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予防接種後副反応報告書集計報告について






予防接種後副反応報告制度の概要
 本報告制度は、平成6年の予防接種法改正に伴い厚生省保健医療局長通知(平成6年8月25日健医発第962号)に基づいて実施されているものであり、予防接種後の被接種者の健康状況の変化についての情報を、医療機関並びに被接種者及びその保護者から市町村、都道府県を通じ厚生省に報告するものである。
予防接種後副反応報告の目的
 予防接種後の副反応発生状況については、これまで全国的な調査が実施されていないことから、十分な副反応情報の把握がなされていない現状にある。
 これにかんがみ、予防接種後の被接種者の健康状況の変化についての情報を収集し広く国民に提供することを目的としている。
予防接種後副反応報告の報告基準及び集計
 予防接種後副反応報告の報告基準は、予防接種後に一定の症状が現れた者について報告されるものであり、予防接種との因果関係及び予防接種健康被害救済と必ずしも結びつくものではない。また、集計は、予防接種と因果関係がないと思われるもの及び報告基準の範囲外の報告についても集計から除かないで単純集計したものである。
予防接種後副反応報告書集計報告(No.2)の概要
(1)データ収集期間:平成7年10月〜平成8年3月
(2)集計について
   集計・評価機関
 厚生省において単純集計した結果をもとに、予防接種副反応モニタリング検討会において情報解析を行った。
   集計基準
 ・接種後の発症までの日数別 ・年 齢 別(男女別) ・予 後 別
   集計対象について
 対象とされたワクチンは、定期接種として実施された、DPT、DT、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオ、BCGである。
 報告は、予防接種後に健康状況の変化を来たし、接種医、診察医、本人、保護者またはその他の者が報告基準を参考に報告すべき異常副反応と判断した症例である。
 報告書の集計は、第1報が提出された日時で行い、第2報以降で症例の転帰が明確にされたものなど変化があったものについては追記した。また、既に前回集計報告(平成8年3月29日)にて集計され、今回次報として報告されたものについては集計していない。
 報告するかどうか報告者の判断のため、副反応の発生率などについてはこのデータからは分析不可能であるため、ワクチン別の副反応発生頻度については本報告ではなく、平成8年度より本格的実施にはいっている予防接種副反応モニタリング事業によって明らかになる。
 まとめに使用した分類については、今回は報告基準を基本とした。しかしながら、通常の副反応と思われるもの及び予防接種との関連性が明らかに考えられないものは基準外報告とした。
 なお、この区分については、より明確になるよう検討を要するが、今回集計、解説において、即時型全身反応を呼吸器・循環器障害を伴うアナフィラキシーと全身蕁麻疹に分け、その他異常反応と基準外報告についてもその内容が明確になるようにした。
(3)報告内容(症例数は報告人数であり、件数は副反応発生数(重複あり)である。)
   総 数:303件(247例)、DPT:60件(57例)、DT:20件(20例)、
 麻しん:144件(99例)、風しん44件(41例)、日本脳炎:14件(12例)、
 ポリオ:3件(3例)、BCG:18件(15例)となっている。
情報提供先
 都道府県を通じ、保健所、市町村及び医療機関等関係機関に情報を還元することにより、広く国民に情報提供する。

報 告 書NO.2
平成8年12月13日

予防接種後副反応報告書

集計報告書

(平成7年10月1日〜平成8年3月31日)

予防接種副反応モニタリング検討会
厚生省保健医療局エイズ結核感染症課

集計報告書について

1.

予防接種後副反応報告について

 医師が予防接種後の健康被害を診断した場合、及び市町村長が予防接種を受けた者又はその保護者等から健康被害の報告を受けた場合に、「予防接種実施要領」(平成6年8月25日健医発第962号厚生省保健医療局長通知)に基づき厚生省へ報告するものである。

2.

報告の基準について

 上記通知の「予防接種御副反応報告書報告基準」によるものであるが、本基準は予防接種後に一定の症状が現れた者の報告基準であり、予防接種との因果関係や予防接種健康被害救済と直接結びつくものではない。

3.

