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事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名) 水道施設整備費補助
担当部局・課 主管課 健康局水道課
関係課  


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること
施策目標 安全で質が高く災害に強い水道を整備すること
I 安全で質が高い水道の確保を図ること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
水道施設整備費補助(平成14年度新規採択事業であって、事業費が10億円以上の事業)
 簡易水道等施設整備費補助
  ・ 簡易水道再編推進事業(1件  1,780百万円)
維持管理面、経営面等で脆弱性を有する簡易水道を統合し、水質管理体制の強化を図る。
  ・ 生活基盤近代化事業(1件  1,037百万円)
水質基準に適合しなくなり、飲用困難となった水道施設の改良、クリプトスポ  リジウム等の感染性微生物対策としての水道施設の改良等。
 水道水源開発等施設整備費補助
  ・ 高度浄水施設整備費(7件  9,945百万円)
水源汚染、感染性微生物等に対応するため、高度浄水施設を整備。
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
35,187

(3) 問題分析
(1)現状分析
 水道水の安全に関しては、クリプトスポリジウム等の感染性微生物による新たな健康被害が生じており、また、水道として監視が必要な化学物質等が増加するなど、水質管理が高度化・複雑化しており、その取組の強化が課題となっているところであるが、水道事業体によってはこれらの問題に十分に対処することが困難となっている。

(2)原因分析
 水道事業は、全般に水需要が頭打ちとなり、料金収入の伸びが期待できない中で、水質管理の強化、渇水や震災に備えた施設水準の向上、老朽化の更新など、いずれも収益の増加につながらない投資を行わなければならない状況である。

(3)問題点
 水道事業は1万1千の事業があり、その大半は経営基盤が脆弱なものであるため、水質管理の高度化・複雑化に対応した安全な水を供給するために必要な職員の確保、設備の充実等が困難である。

(4)事務事業の必要性
 簡易水道同士の統合や上水道への統合により技術基盤や財政基盤等の経営基盤の強化、高度浄水処理施設の導入等に必要な施設整備費の一部を補助することにより、水質汚染等に対応した水質管理体制の構築を推進し、安全で良質な水の安定供給を図る。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 別紙の工期欄を参照
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
統合された簡易水道等事業者数 3施設
(説明)
 当該事業により統合した簡易水道事業者(飲料水供給施設を含む)の数
(モニタリングの方法)
 実績報告書
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
高度浄水処理水の利用者数 555,300人
(説明)
 当該施策により新たに高度浄水処理水を利用する人数
(モニタリングの方法)
 実績報告書


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 水道は国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、水道の適正な管理の観点から行政の関与が必要である。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 規模が小さく経営基盤の脆弱な水道事業者等については、クリプトスポリジウムや有害化学物質等による汚染などの水質問題に対し、的確に対応ができる水質管理体制を整備することが難しいため、公衆衛生上の観点から国の支援が必要である。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 高度な水質管理能力のある近隣の水道事業者や民間に浄水場等の運転・管理を委託することが可能である。また、民間資金の活用(PFI)による水道施設の建設・維持管理も有効な解決手段のひとつである。
緊要性の有無
(理由)
 クリプトスポリジウム等の感染性微生物については、人の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、速やかに的確な水質管理体制を整備する必要がある。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
財政資源
水道施設の統合、高度浄水施設等の整備
    ↓
経営基盤の強化、的確な水質管理
    ↓
安全で良質な水道水の安定的な供給
    ↓
公衆衛生の向上、生活改善
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
・事業内容
 水道水源の原水汚染等により、水質基準等に適合した水道水の供給を行うことが困難な状況となっている水道事業者に対し、水質悪化に対応した施設の整備に必要な費用の一部を補助する。
これまで達成された効果
高度浄水処理水の推計
利用人口(千人)
H8 H9 H10 H11 H12
15,258 15,315 17,243 23,222 26,502
・今後見込まれる効果
 安全で良質な水道水の供給が可能となるとともに、水道事業の統合等により技術面や財政面の強化が図られ、水道水の安定供給が可能となる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 なし


(3) 効率性
手段の適正性
(a) 当該事業を行わなかった場合
 安全な水道水を供給することが難しくなり、クリプトスポリジウム等の感染性微生物等による健康上の問題が生じる恐れがある。また、水質基準に適合しなくなった場合、給水を停止することとなり、住民の生活や経済活動に多大な影響を及ぼす。
(b) 他に想定しうる手段で行った場合
 住民各自において浄水器の設置、ボトルウォーターの購入、煮沸消毒等の代替え手段を選択した場合、高度浄水処理施設を導入するよりも総体として過大にコストがかかる。
(c) 当該事務事業を行った場合
 的確な水質管理体制が構築され、安全で良質な水道を安定的に供給することが可能となり、もって、安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進することとなる。また、費用対効果の面からも効率的(別紙)である。
効果と費用との関係に関する分析
 別紙
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 なし




3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成13年7月4日に公布された「水道法の一部を改正する法律」における衆参両院の付帯決議。
 ・ 近年の地下水汚染の進展やクリプトスポリジウム等の新たな病原性微生物、環境ホルモン等に対応するため、水道水質基準に係る国際的な動きも踏まえつつ、水質検査技術の向上と水道水質基準の強化・拡充に努めること。

(5)会計検査院による指摘
 なし



別紙

効果と費用との関係に関する分析


都府県名 市町村又は
事業者名
事業名 補助率 工期
総事業費
(千円)
平成14年度
国庫補助額
(千円)
維持管理費+
建築費(C)
(千円)

便益(B)
(千円)
B/C 達成目標
宮城県 雄勝町 簡易水道再編推進事業 4/10 14 23 1,780,000 52,000 2,931,147 4,863,003 1.66 統合する簡易
水道等の数(施設)
3
山形県 鮎川村 生活基盤近代化事業 1/3 14 16 1,036,966 80,247 1,952,236 2,570,603 1.32 水質基準を満たす
水道水の供給
 
東京都 羽村市 高度浄水施設整備費 1/3 14 15 2,238,245 126,336 4,564,268 15,618,644 3.42 高度浄水処理水の
利用人口(人)
59,600
新潟県 新潟市 高度浄水施設整備費 1/4 14 17 1,974,000 29,662 3,661,920 29,411,404 8.03 高度浄水処理水の
利用人口(人)
109,000
愛知県 愛知県 高度浄水施設整備費 1/4 14 15 1,131,492 44,025 1,761,470 25,591,263 14.53 高度浄水処理水の
利用人口(人)
349,000
島根県 松江鹿島水道企業団 高度浄水施設整備費 1/3 14 18 1,238,200 52,333 2,346,479 6,107,273 2.60 高度浄水処理水の
利用人口(人)
18,000
広島県 海田町 高度浄水施設整備費 1/4 14 16 1,095,000 5,092 1,542,682 1,589,778 1.03 高度浄水処理水の
利用人口(人)
4,700
福岡県 庄内町 高度浄水施設整備費 1/3 14 15 1,054,509 15,133 1,999,927 2,661,252 1.33 高度浄水処理水の
利用人口(人)
7,000
福岡県 飯塚市 高度浄水施設整備費 1/4 14 15 1,213,641 13,017 2,346,783 2,960,376 1.26 高度浄水処理水の
利用人口(人)
8,000
※「水道事業の費用対効果分析マニュアル(平成11年11月、(社)日本水道協会)」により費用対効果を分析


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