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厚生省発児第12号
平成9年2月21日

中央児童福祉審議会
委員長 江 草 安 彦 殿

厚生大臣 小泉 純一郎

諮 問 書

 児童福祉法(昭和22年法律第164号)等の一部を改正することについて、貴会の意見を求めます。


児童福祉法等の一部を改正する法律案要綱

第1 改正の趣旨
 少子化、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下等、 児童及び家庭を取り巻く環境の変化を踏まえ、制定以来五十年を迎える児 童福祉法を中心とする児童家庭福祉制度を改革し、将来の我が国を担う子 供たちが健やかに育成されるよう、児童保育施策の見直し、児童の自立支 援施策及び母子家庭施策の充実を行い、新しい時代にふさわしい質の高い 子育て支援の制度として再構築を図る。


第2 児童福祉法の改正の要点

1 保育所に関する事項
(1) 保育所への入所の仕組みに関する事項
 現行の措置(行政処分)による保育所入所の仕組みを改め、保育 に欠ける乳幼児の保護者が、市町村及び保育所が提供する保育に関 する情報に基づき、希望する保育所を市町村に申し込み、これに応 じて、市町村は保育を行わなければならないものとすること。この 場合、保育所による申込みの代行も可能とすること。
 市町村は、申込児童の数が受け入れ能力を上回る保育所について は、入所する児童を公正な方法で選考するものとすること。
 市町村は、保護者に対し、保育所の保育内容等の情報提供を行う こと。
(2) 保育所による情報提供及び保育相談機能に関する事項
 保育所は、地域の住民に対し、保育内容等に関する情報提供を行う とともに、乳幼児等の保育に関する相談に応じ、助言を行うよう努め なければならないものとすること。
(3) 保育料に関する事項
 応能負担の保育料負担方式を改め、保育料は、保育費用を基礎とし て保育費用を徴収した場合の家計に与える影響を考慮して児童の年齢 等に応じて定める額とすること。ただし、市町村は、負担能力に照ら し納付が困難である者等については、その額を減額することができる こと。

2 放課後児童健全育成事業に関する事項
(1) 放課後児童健全育成事業の位置付けの明確化
 放課後児童健全育成事業」は、市町村、社会福祉法人その他の者 が、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校低学年児童に対し、 授業終了後、児童厚生施設等を利用して適切な遊び及び生活の場を与 えて、その健全な育成を図る事業をいうこと。
(2) 市町村による利用促進
 市町村は、放課後児童健全育成事業の利用に関する相談、助言及び 地域の実情に応じた同事業の実施、同事業を行う者との連携等により 、対象となる児童の同事業の利用の促進に努めるものとすること。

3 児童福祉施設の名称及び機能に関する事項
(1)  教護院を「児童自立支援施設」に改称し、非行・虞犯児童だけで なく、生活指導及び学習指導又は職業指導を一体的に行う必要のあ る児童に対し、幅広く児童の態様に応じた指導を行い、その自立を 支援する施設に改めること。
(2)  養護施設を「児童養護施設」に改称し、その機能を活かして児童 の自立を支援することを明確化すること。
(3)  情緒障害児短期治療施設の対象児童の年齢要件を緩和し、児童が 二十歳になるまでの在所延長ができるものとすること。
(4)  虚弱児施設について、現在ある施設を児童養護施設に移行させること。
(5)  乳児院に、乳児のほか、保健上など特に必要のある場合には、おおむね二歳未満の幼児を入院させることができるものとすること。
(6)  母子寮を「母子生活支援施設」に改称し、自立の促進のための生活を支援する施設に改めるとともに、児童が二十歳になるまで在所 できるものとすること。

4 地域の相談支援体制の強化に関する事項
(1) 児童家庭支援センターの設置
 地域の相談支援体制を強化するため、新たな児童福祉施設として 「児童家庭支援センター」を創設し、児童、母子家庭、地域住民な どに対する相談援助サービスの提供、要保護児童に対する指導及び 児童相談所等の関係機関との連絡調整等を一体的に行うものとする こと。
 児童家庭支援センターは、児童養護施設等に附置するものとすること。
 児童家庭支援センターは、児童相談所の指導措置の委託等により 、児童又はその保護者を指導することができることとすること。
(2) 児童自立生活援助事業
都道府県は、義務教育を修了した児童自立支援施設を退所した児童 等に対し、共同生活を営みながら相談等の日常生活上の援助や生活指 導を行う措置を採ることができるものとし、当該事業を児童自立生活 援助事業とすること。

5 児童相談所に関する事項
(1)  都道府県知事は、施設入所等の措置に関し、都道府県児童福祉審 議会の意見を聴かなければならないものとすること。
(2)  児童相談所長の都道府県知事への報告書の記載事項に児童の家庭 環境及び措置についての児童及び保護者の意向を追加すること。

6 保育所の広域利用など関係地方公共団体等の連携に関する事項
地方公共団体相互の連絡調整に関する責務を、保育その他に関しても適用する旨規定を整備し、保育所の広域利用の円滑化を促すとともに、事業実施者及び施設設置者が相互に連携し、地域の実情に応じた児童及 び家庭への積極的な援助に努めなければならないものとすること。

7 その他所要の規定の整備を行うこと。

第3 社会福祉事業法の一部改正の要点

新たに児童福祉法にいう児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事 業及び児童家庭支援センターを経営する事業を第二種社会福祉事業とする ことその他所要の規定の整備を行うこと。

第4 母子及び寡婦福祉法の改正の要点

母子家庭の就労支援のため、公的機関及び公共職業安定所のほか、児童家庭支援センター、母子生活支援施設及び母子福祉団体は、相互に協力し なければならないこととすること。

第5 施行期日等

施行期日は平成10年4月1日から施行することその他所要の規定を整備すること。

  問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
     担 当 福田(内3113)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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