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事業評価書(事前)

事務事業名 しごと情報ネットの充実
事務事業の概要 (1)目的  しごと情報ネットは、今後一層の普及が見込まれるインターネットを利用して、民間職業紹介事業者、民間求人情報提供事業者及び経済団体並びに公共職業安定所等が保有する求人・求職情報(当面は、求人情報に限る。)に係るインデックス情報を一覧し、検索できるもので、誰もがどこからでも容易に利用できる。今後は、労働市場全体の労働力需給調整機能をより強化していくためには、このしごと情報ネットをより一層利用しやすくする等により、利用者サービスの向上を図っていくとともに、その信頼性の向上を図る必要がある。
 このため、より多くの求人情報が提供できる体制を整備し、また、携帯電話(携帯端末等を含む。)に対応できるようにして、多くの求職者等の労働力需給調整機関の積極的な利用を促進することにより、労働力の需給調整機能の一層の強化を図り、以て、失業者の早期再就職、在職者の失業なき労働移動の実現に資する。
 また、参加機関が的確な苦情処理を行えるよう、苦情処理に係る情報の収集、分析を行い、それを提供することによりしごと情報ネットの信頼性の向上に資する。
(2)内容 (1)情報提供機能等の拡充

 携帯電話(携帯端末等を含む。)に対応できるようにする等、情報提供機能等の拡充を行う。(平成13年度補正予算により措置)

(2)しごと情報ネットに係る苦情処理関係情報の収集・分析等

 しごと情報ネットの各参加機関の苦情処理に係る情報を収集し、その内容を分析した上でその結果を各参加機関に提供する。
 また、しごと情報ネットへの参加を希望している機関に対し、求人情報を掲載するためのシステム開発等に係る技術的支援やインターネットを利用できない事業者に対する、システムへの参加に係る支援等を行う。

予算額(案) 577百万円
(3)達成目標  当該事業の実施により、事業主及び労働者のしごと情報ネットの利用環境に対するニーズに的確かつ迅速に対応できるよう情報提供機能の強化を図る。
評価 (1)必要性 [国民や社会のニーズに照らした妥当性]
 しごと情報ネットをパソコンによる利用だけでなく、携帯電話(携帯端末等を含む。)に対応できるようにすることにより、より多くの求職者等の利用が進み、失業者の早期再就職等が実現しやすくなる。また、しごと情報ネットへの参加を希望している有料職業紹介事業者のうち、インターネットの利用環境が整っておらずメールを利用した情報提供ができない事業者のために、ファックスによる求人情報を受け付けて、それをインターネットに公開することにより、多くの求人情報が提供できるようになる。
 さらに、しごと情報ネットにおける苦情処理に係る情報を収集、分析することによりこのシステムの信頼性を向上させサービスの充実が図られることとなる。
 これらは、いずれも労働力需給調整機能の強化に直接に結びつく施策であり、その妥当性は高い。

[公益性]
 官民双方が確保した求人情報を集中し、検索性を持たせ、誰もがどこからでも容易に利用できるようにすることは、マッチング機能の一層の強化を図り、失業者の早期再就職、在職者の失業なき労働移動の実現に資するものであり、公益性がある。

[官民の役割分担]
 労働市場の基盤整備として、公共職業安定所の保有する求人情報を提供する「ハローワーク・インターネット・サービス」のデータを活用し、官民双方の確保した情報を一覧、検索できるシステムを構築するものであることから、民間の協力を得て、国が主体的に運営すべきものである。

[国と地方の役割分担]
 都道府県の区域を超えた労働移動を可能とする前提として、我が国労働市場全体の基盤を整備し、広範な求人情報を国民が公平に利用できるシステムを構築するものであるから、国が運営する。

[民営化や外部委託の可否]
 苦情処理関係情報の収集、分析、「しごと情報ネット」に参加する民間機関に対する技術的な支援の実施やファックス受理業務等は、多くの民営職業紹介事業所を会員とし、これらの事務についてノウハウを有する(社)全国民営職業紹介事業協会に委託する。

[緊要性の有無]
 不良債権処理等に伴う求職者の増加に対処し、情報提供の効果を高めるためには、携帯電話(携帯端末等を含む。)しか有しない多くの求職者等のしごと情報ネットの利用を可能にするとともに、ファックスによる求人情報受理体制を整備する等により、しごと情報ネットへのより多くの求人情報の掲載を速やかに可能とすることが必要である。
 また、しごと情報ネットが運用される中で苦情処理に係る情報を収集、分析し、これらの情報を各参加機関に提供することにより、このシステムの信頼を向上させ、運用をより円滑化する必要があり、これらの事業の実施は急務である。
(2)有効性 [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果]
 携帯電話(携帯端末等を含む。)に対応できるようにすることにより、より多くの求職者等の利用が進むとともに、ファックスによる求人受理体制の整備を図ることによって、より多くの求人情報が提供できることとなるため、労働力需給調整機能の強化、労働力確保に大いに資するものである。
 また、しごと情報ネットにおける苦情処理に係る情報を収集、分析し提供することによりこのシステムの信頼性を向上させサービスの充実が図られることとなる。

[効果の発現が見込まれる時期]
 本事業は、平成14年度に携帯電話(携帯端末等を含む。)に対応できるようにすることにより、直ちに携帯電話等の利用者によるしごと情報ネットの活用が促進され、同じく平成14年度にファックス受理体制を整備することにより、有料職業紹介事業者等の利用が促進され、直ちに労働力需給調整機能の強化が図られるものである。
 また、しごと情報ネットにおける苦情処理に係る情報を収集、分析することにより、このシステムを見直す等の措置を平成14年度に講じた後直ちにサービスの充実が図られることとなる。
(3)効率性 [手段の適正性]
 しごと情報ネットを整備し、全国的、かつ、官民共同で利用することは、効率的な労働力需給調整機能の確保という観点から、手段として適正である。また、携帯電話(携帯端末等を含む。)による求人情報の把握を可能にすること、ファックスによる求人情報の受理を可能にすることは、しごと情報ネットを充実する上で適正な方法である。
 さらに、しごと情報ネットにおける苦情処理に係る情報を収集、分析し提供することはこのシステムの信頼性を向上させる方法として最も有効・効率的であると考える。

[効果と費用との関係に関する分析]
 失業等給付を需給している者の中で、しごと情報ネットの情報を利用して、就職する者が増えることは、失業等給付の支出を相当に減少させることにつながるものである。
(4)その他
(公平性・優先性など)
[優先性]
 本事業は、労働力需給のミスマッチの解消を図るためのものであり、優先性がある。
関連事務事業  なし
特記事項

