平成9年3月17日
大規模食中毒等対策についての食品衛生調査会食中毒部会検討結果等について
1 | 本日、食品衛生調査会食中毒部会が開催され、大規模食中毒等対策としての大量調理施設の衛生管理マニュアル、食中毒処理要領の一部改正及食中毒調査マニュアル並びに食品由来のウイルスによる健康被害対策にいての検討結果がとりまとめられた。 |
2 | これらの検討結果については、明日(3月18日)の食品衛生調査会常任委員会に報告される予定である。食品衛生調査会常任委員会においては、この報告を踏まえ、厚生大臣に対する意見具申について検討することしている。 |
3 | また、食品衛生調査会食中毒部会において、平成8年における食中毒発生状況(速報)が報告された。 |
平成9年3月17日
食品衛生調査会食中毒部会
部会長 丸山 務
食品衛生調査会食中毒部会は、本部会のもとに設置した大規模食中毒等対策に関する分科会における検討結果を詳細に検討した結果、大量調理施設衛生管理マニュアル、食中毒処理要領の一部改正及び食中毒調査マニュアル並びに食品由来のウイルスによる健康被害対策について、別添のとおり検討結果をとりまとめた。
食品由来のウイルス性健康被害対策について
1 | 小型球形ウイルスについては、これまでの健康被害発生状況、検査方法についての知見、都道府県等における検査体制等を考慮すると、当該ウイルスによる健康被害発生防止対策を講じる必要がある。このため、次の措置を行うことが適当である。 | |
(1) | 当該ウイルスが原因と疑われる食品に由来する健康被害事例について、原 因究明のための調査を実施するとともに、食中毒事件票による報告の対象とすることにより、その発生状況を把握すること。 | |
(2) | 当該ウイルスの発生状況を踏まえ、今後、必要な対策を検討することが適当である。 | |
2 | 小型球形ウイルス以外であって、食品に由来する健康被 害を引き起こすおそ れのあるウイルスについても、今後、健康被害発生状況の把握、検査方法の開 発等に努めることが適当である。 |
I 趣 旨
本マニュアルは、集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づき、調理過程における重要管理事項として、
(1) | 原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること。 |
(2) | 加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌を死滅させること。 |
(3) | 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の2次汚染防止を徹底すること。 |
(4) | 食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。 |
II 重 要 管 理 事 項
1.原材料の受入れ・下処理段階における管理
(1) | 原材料について納入業者が定期的に実施する微生物及び理化学検査の結果を提出させること。その結果については、保健所に相談するなどして、原材料として不適と判断した場合には、納入業者の変更等適切な措置を講じること。検査結果については、1年間保管すること。 |
(2) | 原材料の納入に際しては調理従事者等が必ず立合い、検収場で品質、鮮度、品温(納入業者が運搬の際、別添1に従い、適切な温度管理を行っていたかどうかを含む。)、異物の混入等につき、点検を行うこと。 |
(3) | 原材料の納入に際しては、缶詰、乾物、調味料等常温保存可能なものを除き、食肉類、魚介類、野菜類等の生鮮食品については1回で使い切る量を調理当日に仕入れるようにすること。 |
(4) | 野菜及び果物を加熱せずに供する場合には、別添2に従い、流水(飲用適のもの。以下同じ。)で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム(生食用野菜にあっては、亜塩素酸ナトリウムも使用可)の200mg/lの溶液に5分間(100mg/lの溶液の場合は10分間)又はこれと同等の効果を有するもの(食品添加物として使用できる有機酸等)で殺菌を行った後、十分な流水ですすぎ洗いを行うこと。 |
2.加熱調理食品の加熱温度管理
加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと。
3.二次汚染の防止
(1) | 調理従事者は、次に定める場合には、別添2に従い、必ず手指の洗浄及び消毒を行うこと。なお、使い捨て手袋を使用する場合にも、原則として次に定める合に交換を行うこと。 | |
(1) | 作業開始前及び用便後 | |
(2) | 汚染作業区域から非汚染作業区域に移動する場合 | |
(3) | 食品に直接触れる作業にあたる直前 | |
(4) | 生の食肉類、魚介類、卵殻等微生物の汚染源となるおそれのある食品等に触れた後、他の食品や器具等に触れる場合 | |
(2) | 原材料は、隔壁等で他の場所から区分された専用の保管場に保管設備を設け、食肉類、魚介類、野菜類等、食材の分類ごとに区分して保管すること。この場合、専用の衛生的なふた付き容器に入れ替えるなどにより、原材料の包装の汚染を保管設備に持ち込まないようにするとともに、原材料の相互汚染を防ぐこと | |
(3) | 下処理は汚染作業区域で確実に行い、非汚染作業区域を汚染しないようにすること。 | |
(4) | 包丁、まな板などの器具、容器等は用途別及び食品別(下処理用にあっては、魚介類用、食肉類用、野菜類用の別、調理用にあっては、加熱調理済み食品用生食野菜用、生食魚介類用の別)にそれぞれ専用のものを用意し、混同しないうにして使用すること。 | |
(5) | 器具、容器等の使用後は、別添2に従い、全面を流水(飲用適のもの。以下同じ。)で洗浄し、さらに80℃、5分間以上又はこれと同等の効果を有する方で十分殺菌した後、乾燥させ、清潔な保管庫を用いるなどして衛生的に保管すこと。なお、調理場内における器具、容器等の使用後の洗浄・殺菌は、原則とて全ての食品が調理場内から搬出された後に行うこと。 また、器具、容器等の使用中も必要に応じ、同様の方法で熱湯殺菌を行うなど、衛生的に使用すること。この場合、洗浄水等が飛散しないように行うことなお、原材料用に使用した器具、容器等をそのまま調理後の食品用に使用するうなことは、けっして行わないこと。 |
|
