事業評価書( |
| ・事後) |
評価対象(事業名) | 児童虐待防止対策支援事業 | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 雇用均等・児童家庭局 総務課 |
関係部局・課 |
番号 | ||
基本目標 | 6 | 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること |
施策目標 | 6 | 児童虐待や配偶者による暴力を防止すること |
I | 児童虐待の発生件数を減少させること |
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平成16年4月に成立した「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」及び現在、国会で継続審議とされている「児童福祉法の一部を改正する法律案」を踏まえ、児童相談体所の児童虐待防止体制のより一層の充実強化を図るため、これまで実施してきた「家庭支援体制緊急整備促進事業」と「子育て支援総合推進モデル都道府県事業」を整理し、新たに「24時間・365日体制整備事業」及び「児童福祉司資格取得のための研修」を加えた「児童虐待防止対策支援事業」を実施するものである。
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H13 | H14 | H15 | H16 | H17 | ||||||||||||||||||||
291 | 334 | 363 | 558 | 558 (203) |
(1)現状分析 児童虐待の一つの動向を示す児童相談所の虐待に関する相談処理件数は、ここ数年急増しており、児童虐待の防止等に関する法律施行前の平成11年度の約1万2千件から平成15年度には約2万7千件(速報値)に倍増しており、深刻な児童虐待が頻発する中で、児童相談体制の充実は喫緊の課題となっている。 このような現状を踏まえ、平成15年11月に取りまとめられた社会保障審議会児童部会の報告書においては、虐待の困難事例の増加に対応するため、一義的には市町村が相談を担うこととした上で、都道府県(児童相談所、保健所等)が専門性を踏まえた市町村を後方支援すべきことが指摘されており、地域全体として相談体制の充実を図ることが必要である。 ※数値は、厚生労働省「社会福祉行政業務報告」による。
(2)問題点児童相談所は、児童に関するあらゆる相談に応じているが、児童虐待相談件数の急増等の厳しい状況の中で、こうした幅広い相談業務の全てに対応しきれていない状況や、家庭に介入するケースや医学的治療が必要となるケースが増えるなど、これまでの児童相談所の体制だけでは十分な対応ができない状況がある。 (3)問題分析 児童福祉法の改正案では、児童相談に関し市町村が担う役割を法律上明確化し、児童相談所の役割については、専門性の高い困難事例や市町村の後方支援に重点化していくこととしており、新たな相談体制での実施を担保するためには、児童相談所の専門性の確保・向上等を図るとともに、市町村の相談体制を後方支援することが必要である。 (4)事業の必要性 児童相談所の専門性の確保・向上等を図るためには、医療、司法その他の専門機関や職種の協力を得て実施する各種の強化事業を実施するとともに、児童相談所において虐待問題に中心的に取り組んでいる児童福祉司の専門性を充実・強化する必要がある。このため、児童福祉法を改正し幅広い人材が登用できるようにすることとしており、保健師等の新たな職種が児童福祉司の任用資格を取得するためには研修が義務づけられることから、都道府県が実施主体となり行う研修事業を実施する。 また、市町村を後方支援するためには、主任児童委員等の協力体制を整備する事業や児童相談所の持っている相談対応や情報提供等のノウハウを市町村に伝達する事業を実施するとともに、児童虐待への早期対応や、児童福祉法の改正案により新たに市町村も虐待の通告先となることから、市町村との役割分担や後方支援の観点も踏まえ、児童相談所において夜間休日を問わず、いつでも相談に応じられる体制を整備する事業を実施する必要がある。 |
目標達成年度 | |||||||
政策効果が発現する時期 | 実施(平成17年度)以降随時効果の発現が見込まれる | ||||||
アウトプット指標 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | 目標値/基準値 | |
事業実施か所数 | 60か所 | ||||||
(説明) 本事業は児童相談所を設置する全ての自治体での実施が望まれる。 |
(モニタリングの方法) 交付申請書 |
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アウトプット指標 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | 目標値/基準値 | |
家族の養育機能の再生に向けた支援の実施状況 | 未定 | ||||||
(説明) これまで施設入所措置に留まっていた支援が、専門性の確保・向上等により、家族機能の再生などの支援まで拡充される。 |
(モニタリングの方法) 平成17年度より社会福祉行政業務報告で実施予定 |
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参考指標(過去数年度の推移を含む) | H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||
(説明) |
(モニタリングの方法) |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) ・児童相談所は、強制的な親子分離、施設入所措置の決定、親権者の親権喪失の請求など強制的な権限を有しており、民間で行うことは困難である。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) ・児童虐待防止法第4条第1項において、国及び地方公共団体の責務として、児童虐待の早期発見・早期対応に向けて、関係機関及び民間団体の連携強化、その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならないことを規定している。 このため、地方レベルの機関、中でも児童虐待の中核機関である児童相談所を核として、他の機関と連携を図りながら、国が率先して取り組む必要がある。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) ・児童虐待防止対策支援事業の中の1事業である市町村及び民間団体との連携強化事業では、NPO法人等の民間団体と連携し、職員の研修、保護者指導、家族再統合の取組み等を実施することとしている。また、児童福祉司任用資格取得のための研修の実施にあたっては、民間団体に委託することも可とする予定である。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) ・虐待は時に、子どもの生命を奪いかねないとともに、子どもの心身の成長や人格の形成など、子どもの健全な成長に重大な影響を与え、更には虐待の世代間連鎖を引き起こすこともあるといわれており、その対応は早急に取り組むべき社会全体の課題であることは明白である。 |
政策効果が発現する経路 |
(地域) ・主任児童委員等の協力体制の整備による児童虐待の早期発見・早期対応 ↓ (市町村) ・児童相談所の後方支援を受けながら軽易な相談に対応 ↓ (児童相談所) ・専門性を強化し困難な相談に適切に対応(重篤なケースは親子分離) ・夜間休日を問わず相談に対応 ↓ (施設入所等) ・保護者に対するカウンセリング等を通じた家族の養育機能の再生支援 ↓ (地域) ・親子分離されていた家族の再統合(施設入所児童の家庭復帰) ※下線が今回強化する事業 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
児童相談所の専門性が強化されることにより、これまで施設入所措置に留まっていた支援から家族の再統合に向けた支援等よりきめ細やかな対応が可能となるとともに、市町村と児童相談所の役割分担に応じた対応が可能となり、住民に身近な市町村において虐待の未然防止・早期発見の取組が図られることとなる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
手段の適正性 | |||||
当該事業を行わない場合には、児童相談所の専門性が強化されないため困難事例に対応できず、児童福祉法の改正案で予定している児童相談所と市町村の役割分担が実効上困難となり、児童虐待の防止の成果が現れないことが想定される。さらに、夜間休日対応が進まず、早期対応が図られないこととなり、効果的な虐待防止対策が行われないこととなるため、当該事業は手段として適正である。 | |||||
費用と効果の関係に関する評価 | |||||
児童相談所の専門性を強化し、市町村において相談体制を整えることは、虐待の未然防止、早期発見につながることから、子どもや家族にとって望ましいことはもとより、社会的コストを大幅に節約できるものと考えられる。 米国のNPO(Prevent Child Abuse America)の試算によれば、児童虐待の社会的コストは治療費やカウンセリング費用など直接費用として年間2兆9000億円、加害者である親へのカウンセリングや就労できない場合の生産損失等が8兆3800億円とされている。 |
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他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
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3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
(3)総務省による行政評価・監視等の状況
(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
(5)会計検査院による指摘
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