
○ | こうしたSTの業務の中には、対象者に保健衛生上の危険を生じさせるおそれのある行為が存在しており、現行制度化では、医師、歯科医師が自ら行うか、看護婦等が診療の補助」として行うのでなければ行えないものと考えられる。 |
4 ST資格化の具体的な考え方
○ | STの業務中には、「診療の補助」として医師、歯科医師の指示を要するものとともに、「診療の補助」に該当しないものが含まれている。従って、医師・歯科医師の指をSTの業務全体にはかけない形で整理することが適当である。 |
○ | STが看護婦等の独占業務である「診療の補助」に該当する行為を適法に業として行うことを可能とするためには、法律に基づく資格制度を創設した上で、保健婦助産婦看護婦法の業務独占の一部を解除しなければならない。 |
○ | 「診療の補助」に該当する行為の範囲を具体的にどう考えるかについては、一般的、包括的な捉え方をすることが妥当ではないかと考えられるが、具体的な「診療の補助」の内容については専門家の意見を聴いて整理しておく必要があろう。 |
○ | 言語機能や聴覚機能の障害に関係する傷病により、現に医師又は歯科医師の治療を受けている者に対して、STが「診療の補助」に該当しないST業務を行う場合には治療方針との調整等の観点から主治の医師・歯科医師が関与する必要があり、その指導を受けるとすることが適当である。 |
○ | 資格の名称としては資格者の行う行為を表す名称を用いることが多いことなどから、STの名称としては、「言語聴覚療法士」という名称が妥当である。 |
○ | ST試験の受験資格としては、高卒者を対象とした3年以上の課程を有する養成施設の卒業者とすることが適当である。これには4年制大学も含まれる。4年制大学でSTを養成する場合には、特に学部を限定せず、指定科目の履修により、受験資格を認めることが考えられる。 |
○ | 養成施設としての指定を受けた4年制大学を卒業した者又は指定科目の履修を完了して4年制大学を卒業した者のいずれにも該当しない4年制大学の卒業者を対象としたSTの養成課程については、2年以上の養成施設の卒業ということで受験資格を認定することを検討する必要がある。 |
○ | 経過措置として、現任者や養成施設の卒業者及び在校者には、一定期間の実務経験や講習会の受講などを条件とすることなどにより、できるだけ広く受験資格を与えるとが望ましい。 |
○ | この提言内容については大筋において関係者の合意が得られており、当懇談会としては、ここで示した方向が現時点では最善のものと考えている。今後、この方向に沿って、STの資格制度化が1日でも早く実現することを期待する。 |
平成9年4月24日
1 はじめに
○ | 人口高齢化の進展、疾病構造の変化に伴い、リハビリテーションがその必要性、重要性を一層増してきている。言語機能や聴覚機能などに障害を持つ者に対してその機能の向上、維持のための訓練、検査などを行うこともその中の重要な1業務である。口唇・口蓋裂や脳性麻痺、そして高齢化の進展とともに増大することが予想される脳血管障害に起因する失語症などに伴うことばの障害に対して、その機能の発達促進や回復を図ることは、生活の質の向上、日常生活における自立という観点からも、欠くことのできないものである。 |
○ | こうした言語、聴覚の障害を持つ者に対する訓練や検査、指導などに携わる者は、一般にはST(Speech Therapist)と呼ばれている。この、いわゆるST(以下、単に「ST」という。)についてはかなり長期にわたって資格法制化の議論が行われてきた。最近の例を挙げれば、「新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会中間報告」(昭和62年3月)においては、「速やかに法制化すべきである」としつつも「職務の領域を巡って一部ではあるが教育か医療か等の議論が残り、今少し検討調整が必要である」とされている。そして今日まで、創設すべき資格制度の在り方について関係者間に意見の一致を見ないまま経過し、資格制度の創設には至っていない。 |
○ | 当懇談会は、こうした状況の中で、STの資格法制化に向けて、問題点の所在とその対応について検討を行うため、昨年10月28日に設置され、その後11回にわたり精力的に検討を重ねてきた。この間、日本聴能言語士協会及び日本言語療法士協会の関係2団体からは、それぞれ2回にわたって、意見の聴取及び主な論点についての意向の確認を行った。そして、今般、懇談会としての意見をまとめるに至ったので、ここに報告書として提出するものである。 |