(6) | まな板、ざる、木製の器具は汚染菌が残存する可能性が高いので、特に十分な殺菌に留意すること。なお、木製の器具は極力使用を控えることが望ましい。 | |
(7) | フードカッター、野菜切り機等の調理機械は、最低1日1回以上、分解して洗浄・殺菌した後、乾燥させること。 | |
(8) | シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。
特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。 |
|
(9) | 食品並びに移動性の器具及び容器の取り扱いは、床面からの跳ね水等による汚染を防止するため、床面から60cm以上の場所で行うこと。ただし、跳ね水からの直接汚染が防止できる食缶等で食品を取り扱う場合には、30cm以上台にのせて行うこと。 | |
(10) | 加熱調理後の食品の冷却、非加熱調理食品の下処理後における調理場等での一時保管等は、他からの二次汚染を防止するため、清潔な場所で行うこと。 | |
(11) | 調理終了後の食品は衛生的な容器にふたをして保存し、他からの2次汚染を防止すること。 | |
(12) | 使用水は飲用適の水を用いること。また、使用水は、色、濁り、におい、異物のほか、貯水槽を設置している場合や井戸水等を殺菌・ろ過して使用する場合は、遊離残留塩素が0.1mg/l以上であることを始業前及び調理作業終了に毎日検査し、記録すること。 |
4.原材料及び調理済み食品の温度管理
(1) | 原材料は、別添1に従い、戸棚、冷蔵・冷凍設備に適切な温度で保存すること。 また、原材料搬入時の時刻、室温及び冷凍又は冷蔵設備内温度を記録すること。 |
||
(2) | 冷凍庫又は冷蔵庫から出した原材料は、速やかに下処理、調理を行うこと。非加熱で供される食品については、下処理後速やかに調理に移行すること。 | ||
(3) | 調理後直ちに提供される食品以外の食品は病原菌の増殖を抑制するために、10℃以下又は65℃以上で管理することが必要である。 (別添3参照) |
||
(1) | 加熱調理後、食品を冷却する場合には、病原菌の発育至適温度帯(約20℃〜50℃)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的な容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以 内に中心温度を10℃付近)まで下げるよう工夫すること。 この場合、冷却開始時刻、冷却終了時刻を記録すること。 |
||
(2) | 調理が終了した食品は速やかに提供できるよう工夫すること。 調理終了後30分以内に提供できるものについては、調理終了時刻を記録すること。また、調理終了後提供まで30分以上を要する場合は次のア及びイによること。 |
||
ア | 温かい状態で提供される食品については、調理終了後速やかに保温食缶等に移し保存すること。この場合、食缶等へ移し替えた時刻を記録すること。 | ||
イ | その他の食品については、調理終了後提供まで10℃以下で保存すること。 この場合、保冷設備への搬入時刻、保冷設備内温度及び保冷設備からの搬出時刻を記録すること。 |
||
(3) | 配送過程においては保冷又は保温設備のある運搬車を用いるなど、10 ℃以下又は65℃以上の適切な温度管理を行い配送し、配送時刻の記録を行うこと。 また、65℃以上で提供される食品以外の食品については、保冷設備への搬入時刻及び保冷設備内温度の記録を行うこと。 |
||
(4) | 共同調理施設等で調理された食品を受け入れ、提供する施設においても、温かい状態で提供される食品以外の食品であって、提供まで30分以上を要する場合は提供まで10℃以下で保存すること。 この場合、保冷設備への搬入時刻、保冷設備内温度及び保冷設備からの搬出時刻を記録すること。 |
||
(4) | 調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい。 |
5.その他
(1)施設設備の構造
(1) | 隔壁等により、汚水溜、動物飼育場、廃棄物集積場等不潔な場所から完全に区別されていること。 | |
(2) | 施設の出入口及び窓は極力閉めておくとともに、外部に開放される部分には網戸、エアカーテン、自動ドア等を設置し、ねずみやこん虫の侵入を防止すること。 | |
(3) | 食品の各調理過程ごとに、汚染作業区域(検収場、原材料の保管場、下処理場)、非汚染作業区域(さらに準清潔作業区域(調理場)と清潔作業区域(放冷・調製場、製品の保管場)に区分される。)を明確に区別すること。なお、各区域を固定し、それぞれを壁で区画する、床面を色別する、境界にテープをはる等により明確に区画することが望ましい。 | |
(4) | 手洗い設備、履き物の消毒設備(履き物の交換が困難な場合に限る。)は、各作業区域の入り口手前に設置すること。 なお、手洗い設備は、ハンドルを直接手で操作しない構造のものが望ましい。 |
|
(5) | 器具、容器等は、作業動線を考慮し、予め適切な場所に適切な数を配置しておくこと。 | |
(6) | 床面に水を使用する部分にあっては、適当な勾配(100分の2程度)及び排水溝(100分の2から4程度の勾配を有するもの)を設けるなど排水が容易に行える構造であること。 | |
(7) | シンク等の排水口は排水が飛散しない構造であること。 | |
(8) | 全ての移動性の器具、容器等を衛生的に保管するため、外部から汚染されない構造の保管設備を設けること。 | |
(9) | 便所等 | |
ア | 便所、休憩室及び更衣室は、隔壁により食品を取り扱う場所と必ず区分されていること。 なお、調理場等から3m以上離れた場所に設けられていることが望ましい。 |
|
イ | 便所には、専用の手洗い設備、専用の履き物が備えられていること。 | |
(10) | その他施設は、ドライシステム化を積極的に図ることが望ましい。 |
(2)施設設備の管理
(1) | 施設・設備は必要に応じて補修を行い、施設の床面(排水溝を含む。)及び内壁のうち床面から1mまでの部分は1日に1回以上、施設の天井及び内壁のうち床面から1m以上の部分は1月に1回以上清掃し、必要に応じて、洗浄・消毒を行うこと。施設の清掃は全ての食品が調理場内から完全に搬出された後 に行うこと。 |
(2) | 施設におけるねずみ、こん虫等の発生状況を1月に1回以上巡回点検するとともに、ねずみ、こん虫の駆除を半年に1回以上(発生を確認した時にはその都度)実施し、その実施記録を1年間保管すること。 |
