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4.損益状況からみた療養型(老人)病院の経営状況
  療養型(老人)病院の対象施設は、黒字病院 183施設、赤字病院31施設で、赤字病
  院は全体の14.5%となっており、政策的な面が反映しているのか、一般病院と比べて
  赤字病院が少ない。特に、入院医療管理料適用病院はその傾向が顕著である。(表6
  参照)

  表6:損益状況からみた基礎数値
               全  体   黒  字   赤  字
対象施設数    (病院)      214      183       31
病床数       (床)    151.5     156.8     119.8
1日平均入院患者数 (人)    143.5     149.5     108.0
1日平均外来患者数 (人)     59.5      57.6      71.0

 参考:入院医療管理料を適用している療養型(老人)病院
                 全  体   黒  字   赤  字
対象施設数    (病院)      115      109        6
病床数       (床)     166.1     168.9     115.2
1日平均入院患者数 (人)     160.3     162.9     113.6
1日平均外来患者数 (人)      57.2      57.1      58.4


 1) 機能性(表7参照)
   外来/入院比をみると赤字病院の数値が高く、病床利用率を比べると黒字病院95.
    3%、赤字病院90.1%と5.2 ポイントの差があり、患者1人1日当たりの入院収益
    は、黒字病院が13,776円、赤字病院が12,852円で黒字病院が1.07倍高い。
   また、患者 100人当たり従事者数も黒字病院の方が 6.3人多くなっている。
   療養型(老人)病院の黒字病院は、総じて病床利用率が高く、診療単価も高いが
    、それに応じて従事者も多いことが窺える。

 表7:損益状況からみた機能性
                   全  体   黒  字   赤  字
  病床利用率         (%)      94.7      95.3      90.1
  外来/入院比       (倍)      0.41      0.39      0.66
  平均在院日数        (日)     268.0     282.5     189.0
  患者100人当たり従事者数 (人)      60.8      61.6      55.3
  患者1人1日当たり入院収益(円)    13,675     13,776     12,852
  患者1人1日当たり外来収益(円)     6,608     6,721     6,071

 参考:入院医療管理料を適用している療養型(老人)病院
                   全  体   黒  字   赤  字
  病床利用率         (%)      96.5      96.4      98.6
  外来/入院比       (倍)      0.36      0.35      0.51
  平均在院日数       (日)     299.4     304.0     214.1
  患者100人当たり従事者数 (人)      63.6      63.7      60.6
  患者1人1日当たり入院収益(円)    13,560     13,553     13,742
  患者1人1日当たり外来収益(円)     6,781     6,807     6,327



  2) 収益性(表8参照)
   損益状況からみた収益性は、黒字病院の方が赤字病院より、人件費率・材料費率・
  経費率の項目で比率が低くいが、委託費率は高くなっている。減価償却費率も結果と
  して高い。
   黒字病院は、従事者数は多いものの人件費率が低く、適正な人員の確保が収益に反
  映していることも考えられる。

  表8:損益状況からみた収益性
              全 体   黒 字   赤 字      20%値   中央値   80%値
人件費率       (%) 49.9     49.1     55.7        44.3     50.4     56.9
材料費率       (%) 18.5     18.0     23.2        11.4     17.2     25.8
経費率        (%) 16.2     15.8     19.2        11.1     14.6     20.7
委託費率       (%)  4.0     4.1     3.5        0.8     2.6     5.0
減価償却費率     (%) 3.2     3.2     2.8        1.7     2.9     4.4
医業収益対医業利益率8%)  8.3     9.8     -4.6
経常収益対経常利益率(%) 7.9     9.0     -1.2
総収益対総利益率   (%) 7.5     8.5     -0.9
経常収益対支払利息率(%) 2.4     2.4     1.9

 *全体(平均値)と中央値を比較しても大きな違いはなく、収益性を平均値でみるこ
  とは、概ね有効であること。

 参考:入院医療管理料を適用している療養型(老人)病院
                  全 体   黒 字   赤 字
   人件費率       (%)    50.6     50.2     61.7
   材料費率       (%)    15.0     15.0     15.0
   経費率        (%)    16.7     16.6     19.8
   委託費率       (%)    4.3     4.3     3.3
   減価償却費率     (%)    3.1     3.1     2.2
   医業収益対医業利益率(%)    10.4     10.9     -2.1
   経常収益対経常利益率 (%)    9.7     10.2     -1.2
   総収益対総利益率   (%)    9.0     9.5     -1.3
   経常収益対支払利息率 (%)    2.5     2.5     1.4