[各種政府決定との関係及び遵守状況]

  • 「総合雇用対策」(平成13年9月20日産業構造改革・雇用対策本部決定)において、今後、「しごと情報ネット」について、民間の加入促進をはじめ、ハローワーク・インターネットサービスの全国化、アクセス手段の多様化などにより、そのサービスの拡充に努めることとされている。

  • 産業構造改革・雇用対策本部の中間とりまとめ(平成13年6月)において、円滑な労働移動と就業促進を行える環境を整備するため、「しごと情報ネット」を実施する等雇用情報のワンストップサービスを推進することとされている。

  • 規制改革推進3か年計画(平成13年3月閣議決定)において、公共職業安定所と民間職業紹介事業者等の連携による求人・求職情報の一元化と円滑な利用を図る総合情報ネットワークの運用を、平成13年度から確実に開始することとされている。

主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局民間需給調整課



事業評価書(事前)

事務事業名 民間の職業紹介事業者との連携による再就職支援体制の整備
事務事業の概要 (1)目的  金融機関の不良債権処理に伴い発生する離職者であって就職困難者に該当する者(以下「就職困難者」という。)に対する積極的な就職支援を行うに当たっては、公共職業安定機関に加え、民間事業者による職業紹介等の取組みが期待されることから、職業安定法第33条の3の趣旨を踏まえ、無料職業紹介機関に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供その他無料職業紹介機関の運営についての援助を行うことにより、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進し、以て、就職困難者の就職促進を図る。
(2)内容 (1)公共職業安定所が保有する求人情報の無料職業紹介機関への提供

 就職困難者の就職促進に取り組む無料職業紹介機関が希望する場合には、ハローワークインターネットサービス等により把握した公共職業安定所の保有する求人情報の提供を積極的に提供する。

(2)事業者研修会の開催

 就職困難者に対する職業相談、職業紹介等の実施に当たり、求められるカウンセリング技法の向上等を図るため、労働局において管内の無料職業紹介機関を対象とする研修会を開催する。

(3)周知用リーフレットの作成、配布

 改正職業安定法における無料職業紹介機関の位置付け、期待される役割等について、周知用リーフレットを作成する。

予算額(案) 40百万円
(3)達成目標  無料職業紹介機関に対して、雇用情報等の提供等の援助を行うことにより、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進し、就職困難者の就職促進を図る。
評価 (1)必要性 [国民や社会のニーズに照らした妥当性]
 金融機関の不良債権処理の本格化に対処するため、無料職業紹介機関の体制を整備し、その職業紹介を通じて就職困難者の就職促進を一層図ることは、国民や社会のニーズに合致しており、妥当である。

[公益性]
 本事業を実施することにより、公共の職業安定機関に加え、民間の無料職業紹介機関による職業紹介等の取組みが促進されることは、就職困難者の就職促進に資するもので公益性が高い。

[官民の役割分担]
 平成11年の職業安定法の改正により、公共職業安定所は、無料職業紹介機関に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供その他無料職業紹介機関の運営についての援助を与えることができる旨の規定(第33条の3)が設けられたこと等を踏まえると、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進することは、我が国労働市場全体の基盤整備の一環として、国が行うべきものである。

[国と地方の役割分担]
 無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進することは、我が国労働市場全体の基盤整備として、国において実現されるべきものである。

[民営化や外部委託の可否]
 公共職業安定所は、無料職業紹介機関に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供その他無料職業紹介機関の運営についての援助を与えることができる旨の職業安定法の規定が設けられた趣旨から鑑みて、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進し、就職困難者の就職促進を図ることは国の責務である。

[緊要性の有無]
 不良債権処理が進展する厳しい雇用失業情勢の下、労働力需給調整機能を強化し、就職困難者の就職促進を図ることは喫緊の課題であり、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みについて国として積極的に支援することは急務である。
(2)有効性 [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果]
 厳しい雇用失業情勢の下、就職困難者に対する積極的な就職支援が求められている現状において、公共職業安定機関に加え、無料職業紹介機関における職業紹介等の取組みを促進することは、就職困難者の就職促進に効果的である。

[効果の発現が見込まれる時期]]
 平成14年度中に一定の効果が現れると見込まれるが、更に本事業の継続により、無料職業紹介機関と公共職業安定所との連携が強化され、職業紹介等に関する情報が広く提供されるなどその労働力需給調整機能の充実が図られることから、徐々に就職困難者の就職促進が実現する。
(3)効率性 [手段の適正性]
 厳しい雇用情勢の下で、再就職が特に厳しい状態にある就職困難者の再就職支援体制を強化するために、無料職業紹介機関の職業紹介等の機能を高めることが、国全体としての労働力の需給調整機能の強化を図る点からも効率的と考えられる。このため、職業紹介に関する情報の充実等について、公共職業安定所により支援を行うことが適当である。
 また、これにより、就職困難者の就職が促進されて、失業給付の支給が減少するという効果が期待される。
(4)その他
(公平性・優先性など)
なし
関連事務事業 なし
特記事項

[各種政府決定との関係及び遵守状況]

  • 「総合雇用対策」(平成13年9月20日産業構造改革・雇用対策本部決定)において、民間職業紹介事業所との連携による再就職の促進を図るとともに、ハローワークにおける情報提供・相談機能の強化、サービス提供時間の延長を推進することとされている。

  • 産業構造改革・雇用対策本部の中間とりまとめ(平成13年6月)において、公共職業安定所の機能をより効果的、効率的なものにするとともに、民間職業紹介事業者の能力が十分に活かされるような環境を早期に整備し、相互の連携の下に、職業紹介をより円滑に行うこととされている。

  • 第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定)において、労働力の需給調整を円滑、的確に行えるようにし、労働力需給のミスマッチの解消を図るため、公共職業安定機関と民間の労働力需給調整機関がそれぞれの特性を十分活かしつつ労働力需給調整機能を十分に発揮できるようにするとともに、必要な連携、協力を行うこととされている。

主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局民間需給調整課



事業評価書(事前)

事務事業名 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進
事務事業の概要 (1)目的  我が国の外国人労働者受入れの基本方針に沿って、IT分野を含め外国人技術者等専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着促進を図るため、関係機関と連携しつつ、受入れ・定着促進にあたり問題となっている点を整理するなどし、その結果を踏まえ専門的、技術的分野の外国人労働者及び事業主(特に中小企業の事業主)を対象として情報提供を行う。
(2)内容 (1)関係機関間のネットワークの構築