(3) | 施設は、衛生的な管理に努め、みだりに部外者を立ち入らせたり、調理作業に不必要な物品等を置いたりしないこと。 |
(4) | 原材料を配送用包装のまま非汚染作業区域に持ち込まないこと。 |
(5) | 施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること。調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい。 |
(6) | 手洗い設備には、手洗いに適当な石けん、爪ブラシ、ペーパータオル、殺菌液等を定期的に補充し、常に使用できる状態にしておくこと。 |
(7) | 水道事業により供給される水以外の井戸水等の水を使用する場合には、公的検査機関、厚生大臣の指定検査機関等に依頼して、年2回以上水質検査を行うこと。検査の結果、飲用不適とされた場合は、直ちに保健所長の指示を受け、適切な措置を講じること。なお、検査結果は1年間保管すること。 |
(8) | 貯水槽は清潔を保持するため、専門の業者に委託して、年1回以上清掃すること。なお、清掃した証明書は1年間保管すること。 |
(3)検食の保存
検食は、原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に入れ、密封し、−20℃以下で2週間以上保存すること。
なお、原材料は、特に、洗浄・殺菌等を行わず、購入した状態で保存すること。
(4)調理従事者等の衛生管理
(1) |
調理従事者は臨時職員も含め、定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けること。検便検査には、従来の検査に加え、腸管出血性大腸菌O157の検査を含めること。
|
(2) |
調理従事者は下痢、発熱などの症状があった時、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事しないこと。 |
(3) | 調理従事者が着用する帽子、外衣は毎日専用で清潔なものに交換すること。 |
(4) |
下処理場から調理場への移動の際には、外衣、履き物の交換等を行うこと。 (履き物の交換が困難な場合には履き物の消毒を必ず行うこと。) |
(5) | 便所には、調理作業時に着用する外衣、帽子、履き物のまま入らないこと。 |
(6) |
調理、点検に従事しない者が、やむを得ず、調理施設に立ち入る場合には、専用の清潔な帽子、外衣及び履き物を着用させること。 |
(7) |
食中毒が発生した時、原因究明を確実に行うため、原則として、調理従事者は当該施設で調理された食品を喫食しないこと。 ただし、原因究明に支障を来さないための措置が講じられている場合はこの限りでない。(毎日の健康調査及び月1回以上の検便検査等) |
(5)その他
(1) | 加熱調理食品にトッピングする非加熱調理食品は、直接喫食する非加熱調理食品と同様の衛生管理を行い、トッピングする時期は提供までの時間が極力短くなるようにすること。 | |
(2) | 廃棄物(調理施設内で生じた廃棄物及び返却された残渣をいう。)の管理は、次のように行うこと。 | |
ア | 廃棄物容器は、汚臭、汚液がもれないように管理すると | |
イ | 返却された残渣は非汚染作業区域に持ち込まないこと。 | |
ウ | 廃棄物は、適宜集積場に搬出し、作業場に放置しないこと。 | |
エ | 廃棄物集積場は、廃棄物の搬出後清掃するなど、周囲の環境に悪影響を及ぼさないよう管理すること。 |
III 衛 生 管 理 体 制
1.衛生管理体制の確立
(1) | 調理施設の経営者又は学校長等施設の運営管理責任者(以下「責任者」という。)は、施設の衛生管理に関する責任者(以下「衛生管理者」という。)を指名すること。 なお、共同調理施設等で調理された食品を受け入れ、提供する施設においても、衛生管理者を指名すること。 |
||||||
(2) | 責任者は、日頃から食材の納入業者についての情報の収集に努め、品質管理の確かな業者から食材を購入すること。また、継続的に購入する場合は、配送中の保存温度の徹底を指示するほか、納入業者が定期的に行う原材料の微生物検査結果の提示を求めること。 | ||||||
(3) | 責任者は、衛生管理者に別紙点検表に基づく点検作業を行わせるとともに、そのつど点検結果を報告させ、適切に点検が行われたことを確認すること。点検結果については、1年間保管すること。 | ||||||
(4) | 責任者は、点検の結果、衛生管理者から改善不能な異常の発生の報告を受けた場合、食材の返品、メニューの一部削除、調理済み食品の回収等必要な措置を講ずること。 | ||||||
(5) | 責任者は、点検の結果、改善に時間を要する事態が生じた場合、必要な応急処置を講じるとともに、計画的に改善を行うこと。 | ||||||
(6) | 責任者は、衛生管理者及び調理従事者に対して衛生管理及び食中毒防止に関する研修に参加させるなど必要な知識・技術の周知徹底を図ること。 | ||||||
(7) | 責任者は、調理従事者(臨時職員も含む。)に定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けさせること。検便検査には、従来の検査に加え、腸管出血性大腸菌O157の検査を含めること。 | ||||||
(8) | 責任者は、調理従事者が下痢、発熱などの症状があった時、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事させないこと。 | ||||||
(9) | 献立の作成に当たっては、施設の人員等の能力に余裕を持った献立作成を行うこと。 | ||||||
(10) | 献立ごとの調理工程表の作成に当たっては、次の事項に留意すること。 | ||||||
|
|||||||
(11) | 施設に所属する医師、薬剤師等専門的な知識を有する者の定期的な指導、助言を受けること。 |
食 品 名 | 保 存 温 度 |
穀類加工品(小麦粉、デンプン) 砂糖 |
室 温 室 温 |
食肉・鯨肉 細切した食肉・鯨肉を凍結したものを容器包装に入れたもの 食肉製品 鯨肉製品 冷凍食肉製品 冷凍鯨肉製品 |
10℃以下 −15℃以下 10℃以下 10℃以下 −15℃以下 −15℃以下 |
ゆでだこ 冷凍ゆでだこ 生食用かき 生食用冷凍かき 冷凍食品 |