集計について

 したがって、予防接種との因果関係がないと思われるもの、若しくは、報告基準の範囲外の報告等についても、集計から排除せずに単純集計してまとめたものである。

4.

計数データについて

 ワクチン別に各症例別に集計し、日数別、年齢別、予後別に分析したデータについては、平成8年12月13日に都道府県へ送付し、各市町村への情報提供を依頼しているので、厚生省、都道府県及び市町村の予防接種担当係へ問い合わせていただきたい。

予防接種後副反応報告書集計報告

一 総 論

 本報告書は平成6年の予防接種法の改正に伴い実施されることになった「予防接種後副反応報告書」をまとめたもので、報告の書式並びに報告基準は別紙のとおりである。
 今回は、平成7年10月1日から平成8年3月31日までの間に厚生省に報告されたものにつき単純集計し、まとめたものである。

 対象とされたワクチンは、定期接種として実施されたDPT、DT、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオ、BCGである。
 報告は予防接種後に健康状況の変化をきたし、接種者、主治医、本人または保護者、その他の方が報告基準を参考に報告すべき異常副反応と判断した症例である。
 報告書の集計は、第1報が提出された日時で行い、第2報以降で症例の転帰が明確にされたものなど変更があったものについては追記した。また、既に前回集計報告(平成8年3月29日)にて集計され、今回次報として報告されているものについては集計しない。
 期間中の都道府県別、ワクチン別の報告数を第1表(8頁参照)にまとめた。
 報告された症例数(副反応件数)はDPT(DTを含む)77例(80件)、麻しん99例(144件)、風しん41例(44件)、日本脳炎12例(14件)、ポリオ3例(3件)、BCG15例(18件)で報告された総数は、247例(303件)であった。(次頁表1参照)
 副反応が重複しているものがあるので、解析については件数で示した。
 (なお、DPT(DT)ワクチンは1期4回、2期1回の計5回、日本脳炎ワクチンは1期3回、2期1回、3期1回の計5回、ポリオワクチン(経口)2回の各々の総計である。)
 報告するかどうかは報告者の判断のため、各都道府県の接種対象者人口などを考慮しても報告数にばらつきが大きく、副反応数の発生率などについてはこのデータからは分析不可能である。
 ワクチン別の副反応発生頻度については本報告ではなく、平成8年度より本格的実施にはいっている予防接種副反応モニタリング事業によって明らかになる。
 まとめに使用した分類については、今回は報告基準を基本とした。報告の中で通常の副反応と思われるもの、あるいは予防接種との関連性が明らかに考えられないものは基準外報告とした。この区分についてはより明確になるようさらに検討を要するが、とりあえず集計、解説において即時型全身反応を呼吸器・循環器障害を伴うアナフィラキシーと全身蕁麻疹に分けた。また、その他異常反応と基準外報告についてもその内容が明確となるように努力した。
表1 ワクチン別副反応報告数 (参考)ワクチン別接種件数
ワクチン 症 例 数 副反応件数
D P T
D T
麻しん
風しん
日本脳炎
ポリオ
BCG
57例
20例
99例
41例
12例
 3例
15例
60件
20件
144件
44件
14件
3件
18件
247例 303件
ワクチン 接種者数
D P T
D T
麻しん
風しん
日本脳炎
ポリオ
BCG
4,793,117
1,159,899
1,096,008
1,947,395
3,422,232
2,326,415
2,611,656
17,356,722
(平成7年10月〜平成8年3月) (平成7年1月〜12月)