○ | 新たに資格制度を設けるためには、その資格者の行う業務分野が専門分野として確立しており、他の職種では対応することが困難であること、そして、当該職種の養成のために一定期間の専門的教育が不可欠なものであることが前提となる。 |
○ | 現実のSTの業務を見れば、このような前提は十分に充たされていると考えられる。例えば、脳血管障害の患者に対しては言語機能(いてわかる、話す、読む、書くなど)の評価や関連する失行、失認検査などを行い、言語(話し言葉、文字)の理解や表出を可能にす訓練を行う。また、家族や周囲の人にも働きかけ、本人にとって望しい言語環境を作っていかなければならない。言語発達遅滞の子供対しては、言語発達の状態を的確に評価し、認知能力、概念形成、志表現などについての訓練を実施するとともに親に対して指導を行必要がある。聴覚機能に関係しては、近年、人工内耳の発達は著しく、個々の患者の状態に応じた調整なども新たにSTの重要な業務1つとなってきている。いずれも、専門的知識及び技能の裏打ちがって初めて行うことが可能な業務である。 |
○ | 資格制度化の第1の目的は、こうした専門的な知識及び技能を必要とする業務に従事する者の資質を担保することにある。資格を有しているということは、その資格に係る業務に必要な知識及び技能を身に付けた上で、資格試験に合格したということを意味するわけであり、養成課程と試験が相俟って資格者の資質を確保しているということになる。 |
○ | また、特に、その業務中に患者の生命、身体の安全に影響する医療に係る業務が予定されている資格の場合には、資格制度を創設した上で、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法との関係の整理を行うことが必要となる。 |
○ | 医療は、人の生命、身体に関わるものであるが故に、その業務は有資格者により行われることが原則であり、医業は医師の、歯科医業は歯科医師の、療養上の世話及び診療の補助は看護婦等の、それぞれ業務独占とされている。そして、医学、医術、医療機器の進歩等によって新たな専門分野が確定した場合には、看護婦等の「診療の補助」係る業務独占を部分的に解除する形で、様々な専門職種を資格化、当該分野の医療に携わることを可能にしてきたのである。最近では、昭和63年の臨床工学技士及び義肢装具士、平成3年の救急救命士がこのような考え方の下に資格制度化がなされている。 |
○ | 資格制度化は、専門職種としてそのような資格を有する者が社会的に幅広く必要とされている場合に要請される。STについて言えば、概数ではあるが、全国の失語症患者33万人のうち12万人が、言語発達遅滞者87万人のうち11万人が、構音障害者51万人のうち8万人が、訓練・検査を必要としていると推計できる。当懇談会の推計によれば、現在のST必要数は全国で約9千人であり、これは今後増加するものと予想される(別紙1)。 ST資格が制度化されれば、資格取得を志す者も増加することが期待でき、この面からもSTの資格制度化の必要性を指摘できる。 |
○ | STに期待されている業務、STが実際に行っている業務は非常に多岐に亘っており、また、STが活躍している場も様々である。従 って、ST及びSTの業務の全体を短く表現することは困難ではあ るが、資格制度創設のためには、STとはどのようなものであるか STを特徴付ける業務にはどのようなものがあるかを整理しておく 必要がある。当懇談会としては、その実態を検討した上で、ST業 務を次のような行為を行うことにより、言語機能や聴覚機能などに 障害を持つ者に対し、その機能を向上、維持させることを目的とするものと考えることとした。 (1)主として、音声、構音、言語のそれぞれの機能又は聴覚機能の向上、維持のために行われる訓練 (2)訓練の実施や評価等のために必要な検査 (3)言語機能等に障害を有する者及びその家族に対して行う、助言、指導その他の援助 |
○ | こうしたSTの業務の中には、対象者に保健衛生上の危険を生じさせるおそれのある行為が存在する。例えば、構音指導などに伴う嚥下機能訓練には誤嚥や窒息といった危険を生じるおそれがあるし、人工内耳の調整の初期段階で状態が安定するまでの間は痛み、めまい、顔面痙攣などの有無を医学的観点から注意深く観察する必要がある。これらの行為は、後述するように、現行制度下では、医師、歯科医師が自ら行うか、看護婦等が「診療の補助」として行うのでなければ行えないものと考えられる。 |