10℃以下 −15℃以下 10℃以下 −15℃以下 −15℃以下 |
魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこ 冷凍魚肉ねり製品 |
10℃以下 −15℃以下 |
液状油脂 固形油脂 (ラード、マーガリン、ショートニング、カカオ脂) |
室 温 10℃以下 |
殻付卵 液卵 凍結卵 乾燥卵 |
10℃以下 8℃以下 −18℃以下 室 温 |
ナッツ類 チョコレート |
15℃以下 15℃以下 |
生鮮果実・野菜 生鮮魚介類 |
10℃前後 5℃以下 |
乳・濃縮乳 脱脂乳 クリーム バター チーズ 練乳 |
10℃以下 15℃以下 |
清涼飲料水 (食品衛生法の食品、添加物等の規格基準に規定のあるものにつ いては、当該保存基準に従うこと。) |
室 温 |
(手洗いマニュアル)
1. | 水で手をぬらし石けんをつける。 |
2. | 指、腕を洗う。特に、指の間、指先をよく洗う。(30秒程度) |
3. | 石けんをよく洗い流す。(20秒程度) |
4. | 0.2%逆性石けん液又はこれと同等の効果を有するものをつけ、手指をよくこする。 (又は1%逆性石けん液又はこれと同等の効果を有するものに手指を30秒程度つける。) |
5. | よく水洗いする。 |
6. | ペーパータオル等でふく。 |
(器具等の洗浄・殺菌マニュアル)
1.調理機械
(1) | 機械本体・部品を分解する。なお、分解した部品は床にじか置きしないようにする。 |
(2) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)で3回水洗いする。 |
(3) | スポンジタワシに中性洗剤又は弱アルカリ性洗剤をつけてよく洗浄する。 |
(4) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)でよく洗剤を洗い流す。 |
(5) | 部品は80℃で5分間以上又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌を行う。 |
(6) | よく乾燥させる。 |
(7) | 機械本体・部品を組み立てる。 |
(8) | 作業開始前に70%アルコール噴霧又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌を行う。 |
2.調理台
(1) | 調理台周辺の片づけを行う。 |
(2) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)で3回水洗いする。 |
(3) | スポンジタワシに中性洗剤又は弱アルカリ性洗剤をつけてよく洗浄する。 |
(4) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)でよく洗剤を洗い流す。 |
(5) | よく乾燥させる。 |
(6) | 70%アルコール噴霧又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌を行う。 |
(7) | 作業開始前に(6)と同様の方法で殺菌を行う。 |
3.まな板、包丁、へら等
(1) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)で3回水洗いする。 |
(2) | スポンジタワシに中性洗剤又は弱アルカリ性洗剤をつけてよく洗浄する。 |
(3) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)でよく洗剤を洗い流す。 |
(4) | 80℃で5分間以上又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌を行う。 |
(5) | よく乾燥させる。 |
(6) | 清潔な保管庫にて保管する。 |
(1) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)で3回水洗いする。 |
(2) | スポンジタワシに中性洗剤又は弱アルカリ性洗剤をつけてよく洗浄する。 |
(3) | 飲用適の水(40℃程度の微温水が望ましい。)でよく洗剤を洗い流す。 |
(4) | 100℃で5分間以上煮沸殺菌を行う。 |
(5) | 清潔な場所で乾燥、保管する。 |
(原材料等の保管管理マニュアル)
1.野菜・果物
(1) | 衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用禁止とする。 |
(2) | 各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ,−20℃以下で2週間以上保存する。(検食用) |
(3) | 専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10℃前後で保存する(冷凍野菜は−15℃以下) |
(4) | 流水で3回以上水洗いする。 |
(5) | 中性洗剤で洗う。 |
(6) | 流水で十分すすぎ洗い |
(7) | 必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いする。 |
(8) | 水切りする。 |
(9) | 専用のまな板、包丁でカットする。 |
(10) | 清潔な容器に入れる。 |
(11) | 清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)、調理まで30分以上を要する場合には、10℃以下で冷蔵保存する。 |
2.魚介類、食肉類
(1) | 衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用禁止とする。 |
(2) | 各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ,−20℃以下で2週間以上保存する。(検食用) |
(3) | 専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、食肉類については10℃以下、魚介類については5℃以下で保存する(冷凍で保存するものは−15℃以下)。 |
(4) | 専用のまな板、包丁でカットする。 |
(5) | 速やかに調理へ移行させる。 |
(加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル)