* 症例数は副反応が起こった人の報告人数であり、副反応件数は
その人数に対する副反応の発生数(重複あり)である。

二 各 論

 DPT・DTワクチン(第2−1〜3表参照)
 報告されたDPT・DTワクチン接種後の副反応件数は80件で、このうち20件(25%)はDTワクチンによるものである。80件のうち基準外報告は18件(23%)であった。
 日数別にみると、80件中79件(99%)が接種後3日以内に副反応有りと報告された。
 年齢別にみると、1歳の14件(18%)、2歳の24件(30%)、10〜15歳の21件(26%)が特に多くなっていた。
 報告された副反応で最も多かったのは接種局所の異常で35件(44%)であった。
 接種後の副反応で入院を必要としたのは4件(5%)であったが、これらを含めて副反応の回復率は69%であるが、これは回復したという報告による単純計算で報告時に不明と記載された追加報告の無い例が、発熱、局所反応など13件(16%)あった。
 報告時に未回復と回答されたのは局所反応の8件と脳症の1件であった。
 アナフィラキシーと報告された2件は、DT2期接種の12歳児であった。
 けいれんの3件の内2件は、39℃以上の発熱を伴っており、残る1件は37.8℃の発熱を伴っていた。
 脳症と報告された1件は、DPTワクチン接種後24時間以内に発熱を伴うけいれんを起こし、その後けいれんの重積が起こり、腎機能の低下、血小板機能の低下が見られた例である。
 麻しんワクチン(第3−1〜3表参照)
 麻しん副反応報告総症例数は99症例(男47、女52)であった。報告件数は144件となった。84件(58%)が24時間以内の副反応であり、1〜3日35件(24%)、4〜7日5件(3.5%)、8〜14日18件(13%)であった。
 11ヶ月の症例と5歳の症例がそれぞれ1件、4歳の症例が2件あった以外はすべて1〜3歳で、1歳台が118件(82%)であった。
 神経系合併症では、けいれんの報告が4件あったが全て発熱を伴っていた。
 1件は接種後24時間以内に発生し、3件は8〜14日後に発生したものである。
 アナフィラキシーが8件(入院3件)、1件を除きいずれも回復している。
 じんましん(眼瞼浮腫を伴った発疹で即時型アレルギー反応とみなされたものを含む)が29件(入院3件)あった。
 発熱が18件あり、24時間以内が9件、1〜3日が7件あった。麻しんワクチンウイルスによる可能性の高い8〜14日の発熱は2件のみであった。
 全身あるいは、躯幹、四肢の発疹は55件あった。24時間以内に発現したのが30件と最も多かった。1〜3日が19件、4〜7日が2件、麻しんワクチンウイルスによる可能性の高い8〜14日に発現したのは4例のみであった。
 局所副反応の報告は27件あったが、局所反応だけで報告されたのは4件であった。残りの23件のうち6件はじんましんに伴って報告され、17件は全身の発疹に伴って報告されたものである。
 死亡が1件報告されたが、これは接種後6日に発熱があり、みかんを誤飲し窒息した例である。
 他に、アレルギー性紫斑病が1件、BCG接種部位の発赤が1件あった。
 風しんワクチン(第4−1〜3表参照)
 報告された風しんワクチン接種後の副反応件数は44件で、このうち基準外報告が3件(6.8%)であった。
 日数別にみると、44件中39件(89%)が24時間以内に副反応を起こしていた。その他は、1〜3日以内3件(6.8%)、8〜14日1件、15〜28日1件であった。
 年齢別では、1歳8件(18%)、2歳12件(27%)、3歳11件(25%)、4歳4件(9.1%)、5〜9歳3件(6.8%)、10〜15歳6件(14%)となっており、接種対象は2〜3歳、10〜15歳を中心に実施されているものと思われた。また、男女比は1:1.3で発生率に大差は認められなかった。
 報告された副反応で最も多かったのは、即時性全身反応22件(50%)で、そのうち全身蕁麻疹14件(32%)、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下などを合併したアナフィラキシーショックは8件(18%)に認められた。
 即時型反応は、ほとんどが1時間以内に発生し、そのうち7件(16%)が入院したが死亡例は認めていない。
 次いでその他の異常反応で15件(34%)で、発疹、局所反応は24時間以内の発症がほとんどであった。その中には接種3日後のかぜ症状に続いて4日後に発症した血小板減少性紫斑病、接種24日後に発症した血小板減少性紫斑病が報告され共に入院している。
