戻る

32
事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名) ホームレス等試行雇用事業
担当部局・課 主管課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課
関係課  


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
V 就職困難者等の雇用の安定・促進を図ること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 自立支援センターに入所しているホームレスや常用雇用を希望する日雇労働者を対象に、短期間試行的に民間企業に雇用してもらうことにより、事業主の雇入れに係る不安を解消するとともに、ホームレス等の新たな職場への円滑な適応を促進し、常用雇用の途をさぐる。受け入れた事業主に対しては奨励金を支給する。
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
240

(3) 問題分析
(1)現状分析
 近年の経済・雇用情勢等を背景として、大都市部を中心に公園、河川敷等で野宿生活を送るホームレスが増加し、大きな社会問題となっている。
 平成13年9月の末現在の調査では、24,090人と、平成11年度の調査に比して、約20%の増加である。
 また、日雇労働者を取り巻く環境も、日雇求人が減少し、実際の雇入れ人員数も減少するなど厳しい状況となっている。
(2)原因分析
 ホームレス自立支援センターでの自立状況を見ると、就職が難しいことに加え、再就職にいたっても職場のルールとの不整合や同僚との人間関係、技能不足等で離職してしまうケースが見られる。同様にホームレスとなるおそれの強い日雇労働者においても常用雇用への移行を希望しても、困難な状況が見られる。
(3)問題点
 短期間の自立支援センター入所中に職業生活の感覚等を習得することは非常に困難であり、また常用雇用を希望している日雇労働者においても、これまでの職業生活との相違から、なかなか常用化が困難という状況がある。
(4)事務事業の必要性
 本事業は、これらの者が一定期間企業において、試行雇用を経験することにより、事業主、求職者双方の不安を解消し、常用雇用の機会を増加させる。
(5)これまでの評価結果の反映
 関連する政策体系の施策目標「4−3−V 就職困難者等の雇用の安定・促進を図ること」の実績評価において、自立の意志を有するホームレスの就職を支援するため、ホームレス等試行雇用事業を新規事業として要求することとしている。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 平成15年度
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
試行雇用を経由して就職した件数            
(説明) (モニタリングの方法)
 都道府県労働局からの報告による。
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
試行雇用の実施件数            
(説明) (モニタリングの方法)
 都道府県労働局からの報告による。


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 ホームレス等の職業的自立に向けた支援を行い、社会・経済の安定、福祉の向上を図ることは、公益性が高く、行政の関与が必要である。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 本事業は、安定所で行う職業紹介の一環として国の事業として行うものである。また、第154回国会で成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」ではホームレス及びホームレスになるおそれのある者に対し、安定した雇用の場の確保、職業能力の訓練等による就業の機会の確保が重要な目標として規定されている。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 ホームレス等は就職困難者であり、特に経済状況が悪化している場合には、労働市場において十分な需給調整機能が期待されないものであり、職業紹介の一環として国が主体となって実施する必要がある。
緊要性の有無
(理由)
 ホームレスの人数も平成13年度調査では24,090人と平成11年度の調査時に比して、約20%も増加するなど、年々増加傾向にある。また、第154回国会では、「ホームレスの自立の支援に関する特別措置法」が議員立法により成立(平成14年8月7日施行)し、早急な対応が求められている。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 試行雇用の受入れ可能な企業へ対象者を紹介→職業生活のルール等を習得→就業機会の確保、常用就職の実現
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 本事業の実施に伴い、試行雇用を経ることで、その期間を通じて新たな職場への適応を進め、試行就業期間終了後には、常用雇用への移行を図ることにより、就業機会の確保に資することが期待される。
 また、本事業は、ホームレスの自立を支援するために有効な事業であり、平成14年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」における新重点4分野の1つである「人間力の向上・発揮」に資する。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 


(3) 効率性
手段の適正性
 本事業はホームレス等に対して、理解ある企業等の協力の下で一定期間の試行雇用を通じ、事業主の雇い入れに係る不安を払拭し、事業主が期待する技能を有し、常用雇用が可能かを見極めるとともに、ホームレス等の就労自立の意識を高め、就業機会の確保を図るものであり、他の方法によっても同様の効果は期待できない。
効果と費用との関係に関する分析
 ホームレス等は、就職が難しいことに加え、再就職にいたっても人間関係や技能不足等で離職してしまうケースも見られ、安定した雇用確保のためには、求職者と求人者が相互理解を深められる試行雇用の実施と、事業主の負担軽減のための助成が有効である。これまで障害者等を対象とした試行雇用により、多くの者が常用雇用に移行できていることから、本事業の実施により240百万円の費用がかかると見込まれるが、ホームレス等の就職の促進を効率的に進めることが期待できる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 本事業は、平成14年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」における新重点4分野の1つである「人間力の向上・発揮」に位置づけられるため、優先性を有する。


3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 第154回国会において「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が平成14年7月31日に成立、同年8月7日施行。

(5)会計検査院による指摘
 なし


トップへ
戻る