1.揚げ物
(1) | 油温が設定した温度以上になったことを確認する。 |
(2) | 調理を開始した時間を記録する。 |
(3) | 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける。 |
(4) | 最終的な加熱処理時間を記録する。 |
(5) | なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、油温が設定した温度以上であることを確認・記録し、(1)〜(4)で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。油温が設定した温度以上に達していない場合には、油温を上昇させるため必要な措置を講ずる。 |
2.焼き物及び蒸し物
(1) | 調理を開始した時間を記録する。 |
(2) | 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける。 |
(3) | 最終的な加熱処理時間を記録する。 |
(4) | なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、(1)〜(3)で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。この場合、中心温度の測定は、最も熱が通りにくいと考えられる場所の一点のみでもよい。 |
3.煮物及び炒め物
調理の順序は食肉類の加熱を優先すること。食肉類、魚介類、野菜類の冷凍品を使 用する場合には、十分解凍してから調理を行うこと。
(1) | 調理の途中で適当な時間を見はからって、最も熱が通りにくい具材を選び、食品の中心温度を3点以上(煮物の場合は1点以上)測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける。 なお、中心温度を測定できるような具材がない場合には、調理釜の中心付近の温度を3点以上(煮物の場合は1点以上)測定する。 |
(2) | 複数回同一の作業を繰り返す場合にも、同様に点検・記録を行う。 |
平成 年 月 日 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.毎日点検 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2.1か月ごとの点検
3.3か月ごとの点検
|
平成 年 月 日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
平成 年 月 日 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1) 原材料の取扱い (毎日点検)
(2) 原材料の取扱い(月1回点検)
(3) 検食の保存
|
平成 年 月 日 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
平成 年 月 日 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1) 調理器具、容器等の点検表
(2) 使用水の点検表
(3) 井戸水、貯水槽等の点検表(月1回点検)
|
平成 年 月 日 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1) 下処理・調理中の取扱い
(2) 調理後の取扱い
(3) 廃棄物の取扱い
|
平成 年 月 日 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1) 原材料保管時
(2) 調理終了後30分以内に提供される食品
(3) 調理終了後30分以上に提供される食品
|
平成 年 月 日 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
平成 年 月 日 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
I 目的
II 届出及び探知
III 体制の確立
IV 調査
VI 措置
VII 報告
VIII 事件の公表
IX 平常時の対応
I 目的
本マニュアルは、食中毒処理の一層の合理化、迅速化を図るため、食中毒処理 要領等で示された食中毒の発生から報告の作成までの具体的な手順について例を 示し、都道府県、政令市及び特別区における食中毒処理の検討の用に資するものである。
II 届出及び探知
保健所においては、食中毒若しくはその疑いのある患者の発生について、医師、患者、関係者等から電話、口頭等により届出若しくは連絡があった場合又は保健 所の職員が探知した場合は、次の点に留意し、その事件の内容を聴取するととも に、記録すること。
1医師からの届出
食品衛生法第27条第1項及び同法施行規則第26条に基づき医師から届出のあった場合は、臨床情報、流行の規模、流行の時期、原因と思われるもの等に関する情報が重要であり、具体的には次の点を確認すること。
(1) | 医師の氏名、住所及び連絡先 |
(2) | 患者若しくはその疑いのある者又は死者の住所、氏名及び年令 |
(3) | 食中毒の原因 |
(4) | 発病年月日及び時刻 |
(5) | 診断又は検案年月日及び時刻 |
(6) | 診断名 |
(7) | 患者若しくはその疑いのある者又は死者の勤務先又は学校名等 |
(8) | 患者又はその疑いのある者の容体、症状及び特異的症状の有無、今後の見通し |
(9) | 糞便、血液、吐物、汚物等の検査の状況 |
(10) | 治療方法 |
(11) | 単発又は集団発生の別 |
(12) | 類似の症状を有する者の受診状況 |
2 患者等からの連絡
患者及びその関係者等から届出があった場合は、次の点を確認すること。
(1) | 連絡者の氏名、住所及び連絡先 |
(2) | 患者の氏名及び住所 |
(3) | 患者の勤務先又は学校名等 |
(4) | 症状及び発症時期 |
(5) | 受診の有無 |
(6) | 発症前の行動並びに喫食した食品及び摂食場所 |
(7) | 吐物、排泄物、食品残品等の検体の有無 |
(8) | 患者の周囲の者の発症状況 |
3 その他学校、消防署等の関係機関、営業者等からの連絡
学校、消防署等の関係機関、営業者等から食中毒又はその疑いの事件発生の連絡があった場合は、次の点を確認すること。
(1) | 連絡者の氏名、住所及び連絡先 |