 けいれんは4件報告されているが、1件は接種翌日に外出先でけいれんをおこし、入院し精密検査を受け、検査所見で異常なしと記載されている。他の1件は、接種後約30時間後にけいれんをおこして精密検査では異常はなかったが、他のウイルス性脳炎を疑われて入院している。他の1件は接種後約7時間で発症、報告者により接種とは関連のない上気道炎による発熱による熱性痙攣と記載されていた。残りの1件は接種9日後より鼻汁と失調様歩行がみられ、全身性痙攣を飛 行場でおこしたと報告されている。
 ワクチンと直接関連した脳炎、脳症の報告はなかった。
 日本脳炎ワクチン(第5−1〜3表参照)
 報告された日本脳炎ワクチン接種後の副反応件数は14件で、このうち6件(43%)が基準外報告であり、接種部位の軽度の発赤、腫脹などの局所反応や微熱などの全身反応であった。
 日数別に見ると、14件中10件(71%)が24時間以内に副反応を起こしており、このうち即時性全身反応の1件は、アナフィラキシーであった。
 神経合併症の4件のうち、けいれんの1件は24時間後に、他の1件は14日後に起こしたが、いずれも無熱性で反復した。意識障害などの脳炎症状を呈したものは、1件は15日後に、他の1件は30日後に発症し、脳炎、脳症と診断された。
 年齢別にみると、4歳と5〜9歳で10件(71%)と約7割を占めていた。
 これは、当ワクチンがこの時期に多く接種されるので、接種年齢に一致した副反応と思われる。
 性別に見ると男3件、女11件と女児に多く見られたが、その理由は不明である。しかし神経合併症は男女同数であった。
 予後別にみると、24時間以内に副反応を起こしたものは全て回復しているが、神経合併症例では、けいれんの1件を除き3件が入院しており、このうち2件については脳炎による後遺症が見られた。報告時ではけいれんの2件は回復しておらず、そのうち1件は記載も無くその予後は不明であった。
 ポリオワクチン(第6−1〜3表参照)
 報告されたポリオワクチン接種後の副反応は3件であった。接種24時間以内が2件、1〜3日が1件であった。また、3件とも女性であった。
 3件のうち1件は接種約1時間後、他の1件は2〜3時間後より発症し、前者(5ヶ月)は顔面紅潮、腫脹をおこして翌日全身蕁麻疹を来している。後者(10ヶ月)は首の周囲の発赤を来たし、翌日全身蕁麻疹をおこしており、よく似た症状であった。
 他の1件は接種27時間後の発熱(1歳3ヶ月)と嘔吐の症例である。
 BCGワクチン(第7−1〜3表参照)
 報告されたBCGワクチン接種後の副反応件数は18件(基準外報告4件を含む)であった。性別では男13件、女5件と明らかに男児が多かった。
 年齢別には0歳12件(67%)、1歳4件(22%)、10〜15歳2件(11%)と乳幼児期、特に0歳児の被接種者で多かった。
 副反応の種別では、腋窩リンパ節腫脹が12件(67%)と最も多く、次いで接種局所の膿瘍2件(11%)であり、その他の異常反応としては皮膚結核様病変が1件みられた。
 腋窩リンパ節腫脹の総数12件(67%)全部が乳幼児で、特に0歳児が8件を占めていた。発生時期は1ヶ月以内が3件、1〜2ヶ月が5件、〜3ヶ月が4件であった。報告時点までの経過は「回復」が7件、「未回復」が5件であった。
 経過中に入院した者が2件あった。
 接種局所の膿瘍は2件中1件は0歳児、他の1件が10〜15歳で、発生時期は1〜2ヶ月が1件、〜3ヶ月が1件であった。回復状況の知られた1件は報告時点で未回復であった。
 基準外の報告例の内容は、接種後2年半で気づかれたケロイド、接種後約1ヶ月の発熱が2件であった。
 皮膚結核様病変の1件は全身散布性の皮膚病変であり、生検により結核様組織を確認したものである。その他、全身性播種性BCG感染症、骨炎・骨髄炎のような重篤な反応はもとより、腋窩以外のリンパ節腫脹のような種類の反応は報告されなかった。
  問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ結核感染症課
     担 当 廣畑(内2376)、中平(内2383)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2257

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