(1) 定義
○ | ST資格の制度化を考えるに当たって、当懇談会としては、STとは、厚生大臣の免許を受けて、上記3に示した業務を行う者をいうこ ととするのが妥当であると考える。このSTの業務中には、「診療の補助」として医師、歯科医師の指示を要するものとともに、診療の補助」に該当しないものが含まれている。 |
○ | こうしたST業務の全体が医師・歯科医師の指示の下に行われるべきものであるか否かは、このSTの資格制度化を考える際の大きな論点の1つであった。当懇談会としても、この問題に特に重点を置いて検討を行い、また、関係2団体のヒアリングにおいてもこの点が大きな焦点となった。 |
○ | 検討の過程においては、「診療の補助」に関する保健婦助産婦看護婦法の業務独占の一部を解除することに主眼を置いた、医療分野のみに業務を絞ったST資格の是非ということについても議論が行われた。 |
○ | しかしながら、資格制度化に当たっては、その資格者が行うことが想定される業務の実態ないし必要性をできるだけ反映させるべきであり、併せて、養成課程や資格試験や現任者への配慮(資格試験受験資格の特例)の在り方を考慮すべきとの考え方から、当懇談会の結論としては、上記3のとおり、STの業務内容を比較的広く捉える方向で整理することとした。このため、その業務中には、「診療の補助」として医師、歯科医師の指示を要するものとともに、「診療の補助」に該当しないものが含まれることとなり、従って、医師・歯科医師の指示をSTの業務全体にはかけない形で整理することが適当であると考えられる。 |
○ | ST業務の中には「診療の補助」として行われるべき行為が存在していることから、STが看護婦等の独占業務である「診療の補助」に該当する行為を適法に業として行うことを可能とするためには、法律に基づく資格制度を創設した上で、保健婦助産婦看護婦法の業務独占の一部を解除しなければならない。 |
○ | STが「診療の補助」に該当する行為を行うときには、医師又は歯科医師の指示の下で行うことが必要であり、法制化に当たってはその旨を明記する必要がある。元来、「診療の補助」とは、医行為、歯科医行為の一部を、医師、歯科医師の指示下であることを条件、他の資格者が行うことが認められたものという経緯がある。 |
○ | なお、「診療の補助」に該当する行為の範囲を具体的にどう考えるかは、構音指導などに伴う嚥下機能訓練や初期段階の人工内耳の調整などが「診療の補助」に該当することについては異論がないにしても、ST業務の範囲が広がってきており、今後、医学、医術、医療機器の進歩等によって新たな業務が加わる可能性もあることから、一般的包括的な捉え方をすることが妥当ではないかと考えられる。しかし、具体的な「診療の補助」の内容については専門家の意見を聴いて整理しておく必要があろう。 |
○ | ST業務のうち「診療の補助」に該当しないものについては、医師・ 歯科医師の指示の下で行われなければならないということはない。しかしながら、その場合でも、ST業務が医師、歯科医師の治療方針と全く無関係に行われるということは必ずしも適当ではない。 |
○ | 特に、言語機能や聴覚機能の障害に関係する傷病により、現に医師又は歯科医師の治療を受けている者に対して、STが「診療の補助」に該当しないST業務を行う場合には、当然のことながら、治療方針との調整等の観点から主治の医師・歯科医師が関与する必要があり、その指導を受けるとすることが適当である。ST資格を法制化するに当たっては、この点を明らかにしておくべきであろう。 このことは、無論、言語機能や聴覚機能の障害と関係のないと思われる傷病の主治の医師、歯科医師にST業務への関与を求める趣旨ではない。 |
○ | こうしたSTの業務に対する医師・歯科医師の指示・指導の整理の仕方は、同じリハビリテーション関係資格である理学療法士、作業療法士のそれと異なっている。当懇談会の場でも他の資格との関連からこの問題が議論されたが、結論的には、既に述べたように、言語機能等に障害を有する者に対する訓練等が現に様々な職域で行われているというST業務の特殊性から、上記のように整理することにした。 |