 専門的、技術的分野の外国人労働者の雇用問題に関わる経済団体(多国籍企業、諸外国の在日商工会議所を含む)及び関係省庁の担当者を参集した会議を開催してネットワークを構築するとともに、外国人労働者の採用及び定着の促進を図るにあたり障害となる問題点を整理、抽出する。

(2)専門家による検討等

 人事労務管理の実務に係る専門家等を参集した会議を開催して、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着を促進するために必要な情報の具体的な内容等について検討するとともに、就労パンフレット等の編集、作成を行う。

(3)就労パンフレット等の作成・配布

 専門的、技術的分野の外国人労働者が日本で働くための基礎知識、好事例をコンパクトにまとめたものを作成し、国内外に配布する。

(4)雇用管理マニュアルの作成・配布

 専門的、技術的分野の外国人労働者の雇用管理マニュアルを作成し、事業主に配布する。

予算額(案) 6百万円
(3)達成目標 IT分野を含め外国人技術者等専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着促進を図る。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 「経済社会のグローバル化に伴い、我が国の企業、研究機関等においては、世界で通用する専門知識、技術等を有し、異なる教育、文化等を背景とした発想が期待できる専門的、技術的分野の外国人労働者に対するニーズが一層高まって」いる(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定))。
 しかしながら、現状では専門的、技術的分野の外国人労働者にとって我が国の就労に関する情報が得にくく、就職先としての魅力に乏しいことなどが障害となって、在留資格「興行」を除く、専門的、技術的分野の外国人労働者(約9万人)が外国人労働者全体(約67万人)に占める割合(約130%)が伸び悩んでいるため、これらの障害を取り除き、ニーズに応えることが必要である。

〔公益性〕
 本事業の実施を通じた専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進は、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化に資するものであり、公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 外国人労働者の受入れ機関となるのは主に民間企業であるが、外国人労働者の受入れについては、政府の基本方針において、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進することとしており、国としては、我が国の就労に関する情報が得にくい国外の専門的、技術的分野の外国人労働者に対して情報提供を行うこと等により、その受入れを積極的に支援する必要がある。

〔国と地方の役割分担〕
 外国人労働者の受入れ・定着に係る事業主等に対する支援及び情報提供については、全国的に基本的かつ原則的な事項を周知することが重要であることから、そのような事項について、外国人労働者が適切な水準の雇用管理を受けることができるようにするため、まず、国として事業を実施する。

〔民営化や外部委託の可否〕
 我が国の就労に関する情報を、外国人労働者に対して提供する民間企業やその他外部機関が発達していないため、民営化や外部委託により、実施することは困難である。

〔緊要性の有無〕
 e-Japan重点計画(平成13年3月)においては、IT技術者・研究者を2005年までに3万人程度受け入れることが目標として掲げられており、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図るため、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れについては、より積極的に推進する必要がある。
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 就労パンフレット等の配布により、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着に必要な情報が外国人労働者及び事業主に周知され、外国人を雇用する際の雇用管理上の問題等が解消されることから、これらの労働者の受入れ・定着が従来よりも促進されることが見込まれる。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着が従来に比し、促進されると見込まれるが、景気の悪化等の経済情勢の変化等の影響が大きいため、外国人労働者の受入れ・定着の効果の発現には一定の時間を要する場合もある。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 我が国企業の事業活動の国際化や情報化等に伴い、外国人の高度な人材へのニーズが増加しているが、特に中小企業には受入れのノウハウの蓄積が少なく、自ら受入れ態勢を構築することには多大なコストがかかるため、国が受入れのノウハウ等について情報提供を行うことは、これら企業のニーズにあった人材の円滑かつ効果的な受入れを可能とし、我が国経済の発展と安定という観点からも有効な方法である。
 また、我が国の就労に関する情報を得にくい国外の専門的、技術的分野の外国人労働者に向けて、適切な情報提供をすることにより、我が国の受入れ方針に沿った外国人労働者の効率的な受入れが可能となるなどの効果が期待できる。
(4)その他
(公平性・優先性など)
なし
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府決定との関係及び遵守状況〕
 我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進する(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定))。
 IT技術者・研究者を2005年までに3万人程度受入れる(e-Japan重点計画(平成13年3月)。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局外国人雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 移動高年齢者等雇用安定助成金
事務事業の概要 (1)目的  経営再建のための事業の再構築の中で、企業グループ外に中高年失業者を出さず、高年齢者事業所の設置等により企業経営との調和を図りながら中高年齢者の雇用を確保する企業を支援するため、事業再構築会社(親会社等)から、45歳以上65歳未満の労働者を雇い入れる企業グループ内の子会社の事業主に対して、移動高年齢者等雇用安定助成金を支給し、以て中高年齢者の雇用の安定と65歳までの雇用の確保を実現する。
(2)内容

 助成金の支給要件は次のとおりである。

(1)事業再構築会社(親会社等)が@〜Eの全てに該当すること。

@ 経営状況が厳しいこと。

A 経営再建のための事業の再構築を行うこと。

B 経営再建の見込みがあること。

C 移籍出向について労使間の特別の協定を定めていること(人事異動として通常行われるものではないこと)。

D 移籍出向について対象労働者の同意を得ていること。

E 事前に計画書を作成し公共職業安定所に受理されていること。

(2)支給対象事業主(子会社)が@〜Dの全てに該当すること。

@ 事業再構築会社の子会社(出資比率50%以上)又は同一親会社の子会社であること。

A 事業再構築会社から45歳以上65歳未満の労働者(以下「対象労働者」という。)を1人以上一般被保険者として雇い入れ継続して雇用していること(移籍出向)。

B 対象労働者の雇入れ6ヶ月前から助成金申請時(雇入れ日から6ヶ月経過後)の間に、雇用する一般被保険者を事業主の都合により離職させていないこと。

C 相当期間事業を継続する見込みがあること。

D 助成金申請時において一定の高年齢者雇用確保措置を講じていること。

(3)支給額

 支給対象事業主(子会社)が講じる高年齢者雇用確保措置の内容に応じて、@又はAのいずれかとする。

@ 65歳まで雇用する制度を有する場合又は定年の定めをしていない場合:雇い入れた対象労働者1人当たり30万円を支給

A 61歳以上で事業再構築会社より1年以上長く雇用する制度を有する場合:雇い入れた対象労働者1人当たり10万円を支給

予算額(案) 6,000百万円
(3)達成目標  構造改革に伴う経営再建のための事業の再構築において、親会社等から企業グループ内の子会社に再雇用される約3万人を対象に助成金を支給することにより、中高年齢者の雇用を確保する。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 中高年齢者の雇用失業情勢は、厳しい状況が続いており、不良債権の最終処理等構造改革の推進を背景に、企業リストラが多発する中でさらに厳しい状況に陥るおそれがあることから、中高年齢者の雇用確保に対して有効な対策を講じていく必要がある。

