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事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名) 疾患関連たんぱく質解析プロジェクト研究経費(仮称)
担当部局・課 主管課 医政局研究開発振興課
関係課 大臣官房厚生科学課


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 11 国民生活の向上に関わる科学技術の振興を図ること
施策目標 研究を支援する体制を整備すること
I 厚生科学研究費補助金の適正かつ効果的な配分を確保すること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 公的研究機関及び製薬企業等からなるコンソーシアムを設置し、高血圧、糖尿病、がん、痴呆等を対象として、疾患からのアプローチによる集中的プロテオーム解析により、新薬シーズの発見につながるタンパク質の研究を行うもの。
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
        4,000

(3) 問題分析
(1)現状分析
 「ゲノム創薬」に向けた研究開発国際競争の激化し、「ゲノム創薬」の日米企業の研究開発費の格差の拡大する中(1990年の米国1社当たりの研究開発費603億円、日本1社当たり263億円 → 2000年の米国1社当たりの研究開発費2310億円、日本1社当たりの研究開発費488億円(日本製薬工業協会「データブック2002」))、我が国の医薬開発に関するシーズの発見を欧米と伍する競争力を強化に資する基盤技術を確立する。
(2)原因分析
 欧米では、「ゲノム創薬」に関する開発費の増加に対応すべく、急速かつ大規模なM&Aが実施しているが、我が国では欧米程の進展はされていない。
(3)問題点
 ゲノム競争では欧米と競争にすらならなったと評価されているが、当初10万と推定された遺伝子が3万〜4万程度しかないことが判明し、ゲノム研究のみでは疾患の原因、新薬シーズの発見に必ずしもつながらないことがわかった。研究のステージは、疾患の発現等に関与する10万のタンパク質の研究に関する競争が激化しつつある状況だが、欧米企業の研究開発に5〜6倍の開きがあり、また、日米政府の各ライフサイエンス関係予算にも8倍程度の開きがある現状では、企業の研究開発体制及び国の研究支援が国際競争力強化に資する状態にあるとは言えない。
(4)事務事業の必要性
 ヒト遺伝子に存在するSNPsを約20万個特定するとともに、平成13年度末までにヒト完全長cDNAを約3万個取得する等の優位性があり、少ない研究資源を重要な基盤技術の確立分野に選択的かつ集中的に配分し、優位性を活かすような標記研究事業を実施することが必要である。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期)  
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
新薬シーズとなるタンパク質探索への寄与            
(説明)
 画期的新薬への疾患関連タンパク質データの活用状況
(モニタリングの方法)
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
研究課題採択数            
(説明)
 実際に採択された課題の数をアウトプット指標とする。なお、採択課題数が多いほど、行政上適切であるとは限らない。また、研究成果については、事後評価委員会を設置し、専門家及び行政官による事後評価を行う。
(モニタリングの方法)


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 保健医療技術の向上及び経済活性化に資する基盤技術の確立を官民共同で実施するもの。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 保健医療技術の向上及び経済活性化に資する基盤技術の確立のため。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 本事業は、行政上必要な研究課題について公募を行い、採択課題に対し補助金を交付し、その研究成果を施策に反映させることを想定しているものである。従って、本事業そのものを民営化、外部委託することは困難であるが、事務的な手続きを外部に委託することは可能である。また、補助金を受けた研究者が、調査や資料の解析を外部に委託することは現状でも行っている。
緊要性の有無
(理由)
 新薬シーズの発見の競争に遅れないためには来年度から早急に実施する必要がある。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 疾患アプローチによるプロテオーム解析の実施 → 疾患タンパク質の基盤データの確立→製薬企業や公的研究機関における活用→新薬シーズの発見、疾患機序の解明→新薬の開発、治療法、診断薬等の開発→画期的医薬品を必要な患者に提供、国内製薬企業の活性化に伴う経済活性化
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 疾患関連タンパク質のデータを活用し、我が国の製薬企業での新薬開発や研究機関での疾患機序の解明につながるものと見込まれる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 


(3) 効率性
手段の適正性
 疾患関連タンパク質の研究には、サンプルの提供においては医療機関の協力が不可欠であること。欧米との競争力強化の観点からは、個々の企業や研究機関で研究手法等を分散して研究するより、集中的に実施することが効果的である。
効果と費用との関係に関する分析
 疾患からのアプローチにより、平成20年頃に年間売上1千億円以上の画期的新薬のシーズを5疾患で2〜3個発見することを目標とし、年間1兆円以上(1000億円/年間×2.5(2〜3個のシーズ)×5疾患=1兆2500億円/年)の市場効果が見込まれる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 なし




3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし


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