○ | ST資格は、基本的には名称独占資格として構成することが適当である。ただし、前述のとおり、ST資格を有する者には「診療の補助」についての保健婦助産婦看護婦法の規制を解除することが必要であり、そうした場合には、ST資格がなければ「診療の補助」に該当するST業務を行うことができず、この範囲では業務独占の効果を持つことになる。 |
○ | STの名称としては、英語のSpeech Therapist、特に Therapistということを表現する必要がないのか、言語だけでなく聴覚に関わる部分があることをどう考えるかということなどが検討された。過去の法制例を見ると、資格の名称としては資格者の行う行為を表す名称を用いることが多く、こうしたことを考え合わせた場合には、「言語聴覚療法士」という名称が妥当ではないかと思われるが、更に法制的な面を含めての検討が必要であろう。 |
(1) 養成課程
○ | STの具体的な養成課程の詳細については、資格制度化の実現時に改めて議論する必要があるが、当懇談会としては、養成課程の1モデルを示す(別紙2)。 懇談会の場では、STの養成課程については、医学・医療に偏らず、言語学、心理学などを含んだバランスのとれたものとすべきとの指摘があった。また、実習を通して医学的知識や臨床技能を修得させる必要があるといった意見が出された。 |
○ | 別紙2のモデルによれば、ST養成に必要な時間数は、3千時間程度 であり、他の資格の例を見ると、3年間で修了することが可能であると考えられる。従って、ST試験の受験資格としては、高卒者を対象とした3年以上の課程を有する養成施設の卒業者とすることが適当である。また、養成3年以上ということは、当然のことながら、4年制大学も含まれるということである。 |
○ | 4年制大学でSTを養成する場合には、特に学部を限定せず、指定科目を履修して卒業した者に受験資格を認めるということが考えられる。臨床工学技士のように既存の資格制度には受験資格の1形態としてこのように規定している例もあり、特にSTの場合には様々な学部の卒業生による資格試験の受験が想定できるからである。もちろん、STの養成に当たっては実習が重要であり、指定科目には実習課程が含まれている必要がある。 |
○ | また、養成施設としての指定を受けた4年制大学を卒業した者又は指定科目の履修を完了して4年制大学を卒業した者のいずれにも該当しない4年制大学の卒業者を対象としたSTの養成課程については、これらの者は基本的な教養は既に身に付けており、2年間で修了できる養成課程を組むことが可能であると考えられることから、2年以上の養成施設の卒業ということで受験資格を認定することに途を開くことを検討する必要がある。 |
○ | 新しく資格制度を創設する場合には、現にその資格に係る業務に従事している者の受験資格をどう考えるかが、常に問題となる。新たに資格が制度化された時点で養成の途中にある者についても同様である。言語機能等に障害を有する者の訓練等の業務に従事している者が現実に多数存在していることは事実であり、養成施設で養成中の者もまた多い。こうした現任者や養成施設の卒業者及び在校者については、受験資格について何らかの経過措置を考える必要がある。 |
○ | その際、前述のとおり、STを資格制度化することの大きな目的はその資質の担保であり、従って、経過措置を考える際にもSTに期待される業務水準を十分担保できるよう配慮する必要がある。この意味から、現任者等に無条件に資格を付与するということは考えられないが、一定期間の実務経験や講習会の受講などを条件とすることなどにより、できるだけ広く現任者や養成施設の卒業者及び在校者に受験資格を与えることが望ましい。 |
○ | STの資格化のための議論は、我が国ではずいぶん長い間続けられて きた。資格制度化そのものに反対する意見はほとんど見られなかったにもかかわらず、結果として、今日まで資格化が実現していないことは、特にSTを必要とするような障害を持つ人々にとって大変不幸な事態であると言わざるを得ない。 また、現にST業務に従事している 方々にも歯がゆい思いがあったのではなかろうか。 |
○ | 懇談会の場では、ST資格試験の受験資格について、4年制大学の卒業を求めるか、3年以上の養成施設の卒業者とするかの議論があった。この議論は、STに限らず、多くの医療関係資格が3年以上の養成施設の卒業をもって受験資格としていることをどう考えるかという問題に繋がるものである。今後、4年制大学を志向する傾向はますます強くなるものと考えられ、そういった社会の動向を見極めつつ、養成期間等の問題について、機会を捉えて、議論が行われることが必要であろう。 |