(2) | 患者発生の時期、施設等の名称及び住所 |
(3) | 患者数、受診者数、入院者数、死亡者数 |
(4) | 患者集団の性・年令分布 |
(5) | 患者が共通して摂食した食品等 |
(6) | 特に、学校等については、学年別、クラス別の発生状況、他の学校等の発生状況及び給食方式 |
4 保健所職員による探知及び情報収集
保健所の職員が食中毒またはその疑いに関する情報を入手した場合は、食品衛生監視員は食品衛生担当課長に報告するとともに、患者、医師等から聴き取りを行い、上記1から3に関する情報の事実確認を行うこと。
III 体制の確立
保健所は、医師からの届出がなされていない段階でも、食中毒若しくはその疑いがある患者を探知した場合には、直ちに原因究明のための調査方針を検討し、必要な初動調査を開始すること。
また、保健所は探知した事件内容を、直ちに本庁の食品衛生主管部局に連絡するとともに、保健所内の関係課と協議を行い、次の事項についての確認と調査方針を決定すること。
なお、大規模な集団発生が疑われる場合は、必要に応じて、保健所又は本庁に、現地対策本部又は本庁対策本部を設置し、効果的な調査体制を確立すること。
1 事件の把握(事件の規模等の判断) 調査対象者や食品の数が多く、また広範囲に及ぶおそれのある場合は、事件 の規模、拡大の見通しに関する状況判断を早急に行い、本庁の食品衛生主管部局 に連絡すること。
2 関係機関からの情報収集及び関係機関との連携
(1) | 保健所と次の他の行政機関、団体との連携(必要に応じて現地対策本部を設置)を図り、必要な情報の収集、提供を行うこと。 | ||
ア | 市町村(学校における発生の場合は教育委員会を含む。) | ||
イ | 地元医師会等関係団体 | ||
ウ | 集団発生が起こった施設 | ||
(2) | 本庁と次の他の部局等との連携(必要に応じて本庁対策本部を設置)を図り、発生パターンや症状、その他の状況を踏まえ、本庁における共同調査の必要性 について協議するとともに、必要な情報の収集、提供を行うこと。 | ||
ア | 衛生研究所 | ||
イ | 予防担当課(感染症や伝染病の疑いがある場合) | ||
ウ | 薬事担当課(薬物中毒及び家庭用品中毒の疑いがある場 合) |
||
エ | 経済担当部局 | ||
オ | 教育委員会(学校における発生の場合) | ||
カ | 都道府県医師会等関係団体 | ||
キ | 警察部局(特に犯罪に関係があると疑われる場合) |
3 調査方法
(1) | 調査体制の整備 調査に必要な人員を確保し、患者調査班、施設調査班等の役割分担を行い、調査体制の整備を行うこと。 |
(2) | 喫食状況の調査 症候学的調査、喫食状況調査等を共通食を喫食した者に対して行う場合には、受診者、入院者、菌検出者等、事件による症状を呈している可能性の高い集団から調査するとともに、無症状者に対しても有症者と同じ内容の調査を同じ方法で行うこと。 |
(3) | 検体採取の範囲及び検査内容の検討食品(食材を含む。)、糞便、血液、水、拭き取り等の検査の必要性や細菌学又は理化学検査等の必要性を検討すること。 |
(4) | 関係機関への調査依頼(他の都道府県、政令市、特別区等)調査対象者や調査対象食品の流通経路が他の都道府県等に及ぶ場合は、他の都道府県等の食品衛生担当部局に調査状況を説明するとともに、必要な調査を依頼すること。 |
IV 調 査
食中毒調査においては、調査時期を逸した場合には、必要な情報が収集困難と なる場合が多いことから、初動調査が最も重要であり、探知後直ちに必要な情報 をもれなく収集する必要がある。
調査に際しては、別添のチェックリストにより、必要な調査が全て実施されて いるかどうかを確認すること。
1 調査担当者の心得
調査に当っては、前項IIIで決定された事項を遵守し、いたずらに先入観を持ち、これに左右されて判断を誤ったり、不確実な情報や資料に惑わされないように努めること。
また、食中毒調査の実施に当たっては、専ら、食品衛生の確保の観点から、科学的見地に立って粛々と調査を行うこと。
2 患者、喫食者及び関係者の調査
患者や関係者から調査対象者名簿等を入手し、又はその作成を行うとともに、原則として患者、喫食者等に直接面会のうえ聴き取り調査を行うこと。
(1)症候学的調査 |
(1) |
調査対象者の発症の有無、症状の内容、発症年月日、医療機関への受診の有無、受診年月日、治療の内容、入院・外来の別等を具体的に調査すること。 発症者の既往歴、現病歴等の健康状態を把握すること。 患者等の家族構成、家族の発症状況を確認すること。 学校、事業所等にあっては、平常時の有病率及び欠席率又は欠勤率を確認するとともに、患者発生時期前後の欠席・欠勤状況を確認すること。 発症者の海外渡航歴の有無を確認すること。 発症以前に外国に滞在していた者については、旅行期間中の行動、食事内容及び宿泊場所等を聴取すること。 |
(2) | 発症者の既往歴、現病歴等の健康状態を把握すること。 |
(3) | 患者等の家族構成、家族の発症状況を確認すること。 |
(4) |
学校、事業所等にあっては、平常時の有病率及び欠席率又は欠勤率を確認するとともに、患者発生時期前後の欠席・欠勤状況を確認すること。 発症者の海外渡航歴の有無を確認すること。 発症以前に外国に滞在していた者については、旅行期間中の行動、食事内容及び宿泊場所等を聴取すること。 |
(5) | 発症者の海外渡航歴の有無を確認すること。 |
(6) | 発症以前に外国に滞在していた者については、旅行期間中の行動、食事内容及び宿泊場所等を聴取すること。 |
(1) | 患者グループの共通性(学校給食、会食、旅行及び催し等における共通 の飲食物を喫食した機会の有無等)を確認し、共通食の献立表(メニュ ー)の入手に努めること。 |
(2) | 患者の共通食が特定される場合を除き、原則として発症時点から遡って 72時間以上、必要に応じて2週間程度まで喫食した食事内容について 調査を行い、間食や飲料についても調査を行うこと。 |
(3) | 喫食した食品の特徴(フグ、生カキ、生肉、血液、内臓、キノコ類、山 菜、海藻、貝類、山野草等)の発見に努めること。 |
(4) | 症状等から原因と推測される食品の喫食状況については特に詳細に調査 すること。 |
(5) | 水道事業以外で供給される水の飲用について確認すること。 |
(1) | 原因であることが疑われる食品又は食材を食べずに発症した者又は特異 な症状を示している者については、詳細に調査を行なうこと。 |
