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(15)
事業評価書(
事前
・事後)
平成15年8月

評価対象(事業名) 一般事業主行動計画策定等支援事業
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
関係部局・課  


1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てられることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 働きながら子どもを産み育てることなどを容易にする雇用環境を整備すること
II 育児・介護をしながら働き続けやすい環境を整備すること

(2) 事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 次世代育成支援対策推進法第20条に基づき、一般事業主行動計画の策定を支援するため、厚生労働大臣が次世代育成支援対策推進センターを指定することとしているが、特に計画策定が困難であると思われる中小企業を傘下に多く擁し、全国的に積極的な活動を行う次世代育成支援対策推進センターにおいて、具体的な取組の実施に当たって参考となる好事例の収集、講習会の実施等の援助を行うものであり、以下の事業を実施する。
(1)  一定の要件を満たす次世代育成支援対策推進センターに対して以下の事業を委託する。
(1) 一般事業主行動計画の策定・実施についての好事例の収集及び好事例集の作成並びに地域別、業種別のモデル行動計画の策定
 ・好事例の収集・調査、モデル行動計画の策定
(2) 一般事業主行動計画の策定・実施等次世代育成支援対策に関する地域別、業種別講習会の実施
 ・講習会の開催
(2)  次世代育成支援対策推進員を主要な次世代育成支援対策推進センターに設置することによる、センター事業と一体となった一般事業主に対する支援
予算概算要求額(単位:百万円)
H12 H13 H14 H15 H16
24

(3) 問題分析
(1)現状分析
 少子化の背景として、仕事と子育ての両立の負担が指摘されており、少子化の流れを変えるためには、労働者が子育てしながら働き続けやすい、子どもを安心して生み育てやすい職場環境を整備することが必要不可欠である。
 しかし、現状を見てみると、育児休業の取得率については、平成11年度で男性0.42(0.55)%、女性で56.4(57.9)%と低い状況にあること、また、制度の導入状況については、小学校就学までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置については平成11年度で7.0%(9.2%)、子どもの看護休暇制度については、平成11年度で8.0%(11.2%)となっている。
 このように仕事と子育てを両立しやすい環境の整備の状況については、一定程度進みつつあるものの、今後より一層仕事と子育ての両立を推進する必要がある。このため、「次世代育成支援対策に関する当面の取組方針」に掲げられた育児休業取得率等の達成に向けた取組を行うとともに、事業主が行動計画を策定するための枠組みを整備することなどを内容とする次世代育成支援対策推進法を国会に提出しているところである。

数値は、厚生労働省「女性雇用管理基本調査」(平成11年度)による。( )内は 30人以上規模。

(2)問題点
 仕事と子育てとを両立しやすい雇用環境をより一層整備するためには、個々の企業において主体的に取り組むという意識がさらに高まることが重要である。

(3)問題分析
 少子化の流れを変えるため、子育てしながら働きやすい環境づくりを一層進めるに当たっては、育児・介護休業法に規定されている措置のような最低基準の法定制度を導入することだけでなく、安心して子を産み育てられる職場環境づくりに向け、幅広く個々の事業主がその業種等の実情に応じた方策を講じることが必要である。

(4)事業の必要性
 今回の一般事業主行動計画の策定は、新たに事業主に義務が課されるものであり、その十分な実施を促進するにあたっては、一般事業主行動計画策定指針の周知だけでなく、本事業の実施により、具体的に当該地域及び当該業種における実情に即してどのような計画を作成すればよいかについて、事業主に対しアドバイスする等の支援を行うことが必要であると考えられる。

(4) 事業の目標
目標達成年度  
政策効果が発現する時期  
アウトカム指標 H16 H17 H18 H19 H20 目標値/基準値
一般事業主行動計画の策定・実施等次世代育成支援対策に関する地域別、業種別講習会の実施回数            
(説明)
 次世代育成支援対策推進センターにおいて、企業を対象に行うもの
(モニタリングの方法)