○ | この報告書で提言した内容については大筋において関係者の合意が得られており、当懇談会としては、ここで示した方向が現時点では最善のものと考えている。 今後、この方向に沿って、STの資格制度化が1日でも早く実現することを期待して、この報告書の結びとしたい。 |
傷害の分類 | 患者総数 | うち問題をもつ者数 | うちSTの対象者数 | 医療と福祉の別 | 年間言語療法件数 | ST必要数 | 20年後のST必要数 | |
音声傷害 | 174,442 | ← | 78,499 | 医療 | 78,499 | 1,569,980 | 698 | |
福祉 | 0 | |||||||
器質性構音障害 | ||||||||
a)運動障害性 | 165,000 | ← | 93,500 | 医療 | 60,500 | 3,036,000 | 1,349 | |
福祉 | 33,000 | 396,000 | 176 | |||||
b)腫瘍 | 57,400 | ← | 2,066 | 医療 | 2,066 | 99,168 | 44 | |
福祉 | 0 | |||||||
c)口蓋裂* | 248,000 | 24,800 | 12,960 | 医療 | 6,960 | 35,040 | 42 | |
福祉 | 6,000 | 12,000 | 11 | |||||
機能性構音障害・吃音* | 742,800 | ← | 66,000 | 医療 | 33,000 | 511,200 | 454 | |
福祉 | 33,000 | 511,200 | 454 | |||||
嚥下障害 | 594,000 | 379,500 | 25,630 | 医療 | 25,630 | 2,946,240 | 1,309 | |
福祉 | 0 | |||||||
失語症 | 330,000 | ← | 187,000 | 医療 | 121,000 | 6,072,000 | 2,699 | |
福祉 | 66,000 | 792,000 | 352 | |||||
言語発達遅滞* | 872,865 | ← | 226,800 | 医療 | 113,400 | 1,096,200 | 974 | |
福祉 | 113,400 | 1,096,200 | 974 | |||||
脳性麻痺* | 170,788 | ← | 23,040 | 医療 | 23,040 | 587,520 | 522 | |
福祉 | 0 | |||||||
聴覚障害 | 2,480,000 | ← | 620,000 | 医療 | 614,275 | (人工内耳を含む) | ||
福祉 | 5,725 | |||||||
a)聴力検査 | 620,000 | 医療 | 614,275 | 1,842,875 | 819 | |||
福祉 | 5,725 | 17,175 | 8 | |||||
b)補聴器装用* | 310,000 | 医療 | 304,275 | 608,550 | 541 | |||
福祉 | 5,725 | 10,550 | 9 | |||||
c)訓練* | 11,450 | 医療 | 5,725 | 274,800 | 244 | |||
福祉 | 5,725 | 274,800 | 244 | |||||
総 計 | 5,397,595 | 1,335,495 | 1,335,495 | 21,789,498 | 11,923 |
● | 斜体数字はうち数。 |
● | 嚥下障害者数は、運動障害性構音障害及び失語症との重複のない、嚥下障害のみの者の数を示した。 |
● | 聴力検査、補聴器装用、訓練の対象者数(斜体数字)には重複があるため、これを考慮して聴覚障害者全体の年間対象者数を 620,000人とした。 |
● | 人工内耳埋め込み患者は聴覚障害の項の医療の対象者に含めた。 |
● | 言語療法士1名が行う年間言語療法回数は、*印の項目で 1,125 回/年、無印の項目は 2,250 回/年として計算した。 |
健康政策局医事課まとめ
障害の分類 | 患者総数 | うちST業務の 対象者数 |
うち主として医療機関で行われる 言語療法延べ件数(年間) |
主として医療機関で必要なST数 | 同20年後のST必要数 |
音声障害 | 170,000 | 80,000 | 1,600,000 | 1,000 | 1,000 |
