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(14)
事業評価書(
事前
・事後)
平成15年8月

評価対象(事務事業名) 障害者の態様に応じた委託訓練の実施
担当部局・課 主管課 職業能力開発局能力開発課
関係課  


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 労働者の職業能力の開発及び向上を図るとともにその能力を十分に発揮できるような環境の整備をすること
施策目標 労働者の就業状況等に対応した多様な職業訓練・教育訓練の機会の確保を図ること
V 障害者等特別な配慮を必要とする人たちへの対応を推進すること

(2) 事務事業の概要
事業内容(新規・
一部新規
 現下の厳しい雇用情勢の下、障害者についても解雇者が高水準で推移し、また、新規の求職登録者も増加傾向にある。一方、事業主側については、法定雇用率に係る除外率の引き下げに伴い、平成16年度より雇用すべき障害者数が増加することとなる。
 このような下で、企業の人材ニーズに対応した訓練を実施し就職を促進していくためには、実践力を付与するための実習型の訓練を含む多様な訓練機会を確保し、提供していく必要がある。
 このため、これまで実施してきた民間教育訓練機関への委託訓練を充実させ、特例子会社、重度障害者多数雇用事業所、社会福祉法人、NPO、授産施設、障害者を雇用予定の事業主等多様な訓練委託先を開拓するとともに、個々の障害者及び企業の人材ニーズに対応した座学と実習を組み合わせた訓練や、雇用率未達成企業における事業主委託訓練のコーディネイトを行うこととする。

予算額(単位:百万円)
H12 H13 H14 H15 H16
126 126 126 126 1,288

(3) 問題分析
(1)現状分析
 障害者に対する職業訓練定員(施設内普通訓練)は、平成14年度で2,750人となっており、昭和63年度以降、ほぼ横ばいで推移してきている。
 一方、平成14年度末の有効求職障害者数は、155,180人で、昭和63年度末と比較して、約3.3倍に、前年度末と比較すると7.9%増加しており、雇用・就業を希望する障害者は増加しているものの、訓練定員は横ばいで推移している。
 また、平成14年度末の有効求職障害者数と比較すると、訓練定員の規模は2%未満にとどまっている。
 また、施設外訓練(委託訓練)の委託先は民間教育訓練機関に限定されており、実施数も平成15年度計画で18施設(定員445名)にとどまっている。
 このように、障害者の職業能力開発については、絶対数が不足している。
(2)問題点
 (1)の背景として、
 ・  現下の厳しい経済情勢を反映し、障害者の解雇者数についても高水準で推移していること。
 ・  委託訓練の委託元が国立・都道府県営の障害者職業能力開発校に限定されていること。
 などがある。
(3)問題分析
 (1)のような現状にあたり対応すべき問題として、
 ・  障害者職業能力開発校を設置している都道府県は、全国で17か所と地域的に偏在していること。
 ・  障害者雇用に係る企業の人材ニーズに応じた委託先を開拓する体制が整っていないこと。
 ・  委託先について、障害者の職業訓練のノウハウを十分もっていないこと。
 ・  また、従来の委託訓練は教育訓練機関での座学による訓練が中心であったが、実践力の習得が十分できないこと。
などがある。
(4)事業の必要性
 以上のように訓練機会が限られている一方、就職に結びつく訓練需要が増大している中で、実践的な職業能力開発機会を確保するため、国立県営の障害者職業能力開発校からの委託に加え、都道府県立の職業能力開発校からの委託も可能とした上で、社会福祉法人、NPO,重度障害者多数雇用事業所など多様な職業能力開発資源を活用した座学と実習を組み合わせた委託訓練を実施し、障害者の居住する身近な地域において多様な訓練機会を提供し、企業の人材ニーズに応じた訓練を実施し障害者の就職促進を図る必要がある。

(4) 事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 平成16年度
アウトプット指標 H16 H17 H18 H19 H20 目標値/基準値
訓練受講者数            
就職率            
(説明)
 当該指標を確認することにより、障害者の雇用促進効果の確認が可能
(モニタリングの方法)
 事業実施報告


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 本事業は、障害者の雇用促進という国の責任で行うべき雇用対策の一環として、障害者の能力開発を行うものであり、公益性を有する。

国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 障害者の職業訓練については、国として特定の地域に偏ることがないよう、全国的な視野にたった配慮を行うことが障害者の訓練受講機会の均等の観点から必要であり、国と地方の連携体制を確立しつつ実施していく必要があることから、国で実施することが適当。
民営化や外部委託の可否
   
(理由)
 本事業は一般の職業能力開発校で訓練科を設置して実施するよりも、効率的、効果的な訓練について、多様な職業能力開発資源の有効的な活用の観点から、民間への委託により実施するものである。
緊要性の有無
   無
(理由)
 近年の急激な産業構造等の変化、厳しい雇用失業情勢等の中で、障害者の解雇者等が増加しており、障害者の能力開発を効果的・効率的に実施することは喫緊の課題である。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 特例子会社、重度障害者多数雇用事業所、社会福祉法人、NPO、授産施設等、多様な委託訓練先を活用して、個々の障害者の態様に応じた訓練を実施することにより、障害者の能力開発と就職の促進を図ることができる。

これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 技術革新の急速な進展、産業構造の変化に伴い、障害者に求められる職業能力が多様化している中で、地域での民間教育訓練資源の有効活用を図ることにより、地域における能力開発の機会を確保することは、障害者が習得できる能力の幅を広げ、職業のミスマッチの解消、ひいては、雇用の安定・拡大につながるものである。
 また、障害者に多様な能力開発の機会を提供することは、解雇者、離転職者の増加に歯止めをかけるとともに、未就職者である期間の長期化を防止し、障害者の能力蓄積や就業意欲の向上につながるものである。

政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 特になし

(3) 効率性
手段の適正性
 企業の人材ニーズに対応した訓練を実施し就職を促進していくためには、実践力を付与するための実習型の訓練を含む多様な訓練機会を確保し、提供していく必要があることから、委託による事業実施は、手段として適正である。

効果と費用との関係に関する分析
 委託訓練は、既存の民間機関等の就職支援措置の有無等を勘案しながら応募した機関を選定するものであり、より少ない経費で一定の効果を得ることができるものと思料される。

他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 特になし



3.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
特になし
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
特になし
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
特になし
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
特になし
(5) 会計検査院による指摘
特になし


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