(2) | 学童の調査を学校等に依頼する場合には、学童に暗示を与えないよう調 査方針、調査方法等について十分説明を行うこと。乳幼児については保 護者から事情を聴取すること。 |
(3) | 実際に症状を有しない者が、周囲の状況等からの影響を受け、症状を訴 える場合があることに注意すること。 |
(4) | 旅行者の集団が旅行後又は旅行中に発症している場合については、旅行 日程、行動計画表、行動の記録等(宿泊場所、休憩所等が記載されてい るもの)を入手すること。 |
(1) | 食材の仕入れ先の住所、電話番号等を記載した名簿やリスト、仕入れ年 月日 |
(2) | 献立別(給食、弁当、会食料理等のメニュー)の提供、調理、加工及び 製造の数量 |
(3) | 施設の利用者又は弁当の購入者 |
(4) | 購入者、販売・提供先、喫食者の住所、電話番号等記載した名簿やリスト |
(5) | 原則として発症時点から遡って72時間以上、必要に応じて2週間程度 までの間に調査対象者が喫食した食事の献立(メニュー) |
(1) | 時系列でみた食品の製造・加工・調理過程における食品及び食材の取扱い手順及び内容 |
(2) | 時系列でみた食品の製造・加工・調理過程における従事者の作業動線 |
(3) | 調理済み食品の保管方法及び時間、販売又は提供方法等 |
(1) | 食品衛生法第19条の18(管理運営の基準)及び第20条(営業施設の基準)に基づく基準、並びに衛生管理に関する指導事項の遵守状況に 係る調査を行うこと。 | |
ア | 営業施設の構造・設備(区画、面積、換気、防そ・防虫、冷蔵設備、洗浄設備、給湯設備、器具等の整備・配置、保管設備、運搬具、計器類、温度管理等) | |
イ | 施設及び周辺の清掃状況、並びに作業場内の環境保守の状況 | |
ウ | 機械器具類の維持管理状況 | |
エ | 室内の温度及び湿度管理 | |
オ | 廃棄物等の処理状況 | |
カ | 食材等の仕入れ及び製品の保管状況 | |
キ | 添加物、殺虫剤及び殺菌剤等の使用状況ならびに管理状況 | |
ク | 自主検査の実施の有無及び成績書 | |
ケ | その他衛生管理に係る自主点検記録等 給水設備及び使用水の衛生状況の点検 | |
(2) | 給水設備及び使用水の衛生状況の点検 | |
ア | 残留塩素の測定(簡易測定キット等を使用) | |
イ | 使用水が水道水以外の場合については、水源の確認と水源を汚染する要因(井戸の構造、深さ等を含む)の有無について | |
ウ | 受水槽及び高置水槽の点検、汚染要因(亀裂、漏水箇所の有無、 マンホールの状態等)の把握 | |
(3) | 排水処理方法と維持管理状況の確認 | |
(4) | そ族、昆虫等の駆除記録、生息状況の点検・調査 | |
(5) | 異物混入の可能性の調査 | |
(6) | 調理場内に出入りする者の確認等 |
(5)調理従事者についての調査
(1) | 調理従事者の健康状態 |
(2) | 検便の実施状況の確認 |
(3) | 流行性疾患の有無 |
(4) | 海外渡航歴の有無 |
(5) | ニキビ、手荒れ、キズ、化膿性疾患等の有無 |
(6) | 衛生上好ましくない習慣の有無 |
(1) | 他の販売先に苦情や事故が発生していないかを確認し、その際、患者 が確認された場合は発症状況等を調査すること。 |
(2) | 仕入れ元、製造・加工施設、生産地等の流通過程全般(運送過程を含む。)の遡り調査を行うこと。 |
(3) | 流通過程全般における、保存基準及び製造過程における殺菌基準の遵守状況等取扱い状況を確認すること。 |
(4) | 流通過程全般において、同一ロット品(同一ロット品がない場合は、別ロットの同一品目)及び施設・器具等のふき取り検体(排水溝や冷 庫の排水等を 含む。)を収去又は採取し検査を実施すること。 |
(5) | 流通過程において疑わしい食品が発見された場合には、当該品の末端の全販売先を調査すること。 |
(1) | 発症から死亡するまでの時間経過とその状況 |
(2) | 通院中及び入院中の治療内容、検査内容等 |
(3) | 関係者(家族、親族等)からの聴取(共通食を摂食した者の有無、患者の喫 食状況及び症状等) |
(4) | その他、調査が必要と思われる事項を本庁の食品衛生主管部局と協議すること。 |
(1) | 糞便 |
(2) | 吐物 |
(3) | 汚物 |
(4) | 家庭に残っている食品残品、食材を含む参考食品等 |
(5) | 必要に応じて、患者の血液 |
(6) | 解剖の際に採取できる検体 |
(1) | 検食、残品及び食材を含む参考食品 |
(2) | 調理器具、容器、包装材、冷蔵庫(冷蔵庫の排水を含む。)及びその他 機器等のふきとり |
(3) | 調理場のふきとり |
(4) | 調理従事者の手指、鼻前庭及び化膿疾患部のふきとり |
(5) | 使用水(井戸水、受水槽の水等) |
(6) | 調理従事者の糞便 |
(7) | 混入したおそれのある添加物、洗剤、消毒薬、殺菌剤等 |
(8) | その他(ネズミの糞、ペット類の糞、土壌及び排水溝の汚泥等) |
1 調査結果の検討
2 医師からの届出と診断の補正等
3 食中毒の判断
4 病因物質、原因施設、原因食品、原因食材、汚染源及び汚染経路の推定及び決 定
(1) | 病因物質の推定 潜伏時間及び症状等から病因物質を推定すること。 |
|
(2) | 病因物質の決定に際しては、次の事項を確認すること。 | |
ア | 糞便、吐物、飲食物、拭き取り検体等から、食中毒の原因と思われる 病因物質が一致して検出され、かつ病因物質として特定できるか。 検出された病因物質が、原因施設(推定を含む。)又は製造過程にお いて食品を汚染する機会又は増殖の機会があったか。 |
|
イ | 検出された病因物質が、原因施設(推定を含む。)又は製造過程にお いて食品を汚染する機会又は増殖の機会があったか。 |
(2)原因施設又は発生場所の決定に際しては、次の事項を確認すること。
(1) | 共通食の製造、加工、調理又は運搬を行なった施設(場所)を特定でき るか。 |
(2) | 原因施設又は場所に発生要因が存在するか。 |
(3) | 原因食品及び食材(疑いを含む。)から原因施設又は場所を特定できる か。 |
(4) | 統計学的な曝露時点の推定等も含め、食中毒の発生にかかわる因果関係 を疫学的に証明できるか。 |
(3)原因食品及び食材の推定及び決定
(1) | 原因食品及び食材の推定 | |