構音障害* | 510,000 | 80,000 | 3,500,000 | 1,000 | 2,000 |
吃音** | 700,000 | 20,000 | 200,000 | 500 | 500 |
失語症 | 330,000 | 120,000 | 6,100,000 | 3,000 | 5,000 |
言語発達遅滞** | 870,000 | 110,000 | 1,100,000 | 1,000 | 1,000 |
脳性麻痺** | 170,000 | 20,000 | 600,000 | 500 | 500 |
聴覚障害* | 2,480,000 | 620,000 | 2,700,000 | 2,000 | 2,000 |
総 計 | 5,230,000 | 1,050,000 | 15,800,000 | 9,000 | 12,000 |
約9,000〜11,000人 | |||||
約12,000〜20,000人 |
● | STの対象となる障害は、「患者調査」等のデータからは得にくいため、ここでは日本失語症学会「失語症全国実態調査」(1995年)、全国失語症友の会連合会「失語症便覧」(1989年)のほか、いくつかの病院における実態に基づいて推計した。 従っておおよその目安を示したものである。 |
● | 年間言語療法件数、必要ST数及びその20年後の必要数については、主として医療機関で行われるものに限定して推計した。従って全ST数よりは少なめの値となっている。 |
● | 20年後のST必要数の推計は、「日本の将来推計人口」に基づいて、主として高齢者の増加とこれによって増加すると考えられる障害に着目して推計した。 |
● | 人工内耳埋め込み患者は聴覚障害の項に含めた。 |
● | ST必要数の推計に当たっては、1人の障害者にかかる時間が比較的長いもの(*印:その一部、**印:ほとんど全て)、それほどでないものとに分け、さらにそれぞれについてSTが1人の障害者にかける時間と、一般的なSTの勤務時間とを勘案して推計した。 |
I 養成の目標
1. | 人間を社会的環境との相互作用および心身との相関という観点から、多面的に理解する能力を養う。 |
2. | 専門職に従事する者として、適切な倫理観に基づく関連業務を効率よく実践できる知識と能力を養う。 |
3. | 科学的態度をもって、言語・聴覚機能の維持、向上を図る能力を養う。 |
4. | 保健・医療・福祉制度を統合的に活用できる能力を養う。 |
II 養成の具体的な方法
1. | 分野を、専門基礎分野、専門分野に区分し、構成する。 |
2. | 各養成施設の特色を生かした教育を行うため、自由裁量の時間を設ける。 |
3. | 専門基礎分野、専門分野においては、医学系、自然科学系、人文・社会科学系、及び言語聴覚障害学各論等、広い範囲の科目がバランス良く履修できるように配慮する。 |
4. | 臨床実習の重要性に鑑み、一定時間の臨床実習を行う。 |
STの養成カリキュラムの概要(例)
○ | 専門基礎分野、専門分野医学系、自然科学系、人文・社会科学系、 及び言語聴覚障害学各論等の科目をバランスよく配置 | 2300時間程度 |
○ | 臨床実習 | 500時間程度 |
○ | 選択必修(自由裁量科目) | 200時間程度 |
合 計 | 3000時間程度 |
(◎印は座長)
氏 名 | 所 属 | ||
◎ | 井 形 昭 弘 | あいち健康の森健康科学総合センター長 (前 国立療養所中部病院長) |
|
岡 谷 恵 子 | 日本看護協会常任理事 | ||
香 西 義 昭 | 社団法人日本医師会常任理事 | ||
河 合 幹 | 愛知学院大学歯学部口腔外科学第二講座教授 | ||
行 天 良 雄 | 医事評論家 | ||
小 林 範 子 | 北里大学医療衛生学部教授 | ||
坂 本 龍 彦 | 環境衛生金融公庫理事長 | ||
津 山 直 一 | 国立身体障害者リハビリテ−ションセンタ− 名誉総長 |
||
西 村 誠 | 前 社団法人日本歯科医師会常務理事 | ||
野 村 恭 也 | 前 昭和大学医学部耳鼻咽喉科教授 | ||
橋 本 一 夫 | 全国失語症友の会連合会理事長 | ||
長谷川 恒 雄 | 伊豆韮山温泉病院長 | ||
森 隆 夫 | 前 お茶の水女子大学大学院教授 |
問い合わせ先 厚生省健康政策局医事課 担 当 佐藤(内2563)、赤熊(内2569) 電 話 (代)[現在ご利用いただけません] (直)03−3595−2196