〔公益性〕
 高齢化の急速な進展、厚生年金の支給開始年齢の引上げ等を受け、65歳までの高年齢者雇用確保措置の普及が重要な課題となっているとともに、中高年齢者の厳しい雇用失業情勢の中、中高年齢者の雇用を確保することは、中高年齢者の失業による新たな社会的費用の発生を抑えることになり、高い公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 同一企業グループ内において中高年齢者の雇用の確保を図るためには、継続雇用制度、賃金制度及び執務体制等の整備が必要であり、そのためのコストもかかることから、企業の自主的な取り組みだけでは、なかなか進まないため、リストラ前の事業の再構築による中高年齢者の雇用確保を行う企業に対して国として支援する必要がある。

〔国と地方の役割分担〕
 雇用対策については、国と地方が連携して進める必要があるが、中高年齢者の雇用失業情勢は全国的に厳しい状況が続いており、中高年齢者の再就職は極めて困難な状況にあることから、国が全国的な観点から、中高年齢者の雇用確保のために本事業を行う。

〔民営化や外部委託の可否〕
 本事業は、高年齢者雇用に係る各種制度・施策、企業の労務管理制度に関する高度な専門知識を有している必要があること等から、それらのノウハウをもつ(財)高年齢者雇用開発協会に委託して実施することとしている。

〔緊要性の有無〕
 中高年齢者の雇用失業情勢は厳しい状況が続いており、不良債権を2年以内に最終処理した場合、失業者が相当数発生することが見込まれるため(「不良債権の処理とその影響について」内閣府政策統括官主宰バランスシート調整の影響等に関する検討プロジェクト推計)、早急な対策が必要である。

〔他の類似施策(他省庁分を含む)〕
 中高年齢者に対しては、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律において再就職援助計画制度を設けて在職中からの再就職支援を実施し、再就職援助計画対象者を企業グループ外の事業主が雇い入れた場合には、在職者求職活動支援助成金を支給している。
(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 不良債権処理に伴う雇用への影響として、総離職者数は39〜60万人と見込まれている(「不良債権の処理とその影響について」内閣府政策統括官主宰バランスシート調整の影響等に関する検討プロジェクト推計)。
 こうした厳しい雇用失業情勢の中で、中高年齢者を子会社で再雇用する事業主に対して本助成金を支給することにより、中高年齢者約4万人が失業を経ることなく、企業グループ内で再就職することが見込まれる。
 これにより、雇用保険失業給付額の削減に寄与する効果も有する。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 不良債権の最終処理等構造改革が推進されることに伴い、平成14年度から、本助成金の効果が上がるものと見込まれる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 本事業の実施により、経営再建のための事業の再構築を行う場合に、中高年齢者の失業なき労働移動を促進する効果(平成14年度予算要求における要対人員3万人)が見込まれる。
 そして、事業の再構築を行う場合に、離職を余儀なくされる中高年齢者に対する再就職の促進には、事業主の取組が不可欠であるため、親会社等の事業再構築会社が再就職援助に関する措置の内容等を記載した計画書を公共職業安定所に提出した上で当該中高年齢者を再雇用した企業グループ内の子会社に対して助成金を支給することとしており、中高年齢者の失業による新たな社会的費用の発生を抑える手段として適正なものである。
 また、当該子会社が一定の高年齢者雇用確保措置を講ずることを要件とし、その内容により助成額を区別することでインセンティブを与え、効率的に高年齢者雇用確保措置の普及を図ることとしている。
(4)その他
(公平性・優先性など)
〔優先性〕
 中高年齢者の雇用失業情勢は厳しい状況が続いており、不良債権の最終処理に伴い、失業者が相当数発生すると見込まれることから、優先的に施策を講じる必要がある。
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府決定との関係及び遵守状況〕
 「第9次雇用対策基本計画」(平成11年8月)において、向こう10年程度の間において、少なくとも意欲と能力のある高齢者が何らかの形で65歳まで働き続けることができることを確保していくこととされている。
 また、経済財政諮問会議の基本方針で、構造改革に伴う雇用への影響力を最小限にするためにも、成長分野の拡大、当該分野への円滑な労働移動の促進・労働力の再配置の円滑な実現に向けた環境整備の必要性が提唱され、中でも重要なものとして、年齢にかかわらず働ける環境の整備が示されている。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 地域求職活動援助事業(高齢者関係:地域高齢者能力活用職域開発支援事業)
事務事業の概要 (1)目的  中高年齢者を巡る雇用失業情勢は、長引く景気低迷を受けて人事面におけるリストラの進行や求人年齢の制限等により、依然として極めて厳しい状態が続いている。不良債権の最終処理等、構造改革が進められる中で、こうした情勢が今後さらに悪化するおそれもある。また、年金の支給開始年齢の引上げ等を受けて、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの安定した雇用の確保が急務となっているが、高齢者のための職域の確保が困難であること等から、制度の普及が進んでいない。
 こうした状況を早急に打開していくために、中高年齢者の職域を開発し、雇用就業機会の創出を強力に支援して高齢者の能力の活用を図ることを目的とする。
(2)内容

 地域求職活動援助事業の一環として、地方公共団体主導の下、事業主団体に次の事業を行わせる。

(1) 業務内容

 事業主団体内に高年齢者雇用促進委員会を設置して、高齢者雇用促進事業計画を策定し、「地域高齢者能力活用職域開発支援事業」のアクションプランで具体化してきた具体的取組を同計画に沿って行うプラン実践企業を指定し、その取組に対して助言等の支援を行う。また、セミナーや会報、リーフレット作成等を通じ、傘下企業や地域の事業主に、具体的取組の成果の普及を図り、その取組を促すとともに、年齢制限緩和や高齢者雇用確保措置の導入促進等の啓発活動を行う。

 (プラン実践企業における取組の例)

@ 高年齢者の職域開発のための事業(社内ハローワークの設置、高齢者のワークシェアリングの実施、高齢子会社の設置等)

A 在職高年齢者の再就職支援体制を整備する事業(転身支援事業、企業グループ内の派遣事業(人材バンクの設置等)等)