 3) 生産性(表9参照)
   従事者1人当たりの年間医業収益をみると、黒字病院 9,037千円、赤字病院 9,22
    4千円となっており、赤字病院の方が高く、従事者1人当たり年間給与、常勤医師
   1人当たりの年間給与、常勤看護婦1人当たりの年間給与も赤字病院が高い数値を示
   している。

    赤字病院は、黒字病院と比較して従事者数は少ないものの人件費率が高いのは、
    ここでみられるとおり従事者の給与が高いことも影響していると考えられる。

  表9:損益状況からみた生産性
                       全  体   黒  字   赤  字
  従事者1人当たりの年間給与  (千円)     4,515     4,441     5,142
  常勤医師1人当たりの年間給与 (千円)    12,300     12,212     12,850
 常勤看護婦1人当たりの年間給与(千円)     4,433     4,387      4,797
  従事者1人当たりの年間医業収益(千円)     9,057     9,037      9,224
  労働生産性          (千円)     5,265     5,330      4,720
  労働分配率            (%)      85.8      83.3      108.9

 参考:入院医療管理料を適用している療養型(老人)病院
                       全  体   黒  字   赤  字
  従事者1人当たりの年間給与  (千円)     4,359     4,314     5,535
  常勤医師1人当たりの年間給与 (千円)    12,797     12,724     14,362
  常勤看護婦1人当たりの年間給与(千円)     4,304     4,250      5,599
  従事者1人当たりの年間医業収益(千円)     8,612     8,599      8,970
  労働生産性          (千円)     5,255     5,252      5,350
  労働分配率            (%)      82.9      82.1      103.5


5.損益状況からみた精神病院の経営状況
  精神病院の対象施設数は、359施設であり、赤字病院は全体の23.2%となっている。
 (表10参照)
 表10:損益状況からみた基礎数値
                 全  体   黒  字   赤  字
 対象施設数    (病院)      359      276       83
 病床数        (床)     277.4     277.6     276.6
 1日平均入院患者数  (人)     266.3     267.3     262.9
 1日平均外来患者数  (人)     43.8      44.4      41.8


 1) 機能性(表11参照)
   病床利用率を比べると黒字病院96.3%、赤字病院95.0%と、ともに高い数値を示
    しているが、平均在院日数は、黒字病院が34.2日短かくなっている。
   患者1人当たりの入院収益は、一般病院、療養型(老人)病院に比べると著しく
    低い数値となっているが、精神病院における黒字病院と赤字病院の比較では、入院
    、外来とも黒字病院が高く、患者1人当たり入院収益は1.06倍、外来収益は1.07倍
    となっている。

  表11:損益状況からみた機能性
                    全  体   黒  字   赤  字
   病床利用率         (%)     96.0      96.3      95.0
   外来/入院比        (倍)     0.16      0.17      0.16
   平均在院日数       (日)    512.4     505.0     539.2
   患者100人当たり従事者数 (人)     41.7      41.8      41.5
   患者1人1日当たり入院収益(円)    9,693     9,824     9,248
   患者1人1日当たり外来収益(円)    8,173     8,292     7,753


 2) 収益性(表12参照)
   精神病院の場合、材料費率は相対的に低いが、人件費率は一つの目安とされる50
    %を上回っている。
   黒字病院と赤字病院の比較では、人件費率、材料費率、経費率の差が顕著である
    。人件費率は、5.0ポイント、材料費率は、2.0ポイント、経費率は、3.2ポイント、そ
    れぞれ黒字病院の方が低くなっている。

 表12:損益状況からみた収益性
              全 体   黒 字   赤 字      20%値   中央値   80%値
人件費率       (%)   56.7     55.6     60.6      50.7     57.1     63.9
材料費率       (%)   17.6     17.2     19.2      14.2     17.3     21.0
経費率        (%)   14.8     14.1     17.3      10.9     14.1     18.1
委託費率       (%)    2.8      2.9      2.5      0.6     1.8     3.6
減価償却費率     (%)    3.6      3.5      4.1      1.8     3.2     5.1
医業収益対医業利益率(%)    4.5      6.8     -3.6
経常収益対経常利益率 (%)    5.2      6.9     -0.8
総収益対総利益率   (%)    4.8      6.4     -0.5
経常収益対支払利息率 (%)    1.8      1.9      1.8

