事業評価書( |
|
・事後) |
評価対象(事務事業名) | 子どもを安心して産み育てられる職場づくり推進事業 | |
担当部局・課 | 主管課 | 雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 |
関係課 |
番号 | ||
基本目標 | 6 | 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能とする社会づくりを推進すること |
施策目標 |
3 | 働きながら子どもを産み育てることなどを容易にする雇用環境を整備すること |
I | 育児・介護休業を取りやすく、職場復帰をしやすい環境を整備すること。 |
|
||||||||||||||||
少子化対策についての総理指示を受け、設定することとしている育児休業の取得率、子の看護休暇制度の普及率及び勤務時間短縮等の措置の普及率についての具体的目標の達成を始め、仕事と子育てを両立しやすくするための制度の普及や制度を利用しやすい職場づくりのため、
|
||||||||||||||||
予算額 | (単位:百万円) | |||||||||||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||||||||||
− | ー | ー | ー | 267 |
(1)現状分析 少子化の背景として、仕事と子育ての両立の負担感が指摘されており、少子化の流れを変えるために、育児休業を取得しやすく、また、子育てしながら働き続けやすい、子どもを安心して産み育てられる職場をづくることが喫緊の課題となっている。 このような中で、育児休業取得率は、平成8年度に、男性0.16%、女性44.5%であったが、平成11年度には、男性0.55%、女性57.9%と、男女とも上昇しているが、ともに必ずしも高いとは言えず、特に、育児休業取得者に占める男性の割合は2.4%ととどまっている また、子の看護休暇制度は、子育てをしている労働者において、子どもが病気や怪我の際に休むことができない、あるいは休みにくいという声が強いことから、平成13年度の育児・介護休業法の改正において、事業主の努力義務として規定されたところである。平成11年度における家族看護休暇制度の普及率は11.2%となっている。 さらに、勤務時間短縮等の措置は、育児休業から復帰した後、働きながら子育てのための時間の確保することが重要となっていることから、育児・介護休業法において小学校就学前までの子を対象とする措置を講ずることが事業主の努力義務として規定されている。平成11年度における小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の普及率は9.2%となっている。 (数字については、「女性雇用管理基本調査」労働省(平成8年度、平成11年度)) (2)原因分析 育児休業については、育児休業を取得しなかった理由として「職場の雰囲気から育児休業が取りづらかった」を挙げる者が43.0%、「収入減となり、経済的に苦しくなる」が40.2%、「保育所等に預けることができた」が27.1%、となっている(複数回答)。(平成12年「育児・介護を行う労働者の生活と就業の実態等に関する調査(財)女性労働協会) 育児・介護休業法において事業主の努力義務として規定されている子の看護休暇制度や小学校就学前までの勤務時間短縮等の措置については、まだ、その導入へ向けた事業主の意識変革が十分でない状況がある。 (3)問題点 育児休業を取得しなかった理由のうち、最も多くの者が挙げた「職場の雰囲気」は、労働者本人の選択の結果として育児休業を取得しなかったものでなく、取得したかったのに取得できなかった要因と考えられ、重大な阻害要因であるが、この背景には、育児休業の取得促進へ向けた事業主の意識の問題や取得促進の必要性の認識不足があると考えられる。 また、子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入については、その導入へ向けて、事業主へ、従来以上により積極的な働きかけが必要である。 (4)事務事業の必要性 子どもを安心して産み育てられる職場づくりへ向けて、育児休業の取得促進や子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進についての事業主の意識を改革するためには、本事業を実施し、集団指導や地域のトップ企業に対する個別指導、気運の醸成を図るための協力員の設置、積極的な広報・啓発などを総合的に展開する必要がある。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | ||||||
アウトカム指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
(1)配偶者が出産した男性に占める育児休業取得者の割合 (2)出産した女性労働者に占める育児休業取得者の割合 (3)子の看護休暇制度の普及率 (4)小学校入学前の子を対象とする勤務時間短縮等の措置の普及率 |
現状値(平成11年度) (1)男性0.55%、 (2)女性57.9% (3)11.2% (4)9.2% (平成11年度「女性雇用管理基本調査」労働省) ※目標値は検討中 |
|||||
(説明) 本事業により、育児休業の取得促進、子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進が進んだ際には、それぞれの基準値の向上が見込まれる。 |
(モニタリングの方法) 女性雇用管理基本調査により、事業所調査を実施する。 |
|||||
アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
平成15年度予算の概算要求における件数 ○セミナーの開催件数 94回/年 ○子育てしやすい職場づくり推進協力員の設置数 1,410人 ○育児休業取得環境整備コンサルタントの設置数 49人 |
||||||
(説明) 子どもを安心して産み育てられる職場づくりを目的とする本事業の実施状況を表すもの。 |
(モニタリングの方法) 実績を把握する。 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
|
||||
(理由) 我が国の将来の社会経済に重大な影響を及ぼすこととなる少子化の背景として、仕事と子育ての両立の負担感が強く指摘されていることから、子どもを安心して産み育てられる職場をつくることが、少子化の流れを変えるための喫緊の課題となっている。 本事業は、このような課題に対し、育児休業の取得促進、子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進を進めることにより、育児休業を取得しやすく、また、子育てしながら働き続けやすい、子どもを安心して産み育てられる職場づくりを実現するものであり、公益性が高い。 |
|||||