(2) 実施体制

  • 委託団体は、高年齢者雇用促進者を置き、(1)の業務を統括する。

  • 公共職業安定所及び労働局は、地方公共団体とともに、成果の普及啓発に協力し、高年齢者等雇用安定センターは、高年齢者雇用促進者と連携して、傘下企業にアドバイザーを派遣する。

予算額(案) 645百万円
(3)達成目標  各地域の事業主団体(60団体)の支援を通じ、高年齢者等の新たな職域を開発するために必要な社内体制の構築に関し、各団体ごとに指定した企業に具体的な取組を実施させ、その普及を図ることにより、高齢者の雇用機会の確保を図る。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 高齢者を巡る雇用失業情勢は、長引く景気低迷を受けて人事面におけるリストラの進行や求人年齢の制限等により、依然として厳しい状態が続いており、このような深刻な状況を打開していくことが求められているが、本事業を通じて企業における高齢者の職域開発への取組が広がることにより、高齢者の雇用機会が確保されることが期待される。

〔公益性〕
 急速に高齢化が進展し、高齢者の雇用失業情勢が厳しい状況にある中で、本事業の実施により高齢者の職域の拡大が図られ、高齢者の職業の安定、ひいては経済、社会の安定と発展に資するものであり、高い公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 急速に高齢化が進展する中で、高齢者の雇用機会の確保による我が国経済社会の活力の維持は国家的な課題である。また、現在の経済状況下においては、事業主の自主的な努力だけでは高年齢者等の職域開発の積極的な推進を期待しにくい状況にあるため、政府が積極的にこの取組を後押しする必要がある。

〔国と地方の役割分担〕
 新たな雇用創出は、国と地方が連携・協力して進める必要がある。中でも高齢者の雇用確保は高齢化が急速に進展する中にあって喫緊の問題であるため、地方自治体の協力を得つつ、国としてこれを支援する対策を講じる必要がある。このため、地域雇用開発促進法に基づいて都道府県が策定する地域求職活動援助計画に基づき、地方公共団体が本事業の実施事業主団体の選定、当該団体の取組の支援を行うこととしている。

〔民営化や外部委託の可否〕
 この事業は、地方公共団体の主導の下、各地域の経済団体に委託して実施されるものである。

〔緊要性の有無〕
 平成12年に策定された高年齢者等職業安定対策基本方針により、向こう10年程度の間に、原則として希望者全員が、その意欲及び能力に応じて65歳まで継続して働くことができる制度の普及を図ることとされたが、職域開発が進まないことから高年齢者雇用確保措置の普及は進まず、また、60〜64歳の完全失業率が8%と、他の年齢層に比較して極端に高く、早急な対策が必要である。

〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否(継続事業のみ)〕
 全国の多くの企業で自主的に中高年齢者の職域開発のための体制を構築できるようになったときは、本事業を廃止する。
(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 地域高齢者能力活用職域開発支援事業は平成12年度より実施しており、これらの成果の中には、定年退職者を対象としたワークシェアリングの実践、高齢子会社による新たな職域の創生などに道筋をつけている。
 今後は、効果が高いと見込まれるプランに特化し、かつ、新たなプラン実践企業においても、同様の効果が得られるよう実践手順を公開することなどにより、雇用情勢が厳しい全国の各地域において、高齢者の雇用機会の拡大に高い効果を有すると考える。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 本事業では、プラン実践企業での具体的取組を求めるとともに事業主団体の傘下企業への普及を要件としており、同事業年度の効果だけでなく、各企業での高年齢者等の職域開発のための体制構築の普及という波及効果も見込んでいる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 地域の産業特性等を踏まえつつ、全国的に高齢者の職域開発を進めていくためには、雇用管理(賃金・人事制度等)について知識・経験を有する者の助言等の支援が必要であり、その実施は地域の実情に精通した事業主団体が行うことが最適であること、また、そこで得られた成果をセミナーや会報等を通じて傘下の他の企業へも普及させることにより波及効果が期待できることなどから、効率的な手段であると考えられる。
 また、本事業は、事業主団体及びプラン実践企業を通じて得られた効果を基にして、地方公共団体及び事業主団体の指導の下、多数の傘下企業の自主的な取組を通じて高年齢者等の職域開発を普及させていくことが期待できるので、波及効果が大きく、投ずる費用(1事業主団体当たり約1,204万円)に比して多くの効果が期待される。
(4)その他
(公平性・優先性など)
〔優先性〕
 高齢化が急速に進展する中で、景気低迷の長期化とあいまって高齢者の雇用失業情勢は極めて厳しい状況にあり、また、年金支給開始年齢の段階的な引上げも実施されていることから、高齢者の雇用機会の確保について優先的に施策を講じる必要がある。
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府計画との関係及び遵守状況〕
 平成12年9月に告示された高年齢者等職業安定対策基本方針において、高年齢者等の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項として、高齢期における職業意欲等の多様化に対応するため、地方公共団体との十分な連携の下に、地域社会に密着した高年齢者の職域開発の推進を図ることが掲げられている。

〔スクラップ・アンド・ビルドについての考え方〕
 高齢者雇用に係る施策の全般的な効率化を図るため、高年齢者マッチング支援事業の廃止等の予算要求額の削減を行う一方で、本事業の充実を図ることを予定している。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 シルバー人材センター事業(高齢者生活援助サービス事業)
事務事業の概要 (1)目的  高齢化の急速な進展、年金等社会制度改革の実施、高齢者を巡る厳しい雇用失業情勢等を受け、高齢者の就業機会を確保することは益々重要となっている。高齢者の就業機会の確保については、シルバー人材センター事業が大きな役割を担っており、市区町村と連携して同事業を推進していくことを通じて、高齢者のニーズに対応した就業機会を安定的に確保・提供させるとともに、シルバー人材センターの自立化を推進していく必要がある。
 また、高齢者の生活を支えるため、介護保険サービスのみではなく、高齢者のニーズに的確に対応した生活援助サービス等を幅広く組み合わせていくことが重要であり、市区町村において、地域に密着した高齢者生活援助サービスの安定的な担い手を確保していくことが重要な課題となっている。こうした課題に対してシルバー人材センター事業の中で対応していく(連携施策)。
(2)内容

 シルバー人材センターが、高齢者への就業機会の確保・提供のための事業の一環として、市区町村等と連携して、次の高齢者生活援助サービス事業を行う場合に、その体制整備に必要な支援を行う。具体的には、事業実施に当たっての市区町村等との調整、サービス提供体制の確保、会員と利用者のマッチング、フォローアップ(トラブル相談等)等に要する経費について補助を行う。