ア | 患者及び喫食者調査から発症者の共通食を推定すること。 | |
イ | 喫食状況調査結果から食品別の発症率を算出すること。 | |
ウ | 患者の日時別発生状況から曝露時点を推定すること。 | |
エ | 発症状況から原因食品と食材との関連性を探求すること。 | |
オ | 患者集団(受診者、入院者、菌検出者、特定の症状を有する者、特 定期間の発症者等)とコントロール集団(給食、宴会食、仕出し等 の共通食を喫食した健康者、同一社会集団の健康者、同一時期に異 なる原因で食中毒症状を示した者等)の喫食状況を調査すること。 (カイ2乗検定などを利用して、原因食品を推定すること。) |
|
カ | 調理・加工方法と患者症状との関連性について確認すること。 | |
キ | 推定原因食品及び食材と病因物質の関連性を確認すること。 | |
(2) | 原因食品及び食材の決定に際しては、次の事項を確認すること。 | |
ア | 発症状況から、原因を飲食物(使用水、添加物、器具、容器包装及 び玩具なども含む)に限定することができるか。 |
|
イ | 食品及び食材の残品から、食中毒の原因として特定できる病因物質 が検出されているか。 |
(4)汚染源及び汚染経路の推定又は決定
ア | 販売系統調査により、原因食品又は食材の他の販売先における患者の 有無を確認すること。 |
イ | 販売系統調査により、原因食品又は食材の製造・加工・調理、流通過 程における食品又は食材の関係施設等からの病因物質の検出の有無を 確認すること。 |
ウ | 原因食品又は食材に係る製造・加工・調理、流通過程の調査で確認さ れた汚染源及び汚染経路における病因物質の性状(血清型、DNAパ ターン、ファージ型等)が患者及び原因食品又は原因食材から分離さ れた病因物質の性状と一致するかどうかを確認すること。 |
VI 措 置
保健所は、食中毒事故の拡大防止及び再発防止のために必要な措置を速やかに行なわなければならないこと。
食中毒の原因が推定・決定された場合には、その状況に応じて、食品衛生法に基づく必要な処分又は指導を行なうこと。
なお、食中毒の因果関係が明確になっていなくても、疑いの濃い食品がある場合、関係施設に対して、速やかに必要な措置を講じなければならないので、本庁衛生主管部局と協議を行うこと。
1 被害拡大防止対策
食品衛生上の危害を除去するために、必要に応じ、次に掲げる措置をとることを令又は指導すること。
(1) | 営業自粛又は停止 |
(2) | 原因食品と同一の健康被害を引き起こすおそれのある食品の販売、使用等の禁止
|
(3) | 原因が判明するまでの間、推定原因食品(同一ロット、類似食品)の販売、使用、移動等の禁止
|
(4) | 使用水(井戸水、沢水、河川水、高架水槽水等)が原因と推定される場合は、使用の禁止
|
(5) | 調理従事者が保菌者である場合又は下痢等の健康被害を起こしている場合については、原因が判明するまで又は食中毒原因菌が除去されるまで、食品に直接触れる作業への従事の禁止
|
(6) | 地域住民への必要な情報提供 |
(1)食中毒の原因施設及び関係者への対策
(1) | 食品衛生法第20条に係る施設基準に適合しないものについては、その 補修改善を命令すること。 |
(2) | 食品衛生法第19条の18に係る管理運営基準に基づく、施設、設備、 調理器具等の洗浄、殺菌、管理の不備については基準遵守の徹底を指導 するこ と。 |
(3) | その他衛生管理に関する指導事項の遵守の徹底を指導すること。 |
(4) | 食品衛生監視員は、保健所長の指示に基づき、事故を発生させた施設の 営業者、食品衛生責任者、調理従事者及び関係者に対して、食中毒の再 発防止のため、食中毒事故の発生要因、今後の予防対策等について衛生 教育を行なうこと。 |
営業者、消費者等への事故の再発防止対策等について、各種の機会をとらえて情報の提供を行なうこと。
(3)行政機関における対策
(1) | 事故処理完結後、処理方法、原因食品、病因物質、発生要因等について 検討し、食中毒防止対策について今後の食品衛生行政及び関連する行政 に反映できるようにすること。 |
(2) | 公衆衛生上必要と認められる事例については、その結果を各衛生主管部 に報告するとともに、研究発表会などの機会をとらえて情報の提供を行 なうこと。 |
VII 報 告
食中毒事件の処理が完結した場合は、次に示す報告書により速やかに報告すること。
1 知事への報告
(1) | 食品衛生法施行規則第26条の2に基づく報告 |
(2) | 行政処分実施結果の確認報告書など、各都道府県において定めるもの |
(1) | 食品衛生法施行規則第26条の3に基づく厚生大臣への報告 | |
(2) | 食中毒処理要領に基づく厚生省への報告
次の場合については、直ちに食中毒処理要領の別記様式1に定める項目に従って、厚生省生活衛生局食品保健課に報告するとともに、事件が一段落した後、別記様式2によりすみやかに詳細な報告書(詳報)を提出すること。 |
|
(1) | 1事件当りの患者数が50人を超える集団発生例 | |
(2) | 死者が発生した事例 | |
(3) | 輸入食品に起因する事例 | |
(4) | 発生規模が2都道府県以上にわたり、食中毒の原因が同一又はその疑いがある事例 | |
(5) | 発生状況が特異で、原因究明、措置等が複雑な場合 | |
(6) | 別表に定める病因物質の場合 |
VIII 事件の公表
IX 平常時の対応
1 食中毒発生時の対策要綱の策定
(1) | 対策の基本方針 | |
(2) | 集団発生時の対策本部の設置要項 | |
(3) | 業務内容、業務分担及び業務の流れ | |
ア | 調査体制 | |
イ | 検査体制 | |
ウ | 評価体制(原因究明専門家会議の設置等) | |
エ | 内部関係者間の連絡体制 | |
オ | 外部関係者(国及び他の自治体)への連絡体制及び応援要請 | |
カ | 広報体制 | |
(4) | 平常時における準備等 |
2 緊急連絡網の整備
(1) | 夜間、休日、祭日及び勤務時間外に発生した食中毒(疑い)の届出体制を整 備しておくこと。 初動調査が円滑に行えるように、緊急連絡網を整備しておくこと。 |
(2) | 初動調査が円滑に行えるように、緊急連絡網を整備しておくこと。 |
3 器材の整備
問い合わせ先 厚生省生活衛生局食品保健課 担 当 南(内2445)、中山(内2450) 電 話 (代)[現在ご利用いただけません] (直)03−3595−2326