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(21)
事業評価書(
事前
・事後)
平成15年8月

評価対象(事業名) 地域小規模児童養護施設の拡充
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局 家庭福祉課
関係部局・課  


1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会作りを推進すること
施策目標 児童虐待や配偶者により暴力を防止すること
児童虐待の発生件数を減少させること

(2) 事業の概要
事業内容(新規・
一部新規
 地域小規模児童養護施設は、現に児童養護施設を運営している法人の支援のもと、地域社会の民間住宅等において近隣住民との適切な関係を保持しつつ、家庭的な環境の中で養護を実施することにより、児童の社会的自立の促進に寄与することを目的とするものである。平成12年度より実施し、平成15年度においては40カ所の予算措置をしているものであるが、これを更に拡充することとしている。
予算概算要求額(単位:百万円)
H12 H13 H14 H15 H16
42 125 163 323 予算調整中

(3) 問題分析
(1)現状分析
 児童養護施設への虐待を受けた児童の入所が年々増加している。
(虐待相談の結果、児童養護施設に入所した児童数:H11 1,585人 H12 1,909人 H13 2,053人)
(2)問題点
 現在、児童養護施設の約7割は、1舎20人以上の大舎制であるが、虐待を受けた児童は、他者との信頼関係の構築が困難などの傾向が強く、集団生活の中でケアすることは難しい場合が多い。
(3)問題分析
 児童養護施設には虐待を受けた児童の入所が増加しているが、虐待を受けた児童に他の人との関係を再び良好にするためのケアや、どのように甘えたらよいかわからないなど愛着障害を起こしている児童へのケアを行っていくためにはこれまでの集団による養育では限界があり、できる限り家庭的な環境の中で、職員との個別的な関係を重視したきめ細かなケアを提供していくことが求められている。
(4)事業の必要性
 上記のことから、虐待を受けた児童へのケアには、施設を小規模化し、家庭的な環境の中で養育することが必要となっている。

(4) 事業の目標
目標達成年度  
政策効果が発現する時期  
アウトプット指標 H16 H17 H18 H19 H20 目標値/基準値
             
(説明)地域小規模児童養護施設の施設数
(モニタリングの方法)
都道府県等からの報告


2.評価
(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)地域小規模児童養護施設の設置は、虐待を受けた児童へのケアのために、喫緊の課題であり、児童の健全育成の観点から、国で率先して行う必要がある。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)地域小規模児童養護施設の設置は、虐待を受けた児童へのケアを行うためにも、全国的に一定の基準に基づき設置する必要があり、そのために、国が中心となって実施する必要がある。
民営化や外部委託の可否
   否
(理由)公立の施設だけではなく、社会福祉法人が経営する施設についても施策・負担の対象としているので、民営化も可能。
緊要性の有無
   無
(理由)児童養護施設への虐待を受けた児童の入所が年々増加しているため、緊急に対応する必要がある。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 集団による養育よりも家庭的な小規模な養育を行うことにより、入所児童へのより個別的なケアの確保が図られ、入所児童の安心感、安全感を確保することができ、児童の健全育成に資する。
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 今後、施設の小規模化を図っていくことにより、より家庭的な環境の中での養育が確保されることになり、児童の健全育成に資することができる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 施設を小規模化したことによって入所児童の安全で安心な環境を保障するだけではなく、家庭復帰に向けて保護者との関係を再び良好にするよう図っていくことが必要。

(3) 効率性
手段の適正性
 家庭的な環境の中での養育が確保されることにより、児童の安心感・安全感が確保されることにより、他者に対する信頼関係が構築され、児童の健全な育成を図ることができる。
費用と効果の関係に関する評価
 職員配置を厚くすることになるが、より個別的なケアが確保されることになり、入所児童の健全な育成につながる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  無
(有の場合の整理の考え方)
 平成16年度要求事項となっている施設のユニット化もより個別的なケアを図るものであるが、ユニット化は既存施設内で行うものであるのに対し、地域小規模児童養護施設は、地域で生活するものである。

(4) その他
 



3.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 社会保障審議会児童部会の児童虐待の防止等に関する専門委員会報告書(平成15年6月18日)において、児童福祉施設等については、「子どもの社会的自立に向け、安全で安心した生活環境を保障するとともに、個々の状況に応じてきめ細やかなケアと治療を可能とする規模の小さな施設や里親制度の充実、自立援助ホームの充実等について検討していくことが必要である。」とされている。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成15年6月16日参議院の児童虐待の防止に関する決議において、「一時保護所や児童養護施設等における居住性の向上、被虐待児への個別対応を図るため、これらの施設の充実、関係職員の資質の向上及び増員に努めること。」とされている。

(5) 会計検査院による指摘
なし


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