(高齢者生活援助サービス事業)
 市区町村等と連携して、就労意欲のある高齢者による、高齢者の生活を支えるためのサービス(介護保険周辺サービス等)を提供する事業

  •  介護予防・軽度生活支援サービス
  •  福祉住環境向上サービス
  •  福祉施設通所送迎・介助サービス     等
予算額(案) 511百万円(事業全体14,023百万円)百万円
(3)達成目標  235の市区町村において、シルバー人材センターが、市区町村と連携して高齢者生活援助サービスを提供し、安定した就業機会を創出するとともに、地域の高齢者の生活援助サービスの安定的な担い手となる。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 高齢化の急速な進展、年金等社会制度改革の実施、高齢者を巡る厳しい雇用失業情勢等を受け、高齢者の任意就業を通じた社会参加の促進を図ることが重要な課題となっている。
 また、市区町村において、地域に密着した高齢者生活援助サービスの安定的な担い手を確保していくことも重要な課題となっている中で、当該サービスは就業意欲のある高齢者が活躍する分野として適当であり、当該分野における高齢者の就業の促進を図ることは、高齢者生活援助サービスの担い手の確保の観点及び高齢者の就業機会の確保の観点の双方から有効なものである。

〔公益性〕
 本事業の実施により高齢者の就業を通じた社会参加の促進が図られるとともに、市区町村において地域に密着した高齢者生活援助サービスの安定的な担い手の確保に資するものであり、高い公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 高齢者の多様な就業ニーズに合致した臨時的・短期的な就業機会の確保・提供については、民間のみによる普及に全てを期待するのは困難であり、国及び地方公共団体において、そうした役割を担う民間団体であるシルバー人材センターの育成を図ることが必要である。また、高齢者の生活を支えるため、高齢者のニーズに対応した多様な生活援助サービスの提供が必要であり、市区町村において、地域に密着した高齢者生活援助サービスの安定的な担い手を確保していくことが重要な課題となっていることから、そうしたサービスの担い手として期待される地域の就業意欲のある高齢者の就業機会の確保・提供について重要な役割を果たすシルバー人材センターへの支援を通じて国及び地方公共団体が施策を講じる必要がある。

〔国と地方の役割分担〕
 高齢化の急速な進展、年金等社会制度改革の実施等を受け、高齢者の多様な就業を通じた社会参加の促進を図るに当たっては、国と地方が連携してシルバー人材センターの育成を図ることが必要である。また、高齢化が進む中で、高齢者の生活支援は全国的な課題となっており、地方の取組について、国がシルバー人材センターへの支援を通じてサービスの担い手の確保を支援することが適当である。

〔民営化や外部委託の可否〕
 高齢者を主体として地域に密着した事業を実施している民間団体であるシルバー人材センターの育成を通じて実施している。

〔緊要性の有無〕
 高齢化の急速な進展、年金制度改革の実施、高齢者を巡る厳しい雇用失業情勢等を受け、早急に対策を講じる必要がある。
 また、市区町村において、地域に密着した高齢者生活援助サービスの安定的な担い手を確保していくことが重要な課題となっている。

〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否(継続事業のみ)〕
 我が国の高齢化は今後ますます進展していくと考えられ、高齢者の多様な就業ニーズに合致した就業機会の確保が完全に実施できるようになるまでは、高齢者対策の重要な柱として推進していく必要がある。
(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 本事業の実施により、235市区町村のシルバー人材センターにおいて、高齢者の就業機会の拡大が図られ、就業を通じた高齢者の経済的自立につなげる(現在先駆的に行われている事例では、平成12年度において軽度生活支援事業で12,732人日の就業機会を確保・提供している)。
 この就業機会創出効果以外に、地域の高齢者福祉政策の充実、世代の近い者同士の福祉(老老福祉)による要介護者等の安心感の醸成、高齢者間のコミュニケーション機会の増大、高齢者自身が地域のサービスの担い手になることによる高齢者関連施策への理解の増進などに資する。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 本業務の開始年度である平成14年度から、高齢者の生活援助サービスに係る高齢者の就業機会が一定程度確保されるものと見込まれる。さらに、事業が地域で定着していくことにより更なる就業機会が期待される。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 高齢者の多様な就業の促進による社会参加の促進を図るには、地域に密着した仕事を確保・提供することが必要であるが、高齢者を主体として地域に密着した事業を実施している民間団体であるシルバー人材センターの育成を通じて実施していくことが適正である。

〔効果と費用との関係に関する分析〕
 本事業は、1市区町村(シルバー人材センター)当たり、2百万円程度であるが、先駆的事例では、軽度生活支援事業で12,732人日の高齢者の就業機会を確保・提供しており、雇用創出効果だけでも高い効果を生じることが期待できるものである。
 この雇用創出効果以外に、地域の高齢者福祉政策の充実等、定量化できない多様な政策効果を生むことに留意が必要である。
(4)その他
(公平性・優先性など)
 高齢化が急速に進展する中で、 高齢者のニーズに合致した就業機会の確保、高齢者の生活支援サービスの担い手の確保は急務となっており、優先的に施策を講じる必要がある。
関連事務事業 なし
特記事項  参議院労働・社会政策委員会の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、政府は、「シルバー人材センターが、高年齢者の多様な就業ニーズに的確に対応した就業機会の確保のために十分な役割を果たすよう、その運営に対する支援の強化を図ること」について適切な措置を講ずるよう努めるべきであるとされている。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 職場適応援助者(ジョブコーチ)による職場内での人的支援事業の実施
事務事業の概要 (1)目的  知的障害者、精神障害者等を中心に、就職又は職場適応に課題を有する障害者の雇用の促進及び職業生活の安定を図るため、新たに職場適応援助者(ジョブコーチ)による職場内での人的支援事業を実施する。
 即ち、障害者の雇用を促進するため、地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)において、就職が特に困難な知的障害者、精神障害者等を対象に、これらの障害者が生活する地域内の実際の事業所の作業場を活用して、職業的自立に必要な職業生活指導から技術指導まで、雇用に向けて総合的・具体的かつ実践的な援助をマンツーマンで行う事業が効果を上げている。
 また、障害の重度化・複雑化の中で、障害者の雇用の促進及び職業の安定を図るためには、就職前だけではなく、就職後においても障害者の障害特性を踏まえた専門的かつ直接的できめ細かな職場適応に係る人的援助が不可欠となってきているが、こうした人的援助を自前で行うことができる事業主はごく限定されている。
 このようなニーズに応えるため、職場適応援助者(ジョブコーチ)をその職場に派遣して職場適応等に関する相談、指導等の人的支援を行い、もって障害者の職業生活の安定を図る。
(2)内容

