事業評価書( |
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・事後) |
評価対象(事務事業名) | 総合的雇用環境整備推進事業(ジャンプ65推進事業)の強化 | |
担当部局・課 | 主管課 | 職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 |
関係課 | 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課 |
番号 | ||
基本目標 | 4 | 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること |
施策目標 | 3 | 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること |
I | 高齢者の雇用就業を促進すること |
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高齢者の雇用就業による社会参加のための環境整備が急務となっている状況を受けて、これまで総合的雇用環境整備推進事業を実施し、高年齢者雇用アドバイザー活動を中心とした定年の引上げ、継続雇用制度の導入促進、高齢者の多様な就業機会の開発等の、事業主に対する相談・援助を通じた高齢者の雇用就業機会の確保を図っているところである。平成15年度においては、従来の各種事業に加え、下記の事業を新たに実施することにより、より重点的かつ効果的に高齢者の雇用環境の整備を推進することとする。 (1)継続雇用制度導入のための管理者及び従業員研修の実施 企業の管理者に対する研修及び中高年従業員に対する研修を通じて、中高年従業員の活性化を支援し、企業における継続雇用制度の導入の促進を図ることとする。 (2)インターネットを活用した相談・援助窓口の開設 事業主自らが都合の良い時間に、自らの関心度・問題意識に応じて、高年齢者雇用確保措置の導入促進のために必要な情報及び手段を検索し、一定の自己診断を試みることのできる新たな相談・援助窓口をインターネット上に開設する。これにより、事業主による自律的な取組を促すとともに、自社内での解決が困難な課題については、高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助の利用に誘導し、高年齢者雇用確保措置等の着実な実施を促進する。 (3)地域高年齢者継続雇用推進事業の実施 65歳までの雇用機会の確保について広く国民一般の理解を求め、国民的コンセンサスを得ることが極めて重要であることから、各地域においても事業主団体との連携を強化することとし、都道府県高年齢者等雇用安定センターを拠点に継続雇用推進協議会を設置し、高年齢者の就業機会の確保を図るための重点課題について協議し、普及啓発の方法や相談援助の進め方等について検討し、地域企業への普及啓発活動、相談・援助活動を協力に推進していくこととする。 (4)高年齢者ワークシェアリング推進事業の実施 「高年齢者ワークシェアリング」の活用により高年齢者の雇用の場を確保している企業の好事例を収集し、そのノウハウや成果を、地域事業主団体等と連携しつつ、高年齢者の継続雇用制度の導入をしようとしている事業主に提供することにより、継続雇用制度の普及に資することとする。 |
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予算額 | (単位:百万円) | ||||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | |||||
1,688 | 1,940 | 2,050 | 1,937 | 2,534(138) |
(1)現状分析 ここ数年、景気低迷の影響を受けて、雇用失業情勢は全体として厳しい中で、65歳までの雇用確保措置の普及が急速に進みにくい状況にある。特に、大企業においてはその普及が十分に進展していない。 (2)原因分析 高年齢者雇用確保措置を講ずる事業主割合が伸びていない原因としては、ここ数年の景気低迷の影響を受けて企業の経営状態が悪化しており、各事業主が継続雇用制度の導入は企業にとって負担になるとして躊躇していること、事業主側で、高年齢者の経験・知識の具体的な活用方法が見い出せないこと等が考えられる。 (3)問題点
上記問題点を解決するため、以下の目的を有する本事業を推進する必要がある。
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目標達成年度(又は政策効果発現時期) | 平成22年頃 (平成12年から向こう10年程度の間) |
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アウトカム指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
65歳までの雇用を確保する企業の割合 | ||||||
(説明) 目標数値は定めていないが、「65歳までの雇用を確保する企業割合(従業員30人以上規模企業)」(「雇用管理調査」より)を指標とする。 |
(モニタリングの方法) 翌年度に実績を評価する。 |
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アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
地域高年齢者継続雇用推進協議会開催件数 | ||||||
(説明) 地域における高年齢者の雇用の機会の確保を推進するための協議会の年間開催件数。 |
(モニタリングの方法) 翌年度に実績を評価する。 |
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アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
職場活性化研修開催件数 | ||||||
(説明) 企業の管理者及び中高年従業員に対して継続雇用制度の導入を促す研修の年間開催件数。 |