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 本事業は少子化対策の施策の一環として、次世代育成支援対策推進法において301人以上の労働者を雇用する事業主に義務づけられた行動計画の策定を円滑に進めるためのものであるため、行政が関与することが不可欠である。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 一般事業主行動計画の策定は、次世代育成支援対策推進法により全国一律に301人以上の規模の事業主に義務が課されたものであり、策定に対する支援も全国一律に実施することが必要であるため、本事業は国において実施すべきものである。
民営化や外部委託の可否
   否
(理由)
 本事業の実施に当たっては、地域別・業種別などの個々の企業の実態に応じ、適切な相談等の援助を行うことができるものとして一般事業主の団体等を指定する次世代育成支援対策推進センターにおいて実施することとしている。
緊要性の有無
   無
(理由)
 少子化の急速な進行が、将来の社会経済に重大な影響を及ぼすことが懸念されている中で、働きながら子どもを産み育てやすい職場環境の整備を進めることは喫緊の課題となっており、次世代育成支援対策推進法に定められた事業主の行動計画策定の取組の第一歩を円滑に進めることが期待される本事業の緊要性は高いものと考えられる。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
<投入>
(1)一般事業主行動計画の策定・実施についての好事例の収集及び好事例集の作成並びに地域別、業種別のモデル行動計画の策定
(2)一般事業主行動計画の策定・実施等次世代育成支援対策に関する地域別、業種別講習会の実施
(3)次世代育成支援対策推進員を主要なセンターに設置することによる、センター事業と一体となった一般事業主に対する支援 ↓

<結果>
各企業の実情に応じた適切な一般事業主行動計画の策定・実施等次世代育成支援対策の推進
<成果>
労働者が安心して子どもを産み育てられる職場づくりの実現

これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 労働者が安心して子を産み育てられる職場づくりが実現することにより、少子化の背景として指摘されている仕事と家庭の両立の負担感を軽減することにつながり、少子化の流れを変える施策の一つとしての効果の発現が見込まれる。

政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 

(3) 効率性
手段の適正性
(a)当該事業を行わない場合
 法律により一定の事業主に義務づけられた一般事業主行動計画の策定を、具体的にどのように行ったらよいのか分からないなどの混乱が生じ、次世代育成支援対策推進法の趣旨に照らし十分な成果が現れないことなどが想定される。

(b)ほかに想定しうる手段で行った場合
 例えば、単に一般事業主行動計画策定指針を周知するのみであれば、個々の企業がその業種の特性などの実情に応じた計画の策定が十分にできないことや、計画が形式的なものにとどまってしまい、策定した行動計画が十分な効果を発揮しないなどの事態が想定される。

(c)当該事業を行った場合
 当該事業の実施によって計画を策定する事業主にきめ細かな支援を行うことで、個々の事業主の実情に合った効果的な行動計画の策定につながり、ひいては子どもを産み育てやすい職場づくりの実現が図られる。

費用と効果の関係に関する評価
 本事業の経費は、一般事業主行動計画の効果的な策定のために最低限必要な取組の必要経費であり、この費用の投入により、子どもを安心して産み育てられる職場づくりの実現→少子化の流れの変化→わが国の社会経済に与える深刻な影響の回避という大きな効果が得られるものである。
 また、本事業の実施に当たり一般事業主の団体等を次世代育成支援対策推進センターとして指定することにより、相談等のノウハウを有する民間活力を有効に活用することとなるため、費用対効果は高い。

他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 本事業は、わが国の喫緊の課題となっている少子化対策の取組の一つとして、労働者が安心して子どもを産み育てられる職場づくりの実現に向けて必要な事業であり、その優先度は非常に高いものと考えられる。


3.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 平成15年3月14日「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を少子化対策推進関係閣僚会議において決定。この中で、今後の政府の推進方策として、平成15年において次世代育成支援対策推進法案を国会に提出し、平成17年度からの事業主行動計画の円滑な実施を支援することとされている。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)

(5) 会計検査院による指摘


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