(1) 地域センターによるジョブコーチ支援事業(47地域センター)

 地域センターの職業カウンセラーの指示の下に、各地域センター毎に6名(東京及び大阪は12名)ずつ配置するジョブコーチが対象障害者の雇 用前及び雇用後において職場適応に係る相談・指導等の支援を実施する。

 @ 雇用前支援

イ 実施期間  2か月以上6か月以下
ロ 対象者数  1地域センターあたり年間24名(東京及び大阪センターは48名)

 A 雇用後支援

イ 実施期間  2か月以上8か月以下
ロ 対象者数  1地域センター当たり年間10名(東京及び大阪センターは20名)

(2) 協力機関を活用したジョブコーチ支援事業

 職業カウンセラーの指示の下にジョブコーチ養成研修を受講したジョブコーチ(各センター当たり10名(5施設×2名))が対象障害者の雇用 前、雇用後の職場適応に係る支援を実施する。

 @ 雇用前支援

イ 実施期間 2か月以上8か月以下
ロ 対象者数 1地域センター当たり年間10名

 A 雇用後支援

イ 実施期間 2か月以上8か月以下
ロ 対象者数 1地域センター当たり年間10名

(3) ジョブコーチの研修、ジョブコーチ推進協議会の開催、及び指導マニュアル、事例集の作成等

予算額(案) 1,814百万円
(3)達成目標  地域センターによるジョブコーチ支援事業は、平成14年度において全国47地域センターで実施する。また、協力機関を活用して行うジョブコーチ支援事業については、各地域センターで対象障害者数を順次拡大していく。(支援対象者約2,400人)
評価 (1)必要性

〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 障害者の有効求職者数は年々増加している。一方、厳しい経済状況を反映して障害者の解雇者数も高水準で推移しており、また、第9次雇用対策基本計画(平成11年8月13日閣議決定)において「障害者の職業的自立に向けては、障害者の特性、多様なニーズに対応したより実践的かつ効果的な職業リハビリテーションの充実を図り、障害者に対して就職前の職業準備訓練から就職後の職場適応まで一貫したきめ細かなサービスの提供を行う体制を整備する。」とされている。

障害者の雇用状況

  H8年度 H9年度 H10年度 H11年度 H12年度
有効求職者数 955百人 1,027百人 1,158百人 1,263百人 1,320百人
対前年比(%) 7.5% 12.8% 9.1% 4.5%
解雇者数 1,629人 2,091人 2,950人 2,425人 2,517人
対前年比(%) 28.4% 41.1% -17.8% 3.8%

〔公益性〕
 本事業は、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められた国の責務に基づいて、障害者の雇用を促進し、その職場定着を支援し、障害者の職業の安定を図るものであり公益性が高い。

〔官民の役割分担〕
 本事業は、本来、憲法に定められた勤労権の保障のため、また、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められた国の責務を果たすための障害者に対する施策であることから、雇用保険法第64条の雇用福祉事業として、全て国が行うこととしている。

〔国と地方の役割分担〕
 本事業は、障害者の障害特性を踏まえた専門的かつ直接的できめ細かな人的支援を効果的に実施するため、全国47地域の地域センターが直接支援業務を実施するとともに、地域センターを中心とした支援拠点を整備することが適当であることから、障害者職業総合センター及び各地域センターにおいてジョブコーチ養成研修を終了した者が所属している社会福祉法人、医療法人、NPO等の機関をジョブコーチ支援協力機関として指定して活用していくこととしているが、平成14年度においては、全国で764名のジョブコーチを養成し、協力機関を活用して、支援事業を実施する。

〔民営化や外部委託の可否〕
 本事業は、国が日本障害者雇用促進協会に実施させることとしている。

〔緊要性の有無〕
 次のとおり、本事業の緊要性は高い。
(1) 障害者の有効求職者数は年々増加していること、厳しい経済状況を反映し障害者の解雇者数も高水準で移行していること、

(2) 平成12年度における有効求職者数の増加は、知的障害者は対前年比:+7.3%(25,982人)、精神障害者は対前年比:+16.2%(9,342人)と障害者全体の対前年比+4.5%と比較して大きな伸びとなっていること

(3) 常用雇用知的障害者の平均勤続年数は6年10月と常用雇用身体障害者の12年と比較すると短く、職場定着がうまくいかない場合が多いものと考えられること(平成10年度障害者雇用実態調査)。

(4) 常用雇用精神障害者では、再就職率が7.1%(平成11年度職業安定所解雇届出受理状況)と、全体の平均である18.4%と比較して低いこと。

〔他の類似施策(他省庁を含む)〕
 職域開発援助事業(平成14年度において本事業と統合)

(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 職域開発援助事業における就職率は8割程度と障害者の雇用促進等に極めて有効であることが判明しており、また、パイロット事業も、10地域センターで実施した結果、その有効性が確かめられた。新事業は、就職前はもとより就職後についても引き続き一貫して支援することとしており、障害者の職業の安定を図る上で一層の効果が見込まれる。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 専門的かつ直接的な支援によって、知的障害者等の就職の促進及び職業生活の安定に即効性を有するものと見込まれる。
 ただし、現在の障害者を取り巻く雇用失業情勢は厳しく、障害者の求職者も増加の一途をたどっているところであり、ノーマライゼーションの理念の実現までには長時間を有するものである。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 知的障害者、精神障害者等を中心とした就職と職場適応に課題を有する障害者の職場定着を高めるために、雇用前平均3か月、雇用後平均4か月の専門的かつ直接的できめ細かなジョブコーチ支援が効率的であり手段として適正なものである。
(4)その他
(公平性・優先性など)
なし
関連事務事業 医療・福祉等の分野における職リハ人材育成研修事業
特記事項 〔各種政府計画との関係遵守状況〕
 平成11年8月に閣議決定された「第9次雇用対策基本計画」において、「障害者の職業的自立に向けては、障害の特性、多様なニーズに対応したより実践的かつ効果的な職業リハビリテーションの充実を図り、障害者に対して就職前の職業準備訓練から就職後の職場適応まで一貫したきめ細かなサービスの提供を行う体制を整備する。さらに、障害者の就職や職場適応を適切に支援していくために、関係機関も含めて職業リハビリテーションに関する人材の養成と資質向上を推進する。」とされているところである。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 障害者就業・生活支援センター(仮称)事業
事務事業の概要 (1)目的  知的障害者、精神障害者及び重度身体障害者等の雇用を進める上で、就職や職場適応などの就業面の支援ばかりでなく基本的な生活習慣の形成や日常生活の管理など生活支援も重要であり、就業面及び生活面で一体的かつ総合的な支援が展開できる体制が必要となっている。
 このため、平成11年度より、試行的に実施してきた「障害者就業・生活総合支援事業」の成果等を踏まえ、職場不適応により離職した者、再就職が困難な障害者、学卒の就職者など職場定着の困難性が高い障害者などの就業・生活支援を、障害者の身近な地域で行えるようにするため、地域における雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携の拠点として、新たに「障害者・就業生活支援センター」(仮称)を設けて、就業面及び生活面での一体的かつ総合的な支援を本格的に展開する。
(2)内容  障害者就業・生活支援センター(仮称)の事業は、社会福祉法人、民法法人等にこれを行わせるものとし、その業務は次のとおりとする。