(モニタリングの方法) 翌年度に実績を評価する。 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 高齢者の雇用就業を促進することは、事業主だけの自主的な努力では限界があるため、国の責務として実施する必要がある。本事業の性格は、国全体の活力ある経済社会を維持するうえで重要なポイントであるため、非常に公益性の高いものである。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 当該施策目標の高齢者の雇用就業を促進することは、行政の一方的な指導・働きかけだけでは、事業主にかかる負担感が大きくなるため、専門的なノウハウを蓄積した高年齢者等雇用安定センターを通じて相談・助言及び情報提供を事業主に対し て実施する必要がある。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 本事業は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき中央高年齢者等雇用安定センターとして指定された(財)高年齢者雇用開発協会に外部委託することにより実施している。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第2条の5に基づき策定された「高年齢者等職業安定対策基本方針」(平成12年9月29日告示)によると、「向こう10年程度の間に、原則として希望者全員が、その意欲及び能力に応じて65歳まで継続して働くことができる制度の普及を図る。」こととなっており、また、今後の少子高齢化の進展を踏まえた経済社会の活力を維持していくためには、高齢者の雇用就業を促進することは緊要性のあるものと考えられる。 |
政策効果が発現する経路 |
(1)継続雇用制度導入のための管理者及び従業員研修の実施 中高年従業員活性化等のための研修の実施→研修に参加した企業の管理者及び中高年従業員の意識改革の促進→企業による継続雇用制度の導入への動機づけ→中高年の雇用機会の確保 (2)インターネットを活用した相談・援助窓口の開設 インターネット上に高年齢者雇用確保措置の相談・援助窓口を開設→事業主が相談・援助窓口を利用→事業主が必要とする情報、もしくはサービスの提供(高年齢者雇用アドバイザーによる相談等への誘導)→企業による継続雇用制度の導入→高年齢者の雇用機会の確保 (3)地域高年齢者継続雇用推進事業の実施 継続雇用推進協議会の設置→協議会にて高年齢者の就業機会確保のための重点課題の検討→検討結果について当該地域企業への普及・啓発→企業の意識改革の促進→企業による継続雇用制度の導入→高年齢者の雇用機会の確保 (4)高年齢者ワークシェアリング推進事業の実施 「高年齢者ワークシェアリング」を活用している企業の好事例の収集→ワークシェアリングのノウハウ及び成果を「高年齢者ワークシェアリング」に活用し、継続雇用制度の導入を検討する事業主に提供→企業による継続雇用制度の導入→高年齢者の雇用機会の確保 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
(1)継続雇用制度導入のための管理者及び従業員研修の実施 本事業を実施することにより、企業の管理者及び中高年従業員の意識改革を通して、中高年従業員の有効活用と企業の活性化が図られ、継続雇用制度の導入を図ろうとする企業内での環境整備が整い、制度導入が促進される効果が現れる。本事業の効果発現時期は翌年度以降となり順次現れると考えられる。 (2)インターネットを活用した相談・援助窓口の開設 本事業は過大な費用をかけずに事業主による継続雇用制度の導入の自律的な取組を容易に促すことにより、高年齢者雇用確保措置等の着実な普及を図ることが期待できる。本事業の効果発現時期は事業開始と同時であり順次現れると考えられる。 (3)地域高年齢者継続雇用推進事業の実施 本事業の実施により、地域の事業主団体を通じて、当該地域における高年齢者雇用の課題が解決され、地域レベルからの高齢者雇用の促進が図られる。本事業の効果発現時期は翌年度以降となり順次現れると考えられる。 (4)高年齢者ワークシェアリング推進事業の実施 多様な就業形態が期待できる「高年齢者ワークシェアリング」を導入しようとする中堅・大企業の取組を支援することにより、高年齢者の継続雇用制度の普及が期待できる。本事業の効果発現時期は翌年度以降となり順次現れると考えられる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
高年齢者雇用確保措置の導入は、基本的には、労使間の問題であり、企業の経営状態、それを考慮した労使間交渉の優先順位等により、その進捗は大きな影響を受ける。 |
手段の適正性 | ||||
65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入を義務化する等、規制強化によることが考えられるが、現時点では、労使間、更には国民全体の合意に至っていない。したがって、企業の不安を解消し、自主的な取組を支援する本事業のような手法が適切であり、また助成金制度とあいまって効果的である。 | ||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
高年齢者雇用確保措置の普及の便益は、高年齢者の就業希望によって大きく変わるものであり、また、社会保障制度への影響等多方面に及ぶものであることから、定量的な把握は極めて困難である。 以上のような留保条件付きではあるが、高年齢者等雇用安定センターに実施させている相談援助事業等は、高年齢者雇用確保措置の導入に伴う事業主の一時的な費用負担の軽減を行うものであり、助成金制度やインターネットを通じた情報提供等と併せ て実施することで、費用対効果の観点からも効率的な支援であると考える。 |
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他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
なし。 |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし。 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 平成11年8月に閣議決定された「第9次雇用対策基本計画」において、「向こう10年程度の間において、65歳定年制の普及を目指しつつも、少なくとも意欲と能力のある高齢者が再雇用又は他企業への再就職などを含め何らかの形で65歳まで働き続けることが出来ることを確保していくこととする。」とされている。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 平成14年3月に、総務省の行政監察による勧告「高齢者雇用対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」がある。 《勧告要旨》
(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし。 (5)会計検査院による指摘 なし。 |