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
|
||||
(理由) 本事業は、少子化の流れを変えるための対策として、育児や介護を行う労働者の労働条件についての全国統一の最低条件を規定する育児・介護休業法の規定の実効を確保するため、事業主等に対する行政指導等を総合的に展開するものであり、国の責任において実施すべき事業である。 |
|||||
民営化や外部委託の可否 |
|
||||
(理由) 本事業は、少子化の流れを変えるための対策として、育児や介護を行う労働者の労働条件についての全国統一の最低条件を規定する育児・介護休業法の規定の実効を確保するため、事業主等に対する行政指導等を総合的に展開するものであり、国の責任において実施すべき事業であり、民営化や外部委託はできない。 |
|||||
緊要性の有無 |
|
||||
(理由) 我が国の将来の社会経済に重大な影響を及ぼすこととなる少子化の背景として、仕事と子育ての両立の負担感が強く指摘されており、子どもを安心して産み育てられる職場をつくることが、少子化の流れを変えるための喫緊の課題となっている中で、こうした職場づくりの実現へ向けて必要な本事業の緊要性は高い。 |
政策効果が発現する経路 | ||||||||||||||||||||
〔子どもを安心して産み育てられる職場づくり推進事業〕
|
||||||||||||||||||||
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 | ||||||||||||||||||||
安心して子どもを産み育てられる職場づくりが進むことにより、少子化の背景として強く指摘されている仕事と子育ての両立の負担感の軽減につながることとなり、少子化対策としての効果が見込まれる。 したがって、本事業は、「新重点4分野」の(3)公平で安心な高齢化社会・少子化対策に資するものである。 |
||||||||||||||||||||
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 | ||||||||||||||||||||
育児休業を取得しやすい環境づくりが進んだことを示す指標としての育児休業取得率は、労働者の働き方に対する基本的な考え方そのものにも大きく影響を受けることに留意することが必要である。 |
手段の適正性 | ||||
(a)本事業を行わない場合 メリット :なし デメリット:本事業を行わない場合、子どもを安心して産み育てられる職場づくりへ向けての育児休業の取得促進や子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進についての事業主の意識を改革することができず、少子化の流れを変えるという我が国の喫緊の課題に対応することができない。 (b)ほかに想定しうる手段で行った場合 メリット :なし デメリット:ほかの手段を実施したとしても本事業により、子どもを安心して産み育てられる職場づくりへ向けての育児休業の取得促進や子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進についての事業主の意識の改革が進まなければ、ほかの手段をどれだけ講じようとその効果は大きなものとはならない。 (c)本事業を行った場合 メリット :子どもを安心して産み育てられる職場づくりへ向けての育児休業の取得促進や子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進についての事業主の意識の改革が進み、少子化の流れを変えるという我が国の喫緊の課題に対応し、育児休業を取得しやすく、また、子育てしながら働き続けやすい、子どもを安心して産み育てられる職場づくりが実現する。 本事業の施策のメニューそれぞれの手段について、セミナーや集団指導は一度に多くの対象者に働きかけることができる効率的な手段である。また、子育てしやすい職場づくり推進協力員の設置は、使用者団体を代表する者などが日常の活動の中で、他の企業の幹部等に対し、育児休業の取得促進等の重要性や取組みの必要性の認識を伝播させるというもので、事業主の意識を改革するためには、非常に効率的な手段である。さらに、トップ企業等に対する計画的な個別指導及び育児休業取得環境整備コンサルタントによる指導等はこれらの企業において制度の導入・利用促進が進むことによる他の企業への波及効果が期待され、効率的な手段である。 デメリット:なし |
||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
本事業の主な経費は、集団指導・セミナーの開催のための経費、「子育てしやすい職場づくり推進協力員」の活動旅費、トップ企業等に対する個別訪問指導及び育児休業取得環境整備コンサルタントの指導等のための管内旅費、育児休業取得環境整備コンサルタントの謝金、広報・啓発のための資料作成経費などである(267百万円)。 少子化の流れを変えるという我が国の喫緊の課題に対し、子どもを安心して産み育てられる職場づくりへ向けて、育児休業の取得促進や子の看護休暇制度や小学校就学前までの子を対象とする勤務時間短縮等の措置の導入促進についての事業主の意識を改革する必要があるが、本事業はそのために最低限必要な経費を計上しているところである。また、将来の社会経済に重大な影響を及ぼす少子化の流れを変えることにつながることで期待される効果は極めて大きいものである。 |
||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
|
|||
(有の場合の整理の考え方) |
本事業は、より一層進展が見込まれる少子化の流れを変えるという我が国の喫緊の課題に対して、育児休業を取得しやすく、また、子育てしながら働き続けやすい、子どもを安心して産み育てられる職場づくりを実現することを目的とするものであり、優先度が高い。 また、本事業は、「新重点4分野」の(3)公平で安心な高齢化社会・少子化対策に資するものであることから、「新重点4分野」として要求するものである。 |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 平成14年5月21日に、総理大臣より「育児休業の取得や看護休暇制度の普及などについて具体的目標を定め、子どもを安心して産み育てられるような環境づくりに努力すること」という指示があった。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成13年10月31日衆議院厚生労働委員会、平成13年11月8日参議院厚生労働委員会)において、政府は「法の実効性を確保するため、本法に基づく諸制度や指針の周知徹底を図るとともに、的確な助言・指導・勧告を実施すること」「子の看護のための休暇制度の早期導入促進のため事業主に対する格段の相談・指導・援助に努めること」とされている。 (5)会計検査院による指摘 なし |