(1) 離職した障害者等について、就業に関する相談及びこれに伴う日常生活上の相談を行うこと。

(2) 公共職業安定所、事業主との調整等、障害者の求職活動についての支援を行うこと。

(3) 障害者に対して職業準備訓練をあっせんし、職場実習先との調整等を行うこと。

(4) 就職後の障害者に対して必要な助言等を行うこと。

(5) 事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うこと。

(6) 障害者が離職した場合に、関係機関と連携して、再就職のための支援や社会福祉施設への一時的入所についてのあっせん等を行うこと。

(7) 養護学校等を卒業して就職した障害者のフォローアップを行い、教育機関や父母等と連携して職場定着等のための支援を行うこと。

(8) 障害者雇用の支援を行うボランティア(障害者雇用支援者)に関する情報の収集及び提供、障害者雇用支援者に対する研修を実施すること。

予算額(案) 420百万円
(3)達成目標  平成14年度については各都道府県1カ所(47センター)で実施し、各地域の支援ニーズに応じて、当面、各都道府県2〜3カ所で実施することを目標として、障害者の就業・生活の支援を行う。
評価 (1)必要性

〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 障害者の有効求職者数は年々増加しており、厳しい経済状況を反映して障害者の解雇者数も高水準で推移している。また、第9次雇用対策基本計画(平成11年8月13日閣議決定)において「障害者が地域で生活しながら働き続けるための就業面・生活面を通じた総合的な支援体制を整備する。」こととされているなど、本事業は国民や社会のニーズに即したものである。

障害者の雇用状況

  H8年度 H9年度 H10年度 H11年度 H12年度
有効求職者数 955百人 1,027百人 1,158百人 1,263百人 1,320百人
対前年比(%) 7.5% 12.8% 9.1% 4.5%
解雇者数 1,629人 2,091人 2,950人 2,425人 2,517人
対前年比(%) 28.4% 41.1% -17.8% 3.8%

〔公益性〕
 本事業は、就職が特に困難である知的障害者、精神障害者、重度身体障害者等の職業的自立を目指して行う事業であり、これら障害者の雇用の促進と職業の安定に資するものであるため、公益性が高い。

〔官民の役割分担〕
 本事業は、本来、憲法に定められた勤労権の保障のため、また、障害者の雇用の促進等に関する法律(第2条の5)に基づき、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るためのものであり、雇用保険法の雇用福祉事業として国が行うこととしている。

〔国と地方の役割分担〕
 本事業は、各都道府県知事がセンターを1カ所ずつ合計47カ所指定し、国が当該センターに対し業務を委託して実施する。

〔民営化や外部委託の可否〕
 「障害者就業・生活支援センター」(仮称)は、業務を円滑に進めるため、障害者の実態をよく把握している社会福祉法人及び民法上の法人(財団、社団)に国が事業を委託して実施する。

〔緊要性の有無〕
 障害者の有効求職者数は年々増加しており、厳しい経済状況を反映して障害者の解雇者数も高水準で推移しているなど、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため、早急に対策を講じる必要性がある。
 加えて、授産施設、福祉工場等に在所している者の数は、年々増えてきており、そのうち40%以上が「福祉施設を出て企業で働きたい。」(出典:平成12年度「利用者の自立生活支援に関する実態調査」/全国社会福祉協議会・全国社会就労センター協議会)と考えていること等から福祉面及び就業面が一体となった支援に対する緊要性は高い。

知的・精神通所授産施設在所者数の推移

  H8 H9 H10 H11
在所者数(人) 26,086 28,611 31,467 34,182
対前年比(%) - 9.7 10.0 8.6
(平成11年度 社会福祉施設等調査報告)
(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 主に生活支援を行っている一般の福祉施設からの就職希望者の就職率は、数パーセント程度であるが、試行事業において生活支援及び就労支援の両面から支援を行った場合の就職率は、平成12年度で52.2%となっている。
 このように、本事業の障害者の雇用促進に及ぼす効果は大きい。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 地域において就業支援及び生活支援を一体的に行うものであるため、障害者の雇用支援に即効性が見込まれる。ただし、現在の障害者を取り巻く雇用失業情勢は厳しく、障害者の求職者も増加の一途をたどっているところであり、ノーマライゼーションの理念の実現までには長時間を有するものである。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 職場不適応により離職した者など再就職や職場定着の困難性が高い障害者の雇用を進める上で、就職や職場適応などの障害者の就業支援ばかりではなく、生活習慣の形成や日常生活の管理など生活支援も重要であり、身近な地域で、障害者の就業面及び生活面の支援に知識と経験を有する社会福祉法人等が実施する本事業の手段は、適正なものである。
 また、障害者が施設入所を続ける場合の社会的コストと比較すれば、その効率性は高い。
(4)その他
(公平性・優先性など)
なし
関連事務事業
  •  医療・福祉等の分野における職リハ人材育成研修事業
  •  知的障害者生活支援事業
特記事項 〔各種政府計画との関係及び遵守状況〕
 平成11年8月に閣議決定された「第9次雇用対策基本計画」において、「障害者が雇用の分野と福祉の分野を円滑に移行できるようにする等、福祉、医療、教育等地域の関連機関のネットワークの形成を積極的に推進し、障害者が地域で生活しながら働き続けるための就業面・生活面を通じた総合的な支援体制を整備する。」とされている。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課


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