 *全体(平均値)と中央値を比較しても大きな違いはなく、収益性を平均値でみるこ
  とは、概ね有効であること。

 3) 生産性(表13参照)
   黒字病院と赤字病院の比較では、従事者1人当たりの年間給与、常勤医師1人当
    たりの年間給与、常勤看護婦1人当たりの年間給与とも黒字病院の方が低いが、従
    事者1人当たりの年間医業収益をみると、黒字病院 9,276千円、赤字病院 8,701千
    円となっており、黒字病院の方が1.07倍高くなっている。


  表13:損益状況からみた生産性
                       全  体   黒  字   赤  字
  従事者1人当たりの年間給与  (千円)     5,183     5,156     5,274
  常勤医師1人当たりの年間給与 (千円)    13,794     13,581     14,514
  常勤看護婦1人当たりの年間給与(千円)     4,474      4,414      4,689
  従事者1人当たりの年間医業収益(千円)     9,145      9,276      8,701
  労働生産性          (千円)     5,597      5,783      4,963
  労働分配率             (%)      92.6      89.2      106.3


6.財政状態からみた病院の経営状況(表14・15参照)
   1病床当たりの総資産額は、一般病院10,079千円、療養型(老人) 6,143千円、
    精神病院 4,857千円となっており、一般病院が高い数値を示している。
   1病床当たりの固定資産額は、一般病院 6,198千円、療養型(老人)病院 3,609
    千円、精神病院 2,839千円となっているが、この額は、取得価格と計上する土地の
    評価の限界や機器の整備状況によって大きく変わってくる。
   1病床当たりの利益剰余金額は、診療活動から生み出された内部留保が1病床当
    たりいくらの利益があるかをみるものであり、療養型(老人)病院が、他の種別の
    病院と比べて低い。

 表14:財政状態からみた病院の経営状況1
                       一般病院     療養型(老人)   精神病院
  1病床当たりの総資産額  (千円)     10,079      6,143      4,857
  1病床当たりの固定資産額 (千円)      6,198      3,609      2,839
  1病床当たりの利益剰余金額(千円)      1,881      1,185      1,968


   自己資本比率は、経営の安定性を示す指標であり、医療法では資産総額の20%以上
 が基本となっている。一般病院27.8%、療養型(老人)病院27.7%、精神病院49.5%
  といずれの病院も平均では20%を超えている。
  精神病院の自己資本比率が相対的に高いのは、精神病院が一般的に他の種別の病院
 と比較して総資産額が少ないことが影響していることも考えられるので、これをもっ
 て、精神病院の優位性を示しているとみることはできない。
  固定長期適合率は、自己資本と固定負債を加えた額で固定資産を除してその割合を
 みるもので、固定資産取得の安全性を測るものである。今回の集計では、全体で70%
 から80%を示している。
  自己資本比率がいずれの病院も平均では20%を超えており、全体としては固定資産
 への過大な設備投資はないものと考えられる。
  流動比率は、1年以内の短期支払い能力を測るものであり、通常この比率は少なく
 とも 100%以上が好ましいとされているが、一般病院 153.0%、療養型(老人)病院
  190.3%、精神病院 242.2%となっている。
  総資本対経常利益率は診療活動から生み出された利益と、その利益を生み出すため
 の資本の割合を示す経営効率の指標であるが、特に、療養型(老人)病院が 7.2%と
 高い。
  総資本回転率は、医業収益を総資本で除した値で、この比率が高いほど診療活動は
 活発で総資本の投下効率が高いとされ、一般病院は1.00回転となっている。
  これに対して精神病院の総資本回転率は0.79回転と1回転を大きく下回っており、
 このことは資本が1年間に1回転していないことを意味しており、精神病院の投資意
 欲が促進されない要因と考えられる。

  表15:財政状態からみた病院の経営状況2
                  一般病院     療養型(老人)   精神病院
  自己資本比率     (%)      27.8        27.7       49.5
  固定長期適合率    (%)      81.9       74.6       70.5
  流動比率       (%)     153.0      190.3      242.2
  医業収益対借入金比率 (%)      44.8       51.1       37.8
  総資本対経常利益率  (%)      2.6        7.2        4.3
  総資本回転率   (回転)      1.00       0.97       0.79

  問い合わせ先 厚生省健康政策局指導課
     担 当 田村(内2555)、小泉(2556)、並木(内2554)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3595-2194


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